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2024年09月13日

社会学の観点から文学をマクロに考えるー自然や文化の観察者としての作家について14

5 観察と社会−社会学的な意義 

 作家としての人間の条件に自然や文化の観察者を設定し、社会と観察という観点に立って、シナジーのメタファーから集団の脳の活動について社会学的な意義を考察している。
 岡田(2018)による観察社会学は、考える、見る、気づく、見える、読むという流れで学習者の目が輝く瞬間を捉えることが目標である。これは、何も医学の教室で医学生だけに当てはまることではなく、作家の学習にも該当する。花村(2020 b)の中で後天的に経験を通して行動が変化する過程を学習と呼び、実際に自分で行動せず、外的刺激や他者の行動を追うときは、観察とした。
 例えば、藤村であれば、信州の旅を重ねることで学習や観察に至り、一方、直哉は、療養による心の静止があり、独歩の場合は、傷心な中にも内面の写し絵がある。また、カネッティは、異文化に触れながら内容を読み取り、カフカは、多少ずらした現実の中で自分探しを試みている。
 こうした集団の活動に教室で参加者の目が輝く瞬間を捉える観察社会学の分析を適応していく。文学作品に描かれている学習の様子は、目が輝く瞬間の情報を提供してくれる。そこが執筆脳の抑えどころとなり、それがAIであれ医学であれ何に該当するのか説明できれば、観察社会学は、シナジーのメタファーの役に立つ。
 観察社会学の計算でみると、当初は個人的な問題に影響していたものが、次第に組織やその運営に関わるということから統計で表示できる観察になり、予測可能なできごとになっていく。花村(2020 b)は、予測可能なできごとが個人レベルを越えた学習、観察、研究のための基本的なルールに属すると指摘している。つまり、低レベルの専門知識ではなく、高度で専門的な合理性が重要となり、他の専門家が計算した結果も問題にすることができる。

花村嘉英(20202)「社会学の観点からマクロの文学を考察するー自然や文化の観察者としての作家について」より
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花村嘉英
花村嘉英(はなむら よしひさ) 1961年生まれ、立教大学大学院文学研究科博士後期課程(ドイツ語学専攻)在学中に渡独。 1989年からドイツ・チュービンゲン大学に留学し、同大大学院新文献学部博士課程でドイツ語学・言語学(意味論)を専攻。帰国後、技術文(ドイツ語、英語)の機械翻訳に従事する。 2009年より中国の大学で日本語を教える傍ら、比較言語学(ドイツ語、英語、中国語、日本語)、文体論、シナジー論、翻訳学の研究を進める。テーマは、データベースを作成するテキスト共生に基づいたマクロの文学分析である。 著書に「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」(新風舎:出版証明書付)、「从认知语言学的角度浅析鲁迅作品−魯迅をシナジーで読む」(華東理工大学出版社)、「日本語教育のためのプログラム−中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで(日语教育计划书−面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用)」南京東南大学出版社、「从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默-ナディン・ゴーディマと意欲」華東理工大学出版社、「計算文学入門(改訂版)−シナジーのメタファーの原点を探る」(V2ソリューション)、「小説をシナジーで読む 魯迅から莫言へーシナジーのメタファーのために」(V2ソリューション)がある。 論文には「論理文法の基礎−主要部駆動句構造文法のドイツ語への適用」、「人文科学から見た技術文の翻訳技法」、「サピアの『言語』と魯迅の『阿Q正伝』−魯迅とカオス」などがある。 学術関連表彰 栄誉証書 文献学 南京農業大学(2017年)、大連外国語大学(2017年)
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