「ね、なんか変な雰囲気しない気のせいかな。。あっ、ほらさ、変なって言うと誤解だよ、僕は霊感だとかそーゆーのないから。。だけど、怖い話しでここ、なんか嫌なゾクゾクってするってのあるじゃん。それの、ゾクゾクってわけじゃない、なんとなく。。嫌な感じじゃないけどさ。嫌じゃない、反対にホッとするというか。。あっ、前にさー、一度来ただけだから、あれだけど。あの時もいい雰囲気だったけどさ。でもなんか、ほら、ちょっとあの時とはまた、別の意味で、穏やかななかにいい新鮮味というか。」
オーガストさんのまるで夢の中のようなストレリチアの群れに包まれた古民家の庭で。。。
そこに、ホストクラブ熱帯夜の流星こと駿栄と、ルームシェアの饗が佇んでいる。ハタチの若い二人。プルメリア島の真ん中の中心街のプルメリアリゾートのホストクラブのキャストの2人は。同じ歳で同じ誕生日、会社が借りた寮が一緒お互いにかなりの綺麗好きという事で、ヤンチャな饗と生真面目で聡明な駿栄は性格は全然違うものの、かなり仲良くしていました。二人の誕生日、8月24日。先日、2人が仕事の後掃除当番をして朝帰った時に。。。流れていたタクシーを捕まえたらその日たまたまどうしても人数不足で、一般車のヘルプをしていたハイヤーの運転手のオーガストさんのタクシーでした。
そうそう、そのオーガストさんも 座席の後ろの名刺入れの自分の名刺に、オーガストという名前の後に24というロゴを入れていて。後部座席に乗った饗と駿栄が顔を見合わせて「なにこれ、俺らの誕生日オーガスト、24.」「わ、あっ、これ名刺だから。。えー、もしかして、運転手さんの誕生日僕ら、8月24日産まれ同士なんだけど、」
と、聞いてみたら名前がオーガストで8月産まれで24日産まれなので名刺のオーガストの下に24と入れたみたいで。偶然にも、乗ったタクシーのドライバーさんが、普段は黒塗りのハイヤーでアクアマリンカラーの一般車に乗っていない事と、自分達と同じ誕生日でかなり話が盛り上がり、名刺を貰って24というロゴのほかに青い山のマークみたいなものも名刺のフチッコに記入されていて。プレゼンスタクシー。。というか、プレゼンスグループのマークってわけじゃないよな、家紋だろうかと、さりげなく名刺入れに駿栄がオーガストさんの名刺を入れようとした時に赤信号で停車してエアコン、寒くないですかなどなど、サラッと何気なくオーガストさんが振り返った時に。。。あ、あ、あ。。。青山の。。。青山の、オッちゃん。。。み、ミーナの、ミーナのおとう。。ミーナのお父さん
青山奏
そ、そんなわけない、この人はもう完全に多分六十代は過ぎてるだろうし。で、でも、あっ、も、もしかして。。
あ、青山。。青い山の。。ロゴって。。えっ。
駿栄の故郷、故郷というか地元。東京の渋谷。。。松濤の超高級住宅街、一等地育ちの駿栄。その隣の家は、幼なじみのハリネズミの純、神野家。昔からある家に住む神野家で、そのまた隣は。。同じく幼なじみのロシアンブルーのミーナ。。。ミーナが産まれる前に成功した若い実業家の青山奏が奥さんとミーナの姉と共に家を建てて住んでいる。その、青山奏。。。忙しくてなかなか会えないものの。。。会えば気にかけてくれてかなり良くしてくれてたし。あの、青山のオッちゃん。。。歳はとってて親子ぐらいだけど、この人、青山奏氏にそっくり青山奏は、チラッとマスコミに出ていた事もあるから、顔を知ってる人は知っているだろうけど、饗はさりげなく外を眺めていて振り返ったオーガストさんの顔は見てないらしかった。。。
親子ほど年齢差あるけど、奏氏に。。そっくり。。。あっまさか。。まさか
青山奏といえば経営者として自叙伝が売れているし学歴がないのに成功したとか、親に捨てられて祖父母に育てられた、とか。。こ、この人。この人ってまさかなんて、事があったでも、結局は、のちのちわかった事で、オーガストさんは、青山奏氏の母親。。元奥さんにまんまと騙されていたようだ。
そのオーガストさんは、プルメリア島の西側のプルメリア港の美しいストレチリア群に包まれた古民家に住んでいるあの日。。。初めてタクシーでオーガストさんに会った二人は三人とも同じ誕生日というのもなにかの縁だから、と降りる前に、オーガストさんがメーターを切って、自分の家のストレチリアを花束にして渡してくれたのだ。
