ときどき目にします。
申込書や宛先、個人情報を記入するところに、電話番号を書くところがあります。
その電話番号を書く欄に、ときたま「()かっこ」があるとき、「これは違うな」と思うことがあります。
そもそも電話番号の()は、市外局番を書くところでした。
固定電話の番号は、012-345-6789 となっており、ここでの「012」は市外局番。
「345」は局番といいました。
たとえば〇〇市だったとしましょう。
市内の相手に電話を架ける場合、同じ市内なので市外局番は必要ありません。
同じ市内だからといって相手も必ず、局番が「345」とは限りませんが、市内なら
市外局番なしの345-9876だけで相手につながりました。
同じ市内同士なら局番からで、市外にかけるときに初めて市外局番からダイアルする必要がありました。
そのように、市外局番は必要だったり、必要がなかったりします。
そのため市外局番に()をつけたのです。
すると固定電話の番号は、(012) 345-6789 こんな感じになります。
でも、今ではほとんど意味のないものになってしまいましたね。
その理由はいくつかあると思いますが、まず、電話の回線方式が変わったことです。
昔は、といっても交換手が手動でしていた頃ではありません。
「中継」といって、各電話局が電話を中継し、遠くなればなるほど、いくつもの中継局を経由して相手につながりました。そのため、市外通話は高い通話料金がかかりました。
でも今はどうでしょう。
電話局の中継だけで相手につながるとは限りません。
中継以外というとまず頭に浮かぶのがIP電話です。
インターネット回線を経由する電話です。
インターネットもデータは中継されていくのですが、もともと最短距離を通ることができなくなった場合を前提に設計されたものなので、距離によって左右されることがありません。
IP電話は番号が050で始まります。
距離は関係ないので、市外局番はありません。
ただ、050で始まるのは決まり事なので、050-123-4567
といった番号になります。050は必ず必要ですから()を付ける意味がありません。
そしてなんといっても携帯電話です。
昔は距離で030と040をかけ分ける必要がありました。が、
今は090、080、070のいずれかで始まります。これらも市外局番ではありません。
また、090などは局番ではありませんから、同じ090同士であっても、090は省略可能ではありません。
()を付ける意味がありません。
また、携帯から固定電話にかける場合、市外局番からかける必要があります。IP電話もそうです。
このようにして昔は省略できた市外局番が、いつの間にか省略できないものになってきました。
なので、電話番号を書く欄に今でも()があるのは、そんな名残りなのでしょう。
さらに言うなら、現代の合理化やスピード化で市外局番を省略できる場面が少なくなりました。
大手企業の電話番号はフリーダイアルだし、フリーダイアル以外は東京や大阪に拠点が集中しています。
市外局番なしでかけられるのは職場や学校の通信網、かかりつけの病院かなと思います。
それすらひかり電話を使っていた場合、市外局番を省略するとかけられない恐れだって多くあります。
とにかくもう、市外局番というのが過去の遺産になってしまったようです。
しかし冒頭の、「これは違うな」と思うのは、()が真ん中あたりにある場合です。
携帯やIP電話に、もとから()は必要ありません。
また、始まりである市外局番の()が真ん中では、思いっきり端に詰めない限り、はみ出します。
きっとデザインした人が市外局番のことを知らずに作ったか、
そもそもいまだに電話番号をダイアルするとか、フリーダイアルという表現だって過去のものです。
昔、手慣れた手つきでダイアルする大人をカッコいいと思って見ていました。
しかし私が大人になった頃にはもう、すでにダイアル式の電話機は珍しいものになっていました。
インターネットや携帯電話の登場が、予想外の現代を作ったのでしょう。
手塚治虫先生のマンガでしたか、未来を予測した漫画でも携帯電話は出てこなかったと聞きます。
未来予測学者である、アルビン・トフラーの「第三の波」では第三の波である情報化社会が世の中を根底から変えてしまうことを予測したそうですが、1980年当時、アルビン・トフラー氏は携帯電話をどこまで予測できていたのでしょうか。
2018年09月24日
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