また、人の目のみならず虫の目による観察もこのカテゴリーに入れることができる。例えば、田舎の馬車道での滑落事故を描いた横光利一の「蝿」や主人公が大きな目をした害虫に変身して目覚めるフランツ・カフカの「変身」などである。
比較でみると、国地域に関して言語や文化による分け隔てはなく、地球上のどこもが研究の対象になるため、 シナジーのメタファーは、すべての言語に適応可能な研究方法といえる。因みにこれまで筆者が研究した作家の国地域を見ると、東アジア(森鴎外、井上靖、川端康成、小林多喜二、中島敦、芥川龍之介、坂口安吾、有島武郎、三浦綾子、佐藤愛子、幸田文、魯迅、莫言)、ヨーロッパ(トーマス・マン、ハインリッヒ・ベル、ペーター・ハントケ)、南アフリカ(ナディン・ゴーディマ)であり、さらに北米や南米など他の国地域の作家たちにもシナジーのメタファーの研究を適応させていきたい。
花村嘉英(20202)「社会学の観点からマクロの文学を考察するー自然や文化の観察者としての作家について」より
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