「と。。。と、いう事で私はたてこんでるんで。。こ、こ、子どもの話しは。。そんなの。。し、し、知らないわ。。」
アワアワと
明らかに子どもの話をしたら動揺したベルモ。
アヤシイ。おかしい、なんか隠してるだろ
吾朗太さんは、口に出さないものの。。。
もう、わかってんだよ。
はっきりとしないけど俺にガキがいるかもしれないんだろ。だけど、ブーコは俺に生前の嫁さんだった奴が托卵したかもだの。。。そういう事は俺が傷つくとかプライドが高くて怒るに違いないだろうだの。。。言えないんだろう。嘘をつくか。。。坊さんが嘘をついていいのかなんて思うだろうが。
親がどう見ても不細工なガキに誰々ちゃんは可愛いとか、将来すごい美人になるとか、親が好き嫌いが多いガキに魚を食べると賢くなるだの野菜を食べると美人になるだの
医者が末期のどう考えても時間の問題な癌の患者に本人の許可なく心の準備なく単刀直入にアンタはもうダメだとか、そういうふうに言わずに
ただのストレスの胃潰瘍だの
地道に治療すれば回復するだの。
なんかよくわからんが、サンタクロースがいるだのと
人が生きる上で、必要となってくる希望を持たせる為の、良心というか。。。そういう類の嘘みたいな。。。こいつはそういう優しい旨味のあるウソをつく奴だ。ウソというか。。。えーと、
方便、だっけ。コイツは方便をうまく使わなければ人はまっすぐ生きていけないと言う。いい奴だから快適な嘘をつくのだ。
でも。。。そういう嘘はというか、ふわっとした安らぎというものは。。。優しくジンワリ身に染みてあたたかい。気遣いというやつか。。。
勝手にベルモのノートを漁って盗み見ただのそういう事も言えないし。
吾朗太さんの頭の中が混乱してグルグルする。。
どういう事だ、あのオレについての秘密のノート俺にガキがいるのかとか、
俺の生前の嫁さんて奴は托卵馬鹿女なのかとか、
俺が生前の実家の剣崎家ってヤクザの家は呪いがかかっていて女はまともに生きられないとか
どういう事だ、
その神野純ってやつは女なのかとか。。。
ベルモが口にしていない俺についての裏事情を
聞いてみたいけど
あっ
アワアワ焦る
ベルモを前にして。。。吾朗太さんは。。
はっ、と気付いた事がありました。そうです、
不倫する托卵したかもしれない馬鹿女と、ヤクザで女を泣かせまくって違法経営して金儲けして遊び人だったという反社会のオレ。。。
どう考えても、ガキはオレのガキじゃねーだろ。このデブが、わざわざ反社会の横着の人様に迷惑かけてばかりの犯罪者みたいなガキとわざわざ仲がいい友達にはならんだろうし。説教してあんた今からろくでもないと将来的に知らないわよ。みたいなことぐらいは言ってやってだけど自分とは気が合うとは思えないからやばいから浅い知人ぐらいにとどめるだろうし。
ブーコが真っ青になるほど大事な友人という事は、いいやつなんだろう。オレのガキじゃねーな。
神野純という、吾朗太氏の生前の嫁さんの産んだ子ども。。。よほどいいやつのガキなんだろう。そうだ、そうだ。俺は騙されたんだ嫁って奴に托卵されて。世の中にそんな馬鹿女にマンマと騙されて知らん顔されて。。そんな馬鹿な男。。多分たくさんいるんだろう。
多分、その神野純の父親は、お人好しかいいやつだからオレの嫁さんの馬鹿女に結婚してないだのなんだかんだ上手いこと言われてまんまと騙されたんだろう。
でも。。。馬鹿女が俺から逃げたかったのはわからないでもない。オレはきっと嫁さんに愛想を尽かされるほど酷い奴でこんな奴と結婚したのが運の尽きみたいなバカやろーだったんだろうから。ヤクザで暴力も借金も浮気もギャンブルも。。。オレが女でも逃げるわ。
必死で気まずさをとりつくろうベルモがなんだか可哀想になってきた。なので、これ以上追求はやめよ。そんないいガキはオレのガキじゃない。
ヤクザで早死にして女を泣かせまくって。。。
そんなオヤジ。。どうなんだ。
血の気の引いているベルモに話題を変えて、
「なんだ、お前たち。。。札幌がどうって。?」やっと子どもの話題から話しがそれたので、みるみるベルモはもとの血色に戻りました。
わ。。。わかりやっす真っ青から通常のレモンイエローに戻ったベルモに吾朗太さんはなんかのコントか、冗談は顔だけにしやがれ空いた口がふさがりませんでした。かと言って、まぁ。ベルモは吾朗太さんの為にいろいろ動いてくれているし。。。これ以上突き詰めて問い詰めるのはやめにして緩やかな世間話に切り替えました。ベルモは、吾朗太さんがまるでチャンネルをパッと切り替えたように話題を楽しい話題に変えられてさきほどの真っ青な顔から一変して思い出すようににっこりと
