2014年07月23日
夏休み、海外より国内ツアー好調 USJへ
夏休み、海外より国内ツアー好調 USJへ首都圏発は昨年の5倍以上
夏休みシーズンに入り、
旅行業界が活気づいている。
好調なのは国内旅行で、
注目の新名所が相次ぐ大阪のほか、
各地で話題のイベントが相次いでいるためで、
昨年人気を集めた観光スポットも勢いが衰えない。
心配された消費税増税の影響も「あまり感じられない」(阪急交通社)といい、
夏の行楽地は例年以上ににぎわいそうだ。
夏休みを待ちかねた家族連れなどで連日にぎわうのは、
テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、
大阪市此花区)が今月開業した映画「ハリー・ポッター」の新エリアだ。
JTBは入場券やホテル宿泊をセットにした旅行商品を販売。
8月分の首都圏発の予約人数は前年のUSJツアーと比べると5倍以上で、
7〜9月分の関西発も5倍に上った。
3月に全面開業した「あべのハルカス」(同市阿倍野区)も大阪で話題のスポット。
近畿日本ツーリストでは、
首都圏発の大阪方面の夏のツアー商品の予約人数が2割弱増え、
「USJとハルカスがある今年の大阪は熱い」と期待する。
大阪以外では、
6月に世界文化遺産登録が決まった富岡製糸場(群馬県富岡市)が全国的に脚光を浴びている。
昨年は東京ディズニーリゾート(TDR、
千葉県浦安市)の開業30周年や伊勢神宮(三重県伊勢市)の式年遷宮などが話題になったが、
今年も「昨年並みの集客が見込める」(業界関係者)という。
一方、
海外ツアーの販売はやや不調。
円安の影響で割高感が強いことに加え、
日本と関係が悪化している韓国や、
政情不安のタイなどが敬遠されている。
「格安航空会社(LCC)の台頭で個人旅行も増えている」
(別の関係者)ことも影響しているようだ。
関西復権の“魔法”USJ「ハリポタ」新エリアは世界一…凄さの“秘密”とは
さて、
今回の本コラムは巷(ちまた)をにぎわしている、
あのエンターテインメントの王道のお話です。
ハリウッド映画のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」(大阪市此花区)で15日、
全世界で累計4億部以上の売り上げを誇る児童文学の傑作で、
映画シリーズも大ヒットした「ハリー・ポッター」の世界を再現した新エリア「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」が開業しました。
初日にはトラブルもあったものの、
首都圏からの徹夜組も含め、
開業前に約3000人が行列を作るなど、予想以上の凄まじい人気ぶりを見せつけました。
そして開業前日の14日、
メディア向けの内覧会があり、
記者も参加したわけですが、
実はわたくし、
USJがまだ寒風吹きすさぶ、
だだっぴろい更地だった1999年からUSJを担当(当時は経済部所属)し、
2001年3月31日の開業を見届けた後もUSJを定点観測しつつ、
異動先の京都総局では東映太秦映画村でおなじみ、
日本映画のルーツで知られる太秦をウオッチ。そして京都総局で丸3年勤務した後、
ロサンゼルス支局長として今度はUSJの本場、
ハリウッドで丸2年、
大手映画会社やレコード会社といったエンタメ産業を中心に取材しておりました。
というわけで、
今回の本コラムは、
ハリウッドから太秦まで取材し尽くしたUSJの“自称名誉担当”の視点で、
ハリポタの新エリアやUSJについて語ってみたいと思います。
既に現地を楽しまれた方も少なくないとは思いますが、
まずはハリポタの新エリアのお話から。
園内に入り、
北に向かって進むと、
スヌーピーやハローキティといった子供の好きなキャラクターを集めた家族向けエリア「ユニバーサル・ワンダーランド」と、
ジョーズのアトラクションがある「アミティ・ビレッジ」の間に、
