2019年07月05日
最後の一葉
『木綿のハンカチーフ』は1975年、太田裕美さんのヒット曲です。
(YouTube:Energy Line2016)
※3番の歌詞がカットされています。
今ではもうこの歌を知っている人は限られてしまうでしょう。
当時この歌はかなり流行りました。小学生だった私は社会科見学でバスの中、クラス全員で合唱したのを憶えています。
この曲は田舎から上京していった彼と、彼の帰りを待つ女性が互いに交わした手紙の内容を歌っています。
ところがやがて、彼は都会にすっかりと馴染んでしまい、彼女に「僕は帰れない」と書きます。
それを読んだ彼女は最後に「涙拭く木綿のハンカチーフ下さい」とお願いします。
ざっくり書くとこんな感じです。
二人の別れを歌った悲しい歌です。
しかし私には気になることがあります。
歌詞のリンクはこちら。
https://www.uta-net.com/song/4548/
まず、手紙は彼からのメッセージに彼女が返事を書くスタイルです。
ですが、彼女は毎度まいど「いいえ」で返しています。
彼が
「贈り物を探す」と書いても、「いいえ、都会の絵の具に染まらないで帰って」。
「指輪を送るよ」と書いても、「いいえ、あなたのキスほどきらめくはずない」。
「スーツ着た僕の写真を見てくれ」と書いても「いいえ、草に寝ころぶあなたが好き」と。
これだけ「いいえ」で返されたら彼だって嫌気がさしたのではないか?という“新説”を発表します。(笑)
そして「僕は帰れない」と別れになって初めて、彼女は「いいえ」でなく「あなた」で始まり、最後のお願いに“木綿のハンカチーフ下さい”とねだるのです。
『最後の一葉』も太田裕美さんの曲です。
そもそも「最後の一葉」は、“オー・ヘンリー”さんの作品です。
原作は(以下Wikipediaより引用)、
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ワシントン・スクエアの西側にある、芸術家が集まる古びたアパートに暮らす画家のジョンジー(ジョアンナ・ジョアナとも)と同じく画家のスー。貧しいながら暖かい生活を送っていた中、ある日ジョンジーは重い肺炎を患ってしまう。スーは、医者から「ジョンジーは生きる気力を失っている。このままでは彼女が助かる可能性は十に一つ」と告げられる。心身ともに疲れ切り、人生に半ば投げやりになっていたジョンジーは、窓の外に見える煉瓦の壁を這う、枯れかけた蔦の葉を数え、「あの葉がすべて落ちたら、自分も死ぬ」とスーに言い出すようになる。
彼女たちの階下に住む老画家のベアマン(ベールマンとも)は、口ではいつか傑作を描いてみせると豪語しつつも久しく絵筆を握らず、酒を飲んでは他人を嘲笑う日々を過ごしていた。ジョンジーが「葉が落ちたら死ぬ」と思い込んでいることを伝え聞いたベアマンは「馬鹿げてる」と罵った。
その夜、一晩中激しい風雨が吹き荒れ、朝には蔦の葉は最後の一枚になっていた。その次の夜にも激しい風雨が吹きつけるが、しかし翌朝になっても最後の一枚となった葉が壁にとどまっているのを見て、ジョンジーは自分の思いを改め、生きる気力を取り戻す。
最後に残った葉はベアマンが嵐の中、煉瓦の壁に絵筆で精緻に描いたものだった。ジョンジーは奇跡的に全快を果たすが、冷たい風雨に打たれつつ夜を徹して壁に葉を描いたベアマンは、その2日後に肺炎で亡くなる。真相を悟ったスーは物語の締めくくりで、あの最後の一葉こそ、ベアマンがいつか描いてみせると言い続けていた傑作であったのだと評する。
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生きる勇気をくれたベアマンが嫌われ者だったというのがミソです。
それに対して、この太田裕美さんの『最後の一葉』は、ベアマンさんが“恋人”に置き換わっています。
〜 すべて綺麗に書き換えた 〜
そんな“飛び道具”的な武器を感じずにはいられません。
と、
今夜は冗談交じりの記事です。
しかし、どちらとも私が大好きな歌です。(失礼)
(YouTube:cross over)
2019/07/06 1:34追伸 -
この“最後の一葉”の中で、女性は「別れた方が・・・」と彼のこれからを気遣っています。
これって、もしかしたら日本の名作、映画「愛と死をみつめて」の流れかと思いました。
古い歌なので。
「愛と死をみつめて」は1964年の作品。
私はまだこの作品をしっかり見たことはありません。
ただ、そんな自己犠牲にも通じる作品だった気がします。
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