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2024年09月17日

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分7

6 まとめ 

 データベースの数字を用いてクラスタ解析から得られた特徴を場面ごとに平均、標準偏差、中央値、四分位範囲と考察し、それぞれ何が主成分なのか説明できている。そのため、この小論の分析方法は、既存の研究とも照合ができ、統計による文学分析がさらに研究を濃くしてくれている。

【参考文献】
片野善夫 ほすぴ162号 知っているようで知らない五感のしくみ−視覚 ヘルスケア出版 2018
加藤剛 多変量解析超入門 技術評論社 2013
日本成人病予防協会監修 健康管理士一般指導員受験対策講座 ヘルスケア出版 2014 
三浦綾子の「道ありき」 新潮文庫 2004
花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社 2015
花村嘉英 日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用 日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで 南京東南大学出版社 2017
花村嘉英 シナジーのメタファーの作り方−トーマス・マン、魯迅、森鴎外、ナディン・ゴーディマ、井上靖 中国日语教学研究会上海分会論文集 華東理工大学出版社 2018 
花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018
花村嘉英 川端康成の「雪国」から見えてくるシナジーのメタファーとは−「無と創造」から「目的達成型の認知発達」へ 中国日语教学研究会上海分会論文集 華東理工大学出版社 2019
花村嘉英 三浦綾子の「道ありき」の購読脳について ファンブログ 2019 

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分6

◆場面3
北大病院を退院して旭川に帰ったわたしは、精密検査の結果を、家人や三浦光世にあらためて報告した。血痰や喀血で、しばしば死の恐怖をわたしに与えた空洞が、いまや完全に治っていること、カリエスも、七年にわたってギプスベッドに忍耐したおかげで、堅実に治っていることをお互いに奇跡と喜び合った。
A2 B1 C2 D1

ただ、結核性腹膜炎から婦人科の方が少し冒されているため、引き続いて超短波の療法を、旭川の病院で受けることになった。毎日の通院が、わたしの体を次第に鍛えて行った。十貫足らずだった体重が、いつしか十四貫にまでなっていった。A1 B1 C2 D2

明けて昭和三十四年の正月である。三浦が一番先に年賀に来てくれた。わたしたちは新年初めての礼拝を、二人で待った。聖書を共に読み、賛美歌を歌い、共に祈った。わたしは彼に尋ねた。「来年のお正月も来て下さるでしょうね。」A1 B1 C2 D2

あべかわ餅を食べていた彼は、箸をとめ黙って首を横にふった。「まあ!来てくださらないの?」わたしは驚いて彼を見た。彼はおだやかに笑って言った。「来年の正月は、二人でこの家に年賀に来ましょう」「え?二人で?」彼の言葉にわたしはハッとした。何とも言えない喜びが胸にこみあげた。A1 B1 C2 D1

三浦光世が帰った後、わたしは母に彼の言葉を告げた。夕食の時、母が父に言った。「とうさん、今年はタンスを買わなくてはなりませんよ」「タンスを?どうしてだ」「だって、綾ちゃんがと嫁に行くんですって」「綾子がお嫁に?相手は誰だ、人間か」A1 B1 C2 D1

【カラム】
A平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0 
B平均1.0 標準偏差0 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均2.0 標準偏差0 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.3低い、標準偏差0.2普通、中央値1.25低い、四分位範囲1.5普通
CD 平均1.7高い、標準偏差0.2普通、中央値1.75高い、四分位範囲1.5高い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
BとCの標準偏差が0のため、直示と新情報を中心に描こうと思っている。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 6、視覚以外、直示、新情報、解決 → 精密検査の結果を報告する。
A 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 旭川の病院に通院する。 
B 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 正月三浦光世が見舞いに来る。
C 5、視覚、直示、新情報、解決 → 来年の正月の話もする。
D 5、視覚、直示、新情報、解決 → 綾子は嫁に行くことになる。
【場面の全体】
 視覚情報が8割ほどしかなく、脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりも低い。従って、ここでは視覚以外の情報が役に立っている。

花村嘉英(2020)「三浦綾子の『道ありき』の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分5

◆場面2
わたしは、曾つて自分が、自殺を計ったことを思い出した。一人の人間が健康を取り戻すのに、これほどの苦しみを経なければならない。何とももったいないことを考えたのかと、その頃になってやっと自分の愚かさが悔やまれたりするのだった。A2 B1 C2 D2

