2014年07月01日
<集団的自衛権> 命令なら戦場に行く
<集団的自衛権>
「命令なら戦場に行く」…
自衛隊員の思いは
集団的自衛権の行使が1日、
閣議決定によって容認され、
国は自衛隊による海外での武力行使に一歩を踏み出した。
説明を尽くさないまま反対論を押し切る
安倍晋三首相の強硬姿勢に、
戦争参加への懸念も広がる。
憲法9条の下、
専守防衛を貫いてきた自衛隊。
現役隊員や家族らは、
集団的自衛権を命にかかわる問題として受け止めはじめている。
「喜んで、
とはいわないけれど、
命令なら行きます」。
陸上自衛隊に今年入隊し、
東日本の駐屯地に勤務する20代の隊員は
「もし戦場に行くことになったら」
との記者の問いにそう答えた。
他の隊員と集団で生活し、
武器や装備の扱い方の訓練を受けている。
長距離を走る訓練では、
途中で動けなくなった隊員を抱えてゴールを目指す。
疲れ切って戻る宿舎で、
新聞を読む時間はない。
「集団的自衛権って何なのか、
よくわからない」
しかし隊員の母親(50代)は、
「自衛隊を辞めさせたい」と言う。
息子の入隊に賛成したのは、
「災害救助で社会貢献したい」と動機を話したからだ。
息子の制服姿を見た入隊式でも戦場に立つことは想像しなかったが、
にわかに現実味を帯びてきたように思える。
「人を殺すことに息子を加担させたくない。
戦争に行かせるために、
自衛隊へ入れたわけじゃない」。
声をふるわせながら、
「なぜこれを止められないの」と訴えた。
他国の軍を助けるために出動命令を受けたとき、
どうするか。
東北地方の50代の陸自隊員は、
そのことを自問して複雑な思いを吐露した。
「正直に言えば恐怖を感じる。
しかし命令は重い。
国際社会に通用するようにもならなければ。
その時には躊躇せず行くしかない」
自衛隊の今後も気がかりだ。
「これまで隊員の命は憲法9条に守られていた。
だからこそ国際協力という名の
海外派遣に参加を希望する隊員もいた。
これからは、
海外派遣どころか入隊を希望する若者が減るだろう」
40代の海上自衛隊員は
「上から行けと言われれば行くのが仕事。
現場の雰囲気がいきなり変わることはないと思う」と、
冷静に受け止めている。
それでも、
こんな不安を口にした。
「集団的自衛権だけならいいが、
これを機に、
なし崩しで憲法を改正し、
自衛隊を軍隊にするのであれば話は違う。
最高司令官である安倍首相は、
イラク戦争で米国を助けた英国のように
他国のために戦争をする国を選ぶのか、
それとも自立した道を選ぶのか」
元陸自隊員で、
現在も九州の会社に勤務しながら予備自衛官になっている男性は
「私たちの任務も広がる可能性がある」と語る。
集団的自衛権に関するニュースを見た妻が、
「海外に行って、
撃たれたりするようなことはないの」と不安を募らせ、
「予備自衛官を辞めてほしい」と訴える。
男性は「命令が出たら妻を振り切って海外でも行くつもりだ」と言う。
そのうえで、
こう指摘した。
「自衛隊は今後、
組織として隊員の家族をケアする制度を設ける必要がある」
ある陸自の幹部は
「任務が増えれば危険も増えることは間違いない。
しかし、
われわれを使うのは国。
命令を受けたことは拒否できない。
それが国益につながることなら、
納得できる」と、
淡々と話した。
特集ワイド:集団的自衛権、
どこか人ごと!?
なぜ議論が盛り上がらないのか
集団的自衛権の行使容認が閣議決定されそうな勢いだ。
解釈変更による「改憲」が国民投票も経ないまま、
時の内閣の判断で決まっていいのか。
安全保障政策の大転換なのに議論は今一つ盛り上がらない。
大事なことがすうっと決まってしまいそうなこの感じ、
何なのだろう。
◇「政治の話はタブー。大人だってそうでしょ」と大学生
◇白井聡さん「戦後のツケ」 赤坂真理さん
「政治の消費者はダメ」
前半16分、
日本代表の先制ゴールが決まると、
客席は総立ち。
サッカー・ワールドカップ(W杯)の日本初戦、
対コートジボワール戦が行われた15日、
東京ドームのパブリックビューイングに
約3万5000人が詰めかけた。
人の集まる場所で
「解釈改憲」について聞きたくて
「大事な日にそんな取材をするな」という反発を覚悟して出かけた。
だが、
みな驚くほど親切に答えてくれる。
サムライブルーのユニホームを着た男性(23)は
「集団的自衛権?
