2019年02月09日
出張販売
今では“タバコ”も嫌われ者になり、喫煙者は肩身の狭い思いを強いられるようになりました。
タバコを売るときに“出張販売”というのがあります。
今では制度が変わっているかも知れません。
あくまで私が知る時代の話です。
タバコを吸ったことのない人は馴染みがないかも知れません。
今ではめっきり少なくなりましたがタバコの自動販売機ってありますね。
タバコ屋さんの前に置いてある販売機は対象ではありません。
しかし自動販売機は普通、タバコ屋と関係のない場所に置いてあることが多くあると思います。
例えば、居酒屋さんとかカラオケボックスとか駅とか。
その自動販売機に問合せ先のシールが貼ってあるのをご存知でしょうか。
その自動販売機が“出張販売”です。
貼ってあるシールに記された店が設置しています。
また出張販売は自動販売機を使わず、職員が手で販売することもあります。
労働組合、職員組合などが多いかと思います。
出張販売先にはタバコ屋さんが手数料を払います。
毎年年末に、入金額の合計に2%、ないし3%をかけた額を手数料として渡します。
自動販売機を置いているところには2%を。
手販売するところには3%を払います。
手販売は手数料、自動販売機は電気代ということでしょう。
タバコの粗利益は10%です。
さらに手数料を払うと、7%か8%になってしまいます。
これは大変に低い利益率です。
昔の話です。
ある官公庁の出先機関にタバコの自動販売機を置いていました。
出張販売です。
出先機関だから職員数は30名くらいだったでしょうか。
昔はタバコの銘柄も種類が少ないときでした。
私が子供の頃など、タバコといえば“日本専売公社”の国産のみ。
チェリー、セブンスター、ハイライト、ショートホープ
この四つがあれば、だいたいカバーできた時代です。
だからタバコの自動販売機も4種類くらいしか売っていなかったし、それで十分でした。
ただ、これは大昔の話です。
官公庁の出先に置いていた販売機は確か6銘柄くらいのもの。
ところが当時、輸入たばこが解禁になり、国産たばこも負けじと種類を増やした時代でした。
種類が増えると人は個性を競うようになるんですね。
「自分は○○○○を吸っているんだ!」
6銘柄ではぜんぜん足りなくなってしまいました。
人数少ない出先機関でも職員の個性をカバーできなくなりました。
また古い自動販売機だったので、1982年に登場した500円硬貨が使えなかったのです。
そこで出先機関から打診されます。
銘柄の多い、新しい販売機に替えてくれないかと。
しかし自動販売機は高額です。
6銘柄でも当時確か50万円くらい。
12銘柄だと120万円くらいしました。
考えて下さい。
出張販売だと8%の粗利益です。
当時のタバコは確かひとつ200〜250円くらい。
250円の8%は20円。
ひとつ売れて20円の利益です。
もし120万円の販売機を20円の利益で充当すれば、6万個売らなければなりません。
当時、週休二日になっていたかどうか、憶えていません。
もしなっていなかったとしても、稼働日は一年365日として約300日。
まだ喫煙率の高い時代、仮に20人が喫煙者だとして一日一箱吸うと、一年で6,000個。
販売機代を回収するのに10年かかるのです。
また3年で回収するなら、一日ひとり3箱以上吸ってもらわなければなりません。
採算が合わないとはこのことです。
断りたいタバコ屋と、替えて欲しい官公庁。
そしてどうなったかというと、自動販売機は中古を購入。
確か50万円くらいだったと思います。
それでも50万円は負担したくなかったタバコ屋。
その50万円は官公庁が負担したのですが、財源はどこだったのでしょうか。
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