巨大な岩が立ち並ぶ大きな広場が見えてきます。
ここがハリポタの新エリアへの入り口です。
ここで“USJトリヴィア”ですが、
実は、
USJの建設工事で一番早く完成した建物も、
アミティ・ビレッジ近くの小さな小屋だったのです。
好天でしたが、
北風が強い冬の日でした。
コートを着込み、
ヘルメットをかぶり、
広大な更地にぽつんと立つ小屋を眺めながら
「大阪にユニバーサル・スタジオなんかホンマにできるんかいな…」
と失礼なことを考えたことを思い出しました。
そんな新エリアへの入り口ですが、
ハリポタ・ファンならご存じだと思います。映画の3作目
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(2004年)で、
ハーマイオニーがマルフォイにパンチを喰らわせた場所がここですね。
映画通り、
忠実に再現されています。
ここから、
両脇に背の高い木々がうっそうと茂る小道を歩いて行きます。
けっこう歩くのですが、
その時間が気分を盛り上げます。
そうこうするうちに、
あの映画の2作目「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(02年)で暴れ柳に激突してぶっ壊れるなど、
ハリポタ・シリーズでは有名な空飛ぶ自動車、英フォード・アングリアが。
やっぱりぶっ壊れたままで、
フロントガラスには大きなヒビが入っています。
この時点で気持ちはすっかりハリポタ・ワールドに突入です。
そして遂に新エリアに到着!。
ロンドンのキングス・クロス駅からハリーら「ホグワーツ魔法魔術学校」の生徒たちを乗せ“魔法使いの住む村”であるホグズミート村の玄関口「ホグズミート駅」まで運行するあの「ホグワーツ特急」が煙を上げています。
もちろん制服姿の車掌さんもいて、
記念写真もOK。
凄い。
しかしこんなことで驚いている場合ではありません。
見渡すと、
屋根に雪を頂いた石造りの小さな洋風の家々が立ち並ぶ「ホグズミード村」が眼前に広がります。まさしく映画で見たままです。
そしてこの家々がハリポタ・グッズの販売店なのです。
いたずら道具やジョーク・グッズのほか、
ホグワーツ魔法魔術学校の制服や魔法用具、
文具、
マフラー、
ネクタイ、
さらに映画に登場したカエルのチョコレートや、
鼻クソ味や耳あか味などがある百味ビーンズなども売られています。
カラフルでおしゃれな店内もハリポタの世界観をうまく表現しています。
そして、
一番強力なのが「オリバンダーの店」でしょう。
映画さながら“魔法の杖が魔法使いを選ぶ”というコンセプト通り、
店員さんが自分にあった杖を選んでくれ、その杖で実際に“魔法”まで体験できるのです。
これはヤバイ!!。
ハリポタ・ファンならずとも、
既にこうしたお店だけで1時間くらいは十分楽しめそうです。
見た目おっさん、
マインドおばちゃんの記者は、
こうしたグッズの誘惑にもだえ苦しみながら外に出て、
さらに歩くと遂にそびえ立つ「ホグワーツ城」に到着しますが、
もはや口あんぐりの世界です。
率直な感想を言えば、
お世辞でもおべんちゃらでもなく、
世界最高水準の出来映えです。
前述した通り、
記者は京都・太秦からハリウッドまで幅広く取材しました。
ロサンゼルス勤務時代はユニバーサル・スタジオ(フロリダ州含む)やディズニー・ランドといった巨大テーマパークはもちろん、
20世紀フォックス、
ワーナー、
ソニー、
パラマウントといった大手映画会社のスタジオ、
さらにはスター・ウォーズでおなじみの「スカイウォーカー・ランチ」にも潜入取材いたしました。
新作映画の試写が、
一般の映画館だけでなく、
けっこう各社のスタジオ内で行われるので、
撮影で使われたセットの中を通ったりするのもしょっちゅう。
業務用エレベーターに有名なハリウッド女優が飛び乗ってきたこともありました。
また、
ハリウッドのユニバーサル・スタジオには大きなコンサート会場があるので、