もちろん関心があります。
行使容認に賛成。
平和憲法だ戦争放棄だと言っても
中国が攻めてきたらどうするんですか」。
孫と観戦中の男性(69)も「行使容認、
大賛成」。
閣議決定による解釈「改憲」という手続きに反対の人はいるが、
行使容認には賛成が多い。
別の日、
今度は慶応大湘南藤沢キャンパスへ。
3人の総合政策学部生に話を聞いた。
行使容認にも解釈改憲にも賛成。
「護憲派の上の世代の理想主義って既得権を守ろうとする人と
同じにおいがする」という。
3年生(20)は「このままじゃ自衛隊の人に申し訳ない。
法整備のないまま手足を縛られて」と嘆く。
少子化の日本ではいずれ徴兵制が必要になるかも、
と話を向けると
「こういう大学に通う僕が戦場に駆り出される可能性はないと思う。
この国で徴兵制は無理。
若者は竹やりより弱い。
専門性の高い軍隊に国を守ってほしいから、
戦闘員が足りないなら移民を。
そのために相当のカネを投入し、
法整備も必要」。
それって雇い兵ってこと?
何だろう、
この「誰かに守ってもらいたい」的な当事者ではない感じ……。
思わず「身内の戦争体験を聞いたことは?」と尋ねると、
「全然ないですね」。
別れ際、
彼らは言った。
「正直、
僕らの世代で行使容認に反対の人、
ほとんどいないと思いますよ。
W杯の時期で愛国心、
すごいですから」。
本当にそうなんだろうか。
2日後、
同じ学部の別の3年生(21)から話を聞いた。
「僕は行使容認にも解釈改憲にも反対。
『敗戦後、
日本は戦争で一人も殺さず殺されもしなかった』
という事実を壊してしまったら、
先の戦争で死んだ人々の思いを踏みにじる」。
周囲の友人もみな反対という。
同じ学部内でも互いに異なる意見をぶつけ合う機会はないのか。
「だって政治の話はタブー。
『この教授のゼミを選んだからにはこういう考えの持ち主か』と推察し、
少しずつ距離を詰めるのがせいぜいです。
政治の話ができるのは親友だけ。
でも大人だってそうでしょ。
僕が政治に関心を持てたのは政治的な意見を述べる予備校教師に出会えたから。
そんな先生は大学にもめったにいない」
反対だが行動には踏み切れない。
「脱原発の集会やデモに行ったが違和感の方が強かった。
結局、
投票くらいしかないのかな。
大きな流れに逆らえない」。
昨年の特定秘密保護法成立直後は友人と
「ひどい」と話したが、
その後は話題に上らない。
「解釈改憲もきっとそう」
深いあきらめが漂う。
日々のニュースがすごいスピードで流れていく。
最近インタビューした作家、半藤一利さん(84)の言葉が思い浮かんだ。
「戦争への道を後戻りできなくなったノー・リターン・ポイントはいつなのか、
その時代に生きていた人は、
意外とそれに気づけない。
今がその時ではありませんか」
なぜ、
こんなにも議論が盛り上がらないのか。
文化学園大助教(社会思想・政治学)で
「永続敗戦論」の著者、
白井聡さん(36)は「枝葉末節の細かい議論に持ち込み、
国民をけむに巻く。
事例を次々に増やし、
議論をテクニカルにする。
安倍晋三政権のぼやかし戦術です」と批判する。確かに、
政府が現行法制では十分に対応できないとする
「15事例」や集団的自衛権に関わる
「8事例」を列挙できる人はまずいない。
最近は自公がどこに妥協点を見いだすか、
政局の話になっている。
白井さんはもう1点
、「戦後のツケ」を挙げる。
「日本は『敗戦』を『終戦』と言い換えることで敗戦を否認し、
戦前の支配層が戦後の統治者として居残った。
東西冷戦中、
米国の保護下で経済発展を謳歌(おうか)できたことで、
国民は思考停止し、
いくつものタブーを棚上げしてきた。
『平和憲法と非核三原則を掲げた唯一の被爆国』
という建前を守る一方、
米軍による核兵器持ち込みは見逃した。
自衛隊創設からイラクへの派兵まで、
憲法解釈の変更によるつじつま合わせの繰り返しを受け入れた。
だから今、
解釈『改憲』は立憲主義に反する、という批判はどこかむなしく響く。
こんな光景は実は見慣れたもの。
解釈変更によるつじつま合わせは、
戦後の保守政治の王道だったからです」
新著「愛と暴力の戦後とその後」を出した作家、
赤坂真理さん(50)は「議論が盛り上がらないのは、
憲法が私たち国民の血肉ではないから。
もし血肉となっていれば、
内閣の話し合いだけで憲法解釈を変えるのはおかしい、
という反対の声が改憲・護憲の立場を超えて出てくるはず」と指摘する。
「日本人にとって『憲法』は上から来たものです。
