「はぁ。。。その。。。怪談話なんかですと、代々呪われた一族の男性が早死にするってたまーにありますよね。。。女性が珍しいケースですねぇ。。。」電話対応のスタッフが言う。
四朗は、「はい。うちは代々ヤクザです。業が深い。散々女性を泣かせてきましたね。」
四朗は気が弱かったのでいっそ、剣崎家の女の子に産まれてサッサと死ねば良かったのにと何度も思ったし、母親の要からはお前は女の腐ったような意気地なしだと何度も罵倒されたと言う。たまたま、要が四朗にお前なんか産まなきゃ良かったと言ったのを吾朗太に聞かれて吾朗太は継母の要をボコボコにし四朗は実際手先が器用で家事は好きだし
思えば
父親の蓮気は几帳面でかなり綺麗好きで、若い衆が少しでも汚くしていると怒鳴り散らしていたし、要は若い衆や四朗をこき使うので家事はあまり得意でなかったけど、三太夫や吾朗太の母親の愛人なつめは綺麗好きだったらしく、
綺麗好き男女から産まれた三太夫と吾朗太もかなり綺麗好きだった。
吾朗太は、ヤンチャで暴れ回るわりには、部屋はきっちり片付いていたし、四朗と一緒に片付けはよくしていたし。吾朗太は、とにかく決まった位置に物を置きたがった。幼い頃三輪車ですら決まった位置にピタッと停めて若い衆が若、そんな隅っこに置かなくてもと堂々と真ん中に停めなおすと癇癪を起こして手のつけようがないぐらいに暴れて怒りまくって定位置の角に停め直させる程だったし四朗の自転車も隅に置いたら
指定席でもなんでもないのに
まるで月極駐車場の他人様のスペースに勝手に駐車したかのように
吾朗太に二度とこの場所に止めるなと怒られたし。
引き出しの中身もピシッと定位置に物を収納したがった。四朗も綺麗好きな方だけど、吾朗太はそれ以上にもしかして五郎太はちょっと潔癖症かもと思った事すらあると言う。
子どもの頃、「なぁ、四朗。アレ汚いから捨てようぜ見苦しいわキモいしあの部屋」それは、吾朗太が普段辛気臭いからと近づかない仏間の事で、四朗は小さな頃から仏花やお供えをしたり仏間の掃除をしていたけど
吾朗太は仏間がキミワルイ暗くてやだと近寄らなかったが、珍しく四朗が掃除している仏間にやってきて「あれは大事なものだから。僕たちのご先祖さまらしいし。。。捨てちゃダメなんだよ。」四朗が言うと吾朗太が、「あのちっこい方だよ黒いデカイやつがあるから二つもいらないだろ。なんかキモいし」吾朗太は仏壇の横の小さな仏壇が気味悪くてしょうがないという汚くない、ピンクでむしろ綺麗なんだけど。。。でも、確かに陰翳的な仏間に。。ピンクはかえって違和感しかなく薄気味が悪く吾朗太には不気味な箱に見えるらしい「大事なものらしいよ。誰かわかんないけど」「なんか、怒ってるようでキモいわあれ。捨てようぜマジキモい。」吾朗太が言うには、その小さな仏壇から俺たちを妬んだり羨ましがったりそんな念のようなものがしてきてとにかくあまりいい気持ちがしないと言う。だけど四朗はおそらくピンクの仏壇らしきものを捨てたらバチが当たると思ったしそんなことしたら祟られると必死で吾朗太を説得していたところに父親の蓮気が来てなにをやってるんだと二人に声をかけると、吾朗太が「オヤジこのへんなの捨てようぜ四朗は大事なもんだしバチが当たるからダメだって言うけどキモいもん大きいのがあればもういいだろもうひとつにまとめるかしろよ。」と蓮気に言ったので蓮気は吾朗太をぶん殴りはしなかったものの甘やかしまくっていつもデレデレな末っ子の吾朗太に
「何を言うんだバカやろうあれはお前らの産まれてこれなかった姉さんたちだぞ二度とキモいって言うなわかったか」
それまでは吾朗太に優しかった蓮気がさすがに手は上げなかったもののヤクザの凄みで本気に怒り出したので吾朗太にはショックでヴヴヴごめんなさいと大泣きして。
直接父親に聞くのははばかれたので、昔からの剣崎組にいるらしい幹部の組員に、四朗は吾朗太と一緒に仏壇の事を聞くと
