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2024年09月16日

016918-



1145 馬鹿野郎!!
私の前を通り過ぎる時の思いつめたような横顔からして、只ごとではないな・・
取り急ぎ、島の消防団を呼ぶ必要があるな、と腰を浮かせ携帯電話を取り出すと、その子は胸元まである深さへ行くと、ピタリと止まった。
そして両手を口もとへ持っていき、腹の底から、あらん限りの声で、夕陽へ向かって叫び出したのである。
OOの馬鹿野郎!
OOなんか死んじまえ! 
OO! あんたなんか動物以下だ!
失恋した男の名前だろうか、悔しさを夕陽にぶつけている。
そうしていると気がつかなかったが、砂浜の岩陰にでも居たのだろうか、今度は左側からもう一人、女の子がズブズブと海へ入って行き、同じ態勢で叫び出したのである。
XXの馬鹿野郎!
XX! 今に見ていろ!
若い女の子が、真っ赤に沈む夕日を真ん中に、ステレオで叫ぶ様は、心打れ、物悲しい。
涙を洗い流しているのだろうか。
両手で、ざぶざぶ顔を洗った後、女の子は砂浜を上がって来た。
私の存在に気がつくと、ばつ悪そうな、気恥ずかしい顔をした。
「塩水のまま、民宿へ帰るとまずいので、そこのシャワー浴びたほうがいいぞ」と言うと、真っ直ぐシャワーの方へ行った。
シャワーの場所を聞き返さないところをみると、この島は初めてではなさそうだ。
もう一人の子も私の声が聞こえたのか、前の子の後を追ってシャワーへ行った。
自分達の、見せては恥ずかしいシーンを見られてしまった、しかし相手は、どう見ても島の人らしい。
シャワーの間に安堵感があったのか、二人はシャワー後、真っ直ぐ帰るかと思うと、私の前の腰掛け代わりの流木に腰をおろし、一緒に夕日を眺めた。

1143 ミステリー島




古老の話によると、昔、東南アジアや中国と直接交易し、アンナ村跡はベトナムのアンナンからの移住者村で、方言はベトナムとリンクしている、との事だが、本当かな?
島に人口が溢れ、繁栄していたと言う事は、マルコポーロの東方見聞録、黄金島、ジバングはこの島の事かな?
ロマン溢れる、ミステリー島だ!
縄算***前回紹介した住民登録台帳、これと同じような形をした、そろばんとは違う、この島独特の計算機が、あったという。
島の人はそれを、縄算と呼んでいたそうだ。
古老に聞いても、現物があったことは知っているが、なかなか原理まで覚えてる人はいない。
旧暦9月、暦上は10月であるが、それぞれの御嶽に集まり、願い事をする。
50数年ぶりではあったが、顔を出すと、年寄り達がびっくりしていた。
その時、出された食べ物であるが、横長のクッキーの形をした物に見覚えがあり、聞いてみると、島の人でこれを知らない人はいない。やはりお前は島ナイチャーかと言われる。
よく見ると、細い横長の中ほどに2本ほど線が入り、すだれのように、縦に筋が入っている。
このクッキー状の物、それが縄算の計算機を形どっているという。
それを食べ、より頭が良くなり、健康であって欲しい。
必ず9月の神事には、各家庭で、妙なクッキーを作るという。
その日も、いっぱい食べれば頭が良くなるさー、いっぱいいっぱい食べれ!、と。
これがまた、都会では味わえない珍味中の珍味で、桁違いに頭が良くなったように感じるから不思議だ。
子供の頃、母親に手伝わされ、作った記憶が蘇ってきた。
それにしても、縄算なる、計算機と原理、解明したいものである。
この頭の良くなるクッキー、メーカーが見ると製品化、飛ぶように売れる事、間違いなし!!
バレンタイン商品をはるかに凌ぐ商品開発になるだろう。
受験シーズン、入学祝など、殺到する事、間違いなし。
ひかるが菓子業界に居れば、間違いなくとんでもない商品開発をするだろう。
いつものように、海辺の休憩所の横で、一服しながら真っ赤な夕陽を眺めていた。
潮時は満潮で、砂浜にも珍しく観光客の姿は無かった。
すると、二十代後半と思われる女の子が、自転車で来るなり、私の存在も気ずかず、そのまま砂浜へ降りて行った。
波打ち際で止まるかと思ったのだが、その子はそのまま海の中へ、ブスブスと直っしぐらに歩き出した。
途中で止まるかと思うと、その子はさらに深い所へ、止まる事を知らない。
ありゃありゃ、入水自殺か?

