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2017年12月30日

日本経済入門の講義3

B 社会保障制度は大別して3つの機能がある。
@ 社会的安全装置としての機能。病気や失業など様々なリスクに対し、喪失所得や追加的費用を保証することで、社会的なセーフティネットとして生活を安定させ、新たな挑戦を可能にさせる機能である。
A 所得再分配機能。市場メカニズムを通してもたらされる所得分配をする機能である。
B 経済の安定・成長及び社会の安定を資する機能。景気の後退期に失業給付を通じて消費を下支えするなど、景気の変動をなだらかにする。

C 日本の社会保障制度の特徴
 社会保険型から普遍主義型へ 全体的に見つめると、第一の特徴は、当初のドイツに代表される社会保険型から出発し、次第に普遍主義型の方向に移行していったことにある。社会保険型とは、職域を中心として、所得比例的な給付構造をとり、保険料を主財源とする社会保障システムということである。また、普遍主義型とは、全住民を対象に、均一に給付し、主に租税を財源とするところに特徴がある。
 日本の年金制度は、一階に基礎年金、二階に厚生年金という形で、普遍主義的モデル(均一給付の基礎年金)とドイツ型社会保険モデル(職域中心の報酬比例年金)とを折衷したものである。両者は財源的に融合しており、基礎年金部分は、財源が三分の一は税、三分の二は保険料となっている。こうした一体性こそが、日本の年金制度の最大の特徴である。

花村嘉英(2017)「日本経済入門の講義」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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