しょっちゅう入り浸ってました(フォリナーやスティックスやホワイトスネイク、
パット・メセニーの公演を観ましたよ)。
そうした経験から言わせてもらえば、
ハリウッドの映画のセットは、
遠目からみると良くできているのですが、
近くで目を凝らすとけっこう雑に作られていることが多いのです。
いわゆる米国的な大味感満載。
違う言い方をすれば、
カメラに収まれば綺麗に見えるよう、
巧みなトリック(この発想が進化してコンピューターを駆使したCGや特殊撮影を生んだ)を使っているとも言えるでしょう。
そんなわけで本場のユニバーサル・スタジオやディズニー・ランドはけっこう米国チックな大味感に加え、
経年変化もあって、
繊細だとか、
美しいとかいう印象を受けませんでした。
しかし、
太秦映画村のセットは違います。
細部まで実に丁寧に作り込まれているのです。
邦画のファンならご存じでしょうが、
黒澤明監督のように、
カメラに写らないセットの出来にまで完璧さを求める映像文化が残っています。
外国人が驚愕(きょうがく)する盆栽やミニチュア文化に根ざしたものとも言えるでしょう。
つまり、
このハリポタの新エリアは、
ハリウッドの持つダイナミズムや最先端のハイテク技術と、
京都・太秦の黒澤的ポリシーと繊細で丁寧な“ミニチュア文化を融合させたものなのです。
実際「ホグワーツ城」では、
巨大なゲートや入り口の作り込み感は半端ではありません。
そのリアルさは外国人こそ驚嘆するでしょう。
そして驚嘆といえば、
この「ホグワーツ城」に入り、
場内の校長室や教室、
映画とそっくりなしゃべる肖像画の部屋などを抜け、
目玉のアトラクション(遊戯施設)「ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー」です。
最新の「4K」映像の技術を駆使した「ライド型」(乗り物が動く)アトラクションですが、USJ内での例えで言えば「スパイダーマン」の迫力や物語性と「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のスピード感や疾走感を融合した唯一無二の内容といえるでしょう。
魔法の箒(ほうき)にまたがって飛び回るハリーやロンたちと一緒にホグワーツ城の上空に舞い上がり、
映画の1作目「ハリー・ポッターと賢者の石」(01年)に登場する架空の球技「クィディッチ」の競技会場の上空などを猛スピードで飛行する“冒険の旅”ですが、
もはや3D眼鏡をかけなくてもこれほどスリリングでリアルな映像体験ができるとは驚きです。
おまけに座っている椅子が約90度、
ぐるんと上に回転し、
体が水平もしくは頭ちょっと下向きになる局面もあり、
筆舌に尽くしがたい体験ができます。
あまりの素晴らしさに3回も乗ってしまいました…。
「世界最高のアトラクション」といううたい文句に偽りはありません。
あと、
忘れてはいけないのがレストラン「三本の箒」で楽しめる魔法界の名物「バタービール」。
あの味に似ている、
この味に似ていると一瞬、
様々な味覚が頭をよぎりますが、
結局、
どれにも似ていない摩訶(まか)不思議な味。
おもわず2杯飲み、
ジョッキまでもらって帰りましたアホですんません。
USJは年間売上高の約5割にあたる約450億円を投じてこの新エリアを建設しましたが、
その大胆な経営判断は圧倒的に正しいと思います。
ワンピースやスヌーピー、
キティちゃんといった日本向けのコンテンツの充実に加え、
とどめの一撃がこのハリポタ。
海外からの観光客も十分狙えるでしょう。
そしてこの新アトラクションの開業日、
京都では祇園祭が宵々山を迎え、
多くの外国人観光客が街にやってきました。
記者もこの日の夜、
帰宅途中、
外国人観光客のカップルに道を聞かれました。
東京一極集中が進み、
元気のない関西ですが、
関西には世界に誇る京都とUSJがあります。
関西復権の鍵は、