「札幌はけっこう何度か連れてって貰ってるの。身内もいるし、木蓮和尚の修行していたお寺もあるし、濃紫婆さんももともと札幌から嫁いできたし。ウチの幼稚園の卒園旅行も札幌だしね。冬は寒いけど、常夏暮らしの私たちに雪国体験は贅沢で珍しいし。私ははじめて行った時にすぐに一目で好きになったし。プルメリア島みたいにあたりまえに大都市に違和感なく自然が溶け込んでて。賑やかなのに街中もスッキリしてるしはじめて行った時はあちらは秋のはじめで無料で外に快適なエアコンがついてるみたいな気持ちいい涼しさだったしね。」「オレが捕まってた刑務所も札幌だったんだろ。。。お前の話しだと」吾朗太さんが言うのでベルモははっとして
「あ、ごめんなさい。嫌なこと思い出させちゃって。。。」「いや、生きていた頃の記憶は全然ねーよ。だけどな、札幌で刑務所にいたと言われてもなぜか、札幌はなんとなくそれでもいいところとしか思えない。。なんでだろ、お前から聞いてオレはハワイやらアメリカやらオーストラリアやバリ島やら、いろいろ海外にオヤジに連れて行かれたそうだが。。。なんでかわからん、そんな海外の話しを聞いてもふーん、としか思えんし。不思議な事に、オヤジに京都へもけっこうつれていかれたらしいがそれを聞いたところで
国内にしてもふーん、としか思えない。ただ、なぜか札幌だけは。。。捕まって拘留されていたと聞いてもなんかいい感じがする。。。」「え。。。特別に寒いのが好きだとか」「んじゃあ、年中夏のここにこねーだろ。まぁ、死んでバケモノのオレは暑さも寒さもねーけどよ。寒いのが好きだって。。そーいう事じゃね〜と思う。」「そうなの。。。まぁ、どの場所も長所もあるけど偏見で人が冷たいやら気取ってるやらと勝手にいろいろ短所なイメージの欠点もあったり人気ある地域もアンチがいたり。長所と短所のバランスが綺麗でその地域の魅力が奥深いものになるけど、札幌は人気あるし、あまり嫌いだと言う人がいないからじゃない。私も本当に大好きだしウチのチワワ達もディズニーランド連れて行くよりよっぽど札幌の方が喜ぶもん。暑いか寒いかは全然真逆として。。。プルメリア島みたいに、大都市に自然がすぐ近くにあって歩いてて色んなお店もにぎやかだけど綺麗で嫌味がない品があるところが良いんじゃないかな。
誰にでもお気に入りの。。なんとなく好きな場所ってあると思うんだけど。。。」「そうかぁ。。。」
確かに派手好きな吾朗太氏ならアメリカやハワイやら。。。なんとなく国内よりも海外に惹かれる様な気がしないでもないし。わざわざ拘留されていた場所がイイなぁとなんとなく感じるのもね。
札幌、確かに海鮮も飛び抜けて美味しいけど吾朗太さんってどうも大食いってタイプに見えないし。魚より肉って感じだし。甘いもの。。。スイーツも美味しいけど
でも、今はもうだいたいの日本国内のお店って割となんでも美味しいと思うし。吾朗太さんが生きてた20年近く前だって吾朗太さんは東京だし。美味しいものはわざわざ北海道に行かなくても食べてこれたはずだし。ヤクザの剣崎家の組長の息子で特に甘やかされてきたなら、いいお店も親に連れて行かれただろうし。。。売れていたホストやったり女に苦労しなければ、いいお店なんか幾らでも行けてただろうし。。。わざわざ食べ物に執着するタイプに全然見えないし。。。
それにしても、それじゃ
なんか、特別に札幌でいい事でもあったのかなぁ。
ベルモがボーっと考えているとスマホのLINE電話が鳴り出しました。
あっ。。。表示はヴィーナス。。。
そう、今日電話で大喧嘩したんだ。。
そ、そういえばチラッと吾朗太さんを見ると。。「あ、あー、あっ、その、きょうだいから電話だから。。。ごめん、ちょっと」ベルモがそういうと、吾朗太さんはフッといなくなり、また境内へ戻って行ったのでしょう。。。
そう。。喧嘩したのよ。夕方。。。ヴィーナスに一方的に怒鳴られてだけどー。。怒鳴られても。。コッチが悪いような事をあえて言っているようなものだから。。。
どうしよう。。。電話に出ようか、とベルモはグズグズ迷ってるうちに着信音が切れてしまいました。
「そ、それカクテルよ。」
青の洞窟で、接待中の福の神笑〜たち。今後のTV番組の企画の事で話していると美術演出家のヴィーナスが、隣の幹部のスクリュードライバーを自分のオレンジジュースと間違えて全部飲んでしまいます。
ヴィーナスは、「エーそ、そうだっけ」と酔っ払ってフワフワしています。4歳で神楽小学校低学年。もちろんお酒は飲めないのですが、実家が飲み屋。祖父母がスナックやクラブ経営なのでお酒に強い家系なのか倒れないものの。。。もともと真っ赤でじっとしていられなく落ち着きがないのですが、それでもやっぱり酔っ払っています。