あれは水子と言って、本妻の要が女の子を二度ほど流産したらしい。吾朗太は、「それにしても。姉さんだろうがなんだろうがアイツらは俺ら俺や四朗や三ちゃんを怨んでる気がする」みたいな事を言ったので
「若達は男の子だからいいけど剣崎の家は代々、昔から女の子が育たないって言われてるんです。組長のオヤジさんもかなり気にしてるんで。。。」なんだかいわくありげそうで。その時は怖くて女の子が育たないってなんだそれ、「なかなか女の子は産まれなくて、姐さんみたいに女の子を妊娠しても流れてしまったり、剣崎家に女の子が産まれても小さな頃に事故や病気で死んでしまうんです。あれは、産まれなかったお嬢二人の仏壇です。」みたいな話を聞いてあの時は小さかったけどなんとなく話しのニュアンスはボンヤリとわかりある程度四朗も吾朗太も成長して、剣崎家の呪いの事を知る
代々ヤクザの剣崎家はなぜか女の子が育たない。産まれにくいし流産して水子になるか産まれても小さなうちに死ぬ。婿養子に行っても、娘がハタチぐらいか若いうちに死ぬ剣崎家の男性が女の子の連れ子のある女性と結婚してもその連れ子は必ず不幸になる。
唯一、剣崎家から外れて本人が未婚のうちに里親に出されて未婚で剣崎でなくなれば影響を受けないという事がわかったお寺や神社や霊能者へ依頼して何度もお祓いしても無理だしウチでは扱いきれないほど大変なものなのでと何件もお祓いを断られたり叔父のヒロキが仏門に入って厳しい修行をして弔っても剣崎家は赦しでもらえないらしい。代々、末代まで祟ってやるというのだろう。女性をないがしろにして酷く扱ってきた業らしいのだ。
二十代だった
四朗は、ある日仕事先の高級老舗洋菓子店イシベーヌの主人に結婚は考えていないのかと聞かれてなんとなくはぐらかし続けていたのだけれどその日夕食に招待された時に久しぶりに赤ワインを飲んで酔ってしまい、その勢いもあってつい自分はヤクザの子どもだしそれは置いといてもウチは因果持ちのいわくありげな厄介な血筋だから。
迷信だ、馬鹿だと笑われても、ウチは兄や自分や弟しか育っていないし父親も男3人兄弟で叔父のヒロキが言うには多分水子や小さくて死んだ女の子がいると思う。世の中には、男の子の子がどうしても欲しいだとか跡取りがって家はあるかもしれないけど四朗はそういうのは反対というか、もうそういう時代じゃないと思うしやっぱり女の子ができたら可哀想だし子どもを作らないならそこまで結婚したいとも思わない。僕は、まずこの人との子どもが欲しいという女性としか結婚しないし別に子どもができなくても構わないので
だけどそんな、うまい具合に子どもができない女性を好きになるとは限らないし。順番違いで子どもが欲しいが旦那や嫁はいらないって人の気持ちがわからない。そんないらない様な相手の子どもなら全然欲しくないし。跡取りが欲しい男の子が欲しいってそういう考えは僕にはありません。僕もそうだけど親がヤクザだからヤクザになるなんて冗談じゃないし。まぁ、僕は全く向いてないから親の方から全然期待すらされてなかったんだけどと、イシベーヌのご主人、いまの義父のフレディに言いました。
フレディは、四朗がオカルトめいた怪談話をしても奇妙には思わず、それどころか真面目に話を聞いて、「そうかぁウチは一人娘でウチらの育て方が悪かったのか、反社会のヤバいのと駆け落ちしていまなにやってるやら。私らにも原因があったとは思うけれど。寂しいモンだな。別に跡を継がなくても婿養子を取らなくても、娘一人しか作らなかったのは親が悪いしだけど、せめて誠実な男性と幸せになって欲しかった」フレディご主人も、奥さんの華枝さんも普段から口にしない駆け落ちした一人娘の夢子を思って泣き出しました。それから。。。
とある日、24歳ぐらいになった四朗は相変わらずイシベーヌで働いていたのですが、休日に買い物に出かけた街中で小さな男の子を連れた夢子を見かけます。。。
ショックでした。昔々憧れもあった夢子。初めてあった時は少しぽっちりしていてそれでも清楚で健康そのものだったのに。。。一目見てガリガリで生活苦男の子も。。。2、3歳ぐらいだろうか。猫とウサギのハーフなようですがどうも元気がない。なんだか。。。すさんだ生活をしているというオーラが漂っていて。。。あまりにも見るに耐えず勇気を出して夢子に話しかけてみました。
