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2014年09月14日

日本人を妖怪好きにした? 15人の「妖怪ウォッチャー」

おはようございます、ecarです。
今日は、【日本人を妖怪好きにした? 15人の「妖怪ウォッチャー」】をお届けします。



水木しげる、
日本人を妖怪好きにした?
15人の「妖怪ウォッチャー」が話題になっていますね。
早速ご紹介いたしますね。



空前のブームを巻き起こしている「妖怪ウォッチ」。
ゲームソフト、
コミック、
アニメなど複数のメディアに展開するクロスメディア戦略だけでなく、
妖怪たちの多彩なキャラクター設定も人気の要因でしょう。

 

『ゲゲゲの鬼太郎』
『陰陽師』
『千と千尋の神隠し』など、
妖怪が登場する漫画やアニメ、
映画、
小説は数多くあり、
現代のわたしたちにとって妖怪はなじみのある存在といってよいのではないでしょうか。

 

歴史を遡ってみると、
はるか昔から、
日本人は妖怪と共にあったということがわかってきます。
妖怪という「奇怪な」存在に囲まれ、
立ち向かい、
その「不思議」を追究しようとしてきた15人の代表的な
「妖怪ウォッチャー」を取り上げながら、
日本人と妖怪の関係を探りたいと思います。

 

なお、
「妖怪」とは何かの定義についてはさまざまな説がありますが、
一般には「人智を超えた、
超自然の力に対する畏怖の気持ちが創り上げたイメージであり、
化けたり変形したり巨大化して出現するもの」
と言えるでしょう。



(以下、敬称略)

1. 妖怪・八岐大蛇を切り刻んだ須佐之男命

八岐大蛇(やまたのおろち)は、
目はホオヅキの実のように赤く、
首が八つで、
尾も八つあり、
胴体に苔と杉の木が生え、
その体は八つの谷にまたがるほどの大きさ、
そして腹から常に血を流している妖怪です。
その奇怪な大蛇を、
剣を抜いて切り刻み、
奇稲田姫(くしなだひめ)を救ったのが、
天照大御神の弟、
須佐之男命(すさのおのみこと)です。
その後、
須佐之男命は奇稲田姫を娶りますが、
出雲に宮を造ったときに詠んだ歌、
「八雲立つ出雲八重垣妻籠みに 八重垣作るその八重垣を」
は日本で初めての和歌として知られています。
邪悪な妖怪を退治した、
勇気あるロマンチックな須佐之男命こそ、
日本の英雄の元祖なのです。

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2. 希代の陰陽師、安倍晴明

京の都に現れて人をさらっていた酒呑童子の正体を見破り、
大江山に棲む鬼の首領だと一条天皇に告げ、
勅命による源頼光の鬼退治につなげたのが安倍晴明(921-1005)です。
公家の娘だった
「宇治の橋姫」
が嫉妬に駆られて鬼女となり人々を殺したため、
渡辺綱が鬼の腕を断ち切り、
その腕を安倍晴明が封印した話も知られています。
安倍晴明は京で、
式神と呼ばれる鬼たちを使役して悪霊を退け、
陰陽師、
呪術師として天下にその名を馳せました。



3.悪鬼の酒呑童子を退治した源頼光

武将の源頼光(948-1021)は、
酒呑童子を「頼光四天王」と共に退治しました。
四天王とは、
渡辺綱、
坂田金時(あの金太郎です)、
卜部季武、
碓井貞光です。
また頼光は渡辺綱を連れて、
洞窟にいる巨大な土蜘蛛の妖怪も退治しました。
『土蜘蛛』は能や歌舞伎の印象的な場面でも知られています。

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3. 決定版の妖怪図鑑『画図百鬼夜行』を描いた鳥山石燕

鳥山石燕(とりやま・せきえん、1714-88)は、
さまざまな妖怪の姿形を描き出し、
妖怪図鑑の代表作と言われる『画図百鬼夜行』を描きました。
江戸中期の狩野派の浮世絵師で、
「妖怪絵師」と称されています。
百鬼夜行とは、
姿や形の異なるたくさんの妖怪たちが群がって夜中に練り歩く行列のことで、
それに出会うと不幸になり、
場合によっては命を落とすといわれています。



4. 妖怪を滑稽に描き出した浮世絵画家・歌川国芳

江戸時代、
妖怪は、
恐ろしいものとしてだけでなくコミカルな存在としても描かれるようになりました。
「奇想の絵師」と呼ばれる歌川国芳(うたがわ・くによし、1798-1861)は、
化け猫(「猫のすずみ」)、
土蜘蛛(「源頼光公館土蜘作妖怪図」)などの浮世絵を描きました。
「源頼光公館土蜘作妖怪図」は天保の改革の風刺画と見なされています。



6.「妖怪学」を提唱した井上円了

仏教哲学者である井上円了(いのうえ・えんりょう、1858-1919)は、
膨大な妖怪の話を書籍や新聞や雑誌で集め、
実地調査も行い、
その正体を科学的に研究して「妖怪学」という学問を提唱し、
妖怪博士と呼ばれました。
『妖怪学講義』という大部の著書があります。
怪異な現象や状況を広く「妖怪」と捉え、
それは迷信であると見なし、
妖怪を撲滅することを目指したのですが、
井上円了によって「妖怪」という言葉が一般に知られるようになったのです。



7.民俗学者として妖怪を研究した柳田國男

民俗学者の柳田國男(やなぎた・くにお、1875-1962)も妖怪学研究を続け、『妖怪談義』を著しました。
名著として高く評価されている『遠野物語』では、
岩手県の遠野地方に伝承されてきた座敷わらしや河童などの怪談を取り上げています。
座敷わらしが住み着いているとその家は豊かで恵まれますが、
去ってしまうと、
とたんにその家は衰微してしまいます。