 1142 大量出土




この島で、妙な貝が、大量に出土した。巻貝ではあるが、大きさがサザエの数倍あり、ホラガイとはまた違う、形そのものは、サザエオバケみたいな貝だ。
ところがその貝には、どうしても人工的としか思えない、穴が一つ空いている。
この貝はひかるが子供の頃、60年前には一度も見たことがない。
古老に聞くと、自分もその貝を見たことも、食した事もないという。
しかし、大量に出土したということは、100年、いや200年前、この貝はこの島の周りに、大量にいたと思われる。
シャコ貝と同じぐらいの出土量があるから、かなり生息していたと思われる。
シャコ貝は60年前、足の踏み場もないくらいリーフやリーフの上にはおり、この貝だけは誰も見たことがない。
疑問は、人工的に開けられたと思われる穴だ。
穴のことを古老に聞くと、話には聞いたことがある。
貝に穴を開け、石にゆわえ付け、海中に放牧?していたという。
目の前は太平洋、魚介類はいくらでも採れるのに、恐るべし、いにしえのこの島人は養殖方式を採用していたのだ。小さな貝はなくほとんど大きさが統一されている。
昔は、電気や冷蔵庫もなかったので、祝い事や大事なお客をもてなすとき、放牧?していた、貝をとって来、目の前で、新鮮な料理でもてなしたという。
なるほど、と感心した。
いにしえの島の人たちは、海で貝を放牧?し、必要な時に必要な量、新鮮な料理をし、心豊かに味わっていたのだな。
私も閃いた。
今度は、シャコ貝に、ドリルで穴を開け、テグスで石にゆわえ、必要な時だけ、新鮮なシャコ貝を食べよう。
南の島、夕陽を眺め、新鮮なシャコ貝、貝柱、泡盛を片手に、至福の時間だ !
調べたら、この貝は学名、夜光貝で、太古の昔、中国王朝の漆器などに使われ、とんでもない高価で取引されていたと言う。

 1140 不思議島




沖縄本島から、南へ450キロ、日本の最南端は波照間島であるが、その手前に、ものの見事なハートの形をした、黒島がある。
この島は、1771年、明和の大津波以前、あふれんばかりの人がおり、一大文化を謳歌していた。
山も川も無い、周囲12キロの小さな島だが、島を取り巻くように、南半分、8キロにわたる、グレートバリアリーフに匹敵する、見事なサンゴ礁がある。
そこからは、素潜りで大量の魚がつかみ取り出来、それで島の人たちは、豊かな生活をしていたようだ。
しかし、この島には、紙と文字という文化はなかった為、今では歴史に跡を残す事なく、殆んど知られない存在となってしまった。
写真の、しめ縄を小さくしたようなものだが、これは何かというと、この島で使われていた、住民台帳だとの事だ。
縄から、ひげの如く出ているもの、それによって、家族の人数や大人、子供などの情報が、全て入っているとの事だ。
また、同じしめ縄のような形で、島の1軒1軒の地図が、表現されていたという。
さらに驚くのは、この縄から飛び出している髭の長短、太さ、小さな縄状物によって、計算の繰上げ、繰り下げが出来、今で言うと、超ハイテクコンピューター並があったという。
日本や中国ではそろばんがあったかもしれない。この島の人達はそろばんではなく、とんでもないものを使っていたようだ。
現在のコンピューターは、パルスの有るか無しかで基本原理が出来ているが、パルスの長短、太さ、色分けをしていくと、超、超コンピューターが出来るであろう。
遥か昔に、日本の南の島で、高度な文化を誇った人達がいたのだ。
この島の文化が、何んで日本の歴史にないのか、非常に不思議であるが、いうなれば、日本のインカ帝国と言ってもいいのではないだろうか。
沖縄の民謡に興味がある人なら、黒島口説、チンダラ節、アブジャーマ等、聞いたことがあるかと思うが、この島の民謡で、紙では残せない音楽、昔の人が残した痕跡だ。
黒島口説は、マイクのない昔、祭りで大勢を前に、曲の半分を大きな声で歌いながら踊るという、今のカラオケの原点が百年以上も昔に誕生していたのだ。
こんな民謡、どこにも無いであろう。
120もの島からなる沖縄県、たった周囲12キロ、現在の人口二百数十人の島から県を代表する音楽が出ている、という事は、とんでもない音楽のDNAを持った人種である事は間違いない。
島見聞録、これから島の古老たちの話を交え、立ち上げていきたいと思います。
お楽しみに・・・・