彼の二回目の手術が終わった翌朝だった。うつらうつらしているわたしの病室に、彼の母と、弟さんが入って来た。私の所から借りたゴザを返しに来たという。そのゴザは、彼の母が病室に敷いて使うのに、わたしがお貸ししたのだった。A1 B1 C2 D1

驚いたわたしが、「どうして、もういらないのですか」と聞くと、「正が先ほど亡くなりましたから、もういらなくなったのです」と、おっしゃって、弟さんと二人で、わたしのベッドにつかまって泣かれるのだった。
A1 B1 C2 D2

「そんなはずがありません」
そう叫ぼうとおもうのだが、なかなか声にならない。やっと声になったかと思った時、わたしは目をさました。いまのが夢だったとは思えないほど、あまりにありありとしていて、わたしは言いようのない不吉な予感がした。いやな夢を見たというより、いやな幻を見せられたという感じだった。A2  B1 C1 D2

だが、わたしの夢とは反対に、彼は再び日に日に元気になり、やがて三月の末に退院することになった。彼の父が迎えに来られ、わたしを見舞ってくださった時、わたしは目を真っ赤に泣きはらしていた。大きな手術も無事に終って、元気に反っていくのだから、わたしは誰よりも喜んでいいはずだった。それなのに、なぜかわたしは泣けて仕方がなかった。A1 B1 C2 D1

【カラム】
A平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
B平均1.2 標準偏差0.45 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0
D平均1.6 標準偏差0.55 中央値2.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.3低い、標準偏差0.2低い、中央値1.25低い、四分位範囲1.5普通
CD 平均1.6普通、標準偏差0.49普通、中央値1.5普通、四分位範囲1低い
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
前川正を哀れに思う夢であるが、情報は旧から新、問題は未解決から解決へ進んでいく。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 7、視覚以外、隠喩、旧情報、未解決 → 自殺をはかったことを愚かと悔やむ。
A 5、視覚、直示、新情報、解決 → 前川正の母が見舞いに来る。
B 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 前川が死んだと告げる。
C 6、視覚以外、直示、旧情報、未解決 → 夢なのに厭な予感がした。
D 5、視覚、直示、新情報、解決 → 前川正は退院することになった。
【場面の全体】
 視覚情報が6割で通常の五感の入力信号の割合よりも低いため、視覚以外の情報が問題解決に効いている。

花村嘉英(2020)「三浦綾子の『道ありき』の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分4

◆場面1 
言ってみれば、この世で望める限りの幸福を一心に集めていたわけだ。しかし彼は老人を見て、人間の衰えゆく姿を思い、葬式を見て、人の命の有限なることも思った。そしてある夜ひそかに、王宮も王子の地位も、美しい妻も子も棄てて、一人山の中に入ってしまった。A1 B1 C2 D1

つまり釈迦は、今まで自分が幸福だと思っていたものに、むなしさだけを感じ取ってしまったのであろう。伝導の書といい、釈迦といい、そのそもそもの初めには虚無があったということに、わたしは宗教というものに共通する一つの姿を見た。A1 B1 C2 D1

わたし自身、敗戦以来すっかり虚無的になっていたから、この発見はわたしに一つの転機をもたらした。
A1 B1 C2 D1

虚無は、この世のすべてのものを否定するむなしい考え方であり、ついには自分自身をも否定することになるわけだが、そこまで追いつめられた時に、何かが開けるということを、伝導の書にわたしは感じた。
A1 B2 C2 D1

この伝導の書の終わりにあった、「何時の若き日に、何時の造り主をおぼえよ」の一言は、それ故にひどくわたしの心を打った。それ以来私たちの求道生活は、次第にまじめになっていった。A1 B2 C2 D1

