2019年11月03日
結婚式
結婚式から今年で30周年になりました。
結婚した頃、私なんかまだガキで、いま思うと恥ずかしいというか、良い度胸をしていたと思います。
結婚というと、めでたいイメージが強くありますが、悲しい歴史もあると思います。
映画「永遠のゼロ」にも出てくるように、結婚して間もなく出征して帰らぬ人となったケースも多かったと思いますし、それを予期して想いを寄せる二人でありながら、あえて結ばれずに別れたケースもあったでしょう。
昔、NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」で、マッサンこと竹鶴政孝の養女エマと青年、一馬が恋仲になります。しかしある日、一馬のもとへ召集令状が届きます。
一馬はエマの将来を案じ、その好意を遮ります。戦死は名誉の時代でした。
自暴自棄になるエマを、辛いのはあなただけではないと養母、竹鶴政孝の妻、リタは強く諭します。
出征の直前に一馬の父は、
「逃げても良い、生きて帰って来い!」
涙を流して一馬を抱擁するのでした。
やがて一馬の戦死が伝えられ、届けられた骨箱の中には一枚の紙きれだけ。
「永遠のゼロ」も「マッサン」も映画、ドラマですが、現実もそうだったろうと思います。
結婚式の悲話といえば、忘れられないことがあります。
30年くらい前のことだったと思います。テレビで見たニュースでした。
新婦が車で式場へ向かっていたところ、事故に遭い、亡くなってしまいました。
悲しいのは、新婦は確か、結婚式場で亡くなったのです。
事故で新婦は車中から投げ飛ばされ、道路に隣接する家の屋根に落ちたといいます。
どうやって屋根から下りたのか。
おそらく新婦は結婚式に遅れていくわけにはいかないと、普通では考えられない対処をしたのでしょう。
死んでしまう程の事故だから、車で結婚式場へ行くことはできなかったと思います。
どうやって行ったのか。もしかしたら事故車でも走らせることができたのでしょうか。
出会い頭の事故で、新婦は結婚式場へ急いだのだから、当事者同士の事故処理はどうしたのかわかりません。
またどっちの過失割合が大きかったのかもわかりません。
ただそのときの新婦の気持ちを考えると、胸が締め付けられます。
遅れてはならない。両家に迷惑をかけてはいけない。
待っている新郎を心配させたくない。
式に招待した親戚、仕事関係の人、友人知人、その人たちも待たせてはいけない。
式場の人たちにも迷惑をかけてしまう。
どっちの過失が大きかったにせよ、新婦は自分自身を責めたに違いありません。
起こってしまった事故だからどうしようもないのに、今日のめでたい門出に、関係者全員分の責任を一人で背負って、自分を責めたに違いありません。
結婚式を挙げて、皆に祝福されて、愛する人と結ばれる。
これから幸せな日々が訪れると信じながら、自分の役柄をまっとうしようと必死だったでしょう。
内臓破裂している体で。
どこの誰だったかは覚えていません。
しかし、そんな悲劇をたどった人がいたこと。
私は忘れないでいようと思います。冥福をお祈りいたします。
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