夢子は突然知り合いの四朗に話しかけられて実家から大口を叩いて駆け落ちした事を知られている手前困惑していましたが、どうもみるからに栄養失調な感じで。。。
「ママ〜お腹すいた」大声で泣き出した「あの、そこのファミレス行かない。ランチがまだなら、僕もまだランチしてないし。」とにかくなんらかな事情があるかもしれないと四朗は夢子をランチに誘ったんだけれど
「そんなお金がないから。。。」恥ずかしそうに夢子がうつむくので四朗はこれはなんかヤバいんじゃないだろうか?元老舗の洋菓子店のお嬢様が
ファミレスに入るお金すらないなんて違和感を持って、「誘ったの自分だから、ご馳走するよ。なんでも食べていいからさ。とにかく、ファミレス入ろう」と夢子をランチに誘いました。
結局は、夢子は旦那の諸星瑛太、勝手に夢子の籍に入り石鍋瑛太になり借金を繰り返してオンナを作られて捨てられたようです。勝手に保証人にされた借金だけが残り息子二人と3人で暮らして、長男は小学校に行っていて、生活保護を受けながらだから本当は良くないけど旦那に売られてスナックや風俗で働いて旦那が残した借金を支払う毎日らしく。瑛太が闇金に手を出してしまったようで。その手前もあり、夢子は両親の石鍋のフレディ華枝夫妻に顔も出せずに。
しかしながら、闇金がゆくゆくは夢子の実家へ行くのも時間の問題であると思った四朗は、あまり良くないとは思いましたが吾朗太に電話しました。
吾朗太は、「珍しいな。四朗じゃん。元気してたか、」というと、実は。。。
四朗は吾朗太に夢子の借金の話を説明しました。吾朗太は東京邪神軍という半グレグループの幹部で
もしかしたら。。。と。吾朗太の仲間で闇金のシノギをやっている奴がいるんじゃないか。そうそう。。。
以前、
四朗がハタチぐらいの時に、二人の柄の悪い猫たちのチーマーに渋谷でカツアゲに合いそうになった時に突然ド派手なキンキラキンのハリネズミのにいちゃんがやってきて。。。
や、ヤバい殴られるかと思った四朗でしたが、
それはなんと。。。吾朗太
ギョッと久しぶりに再開した吾朗太が全身をパッキンキンのキンパに染めてドクロの入れ墨を入れていたのです。吾朗太はゆくゆくは性格上入れ墨も入れるだろうとは思っていたけどマッキンキンのパッキンキンのキンキラキン
「テメェ、俺の兄貴になんか用か」と、チーマーをボコボコにしてどうもそいつら猫たちは吾朗太も知ってる奴らみたいで。吾朗太がチーマー二人を締め上げました。
吾朗太からは、お前なんかあったら俺に言えよと、その時は幾ら見かけがかなりガラッと変わったとは言え、窮地を助けてもらい
久しぶりに御礼がてらに吾朗太と再会して夕方だったのでそのまま二人で居酒屋に入って。
居酒屋のお客はジロジロヒソヒソと、ヤバいキンキラキンと、真面目で地味なハリネズミの二人にギョッとしていましたが
相当
見た目は変わっても吾朗太が自分には優しく元気だった事を嬉しく思い吾朗太に近況をきくと女性が何人かいて転々とその家を日替わりで気まぐれに暮らしたり
なにより今は未成年で、新宿の歌舞伎町のホストとして闇で働いていてそこのオーナーに可愛がられて家にも出入りしているらしい。今日は休みで渋谷にめぼしい金になる男がいるかブラブラしていたらしい。金になる、と言ってもカツアゲじゃなくて、ホストとして働かせる男性に目をつけにきたらしく。
目利きの発掘をするとオーナーから高額の小遣いも貰えるので吾朗太はおもしろいようだ。
