「ここにこうしていると波の音に寄り添っていると。。。海に消えた吾朗太が戻ってきているような不思議な感覚になりますね。海。。。うちは、お恥ずかしいお話し産まれた実家がヤクザで、私は全く素質もないし気も弱いし暴力や血を見るのも苦手で。。親も私は最初から跡取りから外されていましたし、情け無いどころか、むしろそれは感謝してます。吾朗太がいてくれたおかげもありますね。私同様の本妻の兄が2人いますが、バカで信用ならないとあまり父親は期待していなかったんです。まぁ、父親が死んで一家離散になって。。その兄達は、今はどうしてるのかすらわかりません。剣崎の家の男性だから、そう長くはないでしょうし。もう死んでるかもしれませんが。」海の家クワタはお昼過ぎでざわめく中四朗は遠い目をしました。
行方不明の吾朗太がもう亡くなっているとわかり、一区切り。気持ちの整理をつける為にもわざわざここへ来たしずーっと、心の片隅で吾朗太の行方は気になってはいたけど四朗も実家の父親は子どもの頃に亡くなったし小さい頃から組の若い衆が何人か亡くなったり急にいなくなったりしているのを見たし薄々、吾朗太はもう死んでるんじゃないかとは覚悟はしていた。
父親の蓮気が亡くなって剣崎組は解散して四朗は幸い父親の遺産などでどうにか学校へ行ったりして吾朗太も家出したり多分何人か女性をつくって女性の元に転がり込んで生活をしていたんだろう。生活も疎遠になって、まともに話したり連絡はほとんど取らないものの、吾朗太はメインの連絡先が変わるたびに電話番号が変わったとは、それだけはきっちり律儀にいつも連絡があった。それが嬉しかった自分の中にいつまでもなにか失いたくない子どもの自分を発見したように。連絡がある度に吾朗太には
あんまりやり過ぎるなよとは言っておいたけど。お互い東京にいたけどあまりにも住んでいる世界は違う。もちろん、お互い暇じゃないし吾朗太も性格的にじっとしていられない時間に追われる生活。。。四朗は吾朗太と
成人してからはあまり会ってなかったけどある日、ふと何気なく掛けてみた吾朗太の電話が繋がらなくなり、あちらから電話番号が変わったという知らせも無くなった時はもう、この世に吾朗太はいないかもしれないと。。。しばらく行方を隠したり身を消したり死んだ事にして逃亡する。。。吾朗太がそんな事があってもおかしくない世界に生きているとは言えもう、吾朗太はなんとなくこの世にいないんじゃ無いかという予感がした
最近
TVで先日のプルメリア島で発見された若いハリネズミの男性らしき白骨死体の行方不明者のモンタージュが、放送があった、と三太夫の兄さんから久しぶりに電話があった。
えっ。。。TVいつも落ち着いて冷静な三太夫兄さん。。。
三太夫は
異母兄で、四朗は自分には一朗や次水という母親も一緒の兄が居たものの一朗や次水は歳も離れてヤクザでほとんど家にいなかったし多分何度も逮捕されたり、よく知らないけど少年院にも出たり入ったりしていたんだろうと思う。それ以前に怖くてマトモに口をきいた事すらなかったし。四朗にとって実の兄でもいないもの同然だった。だから、異母兄でも四朗は五歳歳上の三太夫の事を兄さんと呼んでいたし、世田谷のいい家柄に里子に出された三太夫は父親の蓮気からヤクザとは縁を切るように里親に出して、お前が幸せになるために必要だからと父親の強い要請で実家のヤクザの剣崎家とは縁を切るように疎遠になったものの、
父親の蓮気が抗争で撃たれて亡くなってからは三太夫も四朗や吾朗太が心配だったのかこっそりと四朗に連絡してくるようになったさすがに反社会の吾朗太には三太夫も直接連絡は取らなかったみたいだけど。それは、三太夫がヤクザを嫌がってというわけではなく吾朗太が干渉すると怒るからだ真面目な三太夫が吾朗太に関わるとすれば、ヤクザから足を洗えと言うに決まってるしそんな事言おうもんなら吾朗太にお前だってヤクザの子じゃねーかヤクザがいなきゃお前は産まれてねーんだよ、ヤクザに感謝しろと返り討ちに合うに決まっている
四朗も生真面目だけど四朗は吾朗太がヤクザをやろうが反社会に生きようと、そういう人はそういう人でもうそういう社会でしか生きられない資質だからと尊重というか割り切っている