国民が勝ち取ったことは一度もない。
だから
『憲法は国家権力を制限するもの』
という西欧風の立憲主義に現実感がないのです。
それでも戦後、
平和憲法が尊重されてきたのは、
戦争の怖さを肌身で知る世代がいたからでしょう」
しかし、
今、
くしの歯が欠けるように戦中派が減っていく。
赤坂さんは
「今回の解釈『改憲』は賛成、
反対で語れることではなく、
もっと憲法の根幹に関わる問題。憲法って何か。
国家って何か。
素朴で率直な
『子供の問い』を恐れず発しないと、
私たちはいつまでたっても政治の
『消費者』のままです」と訴え、
こう呼びかける。
「確かに私たちは国政にものを言う癖がついていない。
でも今から始めることはできます。
民主主義の本質は多数決ではなく、
『民が主』という考え方です。
今回の議論、
『わからない』ことがたくさんあるのに、
それすらちゅうちょして言えない。
『わかんない祭り』始めませんか。
『わかんない』と正直に言いましょう。
今言わないと。
騒がないと。
自分の言葉で。
政治の『消費者』になっては絶対にダメです」
消費者ではなく、
主権者に−
−私たちはなれるだろうか。
集団的自衛権:懸念される自衛隊の
「ブラックボックス化」
集団的自衛権の行使を容認する閣議決定の議論が大詰めを迎え、
足並みをそろえるように特定秘密保護法の施行の準備が進む。
憲法9条を空文化する閣議決定と秘密保護法施行が一緒になると、
何が起こりうるのか。
迫りつつある「自衛隊のブラックボックス化」の危険を探った。
◇イラク派遣差し止め訴訟 政府は
「墨塗り」
資料提出
自衛隊のイラク派遣から10年。
「人道支援」という政府の説明とは
大きく異なる派遣実態が明らかになってきた。
「ある書類」をご覧いただきたい。
1枚は墨塗り、
1枚は墨塗りが取り払われている。
そこで明らかになっているのは
「自衛隊が憲法違反をしていた事実」である。
最初から説明しよう。
2003年3月、
大量破壊兵器の査察受け入れを拒否していたイラクに対し、
米国は英国などと開戦に踏み切った。
ロシアや中国の反対を押し切る形だったが、
小泉純一郎政権(当時)は米国を支持し、
同年7月にイラク復興特別措置法(イラク特措法)を成立させた。
「非戦闘地域」で「人道支援」を行うため、
5年間で陸海空の隊員延べ1万人がイラクに派遣された。
<10・23(月)
米陸軍51 米海軍4 米空軍1 米軍属5 人数61>。
書類に書かれた数字は、
06年10月23〜29日に、
クウェートのアリアルサレム空軍基地からイラクの首都バグダッドに
航空自衛隊が空輸した米兵の数を示す
「週間空輸実績」だ。
当時
「自衛隊のイラク派遣は憲法違反」として
派遣差し止めを求める訴訟が各地で起こされていた。
05年以降、防衛省は、
訴訟団に対し5回にわたって「墨塗り」の文書を出し続けた。
だが、
民主党への政権交代後の09年9月に全面開示された。
それによると、
06年7月から08年12月までに空輸した2万6384人のうち、
米軍が1万7650人と3分の2も占めていた。
実は、
公開に先立つ08年4月、
名古屋高裁が空自の空輸活動について
「他国による武力行使と一体化した行動であって、
自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と認定し、
憲法9条とイラク特措法に違反しているとの判断を下した。
原告団事務局長の川口創弁護士は
「政府はイラクでの人道支援を宣伝するばかりで、
自衛隊の活動実態を明らかにしてこなかった。
裁判で一番苦労したのは活動実態を明らかにすることだった」
と振り返る。
おおまかな米兵の輸送人数のほか、
人道支援スタッフだけを選別して
空輸していないことなど傍証を積み重ね、
空輸は「武力行使と一体」と証明した。
「『空輸実績』を見ると、
人道支援物資をイラクに運んだのは最初の1回だけでした。
激しい戦闘が行われていたバグダッドの最前線に
武装した米兵を多数送り込む輸送であることは一目瞭然だった。
最初に公開されていたら違憲判決は容易に勝ち取れた」
と川口弁護士はあきれる。
「非戦闘地域での支援は武力行使との一体化に当たらない」
としてきた政府はどう対応したのか。
判決は派遣差し止めまでは認めなかったため、
福田康夫首相(当時)は「傍論だ。
わきの論」と述べ、
派遣を続行。
空自トップだった田母神俊雄・航空幕僚長(当時)は
「私が(隊員の)心境を代弁すれば
『そんなの関係ねえ』という状況だ」と発言した。