「酒、苦手なんじゃないの」四朗は吾朗太が小さな頃ウィスキーボンボンで発作の大騒動を起こして救命救急を呼んだ事を思い出したが、「別に飲まなくてもいいし、飲めるに越したことねーけどな。ま、たまーに甘いカクテル少しぐらいなら。それに未成年を売りにしとけば飲まなくても、俺ヤンチャの俺様で甘えキャラで売ってるし。だから飲めってBBAはこっちが相手しないの。客にそぐわないし。オーナーのマヒルも俺の言う事きくし。」と笑っていた。「オーナーって女の人」と四朗が聞くと「いや、オッさん。チワワのオッさん。俺の尻に敷かれてるって。ヤーさんのツレもいたりヤバい奴だけど。小遣いもくれるし。ま、四朗、今日みたいなことあれば俺にすぐ言えよ。」
あの日は休みだからと少し飲むと言う吾朗太にカクテルをご馳走した。そして、甘いカクテルに酔っ払った吾朗太は、剣崎家の呪いの話になり、酔っ払い本音が出たのか俺は女は腐るほどいるけど、ガキは作らないようにしてる。やっぱり女が産まれたら可哀想だしみたいな事を言い出した。
四朗は
吾朗太が呪いなど迷信やオカルトめいたことを信じているのにもびっくりしなにより子どもがそう嫌いと言う訳ではなく呪いがかかっていたら可哀想だと配慮しているんだと、意外にも子ども好きなのかもしれないとびっくりした。
あの日、俺はこんな見た目だしヤバいのと付き合ってるしゆくゆくヤクザになるかもしれないからお前とは表立って付き合えないがただ困ったら言ってこい。俺がやれる事ならなんでもしてやるからな
お前にはガキの時に命を助けて貰ってる恩人なんだ。と、電話番号を渡された。もしも、番号変わったら知らせるしとも。
そう、それを思い出して吾朗太に電話してみる。吾朗太とは暫く会っていないけど時々他愛ないメールは来ていた。闇金関係者なら。。もしかして、吾朗太の知り合いか
久しぶりに会ってすっかり打ちひしがれた様子の夢子はファミレスで滅多に食べられないであろうハンバーグをはしゃいで食べている小さな息子とは対照的にブルブル震えていました。
エッ。。。真面目で大人しそうだと思っていた四朗がなにか闇金関係者について何処かへ連絡をつけている。。。う、嘘っな、なんなの。。と夢子は真っ青に
そう、家出駆け落ちした夢子は四朗がヤクザの子どもという事は全く知らずこの人はいったい。。。なんなんだ。。。と。
四朗が吾朗太に連絡をつけると、吾朗太から調べて折り返すからと言われていったん電話を切り
夢子から得体の知れないような目で見られても四朗は仕方ないと思いつつ、四朗は実は。。。と、自分の出生を話しました。あの頃は、別に夢子は恋愛対象でもなかったし。四朗はそもそも誰とも結婚をするつもりもなかったし。
ヤクザの血筋という事も、イシベーヌのご主人夫妻は知ってるしだから、隠さずに洗いざらい自分の出生や弟の事を喋った。
ただし、自分は確かに元ヤクザの子どもだけどヤクザではないし
ただ、目の前の恩人のお嬢さんを助けたいとしか思わなかった。男に苦労するって。
そりゃあ変なのに惚れたり引っかかったりボケる女性も悪いけどさそうだ、男に苦労させられる女性って女性も悪いとは思う。女性が理想的な全員誠実で自分を守ってくれる様な男性を好きになるとは限らないし、そういう男性がいても顔がダメとか好きになれないとかあったり
吾朗太みたいに
女性の方から寄ってきて女がいっぱいいてもそういう男性に殴られても貢いでも他に女がいてもそういう男性じゃないとダメな女性もいるわけで。そういう人は、カルト宗教に狂った人みたいにあんな男やめろと周りに言われれば言われるほど意地になるのだ。
人を好きになったり信じる気持ちは自然に湧いてくるものだし。
恋と宗教なんて似たようなものかもしれない。
代々女性を不幸にしてその呪いというか業を背負ってる剣崎家。その剣崎家の一人として
償いというか、純粋に四朗はそれで自分にご縁がある恩人の娘、困っている女性を素直に助けられるなら助けようとそう思って行動しただけで。
まさか、自分が結婚するとか、夢子と結婚してイシナベーヌの若旦那になり婿養子に行くとは全く想像すらしていませんでした。
誠にいいも悪いも
男女というのは計り知れなくそこはかとなく、な奇妙な奇妙なご縁です。。。
2021年10月28日
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