2018年12月02日
妊娠初期の流産!確率は?可能性は下げられる?
妊娠初期の妊婦さんにとって一番怖くて心配なのは、「流産」ですよね。流産は、その多くが妊娠4ヶ月(妊娠15週)までに起こるといわれています。実際には、流産は妊娠全体の約15%の確率で起こり、このうち、妊娠12週までの流産は、流産全体の8割以上にのぼります(※1)。妊娠初期の流産の確率や予防法など、注意したいことをご紹介します。
妊娠初期の流産とは?
流産とは、妊娠の早い時期に赤ちゃんが亡くなってしまうことを指し、妊娠22週より前に妊娠が終わることをすべて「流産」と指します。また、妊娠12週までの流産を「初期流産」または「早期流産」と呼びます。
妊娠初期の流産、可能性はどれくらい?
妊娠初期の流産は、可能性としては全妊娠の8〜15%で生じるといわれています。また、妊娠週数別では流産全体のうち妊娠5〜7週では22〜44%、8〜12週で34〜48%、13〜16週では6〜9%とされています(※2)。
妊娠初期の流産のなかには、胎児がとても小さいため、妊娠したことに気づかないまま出血とともに流産し、ちょっとした生理の遅れと認識されるケースもあるようです。
妊娠初期の流産、起こりやすい年齢はある?
妊娠初期の流産確率は、年齢によっても異なります。一般的に全妊娠の約15%の確率で流産が起きますが、妊婦さんの年齢別にみると、35歳以上になるとその確率が上がります。
具体的には、35〜39歳では20%、40歳以上では40%以上と、同じ妊娠初期でも年齢が進むにつれて、流産の可能性が高くなります(※3)。
加齢とともに流産の確率が高まる理由としては、流産の原因の約60%を占める「胎児の染色体異常」の可能性が加齢とともに高まるからです。35歳以上での妊娠では、産婦人科医との連携も含めて慎重に経過を見ていく必要があります。
妊娠初期の流産はなぜ起きる?
流産の原因は様々で、妊娠の時期によっても異なります。
妊娠初期の流産の原因
妊娠初期の場合、胎児の染色体異常や、臓器が育つことができなかったなど、胎児側の何らかの異常がほとんどの原因です(※4)。例えば次のような原因が考えられます。
● 胎児側の異常:染色体異常・遺伝子病など
● 母体側の異常:子宮の異常、黄体機能不全、感染症、内分泌疾患、母児間免疫異常など
後期流産の原因
妊娠12〜21週に起こる「後期流産」は、子宮奇形や子宮頸管無力症など母体側の要因によって起こります。
流産を経験すると、自分のせいだと落ち込んでしまったり、もう妊娠できないのではないかと不安になったりする女性も多いもの。ただ、妊娠初期の流産は特に、胎児側の原因が大きいとされているので、あまり自分を責めすぎないようにしてください。
妊娠初期の流産の症状は?出血はあるの?
妊娠初期の流産の多くは、少量の不正出血やお腹の張り、腹痛などの症状が出て、病院を受診してみたら胎児の心拍が確認できなかったというケースです。妊娠初期の胎児は非常に小さいため、出血があったとしても流産だと気づかないこともあります。
特に妊娠1ヶ月は、妊娠の自覚もほとんどない時期で、基礎体温をつけていなければ、妊娠に気づかない女性もいます。この時点で、特に痛みもなく流産してしまうと、いつの間にか流産していたということも。
流産の症状には個人差がありますが、不正出血、腹痛やおなかの張りなどが続くようなら、早めの産婦人科受診を心がけてください。
妊娠初期の流産に種類はある?手術や治療法は?
