慣れない道を酔っ払いが行く





私が初めて市内を訪れたのは小学生の頃





西暦で表すと1997年だったか





当時はやっていた「もののけ姫」の映画を観るためだった





昔は今と違って映画館が市内にしか無かったのだ





が、これほどまでに舗装され近代化した場所ではなかったと記憶している





あの時は、全ての物が不思議に思えて、見るもの全てに興味を惹かれていた





暑いが、果てしなく続くと思われるような、熱い、熱い夏だった





それから年齢を重ねるごとに、物事の仕組みやルールを知り、“不思議だなぁ”と思う機会がなくなり、気持ちが薄れていく





そうやって時代は流れ10年後の2007年





次々と冷たいビルが立ち並ぶ街並み





そして時代が変わり次第に朽ち果ててゆく街並みを背に私は人の気持ち、思い、願いだけは





容易く風化することはないのだな、と思った





彼女は未だ何かを待ち続けているのだろうか





我々の前に現れたのは何か理由があったのだろうか





もしいつかまたあの場所へと訪れる機会があるのならば





また違った見方ができるだろう





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