 1139 画像

住民台帳.jpg
島の住民台帳。

1138 喉輪




絶滅危惧種で、天然記念物イリオモテ山猫は西表島にしかいないが、実は石垣島にもいたと言う説もあるが、この黒島にも60年前頃まで生息していた。
黒島でこの山猫を見た人は最近他界したので今ではひかる只一人しかいなくなった。
この山猫は普通の野良猫と比べ、顔がまん丸くてシッポが太くて短い、足も短い、いわゆる短足ずんぐり型だ。
顔が丸いのは顎の筋肉がかなり付いているのだろう。足が短いのもかなり筋肉が付いているせいで短く感じられるのだろう。
運動能力は通常の猫の域をはるかに越えている。
まずは完璧な夜行性、真っ暗い夜、眼光がものの見事な黄金のビームを発する。50メータ先でも確認できる。消えたかと思うと、こちらの動きや声で別の所から黄金のビームを発する。
また獲物を捕る時の動作が見事だ。
島のニワトリはこの猫のためか、桑の木の枝で寝る。観察するとある程度風があり、木の葉の音がワサワサし、多少しなっているタイミングを狙う。助走から一気に桑の木を四本の足で抱くようにスラスラっと掛け登り、飛びつき、まずは鳥の喉輪を瞬時に噛み砕く。鳥は声を出す間もない。
風で枝はしなったりしているので、他の鳥たちは気が付かない。
くわえたまま落ちるが、猫は四本の足で見事着地。鳥は地面へ叩きつけられる。
もし瞬時に喉輪を噛み砕き損ねた場合、鳥の足が猫の足を掴めば、四本足での着地は出来ず、地面へ叩き付けられ、一巻の終わりでしょう。
風や葉音、しなり具合の読み、瞬時に喉輪を噛み砕くなど、見事としか言いようがない。
また台風時には鳥たちは木の上では寝れない。獲物が簡単に手に入り、この猫がこの地域に生き延びた原因だろう。
住処も重要だが、この地区にはアダンの木がある。アダンは横に延び、途中より気根を地面へ次々と下ろし這っていく。数十センチ高さの奥は絶好の要塞で他の動物は絶対に入り込めない。昼間は安心して寝れるのである。
ひかるは古代から生き延びるこの猫の狩りから、一番大事な事を教えられた。
時代の風向きや自分のおかれている状況等を慎重に読み、ネックの喉輪を瞬時に噛み砕く手法だ。
人生では千差万別だろうが、必ずといっていい程問題があるはずだ。慎重に読み、どのタイミングで瞬時に喉輪を噛み砕くかだ。
自分は今動けるのか、親の状況や有る無し、兄弟の問題、家族に病人が有るか等の読み、飛びつくタイミングはずれていないか等が重要だ。

