2016年06月01日
野良犬 感想
野良犬
(制作1949:制作 新東宝・映画芸術協会 配給 東宝) 日本公開:1949年10月17日
ストーリー
本庁の新人刑事村上(三船敏郎)は、射撃訓練の帰りのバスで自分の拳銃を掏られて
しう。スリのお銀を見つけて執拗に追い回すと、根負けしたお銀は場末の酒場でうろ
ついているとピストル貸しを誘ってくるものが寄ってくるとだけ教えてくれた。
復員兵に変装して盛り場や闇市をうろつく村上についに誘いをかける男が現れた。取引
の現場で女を捕らえたが、じつは佐藤の拳銃を返しに来ていた男もそこにいたのであっ
た。それに気づかずに女だけ逮捕した村上は、数日後に自分の拳銃を使って強盗傷害事
件が発生したことを知る。村上は管轄の淀橋署の佐藤刑事(志村喬)と組んで捜査に当
たる。
黒澤明が監督した現在の日本の刑事もの映画・TVの原点。原点というだけあって、そ
の後の工夫・進化によりさまざまに発展したストーリーや演出の作品を見ている人が見
ると拍子抜けするかもしれません。でも猪突猛進の新人刑事とそれを諭すベテラン刑事
との掛け合いが心を癒してくれました。
これまで、黒澤映画は「七人の侍」「椿三十郎」などメジャーなものしか見ていなかっ
たので、若くて真摯な刑事を演じる三船敏郎は新鮮でした。戦後間もない盛り場や闇市
は、実際の上野の闇市を隠し撮りしているシーンもあり、かなりの臨場感があります。
タイトルの「野良犬」は主人公が一匹狼のはぐれ刑事だからそんなタイトルなのかと思
っていましたが全然違ってました。
このころは帽子を被っている人が多いです。被る習慣がなくなったのはいつ頃からだっ
たんでしょうか。
ピストル貸しの主犯を捕らえるシーンで巨人対南海の試合が行われています。出演者の
撮影と試合はもちろん別撮りだったとはおもいますが、試合のシーンは一試合取りっぱ
なしだったのでしょうか。巨人の監督としてV9を果たした川上哲治が現役で出ていま
す。(4番ファースト、背番号16)自分は野球に詳しくないので、わかったのはこの
人だけでした。
拳銃を紛失したのに上司が処分の発表を待つ間の村上に一人で拳銃を探させるのはどう
かと思いました。(方向性を教えたり頼る相手にフォローを入れたりしてはくれていま
すが。)実際に事件が起こってから捜査本部を作っていましたが、遅いのではと思いま
した。処分も減俸三カ月とは甘いのでは。
自分の拳銃で犯人に撃たれた佐藤刑事に、村上は輸血をして峠を越えても病院に居続け
るという肉体的にも精神的にも限界状態でした。犯人の居所がわかって駆けつける際、
自分は犯人の顔を知らない、新たに配布された拳銃も佐藤に預けていて丸腰等、重なる
ミスとそれを補う推理等クライマックスの話の運び方は面白かったです。
緊迫した場面での音楽の使い方が、後の実相寺昭雄監督の音楽の使い方を想起させました。
一番感じたのは夏の暑さの表現です。滴る汗、常に体のどこかを誰かが拭いている。服
に染み込む汗。男も女もこれでもかと暑さが伝わってくる演出がされています。特に、
それを感じたのは、劇場の十数人の女性ダンサーがショーの後に楽屋に戻ってきてへた
り込んでいる際の汗、宿屋の女将が腕の汗をぬぐっているシーンでした。
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(制作1949:制作 新東宝・映画芸術協会 配給 東宝) 日本公開:1949年10月17日
ストーリー
本庁の新人刑事村上(三船敏郎)は、射撃訓練の帰りのバスで自分の拳銃を掏られて
しう。スリのお銀を見つけて執拗に追い回すと、根負けしたお銀は場末の酒場でうろ
ついているとピストル貸しを誘ってくるものが寄ってくるとだけ教えてくれた。
復員兵に変装して盛り場や闇市をうろつく村上についに誘いをかける男が現れた。取引
の現場で女を捕らえたが、じつは佐藤の拳銃を返しに来ていた男もそこにいたのであっ
た。それに気づかずに女だけ逮捕した村上は、数日後に自分の拳銃を使って強盗傷害事
件が発生したことを知る。村上は管轄の淀橋署の佐藤刑事(志村喬)と組んで捜査に当
たる。
黒澤明が監督した現在の日本の刑事もの映画・TVの原点。原点というだけあって、そ
の後の工夫・進化によりさまざまに発展したストーリーや演出の作品を見ている人が見
ると拍子抜けするかもしれません。でも猪突猛進の新人刑事とそれを諭すベテラン刑事
との掛け合いが心を癒してくれました。
これまで、黒澤映画は「七人の侍」「椿三十郎」などメジャーなものしか見ていなかっ
たので、若くて真摯な刑事を演じる三船敏郎は新鮮でした。戦後間もない盛り場や闇市
は、実際の上野の闇市を隠し撮りしているシーンもあり、かなりの臨場感があります。
タイトルの「野良犬」は主人公が一匹狼のはぐれ刑事だからそんなタイトルなのかと思
っていましたが全然違ってました。
このころは帽子を被っている人が多いです。被る習慣がなくなったのはいつ頃からだっ
たんでしょうか。
ピストル貸しの主犯を捕らえるシーンで巨人対南海の試合が行われています。出演者の
撮影と試合はもちろん別撮りだったとはおもいますが、試合のシーンは一試合取りっぱ
なしだったのでしょうか。巨人の監督としてV9を果たした川上哲治が現役で出ていま
す。(4番ファースト、背番号16)自分は野球に詳しくないので、わかったのはこの
人だけでした。
拳銃を紛失したのに上司が処分の発表を待つ間の村上に一人で拳銃を探させるのはどう
かと思いました。(方向性を教えたり頼る相手にフォローを入れたりしてはくれていま
すが。)実際に事件が起こってから捜査本部を作っていましたが、遅いのではと思いま
した。処分も減俸三カ月とは甘いのでは。
自分の拳銃で犯人に撃たれた佐藤刑事に、村上は輸血をして峠を越えても病院に居続け
るという肉体的にも精神的にも限界状態でした。犯人の居所がわかって駆けつける際、
自分は犯人の顔を知らない、新たに配布された拳銃も佐藤に預けていて丸腰等、重なる
ミスとそれを補う推理等クライマックスの話の運び方は面白かったです。
緊迫した場面での音楽の使い方が、後の実相寺昭雄監督の音楽の使い方を想起させました。
一番感じたのは夏の暑さの表現です。滴る汗、常に体のどこかを誰かが拭いている。服
に染み込む汗。男も女もこれでもかと暑さが伝わってくる演出がされています。特に、
それを感じたのは、劇場の十数人の女性ダンサーがショーの後に楽屋に戻ってきてへた
り込んでいる際の汗、宿屋の女将が腕の汗をぬぐっているシーンでした。
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