「結局は。。。会えなかったんだけど、でも無事で奈色君が名古屋に戻れて良かった。」
こちらはプルメリア島の南、アクアオーシャン海岸側のプルメリア黒蝶貝地区の海の家クワタで働いているミリオンが常連さんに言います。
海の家桑田は、大将の桑田千範が、早朝から深夜気まぐれで適当に開けていて朝早く開いている時もあれば閉まっている時もあり、早く閉める時もあれば夜通し開いている時もありの、本当にきまぐれ営業でそれを許される空気感でした。
毎日朝から一杯飲んでいる近所のお年寄りや漁帰りの漁師さんや、釣り人や観光客などなど、海の団欒としていました。大将の千範は、継いでいた旅館の海の灯りを息子夫婦に譲りました。
代々、桑田家は、老舗旅館海の灯りを経営していて、今は和館と洋館に分かれています。
男児は子どもの頃から料理を仕込まれるので
歳をとると道楽商売みたいな海の家桑田を引き継ぎます。
千範の父親は今は施設に入所しています。海の家アルバイトスタッフも何人かいますが、
異例の子ども、宇宙人ミリオンが四年前にやってきました。やってきたというか、この海辺で釣り人に拾われたのですが。頭脳派のミリオンは、進学塾の講師も勤務しながら、海の家クワタにも顔を出しています。朝から飲んでいる常連さん達。夕方から塾があるので今日はそれまでミリオンはお店に出てお客さんの相手をしています。今日はプルメリア警察署の小学生行方不明事件の担当だった警官の一人が非番で近所の海の家クワタにやってきてミリオンがいたので、先日の経緯を御礼がてらに話していました。安良城さんという人で、あらきさんなんですが、のほほんとした朴訥な顔のために安良城をやすらぎと読み、やすらぎさんと呼ばれていました。「ミリもこーやってウチの店で太陽の下で常連さんとワイワイやってると無邪気で可愛いんだけど。」ご主人、千範の大将が言います。ほぼ毎日毎日やって来る仕事を引退してやる事がない暇なお年寄りの常連さんが朝から浴びるように泥酔しながら、「ちょっと、ちょっと、それじゃあミリが可哀想じゃん。ミリは良い子だよ。わざわざ塾だけでなく、こっちの店にも顔を出しているんだからさ。」
千範の作ったイカ焼きの香ばしい香りがあたりに漂っています。
ミリオンは毎日ではないけれどシフトみたいに海の家クワタでスタッフをし、進学塾で理数の講師をしています。理知的で理屈っぽいし冷たい感じは否めないものの。。。先だっての小学生行方不明事件の名古屋市住まいのハリネズミの男の子のハリー君こと、ネットでは奈色君がいなくなり、
メディアクリエイションという交流サイトで、プルメリア島の男の子、10代未満真夏日生まれミクロコスモスと登録したミリオンは、ネットで奈色君と仲良くなり
かなり深刻な悩みを相談されていました。奈色君は、七月16日生まれのため、プルメリア島に憧れていて、夏産まれでプルメリア島に住む小学生らしきミクロコスモスに友達申請してきました。
ミリオンが夏生まれと言っても。。。
プルメリア島は常夏の楽園ですが、
「そうですよ、大将、ミリちゃんは、前回の事件でかなりハリー君の親身になって相談してくれていたみたいだし。」やすらぎさんは、常連さん達からもらい酒でお酒を飲まされていました。徒歩で来れる近所だし、飲め、飲めと。常連さん達はお客さんが来ると気前よくお酒を飲ませています。御隠居さん達は、引退して不労所得でお金だけ入ってくる身分だし、退屈をもてあましているのです。「そうかいね。ちょっと心配になることも。。いろいろあったんだけどさ。」大将も常連さんからお酒を飲まされていました。千範の大将は可愛いウチのミリオンが自慢なんだけど、
ときおりクールに割り切り過ぎて怖くなる。みつごのきょうだいのヴィーナスやベルモの様な愛嬌や情緒にどっか欠けるところがあるし。と少しばかり気にしていました。頭脳明晰が自慢で結構な親孝行で良い子なんだけどー。
お酒は好きだけど弱めですぐ酔っ払い飲まされてほろ酔いのやすらぎさんが、
