2019年10月08日
ちくわぶ
おでんの具の中で私は“ちくわぶ”が一番好きです。
初めてちくわぶを知ったのは、小学5年のとき。東京の、近所の駄菓子屋でおでんを買ったときです。
ちくわぶは小麦粉を煉って茹でた食材で、もともと首都圏のローカルなものであったのが、最近では全国で取り扱われるようになりました。
私は出身地がはっきりしません。幼少期に東日本から関東にかけて、住まいを転々としたからです。
鍵っ子だった私は放課後、空腹を満たすため近所の駄菓子屋によく行っていました。
駄菓子屋には寒い時期だったのでしょうか。おでんを売っていました。
今のコンビニのように、つゆに浸して温めながら。
コンビニと違うのは、もっと大きな器だったし、火で温めていたのだと思います。
ある日私は、おでんが食べたいと思い、店のおばさんに言いました。
おばさん、
昔、そういった駄菓子屋さんはよく、高齢の夫婦で経営することが多かったと思います。
高齢だから、じいちゃんとばあちゃん。
昔の子供はある意味、残酷だったから、そういった店を“ジジババの店”と呼んでいました。
その店の中でも平気で“ジジババの店”と言っていました。
おじさん、おばさんにも聞こえていたはずです。
いま思うと、たいへんに失礼でした。
私は店のおばさんにおでんを欲しいと言ったら、
「何が欲しいの?」
と聞きます。
特に何も決めていなかった私は、何となく
「ちくわ下さい。」
と言いました。
するとおばさんは
「ちくわぶかい?」
と聞きます。
ちくわぶ?
初めて聞いた言葉。
よくわからないまま私は、はいと答えました。
後からわかったのは、私が欲しかったのは“焼きちくわ”で、“ちくわ”と言えば、“焼きちくわ”より“ちくわぶ”がそれに近いと思ったのでしょう。
ところが食べてみると美味い!
ダシが浸みこんで、食感も良い。
札幌でもスーパーで“ちくわぶ”は売っています。
でも、固い。東京で食べたあの食感とはぜんぜん違います。
コンビニでももう、おでんを売っています。
北海道だからかも知れませんが、8月下旬から売っています。
しかし、“ちくわぶ”は関東限定で、札幌のコンビニでは売っていません。
もう一度、あの“ちくわぶ”、あのおでんを食べてみたい。
でも平成元年、約10年振りに訪れたかつての店は、そのとき駐車場になっていました。
さて、10月7日の今日、今シーズン初めてストーブを焚きました。
今朝の札幌は最低気温が7.5度だったそうです。
これからさらに陽は短く、気温も下がっていくのかと思うと憂鬱になります。
とはいえ、仕事では明日の最高気温が予報で27度の大阪へ札幌から、なに知らぬように発信します。
少しだけ罪悪感。
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