妊娠初期に関わらず、流産は次のような種類に分けられ、それぞれの手術や治療法があります(※1,4)。
切迫流産
切迫流産とは、流産の可能性が高まっている状態のことで、まだ流産が起きているわけではありません。妊娠16週以降は子宮収縮抑制薬が治療に使われることがありますが、妊娠初期の対処法としては安静にして経過を観察することが多くなります。
稽留流産
受精卵や胎児がすでに死亡しているにも関わらず、子宮内に留まっている状態をいいます。感染症を起こさないよう、入院して子宮内除去手術を受けるか、経過を見ながら自然に排出されるのを待ちます。
不全流産
不全流産とは、流産が進んで子宮内のものが体外に排出されたとき、その一部が残ってしまうことをいいます。子宮内除去手術で残ったものを取り除きます。
完全流産
完全流産とは、子宮内のものがすべて流れ出てしまうことをいいます。陣痛のような下腹部痛があります。
進行流産
子宮口が開き、流産が始まってしまうことをいいます。最終的には不全流産か完全流産のどちらかになり、治療法としては子宮内除去手術か経過観察のどちらかになります。
化学流産
化学流産とは受精はして妊娠検査薬で陽性が出たものの、着床が長く続かなかった状態をいいます。女性が気づかないうちに流産していることも多く、治療等は不要になります。
妊娠初期の流産を予防するには?
残念ながら、妊娠初期に絶対に流産を予防できるという方法はありません。それは、妊娠初期の流産の原因の多くが、胎児側の成長異常にあるためです。ただ、流産のリスクを減らすために妊婦さんにもできることはあるので、以下のようなことに妊娠初期から気をつけておきましょう。
● 飲酒やたばこを控える
● 体を冷やさない
● 葉酸を妊娠初期(できれば妊娠前)から積極的に摂取する
● 薬を使用する前に、必ず医師に相談する
● ストレスを溜め込まず、不調があればすぐに病院に向かう
妊娠初期は流産の可能性を心配しすぎないで
妊娠初期の流産は、確率的に10〜15%と高い数字が出ており、珍しいものではありません。流産すると、悲しい気持ちになり、落ち込んだりするのは当たり前ですが、決して自分を責め過ぎないというのも大切なことです。
流産を経験しても、その後赤ちゃんを授かる女性はたくさんいます。また、妊娠中に流産を気にしすぎるのもストレスが溜まってしまうので、できるだけ心穏やかな日々を過ごせるといいですね。
※1 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」
※2 日本産科婦人科学会「日産婦誌59巻11号 流産・切迫流産」
※3 日本産科婦人科学「日産婦誌52巻9号 3. クリニカルカンファランス―境界領域へのチャレンジ― 4)高齢不妊婦人の問題点 B流産」
※4 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第3版』pp.86-87
妊娠初期の流産とは?
流産とは、妊娠の早い時期に赤ちゃんが亡くなってしまうことを指し、妊娠22週より前に妊娠が終わることをすべて「流産」と指します。また、妊娠12週までの流産を「初期流産」または「早期流産」と呼びます。
妊娠初期の流産、可能性はどれくらい?
妊娠初期の流産は、可能性としては全妊娠の8〜15%で生じるといわれています。また、妊娠週数別では流産全体のうち妊娠5〜7週では22〜44%、8〜12週で34〜48%、13〜16週では6〜9%とされています(※2)。
妊娠初期の流産のなかには、胎児がとても小さいため、妊娠したことに気づかないまま出血とともに流産し、ちょっとした生理の遅れと認識されるケースもあるようです。
妊娠初期の流産、起こりやすい年齢はある?
妊娠初期の流産確率は、年齢によっても異なります。一般的に全妊娠の約15%の確率で流産が起きますが、妊婦さんの年齢別にみると、35歳以上になるとその確率が上がります。
具体的には、35〜39歳では20%、40歳以上では40%以上と、同じ妊娠初期でも年齢が進むにつれて、流産の可能性が高くなります(※3)。
加齢とともに流産の確率が高まる理由としては、流産の原因の約60%を占める「胎児の染色体異常」の可能性が加齢とともに高まるからです。35歳以上での妊娠では、産婦人科医との連携も含めて慎重に経過を見ていく必要があります。
妊娠初期の流産はなぜ起きる?