首相、空自トップがそろって
「憲法違反」の司法判断を無視した。
判決は確定している。
実際にイラクに派遣されていた自衛隊員たちは無論、
実態を知っていた。
なぜ内部告発できなかったのか。
「非戦闘地域に派遣するという政府の説明がうそなのは
輸送機の装備からも明らかだった」と
証言するのは06年4月にクウェートに
通信士として派遣された元自衛官、
池田頼将さん(42)だ。
池田さんはクウェートで米軍関係車両にはねられ、
現在後遺症などで国を相手取って裁判を続けている。
イラクに派遣された空自のC130H輸送機は
ミサイル攻撃のおとりにする火炎弾(フレア)を特別に装備。
目立たないよう空と同じ水色に塗装された。
激しい戦闘が行われていたバグダッドの空港に着陸する際は
狙われないよう大きな円を描いて降下し、
火炎弾を放ちながら着陸することもあったという。
池田さんは
「派遣先での秘密は墓場まで持っていくように、
と上官から言い含められていた」と明かす。
危険な任務による精神的な重圧は帰国後も
隊員に影響を与えている。
池田さんは精神のバランスを崩し、
今も通院中。
今年3月までに派遣隊員26人が自殺している。
国民平均(おおむね4000人に1人)の10倍以上だ。
自衛隊内のいじめやパワハラに関する
著書を多数発表しているジャーナリスト、
三宅勝久さんは「20年前、
モザンビークのPKO(国連平和維持活動)に派遣された指揮官は
『私たちは憲法の下で仕事をしている』と胸を張っていた。
その後、
無理な解釈で海外派遣が繰り返されると、
憲法や法律を軽んじる幹部の発言が増加。
同時に隊内でいじめやパワハラが横行し、
その多くが隠蔽(いんぺい)されるようになりました」と語る。
海上自衛隊の護衛艦
「たちかぜ」の乗組員だった男性(当時21歳)の
「いじめ自殺」を巡る訴訟では、
海自はいじめの有無を全乗員に尋ねたアンケートを
「破棄した」と主張した。
だが現役3佐が
「存在する」と内部告発し、
ようやくアンケートを開示した。
その一方で、告
発した3佐の懲戒処分が取りざたされた。
このような3佐への対応は自衛隊の
隠蔽体質を示すものだろう。
特定秘密保護法施行後、
その傾向がさらに強まるのではないかと懸念されている。
◇「違憲裁判できなくなる」
12月までに特定秘密保護法を施行するため、
国会では関連法整備が急ピッチで進む。
秘密法運用をチェックする
監視機関を国会に設ける国会法改正案は今月12日、
衆院議院運営委員会で自民、
公明両党などの賛成多数で可決された。
質疑はわずか7時間だった。
12日に質問に立った後藤祐一議員(民主)は
違法な秘密指定があった場合、
それを通報した人が秘密を漏らした罪に問われる同法の矛盾を突いた。
だが、
法案提出者のひとり、
大口善徳議員(公明)は
「行政内部で現場の声をチェックしていく仕組みが大事」
と一般論を返しただけだ。
後藤議員は
「国の安全保障には秘密保護は必要だが、
国民の知る権利とのバランスをとる仕組みをどう定めるかが重要だ。
内部通報制度は、
秘密指定が適正かどうかをチェックする手段になる。
秘密保護法に通報者保護の規定を加えるか、
公益通報者保護法の改正を検討すべきだ」と提案する。
冒頭に紹介した空自の空輸実績のようなデータは、
秘密保護法施行後は「墨塗り」されてしまうのか。
公的機関の情報公開を進めるNPO法人、
情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は
「『特定秘密』に指定される情報の多くが現行法下の
『防衛秘密』と予想されており、
非公開範囲が直ちに広がるわけではない」としたうえで、
「今後、
集団的自衛権の行使が容認されれば、
そのための自衛隊の活動に絡む同種文書は
特定秘密に指定される可能性が高い。
最高で懲役10年の罰則がある特定秘密保護法が施行されれば、
内部告発は今まで以上に難しくなるだろう」と解説する。
公明党は、
集団的自衛権行使容認の閣議決定をめぐり
「与党協議で武力行使に一定の歯止めをかけた」とする。
だが、
もし勝手に歯止めを外すような活動があっても
「特定秘密」として開示されなければ誰も検証できない。
川口弁護士は
「新しい閣議決定は歴代政権の憲法解釈を逸脱しており、
違憲、
無効だと訴えていく。
閣議決定に基づく法律や自衛隊の派遣にも違憲、
無効の疑いが生じる。
しかし、
証拠の収集が罪に問われ、
内部通報も期待できない状況では、