2人はホストクラブで働いているという事でイキイキとした生花は、場も華やぐし女性の気分も良くなるしこれは、おめでたく縁起のいい花、だし。お客さんに綺麗なんて褒められたら、あなたの方が綺麗だけど、と、そういう話にも結びつくし。」なんて、冗談まじりにオーガストさんは笑ってストレチリアを2人にくれたのだ。そう、あのストレチリアを見てホストクラブ熱帯夜の社長の黒豹の朔夜が昔、東京の新宿で極楽鳥夜ストレリチャと、いうホストクラブで働いていて。。そこにこんな極楽鳥花みたいな雰囲気の伝説のホストがいた亡くなった極楽鳥夜の社長も好きな花で東京に帰って社長の墓参りにいつもストレチリアを供えると言っていました。
その、オーガストさんのストレリチア畑に2人は佇んでいます。なぜかと言うと、あれから、饗と駿栄はさりげなくオーガストさんの事を口コミで筋のいいお客に宣伝して特に饗の太客の宝石商のお金持ちの未亡人も、オーガストさんの気遣いと笑顔溢れる細やかな接客に感動して自分や取引先などオーガストさんのハイヤーをすすめて。さらにいいお客さんに恵まれたオーガストさんは、そのお礼にLINEで饗と駿栄にあのストレリチアなら、いつでも自由に持ってっていいから。と、宝石商の未亡人も子どもの頃から一目惚れして、一目見た時からストレリチアが大好きという事で、今日は誕生日という事でお店に饗の顔を見に飲みに来るのでそれなら、オーガストさんもこのシャロンさんという饗の太客のお客さんから本人の利用や上客をいろいろ紹介して貰っているので、饗にLINEで今日はお世話になってるシャロンさんの為に飾れるなら、いっぱいストレリチアを飾って欲しいし、他のお客さんやキャストの人もいるだろうから、シャロンさんにお渡しして貰えませんか、と頼んでみた。饗も、ちょうどオーガストさんにお礼しますから、シャロンさんの誕生日にストレリチアを貰っていいか聞こうと思ってたところで。
オーガストさんが朝から予約が入っているので立ち会う事は出来ないけど、門の淵のバケツの中に、花きりハサミを入れとくから。。。バケツももう使わないし、そのまま返さなくていいのでぜひストレリチアは好きなだけ、切って持って行ってくださいと。不思議な事に、ストレリチアは次から次へと枯れては他のが咲き絶え間なく咲き乱れていつも花に溢れていました。
饗はルーム同居の同僚の駿栄を誘って、二人でまたこの懐かしいような、なにか思い出したり覚えてるような。。。吸い込まれそうな輝きのストレリチア畑に佇んで居ました。
そうそう、饗の働く熱帯夜の朔夜社長。尊敬する亡くなったマヒルという新宿ホストクラブ時代の社長。。メンターというか師匠というか。。ストレチリアが好きだったという。。。そのマヒルが寵愛していたというストレチリアの様な雰囲気を持った伝説のホスト。。。
「あっ。。。」突然駿栄が叫ぶので、饗は、「な、なんだよー、急に、なんか、忘れたのか。。。お前さっきから、変な雰囲気がする、とか。。おかしな事言うし。。。で、でもなんか、誰かいる気がしないでもない。。。」
なんだろうか、下から上へフワッと上昇するような不思議な感覚に包まれるのだ。応援されている様な空気というか。。。
「だよね。。なんか、こないだの時とちょっとだけ空気が違うというか。。そ、そうだ、ここじゃないけど。。ほら、初めてオーガストさんのタクシーに乗った時に。。ホストやってますみたいに言ったら。オーガストさんが、うちんら達よりちょっと歳上ぐらいの、多分同業者の幽霊見たみたいなこと言ってなかったっけ。。ほら、ちょうどこんな感じの雰囲気の、」駿栄がこんな感じと言うのはもちろん目の前に広がっているストレリチア群の事で。。。
「あっ、あー、そうだ、言ってたまてよ、このストレリチアみたいなって。。。で、ホストみたいな。。あっ、社長の言ってた。。氷室終夜って。。あれだろ、このプルメリア港で見つかったハリネズミの白骨死体。。。モンタージュでキンキラキンの。。