この2つの“最強コンテンツ”を最大限に活かすことに尽きるのではないでしょうか。
eca
夏休みシーズンに入り、
旅行業界が活気づいている。
好調なのは国内旅行で、
注目の新名所が相次ぐ大阪のほか、
各地で話題のイベントが相次いでいるためで、
昨年人気を集めた観光スポットも勢いが衰えない。
心配された消費税増税の影響も「あまり感じられない」(阪急交通社)といい、
夏の行楽地は例年以上ににぎわいそうだ。
夏休みを待ちかねた家族連れなどで連日にぎわうのは、
テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、
大阪市此花区)が今月開業した映画「ハリー・ポッター」の新エリアだ。
JTBは入場券やホテル宿泊をセットにした旅行商品を販売。
8月分の首都圏発の予約人数は前年のUSJツアーと比べると5倍以上で、
7〜9月分の関西発も5倍に上った。
3月に全面開業した「あべのハルカス」(同市阿倍野区)も大阪で話題のスポット。
近畿日本ツーリストでは、
首都圏発の大阪方面の夏のツアー商品の予約人数が2割弱増え、
「USJとハルカスがある今年の大阪は熱い」と期待する。
大阪以外では、
6月に世界文化遺産登録が決まった富岡製糸場(群馬県富岡市)が全国的に脚光を浴びている。
昨年は東京ディズニーリゾート(TDR、
千葉県浦安市)の開業30周年や伊勢神宮(三重県伊勢市)の式年遷宮などが話題になったが、
今年も「昨年並みの集客が見込める」(業界関係者)という。
一方、
海外ツアーの販売はやや不調。
円安の影響で割高感が強いことに加え、
日本と関係が悪化している韓国や、
政情不安のタイなどが敬遠されている。
「格安航空会社(LCC)の台頭で個人旅行も増えている」
(別の関係者)ことも影響しているようだ。
関西復権の“魔法”USJ「ハリポタ」新エリアは世界一…凄さの“秘密”とは
さて、
今回の本コラムは巷(ちまた)をにぎわしている、
あのエンターテインメントの王道のお話です。
ハリウッド映画のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」(大阪市此花区)で15日、
全世界で累計4億部以上の売り上げを誇る児童文学の傑作で、
映画シリーズも大ヒットした「ハリー・ポッター」の世界を再現した新エリア「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」が開業しました。
初日にはトラブルもあったものの、
首都圏からの徹夜組も含め、
開業前に約3000人が行列を作るなど、予想以上の凄まじい人気ぶりを見せつけました。
そして開業前日の14日、
メディア向けの内覧会があり、
記者も参加したわけですが、
実はわたくし、
USJがまだ寒風吹きすさぶ、
だだっぴろい更地だった1999年からUSJを担当(当時は経済部所属)し、
2001年3月31日の開業を見届けた後もUSJを定点観測しつつ、
異動先の京都総局では東映太秦映画村でおなじみ、
日本映画のルーツで知られる太秦をウオッチ。そして京都総局で丸3年勤務した後、
ロサンゼルス支局長として今度はUSJの本場、
ハリウッドで丸2年、
大手映画会社やレコード会社といったエンタメ産業を中心に取材しておりました。
というわけで、
今回の本コラムは、
ハリウッドから太秦まで取材し尽くしたUSJの“自称名誉担当”の視点で、
ハリポタの新エリアやUSJについて語ってみたいと思います。
既に現地を楽しまれた方も少なくないとは思いますが、
まずはハリポタの新エリアのお話から。
園内に入り、
北に向かって進むと、
スヌーピーやハローキティといった子供の好きなキャラクターを集めた家族向けエリア「ユニバーサル・ワンダーランド」と、
ジョーズのアトラクションがある「アミティ・ビレッジ」の間に、
巨大な岩が立ち並ぶ大きな広場が見えてきます。
ここがハリポタの新エリアへの入り口です。