違憲裁判自体が成立しなくなる恐れがある」と訴える。
違憲の疑いのある閣議決定を経て戦地に派遣され、
その活動を国民の目から隠される自衛隊員たちはどうすればいいのか。
これは立憲国家の根幹に関わる問題だ。
ecar
「命令なら戦場に行く」…
自衛隊員の思いは
集団的自衛権の行使が1日、
閣議決定によって容認され、
国は自衛隊による海外での武力行使に一歩を踏み出した。
説明を尽くさないまま反対論を押し切る
安倍晋三首相の強硬姿勢に、
戦争参加への懸念も広がる。
憲法9条の下、
専守防衛を貫いてきた自衛隊。
現役隊員や家族らは、
集団的自衛権を命にかかわる問題として受け止めはじめている。
「喜んで、
とはいわないけれど、
命令なら行きます」。
陸上自衛隊に今年入隊し、
東日本の駐屯地に勤務する20代の隊員は
「もし戦場に行くことになったら」
との記者の問いにそう答えた。
他の隊員と集団で生活し、
武器や装備の扱い方の訓練を受けている。
長距離を走る訓練では、
途中で動けなくなった隊員を抱えてゴールを目指す。
疲れ切って戻る宿舎で、
新聞を読む時間はない。
「集団的自衛権って何なのか、
よくわからない」
しかし隊員の母親(50代)は、
「自衛隊を辞めさせたい」と言う。
息子の入隊に賛成したのは、
「災害救助で社会貢献したい」と動機を話したからだ。
息子の制服姿を見た入隊式でも戦場に立つことは想像しなかったが、
にわかに現実味を帯びてきたように思える。
「人を殺すことに息子を加担させたくない。
戦争に行かせるために、
自衛隊へ入れたわけじゃない」。
声をふるわせながら、
「なぜこれを止められないの」と訴えた。
他国の軍を助けるために出動命令を受けたとき、
どうするか。
東北地方の50代の陸自隊員は、
そのことを自問して複雑な思いを吐露した。
「正直に言えば恐怖を感じる。
しかし命令は重い。
国際社会に通用するようにもならなければ。
その時には躊躇せず行くしかない」
自衛隊の今後も気がかりだ。
「これまで隊員の命は憲法9条に守られていた。
だからこそ国際協力という名の
海外派遣に参加を希望する隊員もいた。
これからは、
海外派遣どころか入隊を希望する若者が減るだろう」
40代の海上自衛隊員は
「上から行けと言われれば行くのが仕事。
現場の雰囲気がいきなり変わることはないと思う」と、
冷静に受け止めている。
それでも、
こんな不安を口にした。
「集団的自衛権だけならいいが、
これを機に、
なし崩しで憲法を改正し、
自衛隊を軍隊にするのであれば話は違う。
最高司令官である安倍首相は、
イラク戦争で米国を助けた英国のように
他国のために戦争をする国を選ぶのか、
それとも自立した道を選ぶのか」
元陸自隊員で、
現在も九州の会社に勤務しながら予備自衛官になっている男性は
「私たちの任務も広がる可能性がある」と語る。
集団的自衛権に関するニュースを見た妻が、
「海外に行って、
撃たれたりするようなことはないの」と不安を募らせ、
「予備自衛官を辞めてほしい」と訴える。
男性は「命令が出たら妻を振り切って海外でも行くつもりだ」と言う。
そのうえで、
こう指摘した。
「自衛隊は今後、
組織として隊員の家族をケアする制度を設ける必要がある」
ある陸自の幹部は
「任務が増えれば危険も増えることは間違いない。
しかし、
われわれを使うのは国。
命令を受けたことは拒否できない。
それが国益につながることなら、
納得できる」と、
淡々と話した。
特集ワイド:集団的自衛権、
どこか人ごと!?
なぜ議論が盛り上がらないのか
集団的自衛権の行使容認が閣議決定されそうな勢いだ。
解釈変更による「改憲」が国民投票も経ないまま、
時の内閣の判断で決まっていいのか。
安全保障政策の大転換なのに議論は今一つ盛り上がらない。
大事なことがすうっと決まってしまいそうなこの感じ、
何なのだろう。
◇「政治の話はタブー。大人だってそうでしょ」と大学生
◇白井聡さん「戦後のツケ」 赤坂真理さん
「政治の消費者はダメ」
前半16分、
日本代表の先制ゴールが決まると、
客席は総立ち。
サッカー・ワールドカップ(W杯)の日本初戦、
対コートジボワール戦が行われた15日、
東京ドームのパブリックビューイングに
約3万5000人が詰めかけた。
人の集まる場所で
「解釈改憲」について聞きたくて
「大事な日にそんな取材をするな」という反発を覚悟して出かけた。
だが、
みな驚くほど親切に答えてくれる。
サムライブルーのユニホームを着た男性(23)は
「集団的自衛権?