「そうそう、署長や本陣警部補は今日お大福様を署に呼んでるみたいでさ。」大福様は、ベルモの僧籍。プルメリア島のご近所産まれのやすらぎさんも、こちらの南側の黒蝶貝地区の住民とは言え自然と代々プルメリア島の北側白蝶貝地区の木蓮寺の菩提寺となり「お、お大福ってベルモ。。。わー、あいつとうとう捕まったのか、印鑑か幸福の壺とか言ってインチキ商品売ったんじゃね?」「ミリっ」千範の大将はミリオンを叱りつけました。ミリオンは超現実的な科学主義で、赤ちゃんの頃から木蓮寺に引き取られたきょうだいのベルモに会わせに行くたびに、ベルモを宗教、宗教とからかって大将に叱られました。やすらぎさんは大笑いすると「相変わらず、お寺とかそういうのミリは嫌いなんだから。もしかしたら、ミリが木蓮寺に引き取られていた可能性だってあるのに。。」「言わないでよっ、ゾッとするわよー。確かに木蓮寺は立派なお寺だけど死人相手にダラダラといつまでもなんだかんだでかこつけてオプションだのなんだのお金をふんだくる商売なんて。」「ミリっ」千範の大将はさらにミリオンを叱りつけました。ミリオンからすると、亡くなった人に対して墓を買えだの法事を何度も繰り返せだの、名前は金を積めばいい戒名をつけるだの。とんだヤクザだだいたい墓参りをしないとどーのってさびしんぼうかよ。本当に子孫を思えばすみやかに前向きに子孫の自由と発展を望めと、死人ぼったくりビジネスとお寺を批判していました。「大福様が先日のプルメリア島の白骨死体発見事件の関係者らしき人が現れたんで、立ち合い人としてプルメリア署に呼ばれたらしいんだよね。まだはっきり本当の関係者かどうかはわからないんだけど。わざわざ東京から来るらしいし。」「あっそう。」ミリオンはブスっとしました。プルメリア島のどうも重要だと思われる信頼ある大事ごとにベルモが地域の篤志家よろしく招かれるのが面白くないのです。あんな怪しげなデブの洗脳屋に。。。「えー、あの事件の関係者、見つかったんかい若いハリネズミだろ。。。確か。。」大将が言うと、「あれっ、大将、見てなかったの後日談TVでもやってたでしょ。木曜日の夜7時からのパーフェクト・サーズデイの霊能者が出てきて白骨死体の生前の姿を霊視するとかやってたやつ。。。地元の事件の話題だし、ここの店のそのTVでつけてなかった」やすらぎさんは近くに置いてあるTVを見ていいました。今はお昼時のニュースが流れています。
「ご存知の通りウチはTVはBGMと一緒。常連さんが酔っ払って喋ってるし、たまに、チラッとTVのある方をきまぐれに向いて流れてくる情報をネタにペラペラ喋るけど基本的にTVはついてるだけ。。だし。。」と大将が言うと、ミリオンが顔をしかめて「あら、あの日私は夜は塾がなかったからここにいたんだけど霊能者の番組でしょ。霊能とか霊視とか気持ち悪いからサッサとチャンネルを変えたのよ観ると馬鹿になりそうだし。常連さん誰も観てないからニュースに変えたわよ。ニュースなら多少はお利口だし。」
ミリオンは夜塾がないとまったりするより海の家クワタか、もしくは近所の大将の息子の源氏がオーナーの旅館海の灯りの手伝いをしています。源氏には小学生と幼稚園児の息子と娘がいましたが、歳下のミリオンがベビーシッターや子守を昔っからしていました。
もともとボーっとしているのが苦手なタチで常にじっとしていられないところはさすがに三つ子のきょうだいのヴィーナスとベルモにもそっくりです。三人三様バラバラの仕事も、自分の素質を最大限に活かした転職なのか三つ子のきょうだいは仕事が人生最高の遊びのように仕事が楽しくてたまらないようでした。
ミリオンもクールですが、どっちも人に接する仕事の為人と接するのが好きである意味はかなり人なつこいのです。やすらぎさんは酔っ払い上機嫌さながら、ミリオンにすまんけど、ミリオンの大嫌いな霊能者とか霊能力の話をするけどと断った上で、先日のパーフェクト・サーズデイの内容とモンタージュの話をしはじめました。
