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2017年10月04日

『日本語教育を通してシナジー論を考える』 人文科学の人材育成について2

1 問題提起

 昨今、グローバルなネットワークとして世界中から日本語教育が注目されている。日本語教育関連の学会に参加すると、注目度が肌で伝わってくる。研究発表やパネルの討論会などは多岐にわたり、どの分野でも活気に溢れている。参加者を見ると、人文、社会のみならず理系を専門とする人たちもいて、国籍も多様である。
 現状ではどちらの学会でも参加者一人ひとりにスコアを付けている。そのため、発表の様子もさることながら、準備も結構大切になる。発表後の質疑応答も聞き手に伝わるように説明するとよい。そうすれば、おのずとスコアは付いてくる。ところがここで思うことがある。
 人物評価をする際に、社会系や理系は、縦の専門と横のシナジー・共生が調節できるようにL字に目安を置いている。専門性を謳う競争はどの分野にもある。社会系と理系の組み合わせは実務にもつながることから、それぞれが横も調節できるようにマクロの評価項目を設けている。(例えば、社会とシステム、法律と技術、経営と工学、法律と医学など。)評価項目の中にはエキストラの項目もある。それはそれでよい。ここでの問題は、人文の人たちにこうしたL字の評価がそもそもないことである。

花村嘉英著(2017)「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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