もちろん関心があります。
行使容認に賛成。
平和憲法だ戦争放棄だと言っても
中国が攻めてきたらどうするんですか」。
孫と観戦中の男性(69)も「行使容認、
大賛成」。
閣議決定による解釈「改憲」という手続きに反対の人はいるが、
行使容認には賛成が多い。
別の日、
今度は慶応大湘南藤沢キャンパスへ。
3人の総合政策学部生に話を聞いた。
行使容認にも解釈改憲にも賛成。
「護憲派の上の世代の理想主義って既得権を守ろうとする人と
同じにおいがする」という。
3年生(20)は「このままじゃ自衛隊の人に申し訳ない。
法整備のないまま手足を縛られて」と嘆く。
少子化の日本ではいずれ徴兵制が必要になるかも、
と話を向けると
「こういう大学に通う僕が戦場に駆り出される可能性はないと思う。
この国で徴兵制は無理。
若者は竹やりより弱い。
専門性の高い軍隊に国を守ってほしいから、
戦闘員が足りないなら移民を。
そのために相当のカネを投入し、
法整備も必要」。
それって雇い兵ってこと?
何だろう、
この「誰かに守ってもらいたい」的な当事者ではない感じ……。
思わず「身内の戦争体験を聞いたことは?」と尋ねると、
「全然ないですね」。
別れ際、
彼らは言った。
「正直、
僕らの世代で行使容認に反対の人、
ほとんどいないと思いますよ。
W杯の時期で愛国心、
すごいですから」。
本当にそうなんだろうか。
2日後、
同じ学部の別の3年生(21)から話を聞いた。
「僕は行使容認にも解釈改憲にも反対。
『敗戦後、
日本は戦争で一人も殺さず殺されもしなかった』
という事実を壊してしまったら、
先の戦争で死んだ人々の思いを踏みにじる」。
周囲の友人もみな反対という。
同じ学部内でも互いに異なる意見をぶつけ合う機会はないのか。
「だって政治の話はタブー。
『この教授のゼミを選んだからにはこういう考えの持ち主か』と推察し、
少しずつ距離を詰めるのがせいぜいです。
政治の話ができるのは親友だけ。
でも大人だってそうでしょ。
僕が政治に関心を持てたのは政治的な意見を述べる予備校教師に出会えたから。
そんな先生は大学にもめったにいない」
反対だが行動には踏み切れない。
「脱原発の集会やデモに行ったが違和感の方が強かった。
結局、
投票くらいしかないのかな。
大きな流れに逆らえない」。
昨年の特定秘密保護法成立直後は友人と
「ひどい」と話したが、
その後は話題に上らない。
「解釈改憲もきっとそう」
深いあきらめが漂う。
日々のニュースがすごいスピードで流れていく。
最近インタビューした作家、半藤一利さん(84)の言葉が思い浮かんだ。
「戦争への道を後戻りできなくなったノー・リターン・ポイントはいつなのか、
その時代に生きていた人は、
意外とそれに気づけない。
今がその時ではありませんか」
なぜ、
こんなにも議論が盛り上がらないのか。
文化学園大助教(社会思想・政治学)で
「永続敗戦論」の著者、
白井聡さん(36)は「枝葉末節の細かい議論に持ち込み、
国民をけむに巻く。
事例を次々に増やし、
議論をテクニカルにする。
安倍晋三政権のぼやかし戦術です」と批判する。確かに、
政府が現行法制では十分に対応できないとする
「15事例」や集団的自衛権に関わる
「8事例」を列挙できる人はまずいない。
最近は自公がどこに妥協点を見いだすか、
政局の話になっている。
白井さんはもう1点
、「戦後のツケ」を挙げる。
「日本は『敗戦』を『終戦』と言い換えることで敗戦を否認し、
戦前の支配層が戦後の統治者として居残った。
東西冷戦中、
米国の保護下で経済発展を謳歌(おうか)できたことで、
国民は思考停止し、
いくつものタブーを棚上げしてきた。
『平和憲法と非核三原則を掲げた唯一の被爆国』
という建前を守る一方、
米軍による核兵器持ち込みは見逃した。
自衛隊創設からイラクへの派兵まで、
憲法解釈の変更によるつじつま合わせの繰り返しを受け入れた。
だから今、
解釈『改憲』は立憲主義に反する、という批判はどこかむなしく響く。
こんな光景は実は見慣れたもの。
解釈変更によるつじつま合わせは、
戦後の保守政治の王道だったからです」
新著「愛と暴力の戦後とその後」を出した作家、
赤坂真理さん(50)は「議論が盛り上がらないのは、
憲法が私たち国民の血肉ではないから。
もし血肉となっていれば、
内閣の話し合いだけで憲法解釈を変えるのはおかしい、
という反対の声が改憲・護憲の立場を超えて出てくるはず」と指摘する。
「日本人にとって『憲法』は上から来たものです。
国民が勝ち取ったことは一度もない。
だから
『憲法は国家権力を制限するもの』
という西欧風の立憲主義に現実感がないのです。
