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2021年01月14日

人文科学から始める技術文の翻訳1

1 はじめに

 日本語教育の中でも技術文への関心が高まっている。この論文では、難しいテクニカルライティングではなく、人文の人が取り組むべき基礎的な内容を考察していく。
 産業翻訳の対象は、ほとんどが技術文である。電気製品のマニュアルであれば、工場からの出荷に間に合うようにマニュアル作成に納期が設定されていて、作業にスピードが求められる。そのため限られた時間で大量のデータを訳さなければならない。また、技術文は構文にも表現にも独特の言い回しがあるため、翻訳ソフトに保存されている作業メモリーを参照しながら翻訳データを作成していく。自分流の美しい翻訳は不要である。
 もともと技術系の翻訳者は分野の知識があるため、比較的スムーズに作業を進めることができる。通常技術者は、マシン語や技術英語を使用したテクニカルコミュニケーションでやり取りをする。一方、人文系の翻訳者は、文献に基づいたコミュニケーションを使用する。文系と理系でコミュニケーション論が異なるため、文から理へ調整する際に何らかの工夫が必要になる。この論文では、英日と独日の技術文を10年余り手掛けてきた実務経験を基にして、私なりの工夫を説明していく。 

【先行研究】
 現在、マクロの文学研究に取り組んでいる。例えば、森鴎外、魯迅、トーマス・マンのデータベースを作成しながら、言語分析と情報分析を並行して手がけている。これが先行研究の取り組みであり、詳細については日々の調節が必要である。翻訳については、作業単位が「言語と分野の専門知識」であるため、文芸、コンピュータ、特許、メディカルの分野で実績を作り、言語は英語、ドイツ語、中国語、日本語で調節している。

【本論の位置づけ】
 人文からミクロとマクロを調節するための一つの試みである。以下では、日英、独日、中日の順に技術文が出てくる。人文の研究者も言語や文学の研究のみならず、比較と共生からなるLの分析ができるようにシナジーの研究に取り組むとよい。技術日本語が入力でそこから英文を考え、それを他言語に展開し、さらにそこから和訳を試みる。日本語技術文の学習法とその応用例は以下の通りである。

【技術文の研究の流れ】
@技術日本語→A技術英語→B技術ドイツ語または技術中国語→D技術日本語

花村嘉英(2015)「人文科学から始める技術文の翻訳」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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