「あー夕方デブと喧嘩してたっけ、怒って電話切っちゃって。コノヤロウでぶ、デブコノヤロウ。喧嘩の続きを。。。でろ、おデブ、」とスマホを取り出して寄ってベルモに電話をかけています。
おデブと呼び正式に誰かを言わないものの。。。それがベルモの事を言っているのはすぐにわかります。
笑〜と茶目コは顔を見合わせました。
そんなにヴィーナスを怒らせるような事をあのベルモがするわけないし。むしろ。。ヴィーナスの方が短気で喧嘩っ早いのでベルモに八つ当たりをしてベルモが怒って喧嘩にでもなったんじゃなかろうか。
その様子を見ていた隣の席のリリコとオーガストさんも顔を見合わせて、「ねぇ、ヴィーナス先生がおデブって。。。怒ってるって。。。もしかして。。」天才美術家ヴィーナスは木蓮寺の僧侶ベルモと三つ子のきょうだいというのは世間によく知られています。「よっぽど怒ってるけど、違うんじゃないですか。あのベルモさんがあんなに人を怒らすような事信じられない。」オーガストさんが言うとリリコが、
「でも。。。きょうだいならデブだとかおデブだとか喧嘩したらそう言うのもわかるけど、社会的に地位があるヴィーナス先生が。。幾ら幼いとは言え他人をデブなんて言うかなぁ。。。」
コソコソと二人で話し合って。。。
すると、隣の席のヴィーナスが、「もういいおデブなんか知らない。電話にでないし。」「どうしたの。。。そんなにベルちゃんがヴィーナスを怒らせるような事言うように思えないんだけど。。。」笑〜が言うと、ヴィーナスは、
「純ちゃんが。。。純ちゃんの事をあ、あー、もうやっぱり言えない。ゴメン、忘れて、この話しは終わり、終了。。。」
ヴィーナスは酔っ払いながらも肝心な事に口をつぐみました。なにか、人前で発言するとまずい事なのか。。。
「えーなんなの。。。純ちゃんって。。ハリネズミの純ちゃんでしょ。まさか、ベルちゃんが純ちゃんの悪口言ったとかそうじゃないわよね。そんなのあり得ないし。」笑〜が言うと、ヴィーナスは、「そりゃ、悪口なんか言うわけないしそーゆー事じゃないんだってば。。。違う、違う、そーじゃないけどさハリネズミの純ちゃんよ、そう、もう、忘れて、忘れて。さ、お仕事の話しに戻りましょっ」
ヴィーナスが言います
隣で聞いていたリリコは、ハリネズミの純ちゃんって。。あの純。純がなんかあったのかしら。ベルモさんと純は仲良いみたいだし。。。ヴィーナス先生も付き合いあるみたいだし。
どう考えても。。やっぱり。。あの純の事よね。。。いったい。。。なんなの。気になるわ。。。だけどヴィーナスも、もうその話を終わらせたがってる。。。隣の席へ割って入って突っ込むわけにはいかない。。。
「純ちゃん。。って、もしかしてあのリリコさんが見せてくれたお写真の。。同級生の。。」オーガストさんは、木蓮寺でリリコが同窓会の写メを同級生から送られてきて霊感のあるベルモに相談していたのを思い出しました。確か、純ちゃんという子が透けて半透明になっているけど、これはまさかもしかして。。。純ちゃんになにか悪い事でも起きるのではないかと。。。あの子の事。。リリコとオーガストさんは思わず顔を見合わせました。。。
そして、一夜明けて。
翌日になって、またオーガストさんはアマゾネスサンクチュアリの近くでリリコさんをハイヤーでお迎えにきました。アマゾネスサンクチュアリは女性専用区域なので、オーガストさんは直接は入れません。なので近くの指定された位置で待ちます。
今日は、リリコは、あのヴィーナスやベルモの三つ子のもうひとりのきょうだいのミリオンの暮らす海の家クワタや、リゾート旅館の海の灯り、その旅館の料理屋月の灯りに取材があるという事で、昨日の北プルメリア白蝶貝地区とは反対側の南プルメリアの黒蝶貝地区に出向きます。お客様を待たせるわけにはいかないので、約束の時間より少し早く到着したオーガストさんですが。。。
あっ、
オーガストさんは、窓を開けて、
「お久しぶり、お元気そうですね。」と声をかけてみると、
突然声をかけられてギョッとした吾朗太さんが、
「あー、あ、そっか。オッさんは、オレが視えるんだった。。それにしても死んだ奴に。。。元気もなにもねーだろうに。。。」
吾朗太さんはそう口では言いながらも幽霊の自分が視えてそれを気にかけてくれるオーガストさんになんだか少し胸が温かくなりました。
2021年11月18日
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