それでも戦後、
平和憲法が尊重されてきたのは、
戦争の怖さを肌身で知る世代がいたからでしょう」
しかし、
今、
くしの歯が欠けるように戦中派が減っていく。
赤坂さんは
「今回の解釈『改憲』は賛成、
反対で語れることではなく、
もっと憲法の根幹に関わる問題。憲法って何か。
国家って何か。
素朴で率直な
『子供の問い』を恐れず発しないと、
私たちはいつまでたっても政治の
『消費者』のままです」と訴え、
こう呼びかける。
「確かに私たちは国政にものを言う癖がついていない。
でも今から始めることはできます。
民主主義の本質は多数決ではなく、
『民が主』という考え方です。
今回の議論、
『わからない』ことがたくさんあるのに、
それすらちゅうちょして言えない。
『わかんない祭り』始めませんか。
『わかんない』と正直に言いましょう。
今言わないと。
騒がないと。
自分の言葉で。
政治の『消費者』になっては絶対にダメです」
消費者ではなく、
主権者に−
−私たちはなれるだろうか。
集団的自衛権:懸念される自衛隊の
「ブラックボックス化」
集団的自衛権の行使を容認する閣議決定の議論が大詰めを迎え、
足並みをそろえるように特定秘密保護法の施行の準備が進む。
憲法9条を空文化する閣議決定と秘密保護法施行が一緒になると、
何が起こりうるのか。
迫りつつある「自衛隊のブラックボックス化」の危険を探った。
◇イラク派遣差し止め訴訟 政府は
「墨塗り」
資料提出
自衛隊のイラク派遣から10年。
「人道支援」という政府の説明とは
大きく異なる派遣実態が明らかになってきた。
「ある書類」をご覧いただきたい。
1枚は墨塗り、
1枚は墨塗りが取り払われている。
そこで明らかになっているのは
「自衛隊が憲法違反をしていた事実」である。
最初から説明しよう。
2003年3月、
大量破壊兵器の査察受け入れを拒否していたイラクに対し、
米国は英国などと開戦に踏み切った。
ロシアや中国の反対を押し切る形だったが、
小泉純一郎政権(当時)は米国を支持し、
同年7月にイラク復興特別措置法(イラク特措法)を成立させた。
「非戦闘地域」で「人道支援」を行うため、
5年間で陸海空の隊員延べ1万人がイラクに派遣された。
<10・23(月)
米陸軍51 米海軍4 米空軍1 米軍属5 人数61>。
書類に書かれた数字は、
06年10月23〜29日に、
クウェートのアリアルサレム空軍基地からイラクの首都バグダッドに
航空自衛隊が空輸した米兵の数を示す
「週間空輸実績」だ。
当時
「自衛隊のイラク派遣は憲法違反」として
派遣差し止めを求める訴訟が各地で起こされていた。
05年以降、防衛省は、
訴訟団に対し5回にわたって「墨塗り」の文書を出し続けた。
だが、
民主党への政権交代後の09年9月に全面開示された。
それによると、
06年7月から08年12月までに空輸した2万6384人のうち、
米軍が1万7650人と3分の2も占めていた。
実は、
公開に先立つ08年4月、
名古屋高裁が空自の空輸活動について
「他国による武力行使と一体化した行動であって、
自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と認定し、
憲法9条とイラク特措法に違反しているとの判断を下した。
原告団事務局長の川口創弁護士は
「政府はイラクでの人道支援を宣伝するばかりで、
自衛隊の活動実態を明らかにしてこなかった。
裁判で一番苦労したのは活動実態を明らかにすることだった」
と振り返る。
おおまかな米兵の輸送人数のほか、
人道支援スタッフだけを選別して
空輸していないことなど傍証を積み重ね、
空輸は「武力行使と一体」と証明した。
「『空輸実績』を見ると、
人道支援物資をイラクに運んだのは最初の1回だけでした。
激しい戦闘が行われていたバグダッドの最前線に
武装した米兵を多数送り込む輸送であることは一目瞭然だった。
最初に公開されていたら違憲判決は容易に勝ち取れた」
と川口弁護士はあきれる。
「非戦闘地域での支援は武力行使との一体化に当たらない」
としてきた政府はどう対応したのか。
判決は派遣差し止めまでは認めなかったため、
福田康夫首相(当時)は「傍論だ。
わきの論」と述べ、
派遣を続行。
空自トップだった田母神俊雄・航空幕僚長(当時)は
「私が(隊員の)心境を代弁すれば
『そんなの関係ねえ』という状況だ」と発言した。
首相、空自トップがそろって
「憲法違反」の司法判断を無視した。
判決は確定している。
実際にイラクに派遣されていた自衛隊員たちは無論、
実態を知っていた。
なぜ内部告発できなかったのか。