A平均1.0 標準偏差0 中央値1.0 四分位範囲1.0
B平均1.4 標準偏差0.55 中央値1.0 四分位範囲1.0
C平均2.0 標準偏差0 中央値2.0 四分位範囲2.0
D平均1.0 標準偏差0 中央値1.0 四分位範囲1.0
【クラスタABとクラスタCD】
AB 平均1.2普通、標準偏差0.2低い、中央値1.25普通、四分位範囲1低い
CD 平均1.5高い、標準偏差0低い、中央値]1.5普通、四分位範囲1.5普通
【クラスタからの特徴を手掛かりにし、どういう情報が主成分なのか全体的に掴む】
A、C、Dのバラツキが小さいことから、作者の考察は一定している。
【ライン】合計は、言語の認知と情報の認知の和を表す指標であり、文理の各系列をスライドする認知の柱が出す数字となる。
@ 5、視覚、直示、新情報、解決 → 釈迦が一人で山に入る。
A 5、視覚、直示、新情報、解決 → 宗教に見る共通性。
B 6、視覚、直示、新情報、未解決 → 発見による転機。
C 6、視覚以外、直示、旧情報、未解決 → 追いつめられると何かが開ける。
D 5、視覚、直示、新情報、解決 → 求道生活を修正。
【場面の全体】
 全体で視覚情報は10割であり、脳に届く通常の五感の入力信号の割合よりもかなり高いため、視覚の情報が問題解決に効いている。

花村嘉英(2020)「三浦綾子の『道ありき』の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分3

3 多変量の分析

 多変量を解析するには、クラスタと主成分が有効な分析になる。これらの分析がデータベースの統計処理に繋がるからである。
 多変数のデータでも、最初は1変数ごとの観察から始まる。また、クラスタ分析は、多変数のデータを丸ごと扱う最初の作業ともいえる。似た者同士を集めたクラスタを樹形図からイメージする。それぞれのクラスタの特徴を掴み、それを手掛かりに多変量データの全体像を考えていく。樹形図については、単純な二個二個のクラスタリングの方法を想定し、変数の数や組み合わせを考える。
 作成したデータベースから特性が2つあるカラムを抽出し、グループ分けをする。例えば、A五感(1視覚と2それ以外)、Bジェスチャー(1直示と2比喩)、C情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)、D情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)というように文系と理系のカラムをそれぞれ2つずつ抽出する。
 まず、ABCDそれぞれの変数の特徴について考える。次に、似た者同士のデータをひとかたまりにし、ここでは言語の認知ABと情報の認知CDにグループ分けをする。得られた変数の特徴からグループそれぞれの特徴を見つける。
 最後に、各場面のラインの合計を考える。それぞれの要素からどのようなことがいえるのか考える。「道ありき」のバラツキが縦のカラムの特徴を表しているのに対し、ここでのクラスタは、一場面のカラムとラインの特徴を表している。なお、外界情報の獲得に関する五感の割合は、視覚82%、聴覚11%、嗅覚4%、触覚2%、味覚1%とする。(片野 2018)

花村嘉英(2020)「三浦綾子の『道ありき』の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分2

2 三浦綾子の「道ありき」は気分障害

 「道ありき」の購読脳を「虚無と愛情」にする。回想録執筆時の記憶の中では、肺病のため虚しい思いがつきまとっている。気分障害の原因については、身体疾患との関連があるといわれている。日本成人病予防協会(2014)によると、うつの症状としては、心身のエネルギーが低下することによって日常生活に支障をきたした状態のことである。憂鬱感と不安感が混じった抑うつ感、考えがまとまらず決断に時間がかかり、注意散漫になる思考障害、物事に対する関心や興味が低下する意欲障害がうつ病の基本的な症状である。
 購読脳の組み合せ、「虚無と愛情」という出力が、共生の読みの入力となって横にスライドし、出力として「虚無とうつ」という執筆脳の組を考える。シナジーのメタファーは、「三浦綾子と虚無」として調節する。
人生の中では失うものもあれば得るものもある。三浦綾子も20代に入って敗戦の翌年に肺結核の症状が出た。しかし、医師は肺結核とは言わず、問診で肺浸潤とか肋膜と説明した。肺結核と診断すれば、現代でいうがんを宣告するようなものであった。何れにせよ何を目標に生きればよいのかわからず、綾子は、何もかもが虚しく思われる虚無の心境となった。

花村嘉英(2020)「三浦綾子の『道ありき』の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」の多変量解析−クラスタ分析と主成分1

1 先行研究との関係

 これまでに三浦綾子(1922−1999)の「道ありき」執筆時の脳の活動を思考とし、シナジーのメタファーを作成している。(花村2019) この小論では、さらに多変量解析に注目し、クラスタ分析と主成分について考察する。それぞれの場面で三浦綾子の執筆脳がデータベースから異なる視点で分析できれば、自ずと客観性は上がっていく。この小論でシナジーのメタファーといえば「三浦綾子と虚無」を指す。