三太夫は四朗が大人しくて自分同様にとてもじゃないけど反社会では生きていけない性格というのはわかっていたし四朗とは連絡を取り合っていました。お互いに多忙でなかなか会ったりできないし連絡もそんなにしょっちゅうではなかったけど。
四朗もそんな三太夫から最近ひさびさに電話が。。。と思ったらいきなり三太夫がテレビ番組の話をしはじめて。
わざわざ何のためにと不思議に思っていたところ三太夫の子どもがパーフェクトサーズディという番組を見て霊感があるという霊媒師が、先日プルメリア島で発見された白骨死体の生前の姿を予想したモンタージュですというモンタージュ写真に
「お父さんそっくり。。だけど、お父さんじゃない。だけど似てる。。えっ、なんでお父さん若い頃グレたりヤクザじゃなかったよねあっ、それにこれは死体だから生前でお父さんは生きてるからお父さんじゃないけど」とテレビ番組のモンタージュ写真の話しに興奮していたので
いったい。。。娘や息子は何を言ってるんだろうかとでも、娘や息子はキンキン。。とかきんきらきん、あれはヤクザだとか。。
あっ。。。キンキラキン子ども達は、自分かと、お父さんかと思ったまさか。。。
あまりTVを見ない三太夫だったけど、パーフェクトサーズディというのは超人気番組でなんとなく家族がTVを見ているのを見るともなしにBGMみたいに流すように眺めた事は何度かあるそうだ、つい先日、プルメリア島のレポートを、美術科のヴィーナス先生がパーフェクトサーズディで生中継していて海底宮殿でヴィーナス先生がハリネズミの男性の白骨死体を発見したと大々的なニュースになっていた。うわっと、思ったけど三太夫が子ども達に詳しく話を聞くと、
その白骨死体の生前のモンタージュ写真を謎の霊能者が透視して、そのモンタージュ写真のハリネズミの若い男がお父さんによく似ていると言う話しだ、
でも、キンキンでなんかヤクザというか、明らかにカタギじゃないしお父さんは生きているし。。。子ども達がそんな事を言っているのが聞こえてきたけれど。。三太夫は遠い昔遠くで何かが歌うような胸がざわめく熱くなる。。。
やっぱり。。。
パソコンで子供達が見ていたTV番組の動画がアップされていたので閲覧したら。。。
あっ。。。それは。。。やっぱり。。。
と、言うように霊媒師とか霊視とかアホらしい話しではあるけど心当たりがあるから、番組で言っているようにプルメリア警察署と番組に連絡する、そうやって三太夫兄さんは霊媒師の話しなんてバカバカしいけど先日のプルメリア島の身元不明の白骨死体発見の若いハリネズミの男性は吾朗太かもしれないという連絡が三太夫から来たので四朗も慌てて三太夫が観たというパーフェクトサーズディのプルメリア島の事件のモンタージュを検索を掛けて動画を閲覧して。。。
あっ。。。間違いない、これは若い頃の吾朗太だ
「と、いう事で兄の三太夫から連絡がきて私も三太夫もなかなか遠方まで出向く時間を取るのが難しくて先に三太夫が先日プルメリア警察署へ出向いたのです。DNA鑑定の結果、白骨死体は三太夫と兄弟は間違いないという事を知らされて、私もやっと時間が取れてここに来れました。私は、吾朗太は誰かに殺されたんじゃないかと思います。あゝいう世界で生きてきた弟ですし、敵だらけだし、もしかしたら女性関係からかもしれません。」四朗はため息をついた。
四朗の異母兄の同級生だった
ダイヤさんが「うちの葉月社長がプルメリア島の名士だから代表でプルメリア警察署で伊集院君。。。石鍋さんのお兄さんの三太夫さんの話に立ち会ったんだけどその前に参考資料として、私もあのパーフェクトサーズディの動画の吾朗太さんのモンタージュ写真を見てびっくりしたわえっ。。。これって。。あの同級生の伊集院君なんで、確か外務省にいるはずだと思うけどなんでキンキラキンに。。しかも、モンタージュ霊視って事は死体亡くなった嘘でしょ。。なんでキンキラキンに。。あっ、そういえば伊集院君はうちの近所の伊集院さんの家の里子となって転入してきたから、もしかして伊集院君じゃなくて、伊集院君の誰か兄弟がと思ったけど。。。弟さんだったのね」
2023年09月03日
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