あの幽霊か。。。あの時、オーガストさんがかなり変だと思われるかもしれないけど、まぁ、ホストさんなら話のネタになるだろうし。。さっき俺たちみたいな職業の若いハリネズミの幽霊を見た、なんだかうちに咲いてるストレリチアみたいな感じで、ってあの時チラッと。。。あっ、あれはその氷室の幽霊か。。。」「うん、多分、それ氷室さんって幽霊。。だと思う、ま、僕は霊感あるからどうかわかんないんだけど。。。あの人。。亡くなってからそのままプルメリア島にいるんじゃないか。。。あの時は店の近くだったんだろうけど。。。まさか、あの人。。この辺にいたりして。。。」駿栄がそういうと、饗は、「わからん。。俺も霊感ないけどさー、まぁ、でも社長が言うあんまり飲まないのに伝説のホストで、いるなら会ってみたい気もするちょっと興味あるな。。。ま、それはさておき、切ってもらってくか。綺麗に咲いてるのと、それだけじゃなくて蕾も。」
あれは。。。アイツらだ、あの、俺がちょっとついてってやれみたいに二人のマンションまでついていったあの時の。。。
吾朗太さんがオーガストさんの古民家を探し出して近づいてみれば。。。なんだか二人、先客が。。それは、以前にあいかわらずふらふらして、なんかいい感じだなとプルメリア港で見かけて住まいまでついていったハタチぐらいの若い二人だった。
一人はブー子の幼稚園にもいる様な種類のぶち犬。ブー子がベーグルというけど、確かビーグルだ、で、もう一人はフェネックキツネか。。あのにいちゃん達は確か俺の生前にやっていたらしいホスト。。。で、なんでこんなとこで。。というかアイツらオーガストさんの知り合いかなにやら楽しそうに話しながら、花を切り取っていく。。。大丈夫だ、あいつら二人とも俺の姿は見えないはずだ。。
そう思って吾朗太さんは二人に近づいていきました。
は、花泥棒というわけではないようだ、コソコソしているわけじゃないし、それどころか、楽しそうに笑いながらところどころオーガストさんが、みたいな事を言っているのが確かにみたいに聞こえてくる。。
あっ、そうかコイツら、ホストだし金持ってる客のおばさんとかとハイヤーでも頼んで営業飯でもしてるかもしれないな。別に悪そーな奴らじゃなさそうだし。。。まぁ、オーガストさんと顔見知りなんだろう。ああ、花を切ってるけどまぁ、見た感じ許可を得てるんだろーし、あーゆー店だと造り花みたいなやつより、そりゃイキイキした生花が好まれるんだろーな。。。ま、パッとした花だし、
吾朗太さんがさらに二人に近づいていくと、
犬の方が手を止めて、「ね、やっぱりなんか、なんかの雰囲気を感じる。。。別に変な感じじゃないけど、優しく見守られるって言うか、さ。」吾朗太さんはギクっとしうわっ、こいつら、まさかあのヴィーナスってチビみたいに俺の姿が見え出すんじゃねーだろーなぁ
あっ。。。ま、
別に。。。視えてもいいんだけど。。さ。
見つかったら、視えたらこの2人に自分が視えたら。。。霊感の強いブー子のように話をするようになるかもしれねー、か。それも、まぁ、いいかもしれない?
あの、ヴィーナスというブー子なベルモがみつごの弟だと言っている奴とも話せてなんだか少しじんわりと温かい気持ちになった。。。オーガストさんとも時々話すが、自分に気づいてくれると思うとやっぱりなんとなく嬉しい気持ちになる。
ここにいるのに、気づいて欲しい。。。
吾朗太さんがふと、そんなふうにいろいろとりとめなく思わず感じると、饗と呼ばれる方のフェネックキツネが、
「わ、もしかして、その、こんな感じの、オーガストさんがあの日見た、最初気分悪そうにしてて、お金はいいから病院まで送るって言ったらもう死んでるから、って言われたあの、氷室終夜って。。。あのホストの幽霊がいたりして。だけどさー、昼間だし。マジで会ってみたいよなぁ。あ、俺ら霊感ないし、無理だろうけど。」のんきに言う。。
吾朗太さんは、そんな2人をそばで見つめて。。
氷室終夜。。。って。。あっ、もしかして、俺。。。
ブー子が、あなたは、ホストクラブ極楽鳥夜、
ストレリチヤで働いていて、
氷室終夜って源氏名でお酒はあんまり飲まないのに伝説のホストだったらしい。。
って情報をくれた、残念ながらそうなんだ、へー、となにも思い出せないが。。。こいつら、俺の話、してるんか。。。俺も。。コイツらみたいなホスト時代があったんか。。。
時には激しいけれど今日は妙にいつもより穏やかな寄せては返す
さざなみの音が優しく周りを包み込んでいました。。。
2023年02月22日
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