2019年11月13日
家フェチA
前の家に入居して間もなく、オーナーから申し訳なさそうに告知されたことがありました。
それは徘徊老人。
以前に入居していた誰かの母親なのか、何なのか。
いつなんどきに訪ねてくるかわからないとのこと。もし、ドアホンが鳴らされても無視してと。
それも何か、落ち着かないというか、北海道弁でいえば「あずましくない」んです。
恐らくそのため、リビングの壁にはドアホンの電源を一時的に切るスイッチが付いていました。
実際には呼び鈴が押されたことはありませんでした。
しかし、玄関ドアに近いリビング、窓の下に、食べ物や衣類が差し入れされたのは何度もありました。
そのたび、置いて行かれた物を毎度、オーナーの家に届けに行きました。
また、その徘徊老人には何度か会ったことがあります。
老人は、
「××さんは元気?」
と聞いてきます。
私は、そんな人いないと答えますが、聞き入れられませんでした。
こうしていろいろと不信感のつのるオーナーではありましたが、それでも私がどこかへ行くと、おみやげを買っては届けに行きました。反面、オーナーはオーナーでこちらに溜めていった不満もあったようです。
家を借りていると、修繕が必要になることがありますね。
どこまでがオーナーの負担でどこまでが借家人の負担なのか。
まず、初めにオーナーに頼んだのは網戸の修復でした。約2,500円。
オーナーは網戸の修復は私がして、かかった金額を請求して欲しいと云うものでした。
いま思えば、これくらい私が自分で直して、お金もこれくらいは私が持つべきだったと思います。
でも当時の私は、網戸の修復はホームセンターなりに頼むものと思っていたので、家の設備にかかわる修繕はオーナー負担だと、思い込んでいました。
オーナーも、それくらいは借家人がしろよと思ったのでしょう。だからかかった金額だけ負担するというのはせめてもの善意だったのだと今は思います。
他にもアコーディオンカーテンは2回、こっちで修繕してかかった金額を請求しました。
アコーディオンカーテンは、浴室の脱衣所とキッチンを隔てるものでした。
その家に住んだのは2008年3月から2015年11月までの7年と8カ月。
1回目は約8,000円、2回目は5,122円でした。
なぜほぼ正確に金額がわかるかというと、訳があります。
それは後に書こうと思っています。
また北海道なので冬は雪が降り、雪の多い年には屋根の雪もかなりの量になります。
ある年の冬、かなりの雪が積もりました。北海道の冬は真冬日というプラス気温にならない日が続くこともよくあります。そのため、冬期間に屋根の雪が解けて流れることはまずありません。
その冬はあまりの雪の重さに、リビングの出入口、片開きのドアが引っかかって開閉しにくくなりました。
きっと雪の重さで建物自体が歪んできたのでしょう。
私は危険に思い、オーナーに相談しました。
そしてオーナーが業者を使って屋根の雪下ろしをしてくれました。
料金はオーナー負担。これも今になって思えば折半すべきだったのかも知れません。
ある夏の8月10日、いきなり家の周りに足場がかかりました。
それが何なのか私にはまったくわかりません。
後にようやく外壁を貼りかえるというのがわかりました。
貼りかえるというより、耐火ボードを外壁の上から貼っていく工事でした。
工事は約1か月間続き、その間、玄関は足場をよけながらの出入りを強いられ、休日は昼から工事の騒音に悩まされました。それでも私はオーナーの善意で壁を新しくしてくれたのだと思っていました。
壁を上から貼ったため、ドアホンの取り換えが必要になり9月6日、新しいものに交換し、工事はようやく完了しました。
9月30日。
気付くと茶封筒がポストに投函されていました。
家賃改定を告げるもの。
(今まで)6年間も住んでくれてありがとう。このたび壁の外壁を新しくし、屋根のアンテナ、ドアホンを交換したので来春から家賃を5,000円高くします。
というもの。
なんじゃそりゃ?
何の相談も連絡もなく、勝手に足場をかけて勝手に耐火ボードを貼り付けて、ついでにアンテナとドアホンを取り換えたから家賃を上げるねって、借りてるこっちからするとメリットってありません。
別にテレビの映りが悪かったわけでもないのに。
昨日の「家フェチ@」でトイレの蓋に細かい傷を付けないでと言ったこと、勝手に壁を新しくしたこと。
さらには屋根の雪下ろしをオーナー負担でしてくれたのも、何か自分の家にかけるお金は厭わない。
家に対する思い入れが強すぎて、今回のタイトルを「家フェチ」としたのもそこからなんです。
その一方的な家賃の改定について私はオーナーに電話しました。
何の相談もなくされても同意はできませんと。
数日後、オーナーから改定を取り下げると電話が来ました。
ただ、それが家の退去に向けて静かなスタートになったのです。
つづく。
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