「非戦闘地域に派遣するという政府の説明がうそなのは
輸送機の装備からも明らかだった」と
証言するのは06年4月にクウェートに
通信士として派遣された元自衛官、
池田頼将さん(42)だ。
池田さんはクウェートで米軍関係車両にはねられ、
現在後遺症などで国を相手取って裁判を続けている。
イラクに派遣された空自のC130H輸送機は
ミサイル攻撃のおとりにする火炎弾(フレア)を特別に装備。
目立たないよう空と同じ水色に塗装された。
激しい戦闘が行われていたバグダッドの空港に着陸する際は
狙われないよう大きな円を描いて降下し、
火炎弾を放ちながら着陸することもあったという。
池田さんは
「派遣先での秘密は墓場まで持っていくように、
と上官から言い含められていた」と明かす。
危険な任務による精神的な重圧は帰国後も
隊員に影響を与えている。
池田さんは精神のバランスを崩し、
今も通院中。
今年3月までに派遣隊員26人が自殺している。
国民平均(おおむね4000人に1人)の10倍以上だ。
自衛隊内のいじめやパワハラに関する
著書を多数発表しているジャーナリスト、
三宅勝久さんは「20年前、
モザンビークのPKO(国連平和維持活動)に派遣された指揮官は
『私たちは憲法の下で仕事をしている』と胸を張っていた。
その後、
無理な解釈で海外派遣が繰り返されると、
憲法や法律を軽んじる幹部の発言が増加。
同時に隊内でいじめやパワハラが横行し、
その多くが隠蔽(いんぺい)されるようになりました」と語る。
海上自衛隊の護衛艦
「たちかぜ」の乗組員だった男性(当時21歳)の
「いじめ自殺」を巡る訴訟では、
海自はいじめの有無を全乗員に尋ねたアンケートを
「破棄した」と主張した。
だが現役3佐が
「存在する」と内部告発し、
ようやくアンケートを開示した。
その一方で、告
発した3佐の懲戒処分が取りざたされた。
このような3佐への対応は自衛隊の
隠蔽体質を示すものだろう。
特定秘密保護法施行後、
その傾向がさらに強まるのではないかと懸念されている。
◇「違憲裁判できなくなる」
12月までに特定秘密保護法を施行するため、
国会では関連法整備が急ピッチで進む。
秘密法運用をチェックする
監視機関を国会に設ける国会法改正案は今月12日、
衆院議院運営委員会で自民、
公明両党などの賛成多数で可決された。
質疑はわずか7時間だった。
12日に質問に立った後藤祐一議員(民主)は
違法な秘密指定があった場合、
それを通報した人が秘密を漏らした罪に問われる同法の矛盾を突いた。
だが、
法案提出者のひとり、
大口善徳議員(公明)は
「行政内部で現場の声をチェックしていく仕組みが大事」
と一般論を返しただけだ。
後藤議員は
「国の安全保障には秘密保護は必要だが、
国民の知る権利とのバランスをとる仕組みをどう定めるかが重要だ。
内部通報制度は、
秘密指定が適正かどうかをチェックする手段になる。
秘密保護法に通報者保護の規定を加えるか、
公益通報者保護法の改正を検討すべきだ」と提案する。
冒頭に紹介した空自の空輸実績のようなデータは、
秘密保護法施行後は「墨塗り」されてしまうのか。
公的機関の情報公開を進めるNPO法人、
情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は
「『特定秘密』に指定される情報の多くが現行法下の
『防衛秘密』と予想されており、
非公開範囲が直ちに広がるわけではない」としたうえで、
「今後、
集団的自衛権の行使が容認されれば、
そのための自衛隊の活動に絡む同種文書は
特定秘密に指定される可能性が高い。
最高で懲役10年の罰則がある特定秘密保護法が施行されれば、
内部告発は今まで以上に難しくなるだろう」と解説する。
公明党は、
集団的自衛権行使容認の閣議決定をめぐり
「与党協議で武力行使に一定の歯止めをかけた」とする。
だが、
もし勝手に歯止めを外すような活動があっても
「特定秘密」として開示されなければ誰も検証できない。
川口弁護士は
「新しい閣議決定は歴代政権の憲法解釈を逸脱しており、
違憲、
無効だと訴えていく。
閣議決定に基づく法律や自衛隊の派遣にも違憲、
無効の疑いが生じる。
しかし、
証拠の収集が罪に問われ、
内部通報も期待できない状況では、
違憲裁判自体が成立しなくなる恐れがある」と訴える。
違憲の疑いのある閣議決定を経て戦地に派遣され、
その活動を国民の目から隠される自衛隊員たちはどうすればいいのか。
これは立憲国家の根幹に関わる問題だ。
ecar
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