「じ。。。純ちゃん。。じ、純ちゃんが。。どうしたのよ。そ、そんなこと仲のいいベルモに聞けばいいでしょうに。。アタシもベルモもどっちも純ちゃんと友達なんだから。」
ヴィーナスはあれっ。。。と
もしかして。アタシとスマホで口論になったベルモ。口論にって言っても。アタシが一方的にブチ切れて怒鳴り散らしまくってベルモは黙ってしまっただけなんだけど、このやのつくヤバエモン。。というか、柄の悪いチンピラみたいなのが純ちゃんの父親ではないかというベルモにアタシはキレてしまった。。このヤバエモンに、ベルモが純ちゃんの話をしたんじゃないか。。その事で相談でもあるのか
でも。心がふと緩み、包み込まれるような安心感といった感じの癒し系の純ちゃんが。。
このヤバエモンチンピラのにいちゃんと。。親子なんか。。じ、冗談じゃない
「いや。。あの、いい子なんだってな。まぁ、そうだよなぁ。ブーコみてるとなかなかアイツは人の良さそうな顔してヤバいやつとはあまり深く関わらない計算高さというか。。生活の知恵みたいな知恵がついてるわなあー。純って。。。だいたいハタチかそんなもんぐらいなのか。。名前からして。。男でもイケるが女、だよな。。」しおらしいパッキンキン幽霊。。女か。。。ヴィーナスに念を押すかのように、純というのは女かと詰問してくる吾朗太さんでした。
一方少し時間がさかのぼり、その日の夜明け少し前木蓮寺では。ベルモが、あれはなんだったのかしら早朝まだ皆が寝静まる頃に変な胸騒ぎがして。。。本堂を覗くと。。
ご本尊様の前で吾朗太さんがうなだれていました。思わず声を掛けてみようかと思ったベルモは、
はっ
金縛りにあったように本堂の中に入ることができません。あっ。。。蓮の花の強い香りが漂います。ご本尊様だ、ご本尊様が、ベルモを金縛りにかけて本堂へ立ち入らないようにと。
パッキンキンさんは、なにか木蓮寺のご本尊様に願いをかけているのか、頼み事をしているのか。。。でも。。。御神仏に手を合わせるなんてご神仏に手を合わせるなんて信じられないだけど、なんだかご本尊様に相談なのか手を合わせるのか。。。
み、見なかった事にしよう
そう、見なかった事に。な、なんであの吾郎太さんが仏様に
仏様に向き合うような性格じゃないだろうに。吾朗太さんにはいつもからかわれているから、ここはもう、へー仏様に手を合わせるんだー、意外なんて言ってやりたい気持ちもあるが、敬虔な気持ちを馬鹿にしてはいけない。なにをしているのか、気になるところだけど。。それは、人は誰でも知られたくない見られたくない時がある。
そう、視ざる言わざる聞かざる。。あえてそうしなければならない時があるのだ。ベルモは、木蓮和尚の人生相談につきそい後ろで鎮座する修行をよくしているけど、黙って傾聴するのみで、決して意見を発してはならない。主義主張があるベルモにはあれはつらい。TVに向かってあーでもないこーでもないとぶつぶつ言う人や、ネットに自分のコメントを書かなければ気が済まない人はたくさんいるけれど、あえて言ってはいけない誰だって。。。自分をわかってほしい、でも誰も自分をわかってくれないというモヤモヤとした気持ちを抱えて誰かに自分の気持ちを聞いて貰うとスッキリする事がある。だけど、世の中には言ってはいけない事があり、それで長年の人間関係が崩れたり夫婦の信頼関係が壊れたり亀裂が入ることがあり、言ってはならない事や知ってはならない事で命を狙われる事もあるのだ。現実現世生活はいつでも、人と人との心理戦。
だからあえて
負けたり戦いを避けるのを賢い時がある
やじうま根性やおもしろ好奇心やゴシップ好きなところは多かれ少なかれ誰にでもあるもの。だけど、ベルモは仏に使える身。世間では、よく視て体験して人の話に耳を傾けて、視野見分を広げて自分の考えを発言するという事は大事だが。。。ここは、真逆にも見なかった事にしよう、とベルモが決心するとまた、美しい何とも言えないような蓮の香りに包まれたかと思うと。。フッとベルモの身体が緩んで金縛りは溶ける。。
あっ、見なかったこと。
それでいいんだ、吾朗太さんにだって思うところあるんだからね。。ベルモは本堂に背を向けると、ヴィーナスを。。。と、なにか、吾朗太さんの声でぶつぶつとヴィーナスを。。と聞こえたような気がした。。
だけど。。吾朗太さんなんて、ヴィーナスに会ったことなんか無かったでしょうに。そりゃあ。確かに吾朗太さんはヴィーナスに白骨死体を発見されたものの。。