ここで“USJトリヴィア”ですが、
実は、
USJの建設工事で一番早く完成した建物も、
アミティ・ビレッジ近くの小さな小屋だったのです。
好天でしたが、
北風が強い冬の日でした。
コートを着込み、
ヘルメットをかぶり、
広大な更地にぽつんと立つ小屋を眺めながら
「大阪にユニバーサル・スタジオなんかホンマにできるんかいな…」
と失礼なことを考えたことを思い出しました。
そんな新エリアへの入り口ですが、
ハリポタ・ファンならご存じだと思います。映画の3作目
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(2004年)で、
ハーマイオニーがマルフォイにパンチを喰らわせた場所がここですね。
映画通り、
忠実に再現されています。
ここから、
両脇に背の高い木々がうっそうと茂る小道を歩いて行きます。
けっこう歩くのですが、
その時間が気分を盛り上げます。
そうこうするうちに、
あの映画の2作目「ハリー・ポッターと秘密の部屋」(02年)で暴れ柳に激突してぶっ壊れるなど、
ハリポタ・シリーズでは有名な空飛ぶ自動車、英フォード・アングリアが。
やっぱりぶっ壊れたままで、
フロントガラスには大きなヒビが入っています。
この時点で気持ちはすっかりハリポタ・ワールドに突入です。
そして遂に新エリアに到着!。
ロンドンのキングス・クロス駅からハリーら「ホグワーツ魔法魔術学校」の生徒たちを乗せ“魔法使いの住む村”であるホグズミート村の玄関口「ホグズミート駅」まで運行するあの「ホグワーツ特急」が煙を上げています。
もちろん制服姿の車掌さんもいて、
記念写真もOK。
凄い。
しかしこんなことで驚いている場合ではありません。
見渡すと、
屋根に雪を頂いた石造りの小さな洋風の家々が立ち並ぶ「ホグズミード村」が眼前に広がります。まさしく映画で見たままです。
そしてこの家々がハリポタ・グッズの販売店なのです。
いたずら道具やジョーク・グッズのほか、
ホグワーツ魔法魔術学校の制服や魔法用具、
文具、
マフラー、
ネクタイ、
さらに映画に登場したカエルのチョコレートや、
鼻クソ味や耳あか味などがある百味ビーンズなども売られています。
カラフルでおしゃれな店内もハリポタの世界観をうまく表現しています。
そして、
一番強力なのが「オリバンダーの店」でしょう。
映画さながら“魔法の杖が魔法使いを選ぶ”というコンセプト通り、
店員さんが自分にあった杖を選んでくれ、その杖で実際に“魔法”まで体験できるのです。
これはヤバイ!!。
ハリポタ・ファンならずとも、
既にこうしたお店だけで1時間くらいは十分楽しめそうです。
見た目おっさん、
マインドおばちゃんの記者は、
こうしたグッズの誘惑にもだえ苦しみながら外に出て、
さらに歩くと遂にそびえ立つ「ホグワーツ城」に到着しますが、
もはや口あんぐりの世界です。
率直な感想を言えば、
お世辞でもおべんちゃらでもなく、
世界最高水準の出来映えです。
前述した通り、
記者は京都・太秦からハリウッドまで幅広く取材しました。
ロサンゼルス勤務時代はユニバーサル・スタジオ(フロリダ州含む)やディズニー・ランドといった巨大テーマパークはもちろん、
20世紀フォックス、
ワーナー、
ソニー、
パラマウントといった大手映画会社のスタジオ、
さらにはスター・ウォーズでおなじみの「スカイウォーカー・ランチ」にも潜入取材いたしました。
新作映画の試写が、
一般の映画館だけでなく、
けっこう各社のスタジオ内で行われるので、
撮影で使われたセットの中を通ったりするのもしょっちゅう。
業務用エレベーターに有名なハリウッド女優が飛び乗ってきたこともありました。
また、
ハリウッドのユニバーサル・スタジオには大きなコンサート会場があるので、
しょっちゅう入り浸ってました(フォリナーやスティックスやホワイトスネイク、
パット・メセニーの公演を観ましたよ)。
そうした経験から言わせてもらえば、