流産の原因は様々で、妊娠の時期によっても異なります。
妊娠初期の流産の原因
妊娠初期の場合、胎児の染色体異常や、臓器が育つことができなかったなど、胎児側の何らかの異常がほとんどの原因です(※4)。例えば次のような原因が考えられます。
● 胎児側の異常:染色体異常・遺伝子病など
● 母体側の異常:子宮の異常、黄体機能不全、感染症、内分泌疾患、母児間免疫異常など
後期流産の原因
妊娠12〜21週に起こる「後期流産」は、子宮奇形や子宮頸管無力症など母体側の要因によって起こります。
流産を経験すると、自分のせいだと落ち込んでしまったり、もう妊娠できないのではないかと不安になったりする女性も多いもの。ただ、妊娠初期の流産は特に、胎児側の原因が大きいとされているので、あまり自分を責めすぎないようにしてください。
妊娠初期の流産の症状は?出血はあるの?
妊娠初期の流産の多くは、少量の不正出血やお腹の張り、腹痛などの症状が出て、病院を受診してみたら胎児の心拍が確認できなかったというケースです。妊娠初期の胎児は非常に小さいため、出血があったとしても流産だと気づかないこともあります。
特に妊娠1ヶ月は、妊娠の自覚もほとんどない時期で、基礎体温をつけていなければ、妊娠に気づかない女性もいます。この時点で、特に痛みもなく流産してしまうと、いつの間にか流産していたということも。
流産の症状には個人差がありますが、不正出血、腹痛やおなかの張りなどが続くようなら、早めの産婦人科受診を心がけてください。
妊娠初期の流産に種類はある?手術や治療法は?
妊娠初期に関わらず、流産は次のような種類に分けられ、それぞれの手術や治療法があります(※1,4)。
切迫流産
切迫流産とは、流産の可能性が高まっている状態のことで、まだ流産が起きているわけではありません。妊娠16週以降は子宮収縮抑制薬が治療に使われることがありますが、妊娠初期の対処法としては安静にして経過を観察することが多くなります。
稽留流産
受精卵や胎児がすでに死亡しているにも関わらず、子宮内に留まっている状態をいいます。感染症を起こさないよう、入院して子宮内除去手術を受けるか、経過を見ながら自然に排出されるのを待ちます。
不全流産
不全流産とは、流産が進んで子宮内のものが体外に排出されたとき、その一部が残ってしまうことをいいます。子宮内除去手術で残ったものを取り除きます。
完全流産
完全流産とは、子宮内のものがすべて流れ出てしまうことをいいます。陣痛のような下腹部痛があります。
進行流産
子宮口が開き、流産が始まってしまうことをいいます。最終的には不全流産か完全流産のどちらかになり、治療法としては子宮内除去手術か経過観察のどちらかになります。
化学流産
化学流産とは受精はして妊娠検査薬で陽性が出たものの、着床が長く続かなかった状態をいいます。女性が気づかないうちに流産していることも多く、治療等は不要になります。
妊娠初期の流産を予防するには?
残念ながら、妊娠初期に絶対に流産を予防できるという方法はありません。それは、妊娠初期の流産の原因の多くが、胎児側の成長異常にあるためです。ただ、流産のリスクを減らすために妊婦さんにもできることはあるので、以下のようなことに妊娠初期から気をつけておきましょう。
● 飲酒やたばこを控える
● 体を冷やさない
● 葉酸を妊娠初期(できれば妊娠前)から積極的に摂取する
● 薬を使用する前に、必ず医師に相談する
● ストレスを溜め込まず、不調があればすぐに病院に向かう
妊娠初期は流産の可能性を心配しすぎないで
妊娠初期の流産は、確率的に10〜15%と高い数字が出ており、珍しいものではありません。流産すると、悲しい気持ちになり、落ち込んだりするのは当たり前ですが、決して自分を責め過ぎないというのも大切なことです。
流産を経験しても、その後赤ちゃんを授かる女性はたくさんいます。また、妊娠中に流産を気にしすぎるのもストレスが溜まってしまうので、できるだけ心穏やかな日々を過ごせるといいですね。
※1 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」
※2 日本産科婦人科学会「日産婦誌59巻11号 流産・切迫流産」
※3 日本産科婦人科学「日産婦誌52巻9号 3. クリニカルカンファランス―境界領域へのチャレンジ― 4)高齢不妊婦人の問題点 B流産」
※4 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第3版』pp.86-87
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