 1137 思考配分




また思考配分をした生き方をすると、チャンスが間違いなく時系列で捉えられ、その時の流れや風向き、風色など、一気に喉輪を噛み砕く手法が採れる、といえる。
配分思考、なんて初めて聞く言葉でしょうし、学校でも教えてくれない、がしかし騙されたと思い、頭へ叩き込み実行して間違いない、人生最良のチャンス獲得思考だと言えるでしょう。
十人十色、チャンスもまた十人十色で違います。己の脳、波長に合ったチャンスを捕らえる。
それには、配分思考を常に心がけ、好奇心を絶やさない。その二本柱の元に前もってチャンスを見据える、そこから間違いのない決断が生まれ、実行力へと繋がる。そして結果が出るのだ。
多くの人が夢を諦めるな、と説くがこの夢がこまったものだ。寝て見るうつつのゆめと己の希望なる夢が同じ字で、子供たちに混乱を招く。
時の総理が沖縄の基地問題などたちどころに解決してみせる、殿下の宝刀、腹案があると言って印籠をちらつかせ、結果幻のゆめであった。挙げ句の果てが、国民が聞く耳を持たなくなっただと・・・
もしかして母親がゆめ枕に出、ささやいたのではと笑ってしまう話だが、国権の長としてあるまじき行為であるが、現実の夢とうつつのゆめが区別されていないのではないだろうか。
教育の間違い、外国から日本人が曖昧だ、といわれる原点は感情の区別が出来ないところにあるのではないだろうか。
議員の皆さん、寝てみるゆめと、しっかり未来を見据えてみる夢、この字に区別を付けてほしい。
話はそれたが、よき決断を出すには人それぞれの考え方や見方で大きな違いが出る。
貴方の決断、熟慮を願うのみである。
ひかるは生まれた島へ舞い戻った。
島には時が見放したのか、時を見放したのか、のんびりした古老達がいる。
TV界で40年間番組を作り続けたひかるとの会話など、面白エッセイ、南島見聞録を発信します。
引き続き、お楽しみください・・

 1136 時代背景




昭和30年代、集団就職で沖縄から大勢の人が本土の工場へ寮生活でなだれ込んだ。
数年もすると飛び出すが、身よりもなく親の援助や庇護もない。
世の厳しさに負け、犯罪をおかす人も出る。
ニュースで名字から沖縄出身者であることは判明する。
沖縄出身者は犯罪者的な偏見が漂っていたのだ。
ひかるはパスポート時代に結婚。単なる反対ではなくこのような時代背景もあり、塩をまくだけではなく、警察を呼ぶ、と喚かれたことがあった。
何もなくても、その内事件を起こすだろう、と見られていたようだ。
先日沖縄の会合へ出ると演壇の挨拶者が昔の偏見話を持ち出し、沖縄出身者には大家が部屋を貸さない風潮で、心底悔しい思いをした・・・衣食住に事を欠いた、等々話をし、大泣きで挨拶を終えたが、年輩者が頷きもらい泣き、ひかるに同調を求めてきたが、過去よりもこれから前向きに生きようよ! といってやった。
当時アパートには沖縄出身者入居お断りの看板が結構あった事は事実である。
今時の若者、ひかるから見るとあまりにも恵まれすぎている。
チャンスは日夜降り注いでいるのに、このチャンスを捉えきれない、見過ごしているのではないだろうか。
チャンスの女神、何度かそっぽを向かれると、遠ざかっていく。
しからば確実にチャンスを捉える方法はないのか?、と考えると、思考配分をキッチリ出来れば、可能である、とひかるは言う。
ひかる論、3年先に30パーセント、5年先に20パーセント、現状に50パーセントの思考配分、エネルギー投資配分を常にするべきだ、と主張する。
確かに今日、明日の現状も疎かにすべきではないが、足下ばかりに気をとられていると、いきなり山が立ちはだかったり、谷や川がたちはだかる。
3年、5年先の目標を見、思考配分すると、草原の一本道を歩むが如く、山や川も確認でき、山登りの準備も出来、川は水量の一番少ない時期にタイミングをとり渡ることも出来るというもんだ。
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