2019年02月07日
談合(前編)
昔、営業をしていたことがあります。
コールセンターもいろいろ面白いことを経験できますが、世間を知るなら営業の方が良いかも知れません。
まず“談合”です。
特に役所では備品や消耗品の購入方法は二つあります。
“随意契約”と“競争入札契約”です。
“随意契約”は、官公庁が発注する際、任意に業者を決めることができる契約です。
主に10万円以下とか、ファイル、コピー用紙といった消耗品を注文する場合です。
“競争入札契約”は、官公庁が安価で購入するため、競争原理を利用して業者を決める契約です。
ただ、
私が携わっていた“販売”の仕事は大きなものではありませんでした。
例えば公共事業や工事といったものでなく、大きくても1千万円未満の取引でした。
なので、実際には“競争入札契約”より、“見積もり合わせ”が大半を占めていました。
この“見積もり合わせ”も競争原理を利用しているには変わりません。
違いは契約額が“見積もり合わせ”は少額で、業者も発注側が信頼できる数社に限られることです。
また“見積もり合わせ”は必ずしも最低価格の業者が契約できるとは限らないようです。
しかし、私が知っている限りでは最低価格の業者が契約をしていました。
私は当時、僻地で仕事をしていました。
人口も少ないので、官公庁と業者間に公平性が少なかった気がします。
人口が少ないから契約の金額も少額。
すると随意契約が増えるので、官公庁の担当者はお気に入りの業者を選定することが多かったのでしょう。
そんなとき、印刷機の購入のため、見積もり合わせをする文書が届きました。
相手は高校です。
取引がなかったところなので、営業をかけている最中でした。
なので全力投球します。
印刷機を納品できれば、インクや消耗品等の受注は優先されるはずです。
それを足掛かりにできればと考えました。
高校が新規の取引先になれば、印刷機本体の利益などなくてもいい。
印刷機メーカーと相談して、これ以下はないだろうという金額で見積書を提出しました。
メーカーが提示してきた金額です。
これを下回る金額というのはあり得ないものでした。
しかし、契約には至りません。
落札額を聞いても教えてくれるわけはありません。
そのときに学んだ用語が “下をくぐる” という言葉。
“見積もり合わせ”は業者を選べるという“随意契約”に近いものです。
そのため、私のいた会社の見積書を、競合業者に見せたのではないかという結論になりました。
“競争入札契約”なら、全社がそろった会場で入札します。
ですが、“見積もり合わせ”にも期限はあるものの、業者が一堂に会すわけではないので、本当に期限が守られたかどうか、官公庁の担当者しか知り得ないのです。
業者間で手を組むのが“談合”です。
発注者と業者が手を組むと“癒着”ですね。
また続きも書いてみたいと思います。
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