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8.日本の妖怪談を英語で世界に伝えた小泉八雲

ギリシャ出身の作家で日本文化の紹介者として知られる小泉八雲ことラフカディオ・ハーン(1850-1904)は英文書『怪談』(Kwaidan)で、
日本の奇談17編を収録し、
その中で
「ろくろ首」
「食人鬼(じきにんき)」など、
日本の妖怪を取り上げています。
代表作「雪女」の主人公は、
美しくて恐ろしい女の妖怪です。
「むじな」は、
のっぺらぼうの話です。
この本は世界のいろいろな言語で翻訳され、
現在もよく読まれています。



9.魔性の妖怪美女をヒロインにした泉鏡花

美しい龍の妖怪である白雪姫を描いた戯曲『夜叉ケ池』、
姫路城を舞台に、
美しき妖怪、
天守夫人の富姫の恋物語を描いた戯曲『天守物語』など、
泉鏡花(1873-1939)は妖怪を描いた幻想文学の名作を著しました。
『夜叉ケ池』
『天守物語』の魔性の美女のヒロインは、
坂東玉三郎が歌舞伎で妖艶に演じています。
代表作の一つである『高野聖』も山奥に棲む妖怪美女の話です。



10.河童のイメージを変えた漫画家・清水崑
 
清水崑(1912-74)は『かっぱ天国』を『週刊朝日』に連載。
親子の河童のキャラクターが黄桜のCMで使われ人気を博しました。
ほのぼのとして心なごむ河童は「崑かっぱ」と呼ばれました。
二代目の作者は小島功(1928-)で、
美しくお色気たっぷりの「女かっぱ」がメインキャラクターとなりました。



11.妖怪ブームを牽引した水木しげる

「楽しいな お化けにゃ学校も 試験もなんにもない」というアニメの主題歌でおなじみの『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる水木しげる(1922-)は、
「妖怪漫画家」と呼ばれています。
鬼太郎は、
幽霊族の末裔という設定です。
妖怪ポストに送られてきた助けを求める手紙に応えて、
悪い妖怪を懲らしめてくれるのです。
 


幼い頃から、
家にお手伝いに来ていた「のんのんばあ」(妖怪やあの世の語り部のような人)から教えられた妖怪たちの世界に親しんでいた水木しげるは、
伝承されてきた妖怪を描くだけでなく、
外国の妖怪や創作した妖怪も作品にたくさん登場させています。
夫人が著した自伝の『ゲゲゲの女房』は、
NHKの朝ドラにもなりました。
水木しげるによって、
妖怪はお茶の間にも入り込み、
親しまれる存在になったといえるでしょう。

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12.『オバケのQ太郎』でブームを起こした藤子不二雄

「頭に毛が3本しかない…オバケなんだけれど友達」のアニメ主題歌で知られる、
「のんきなオバケ」のオバQことオバケのQ太郎は、
正太と親友で、
お人好し、
そして犬が大の苦手という愛嬌あるキャラクターです。
オバQブームが起きコミックが大ヒットしたときに建設された、
小学館の本社の建物は「オバQビル」とも呼ばれていました。



13.『となりのトトロ』で愛すべき妖怪を主人公にした宮崎駿

宮崎駿(1941-)監督の作品には、
不思議でいて、
なぜか心を惹き付けられる日本の原風景が登場します。
そこに欠かせないのが妖怪たちです。
『となりのトトロ』は愛すべき妖怪が主人公ですが、
異界の物語である
『千と千尋の神隠し』
『風の谷のナウシカ』などにも妖怪が登場します。



14.『学校の怪談』をまとめた民俗学者・常光徹

学校のあちこちに棲みつき、
ひしめき合う妖怪たちが繰り広げる不思議な出来事を、
民俗学者の常光徹(1948-)がまとめた本『学校の怪談』は、
ベストセラーになり、
テレビアニメ化され、
映画のシリーズ化もされました。
収録されている
「トイレの花子さん」や
「口さけ女」
「人面犬」などは、
子供たちの間で語り継がれていた話です。

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15.ベストセラー『姑獲鳥の夏』などで知られる京極夏彦

京極夏彦(1963-)のデビュー作は『姑獲鳥の夏』です。
姑獲鳥は産女とも書く妊婦の妖怪のこと。
この作品や『魍魎の匣』をはじめとする「百鬼夜行」シリーズ、
時代小説の「巷説百物語」シリーズなどたくさんの妖怪ミステリーを著す人気作家であるとともに、
妖怪研究家としても活躍し、
世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員でもあります。



社会不安が高まると妖怪が生まれるとも言われている

以上、
代表的な「妖怪ウォッチャー」たちを紹介してきました。
日本はまさに妖怪文化の国なのだなあ、
と思われたのではないでしょうか。

 

社会不安が高まると妖怪が生まれる、
とも言われています。
冒頭で述べたように、
妖怪は
「人智を超えた、
超自然の力に対する畏怖の気持ちが創り上げたイメージ」
であり、
わたしたちの心の中にある恐怖や不安、
社会の闇に潜む怨念や不条理などを映し出す鏡でもあるのでしょう。
そんな自分の内なる“妖怪”を勇気をもって克服し、
共存していこうというメッセージを、
さまざまな作品に登場する妖怪たちが、
声なき声でそっと囁いているような気がしてきます。



本日も、最後までお読みいただきまして感謝いたします。
ありがとうございました。
それでは、ごきげんよう!ecar
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