うわー、あはは酔っ払った常連さん達は、パッキンキンのマッキンキンにドクロの入れ墨のかなり個性際立ちハリネズミの話をすれば、なんじゃそりゃあ、コントかいかにも悪でございます、ってDQNまんまんと笑い出しました。「あー、それ、」急に千範の大将は声をあげました。リミオンは、「ほらほらー、そんなアッポみたいなキンキンだの。。霊能者インチキじゃん。そんなカッコして歩いてる奴おるんか」とツッコむと、千範の大将は、「もー、10年以上前なんだけど、網元の八王子グループが漁が終わって店に来て若い衆が、パッキンキンのマッキンキンのドクロの入れ墨をした若いハリネズミが早朝プルメリア港でウロウロしてたという話をしてたんだ。特に船にいたずらされてはなかったし、何やってるんだ、と思ったけど、若い衆はこれから入れ墨を入れようと思ってたんで、立派な入れ墨に吸い込まれるようにして見入ってたんだけど。。。ヤクザかなんかだと思って見つかったらややこしいから話しかけるのをやめたって言ってたな。八王子グループはカワウソだから、顔が可愛いからそれをコンプレックスでほとんどの漁師が入れ墨を入れてるけど別に男の印で入れるだけで、ヤクザじゃないからな。」千範は、話しのハリネズミのインパクトとその若い衆に入れ墨の柄についてどんなんがいいだろうかと問われたので覚えているのです。さぁ、男らしいのでいいんじゃない。不動明王とかどうだろうみたいに言ったら、若いしゅうが、ダメダメお不動産は好きだけど、どうも楽しいことを避けるような意味があるから楽しくて当たり前の俺には向かないとかなんとか言ってたな。。。
八王子グループはプルメリア島の大きな漁師の網元で、カワウソで近辺の地域の神楽町からも分家筋の漁師もやって来て漁をしていて、昔っから時々海の家クワタに打ち上げに飲みに来たりしています。
「そうそう、その漁師らしきのが番組にそういう男性を見たと電話してきたんだよ。で、そのTVの番組を見たらしい身内が電話してきたのも放送されてたし。。。ちゃんとそういう人がいたって事だよ。。で、その白骨死体の身内らしき人が今日署に来てるらしきで。今ごろ、お大福様も含め先輩方も面談してる時だと思う。」とやすらぎさんが言います。
そして。。。同じくプルメリア島のアマゾネスサンクチュアリィでは、お客様をプルメリア港でリムジンでお迎えしてチェックイン前の荷物を預かると管理人さんのダイヤさんは、
スタッフルームに顔を出しました。スタッフルームでは、ミニウサギの執事の椎名シイナが、ランチがてら清掃員の年配のスタッフのサラさんとガーベラさんに何やらパソコンの説明をしています。
椎名はダイヤさんに気付くと、「お疲れ様、支配人。ランチはそこです。」ガヤガヤしているので、なにをしてるの。。。と、ダイヤさんが聞くと、椎名は、「今日葉月オーナーがプルメリア警察署に出向いたけれど、その事件の被害者の生前の姿のモンタージュの話しになって。。。プルメリア港白骨死体事件の、霊能者の番組の。。。サラさんがTVを見なかったって言ったから動画をを見てるのよ。」「あー、そうか、私も観てない。お客様とのお付き合いで食事に行ったでしょ。葉月さんと。葉月さんもまさかこの事件の立ち会い人になるとは思ってなくって見てなかったらしいし。で、簡単に金髪の入れ墨のハリネズミって聞いたんだけど。。。うわーって思ってたんだけど、どれどれ。。」気になってダイヤさんがヒョコっとパソコンを覗きました。
「あー」何があったの声をあげたダイヤさんをいっせいに三人が見つめました。
「こ、これ。。中学校で転校してきた近所の子よ。。伊集院君って言うというか、正式には近所の大学教授の養子に遠縁から来た子なんだけど。。絶対そうよ。伊集院君だわえーで、でも。。あの子がまさか。だって。。。ゆくゆくは。。。帝王大学行って外務省に入ったって話しなのに。。」ダイヤさんはボーゼンとしました。なんで。。。なんであの超優等生の。。。ダイヤさんはひっくり返りそうになります。。。
そっくり。。。
ま。。。まさか。
動画には。。
お心当たりの方はプルメリア警察署または、メトロポリタンチャンネルへご連絡ください。。
だけどー、いくらそっくりでも、まさかあの。。。伊集院君がキンキンになって入れ墨ってあり得ないでしょ
あっ。。。葉月さんがプルメリア警察署にいるんだ。。。
「ちょっと。。。葉月さんに電話してみる。。」
ダイヤさんはオーナーの葉月に連絡をしました。
2020年12月01日
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