霊体は木蓮寺にいて木蓮寺周辺やらフラフラしてるんだから。それに、ヴィーナスに会ってもヴィーナスは確か霊感がなくて私と違って幽霊は見えない子なんだけどねー頑なに幽霊を否定するもう一人のきょうだいのミリオンとは違って、クリエイティブな職業柄幽霊が居たら視てみたいとは言ってるけどね。まぁ、吾朗太さんの方からヴィーナスを見かけたら、オマエのきょうだいがいただの、俺の白骨死体を発見したやつを見ただのあたしに言ってくるだろうし。ヴィーナスの事は吾朗太さんに話してある。別に悪さしないだろうからなんとなく神楽町市の麗しが浜海岸の目立った海辺の白い大邸宅に住んでいるだの、有名美術家だの、なんとなく話の流れで吾朗太さんにはいろいろ話した。
ベルモの部屋にみつごのきょうだいの写真も家族写真の他に写真立てに飾ってあり、それでヴィーナスやミリオンは細くて小さいので、ベルモは公開処刑だとからかわれたし。だから、ヴィーナスの顔も知ってるだろうけど。
ま、かといって。。気のせいというか、ヴィーナスと聞こえたのは空耳だったのかもしれない。ベルモはまだまだその時は夜が明けてないのでまた離れの住まいに戻っていきました。あれはなんだったんだろう、気になる気になるでも、夢の中の出来事。
そして。。。ふたたび。。時は過ぎて麗しが浜海辺の白い家で。
「純ちゃんはハリネズミの女の子よ。19歳。神楽町市の東のイーストサイエンス大学に通ってて東京出身でおっとりして優しくていい子よ。なんで。。女か。。ってイヤそうな顔するのよーあんないい子そんなにいないわよ。アタシもベルモも友達だし。」ヴィーナスが幽霊の吾朗太さんに言うと、吾朗太さんは少し安心したように、でも寂しそうに
「あ、そう。女は女でも横着い悪いヤツじゃねーんだな、じゃ、俺は関係ない。。ま、、関係ない」というので、ヴィーナスが、
「え。。何が関係ないのよ。」「もう、いいんだって、、俺は。。。過去の生きていた頃の自分を思い出したら成仏できるって話らしいんだけどよ。ブーコから、名前をきいても、過去にどういう事があったとか、東京生まれとか兄がいるとかヤクザの息子だってきいても。。。全然思い出せないからよ。だからもういいんだって。。その純ってやつも俺のガキじゃねーだろうし。。あっ。。」しまった、喋りすぎたというような顔を吾朗太さんはする
ヴィーナスは、
「あ。。。もしかして。。純ちゃんの事を。。。」「もういいんだって、俺は散々女を騙したり貢がせたり殴ったりいろいろやってきたらしいからバチが当たったんだよ。嫁だったやつが他の男との。。。ガキを作ってたんだ。まぁいい、もう俺も散々女を泣かせてきたし。ガキには罪はねーよ。それに、ガキのオヤジが俺じゃなくてその純ってガキは助かったんだよ。」
吾朗太さんがそう言うのをヴィーナスは、純ちゃんがヤクザの子じゃないから良かったんだという意味にとらえましたが「純ちゃんには罪はないわ。あなたのお嫁さんだった人のお姉さんに育てられて裕福な東京の資産家の娘だし、」と、ヴィーナスがいうと、吾朗太さんが、
「おいおい。。俺の嫁だったやつはガキを姉貴になすりつけたんか、全くろくな奴じゃねーけど。まぁ、俺の女って事はろくな奴じゃねーどうぜ間男のお人好しなやつに独身だと嘘ついて引っかけて暴力を振るう俺から逃げたんだろう。。。。に、してもガキも可哀想だなぁ。。まぁ、俺のガキなら命も危なかっただろうからもっと可哀想だけど。。間男がマシでガキはいい子ならそいつに似たのかもな。。。」
「命が危なかったって。。おおげさね、もう吾朗太さんの実家のヤクザの組は解散してるはずだし、ベルモが言うには吾朗太さんって。。。結婚して女性の籍に入ってもう素人だったでしょ。危ない商売でもしてたんかしら。」
「そう言う意味じゃねーよ。ヤバい仕事してたかどうかわからんがブーコの持ってるメモ書きに、俺に関する事がいろいろ書かれてて。。バカバカしいけど俺の実家の剣崎家というのが女がろくに育たないらしい。そんなのバカバカしいけどよー。俺にも姉貴がいたらしいけどガキの頃死んだらしいし。剣崎という家はそういう気味が悪い家で男ばっかり産まれたり、女がすぐ死んだり俺みたいに結婚して女の苗字になった奴は女が産まれてもハタチぐらいで危ないらしい。だから、その純ってガキは良かったんだよ。。。」
吾朗太さんはそう言う。。さりげなく話しを聞いていたヴィーナスは。。
「えっな、なんですって」大きく目を見開きました。。。
2022年08月05日
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