コールセンターおじさんのブログ

　普段はエラそうなこと書いている私が若い頃、かなり失敗もしています。
その中から二つ紹介します。

ひとつは営業をしていた頃、得意先のかたに大変な失礼をしてしまったことです。
昔、“宮沢りえ”さんの写真集「Santa Fe（サンタフェ）」が発売されました。
調べると1991年とあるから、今からもう、30年近く前の話です。

これは“宮沢りえ”さんのヌード写真集で、撮影は“篠山紀信”さん。
発売前から予約しなければ手に入らないほど話題になりました。

得意先の人は予約していたんです。
調べると、定価4,805円とあります。そんな高かったっけ？
ちょっと覚えてません。が、そのくらいしたかも知れないですね。

ある日、その人が職場に持ってきていました。そして、
「これを有料で人に貸し出して元を取る。」
なんてことを言うんです。

きっと、照れ隠しだったんです。
今ならそれを適当にあしらったと思います。
しかしまだ若かった私、それはできないことでした。

「いやあ、難しいんじゃないですか？」
みたいなことをつい、言ってしまったと思います。
以来、その人は私に対してまともに話をしてくれません。


　もう一つ、これはいまだに納得できていない話です。
確か、写真集と同じ頃です。仕事外のイベントで、クルージングをしました。

小さな連絡船を借りて、洋上で飲み食いするイベントでした。
飲み物担当、バイキング担当など役割分担して私はグッズ販売を担当しました。
グッズはTシャツやエプロン、キーホルダーなどいろいろあり、その中にワインもありました。

連絡船の運航は船会社がします。
途中、港に寄りちょっとしたイベントを見学したと思います。
私はワゴンに陳列してあったグッズをひとまとめにして、ワゴンの横に置いて船を降ります。

イベントを見学して船に戻りました。
すると、ワインがひとケース、なくなっていました。

「これはおかしい。」

イベントを見学する間、船を離れていたとき、残っていたのは船員だけ。

私は船員に掛け合います。
船員は船の運行責任者を呼んできました。

困ったことにその運行責任者は得意先の人です。
自分の仕事を取るか、今の立場を取るか。

しかし、悪いことは悪いことです。
また私は、仕事とイベントに携わる立場とを別々に考えていました。

運行責任者は
「そんなに疑うんなら、船の中を案内するからついてこい！」

私はその通りついていきました。
連絡船に乗ったのはそれが初めてではありません。
でも案内されると知らない空間というのが船にはたくさんあります。

休憩室というのか、船員が休む部屋がいくつもあるんですね。


　ワインはありました。
でも私は船員にワインを売ってはいません。

ひとケースは12本。でも12本全部見つかったわけではありません。
でも、「これは俺の取り分」といったように、分け合った形跡がありました。

この時点で窃盗は明白です。
しかし運行責任者はどこかへ消え、謝罪もありませんでした。
あったのはその後、得意先であった船会社との取り引きが10年くらい途絶えたことでした。

では適当にあしらうべきことだったのでしょうか？

船員はきっと、非番なのに呼び出されて余計な仕事をさせられた。
まして、盗んだワインは私の私物ではないから私に金銭的な害がおよぶわけでもない。
そんなことから大した罪悪感もなく、船員以外誰もいなくなった船からワインを横取りしたのでしょう。

運行責任者にとって当時の私は、まだ20代のあんちゃん。
いま自分の年齢でもし、同じように20代の若者から疑いをかけられたとすれば、同じように
「そんなに疑うんなら、船の中を案内するからついてこい！」
と言ったかも知れません。

だけど疑いは疑いでなく、窃盗だった。
なら、私は逃げるかな？と思います。

まして運行責任者であれば、実行犯である船員に謝罪させる必要があると思います。
もしくは上司として自らけじめをつけるとか。
が、取引停止。

私が運行責任者と年が近かったら、運行責任者はきっと、
「まあ、こんな事情なんだから、ちょっと大目に見てやってくれないか？」
そんな話になったんじゃないかなと思います。

いま思うと、若輩者なら事実を見ても目をつぶれ！ってことですね。
いや、俺に文句を言うのか？ってことなんでしょうか。