花村嘉英(2020)「三浦綾子の『道ありき』の多変量解析−クラスタ分析と主成分」より

三浦綾子の「道ありき」で寄与危険を考える4

3 まとめ

 三浦綾子の「道ありき」の既婚正義の読みと既婚不正の読みで計画出産に関しクロス集計表を作成し、行要素と列要素の関連を計算した。寄与危険で事象の起こりやすさを計算し、統計データから得られた数字の意味を考えた。寄与危険の分析に関心がある人は、試してもらいたい。  

参考文献

花村嘉英 計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
花村嘉英 三浦綾子の「道ありき」で執筆脳を考える ブログ「シナジーのメタファー」2020
花村嘉英 三浦綾子の「道ありき」でファイ係数を考える ブログ「シナジーのメタファー」2020
日本疫学会 疫学用語の基礎知識 https://jeaweb.jp/glossary/index.html

三浦綾子の「道ありき」で寄与危険を考える3

 表2の数字を公式に当てはめて寄与危険を計算する。 

表3
虚無あり 結核あり4 結核なし3 縦計7
虚無なし 結核あり2 結核なし4 縦計6
結核あり 虚無あり4 虚無なし2 横計6
結核なし 虚無あり3 虚無なし4 横計7

寄与危険=a/a+b − c/c+d=4/7 – 2/6=0.24 

 この例からすると、虚無ありの結核なしになると、出産が24%減少することになる。

寄与危険割合=危険因子曝露(要因Aあり)群の罹患リスク−危険因子非曝露(要因Aなし)群の罹患リスク/危険因子曝露(要因Aあり)群の罹患リスク
  =((a/a+b)−(c/c+d))/ a/a+b x 100=(4/7 – 2/6)/(4/7)x 100=42.1

 この例では、虚無ありで結核ありのうち42.1がカリエスと考えられる。

花村嘉英(2021)「三浦綾子の『道ありき』で寄与危険を考える」より

三浦綾子の「道ありき」で寄与危険を考える2

2 三浦綾子の「道ありき」でクロス集計表を分析する

表2
N病院に入院して四カ月がたったが、依然としてわたしの熱はつづき、身体はやせていた。しかし、その熱の原因を知ることはできなかった。排尿の回数が多くなり、時には夜七、八回おきることがあった。医師に言うと、驚いたことに、尿のでない薬をくれるというのである。虚無あり結核1 虚無なし結核1

わたしは、医学にはしろうとである。しかし、尿の回数が多いと言えば、少なくとも検尿ぐらいはするだろうと思った。それがいきなり尿のでなくなる薬と聞いて、この病院にいてもラチがあかないと考えた。
虚無あり結核1 虚無なし結核2

熱がでると解熱剤、下痢をすると下痢止め、咳が出れば咳止め、というのは一番信頼できない医師のすることではないだろうか。何よりもその原因を調べた上で、適当な処置がなされなければならないはずだった。わたしが退院を考えたのは、このことだけではなかった。虚無あり結核1 虚無なし結核2

その頃、私の背中がちょっとでも動かすと辺に痛むのだ。院内の外科医に見てもらうと、「神経だ。若い娘のことは、よく背中が痛むことがある。いちいち気にとめる必要はない」と言った。しかし、動かすと痛いのだから、もしかしたらカリエスではないかと尋ねてみた。虚無あり結核1 虚無なし結核1

医師は怒った。「レントゲン写真にも変化がない。神経だ」再び叱られて、いたし方なくわたしは病室に帰ってきた。わたしは、療養生活七年目であった。もう、客観的に自分の病状をとらえることができるはずである。誰でも最初のうちは、病気のことがよくわからないから、いらぬ神経を使うが、少なくとも六年の経験というものは、それほど神経質にはさせないはずである。医師が何を言おうと、わたしは病状からしてカリエスだろうと見当をつけた。虚無あり結核1 虚無なし結核1

 指数のため、既婚(正義)は、計画出産あり3なし2、既婚(不正)は、計画出産あり1なし4になる。

花村嘉英(2021)「三浦綾子の『道ありき』で寄与危険を考える」より
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プロフィール
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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