ハリウッドの映画のセットは、
遠目からみると良くできているのですが、
近くで目を凝らすとけっこう雑に作られていることが多いのです。
いわゆる米国的な大味感満載。
違う言い方をすれば、
カメラに収まれば綺麗に見えるよう、
巧みなトリック(この発想が進化してコンピューターを駆使したCGや特殊撮影を生んだ)を使っているとも言えるでしょう。
そんなわけで本場のユニバーサル・スタジオやディズニー・ランドはけっこう米国チックな大味感に加え、
経年変化もあって、
繊細だとか、
美しいとかいう印象を受けませんでした。
しかし、
太秦映画村のセットは違います。
細部まで実に丁寧に作り込まれているのです。
邦画のファンならご存じでしょうが、
黒澤明監督のように、
カメラに写らないセットの出来にまで完璧さを求める映像文化が残っています。
外国人が驚愕(きょうがく)する盆栽やミニチュア文化に根ざしたものとも言えるでしょう。
つまり、
このハリポタの新エリアは、
ハリウッドの持つダイナミズムや最先端のハイテク技術と、
京都・太秦の黒澤的ポリシーと繊細で丁寧な“ミニチュア文化を融合させたものなのです。
実際「ホグワーツ城」では、
巨大なゲートや入り口の作り込み感は半端ではありません。
そのリアルさは外国人こそ驚嘆するでしょう。
そして驚嘆といえば、
この「ホグワーツ城」に入り、
場内の校長室や教室、
映画とそっくりなしゃべる肖像画の部屋などを抜け、
目玉のアトラクション(遊戯施設)「ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー」です。
最新の「4K」映像の技術を駆使した「ライド型」(乗り物が動く)アトラクションですが、USJ内での例えで言えば「スパイダーマン」の迫力や物語性と「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のスピード感や疾走感を融合した唯一無二の内容といえるでしょう。
魔法の箒(ほうき)にまたがって飛び回るハリーやロンたちと一緒にホグワーツ城の上空に舞い上がり、
映画の1作目「ハリー・ポッターと賢者の石」(01年)に登場する架空の球技「クィディッチ」の競技会場の上空などを猛スピードで飛行する“冒険の旅”ですが、
もはや3D眼鏡をかけなくてもこれほどスリリングでリアルな映像体験ができるとは驚きです。
おまけに座っている椅子が約90度、
ぐるんと上に回転し、
体が水平もしくは頭ちょっと下向きになる局面もあり、
筆舌に尽くしがたい体験ができます。
あまりの素晴らしさに3回も乗ってしまいました…。
「世界最高のアトラクション」といううたい文句に偽りはありません。
あと、
忘れてはいけないのがレストラン「三本の箒」で楽しめる魔法界の名物「バタービール」。
あの味に似ている、
この味に似ていると一瞬、
様々な味覚が頭をよぎりますが、
結局、
どれにも似ていない摩訶(まか)不思議な味。
おもわず2杯飲み、
ジョッキまでもらって帰りましたアホですんません。
USJは年間売上高の約5割にあたる約450億円を投じてこの新エリアを建設しましたが、
その大胆な経営判断は圧倒的に正しいと思います。
ワンピースやスヌーピー、
キティちゃんといった日本向けのコンテンツの充実に加え、
とどめの一撃がこのハリポタ。
海外からの観光客も十分狙えるでしょう。
そしてこの新アトラクションの開業日、
京都では祇園祭が宵々山を迎え、
多くの外国人観光客が街にやってきました。
記者もこの日の夜、
帰宅途中、
外国人観光客のカップルに道を聞かれました。
東京一極集中が進み、
元気のない関西ですが、
関西には世界に誇る京都とUSJがあります。
関西復権の鍵は、
この2つの“最強コンテンツ”を最大限に活かすことに尽きるのではないでしょうか。
eca
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