「今日子、今日ちゃん。。。お久しぶり。。。いま、電話大丈夫」お手洗いに行くふりをして踊り場で昼休憩中にサッと環は高校の同級生で親友の今日子に久しぶりに電話をしました。今日子は白い北海道犬で独身の翻訳家です。
お互い仕事を持ちライフスタイルも全く違うので
年に1、2度あるかないかぐらいではあるけれど親友で高校の同級生の今日子とペルシャ猫の女医の慶子が同じく東京在住なので旅行までは無理でも飲んだりするのだけど
三人の中でも一番優秀だった環が、合格していた帝王大学を蹴って志望する学部のあるKO大学へ進学してしまいました。先生や親や友人達にも帝王大学行きを説得されていたものの。。。
どうしても、環の直感帝王大学を蹴って、KO大学へ進学しました。
そのおかげで、旦那の邦彦と知り合って結婚したし。
親友の今日子や慶子は帝王大学に進学したのですが、高校を卒業してからも環はグループの中でも仲良くしていた今日子や慶子とはお互い様多忙な身にありながらも時々連絡を取っていました。
「あら、タマ、どうしたの。大丈夫だわよ。私は在宅で仕事で自由だし。」環は高校時代タマ、と呼ばれていていまだに当時の友達からはタマ、と呼ばれています。女医の慶子は忙しいだろうと踏んで、在宅の今日子に電話しました。
「すっごく、変な話しなんだけど。。」環がいうと、「えー」「あのさ、私たちのクラスに伊集院君いたじゃない。」「いたじゃない、って、タマ、あの頃の彼氏でしょう。伊集院君は。。。私やおケイは伊集院君も、帝王大学に進学したのに。。えー、タマどうして。彼氏と一緒のしかも帝王大学行かないのっておケイと、頭の良い人は変わってるのかしらってびっくりしてたのよ。」という今日子と慶子も日本一の大学帝王大学を現役で合格し卒業しているぐらいは聡明だし、環のKO大学も私立というだけで、帝王大学と変わらないぐらい。「ああ、志望の学部ならKOの方が良かったからね。。今の会社も入ったし、旦那も学生時代の彼氏だった人とそのまま結婚、って運びだし。これもご縁だなと思うし。」「で、なんで。。。伊集院君の話しが、。。た、タマ、タマまさかあなたやけぼっくいに。。。」昔の恋人の名前を環が出したので、今日子はあの真面目な環が、と、誤解してびっくり再会の不倫話しかと勘違いしたのは、たまたま読んでいた週刊誌の連載漫画に、同窓会で再会から始まる不埒な恋。。。というアバンチュール。事情漫画を読み終えて。。あら、現実こんな事ってあるのかしら。あー、でも漫画やドラマはベタな設定ね、それとか、イケメンが禿げデブオヤジになってた。。。とかねー。同窓会アルアル。。。と、ボーっと仕事合間に漫画を読んでいたタイミングで環からの電話で昔の同級生の話をしだしたからで。。。
「まさか、まさか。。。伊集院君には大学入って少しの間続いたけど。。疎遠になってからそれきりよ。」「それなら、どうしてまた急に。。。」「あ、いえ、伊集院君って。。。いま、ネット調べたけど。。。外務省役員。。。よね。。生きてるわよ。。。ね」と環がいうと、「何を言ってるの。。。同級生が仮にも亡くなった場合は、一応クラス委員のあなたのところに真っ先に連絡が行くはずでしょう。」何を言っているんだろう、
というように、今日子は返します。確かに、今日子は伊集院三太夫と一緒の大学でしたが、学部は違うし、友達と言えば友達だけど密に連絡を取るわけじゃないしそれなら付き合っていた元彼女の環の方が伊集院三太夫とは親しいし、同級生になにかあれば、クラス委員の環に連絡が行くはずだし。。。
環は、親友の今日子や慶子には生い立ちや、小学生の頃に環を置いて妹を連れて出て行った産みの母親の峰の事や、
継母の喜美と異母姉妹の緋夏の事、緋夏が産んだ娘の純の事などなど、かなり
立ち入った話や悩みを相談する仲でした。環が名古屋の産みの母親の峰や妹の舞に会うのに背中を押してくれたのも今日子でした。環を置いて妹の舞と神野家を出て行った峰。。。父親が愛人の喜美との間に舞と同い年の娘をつくり。。。
だから。。。悪者は父親だし、母親に捨てられても、姑の志乃に可愛がられ神野家の長子で父親似の環は、峰から嫌われても仕方ないと思っていました。環は峰の大嫌いな姑の志乃のお気に入りだし。。不倫で峰を裏切った旦那にそっくりだし。
幸い継母の喜美は優しい家庭的な女性で環もすぐに仲良くなり。環は優しいお母さんができてよかったと喜美にすぐ懐きましたし、嫁には厳しい志乃とのクッションにもなりました。正直、峰は派手好きで遊び好きで、環には無関心だったし。祖母の志乃がほとんど環を育てていましたし。
環はある程度大きくなってから、喜美が峰に感謝している事を知りました。環は知りませんでしたが、峰は離婚前に喜美に電話してきて。。てっきり喜美は修羅場を覚悟していましたが。。。ジローからは妻の峰がキツくて派手好きでしょっちゅう母親といがみ合い娘の面倒はみないし。金遣いは荒いし安らげないと聞いていて、てっきりとんでもない鬼夜叉で刺されるか暴れますか、喜美は身の危険を感じましたが、
拍子抜けするほど。。喜美には良い人でした。
てっきり、痴情のもつれで旦那を責めるのは当たり前だけど
それ以上に愛人を攻撃するタイプだと覚悟をしていましたが、
「あら、あなた、喜美さんね。。ジローとは離婚するから。環をよろしく。姑の志乃は環を手放さないと思うわ。安心してあなたに慰謝料を請求しないから。旦那のジローにはもちろんたっぷりいただきますからね。。。その代わり、環をよくしてあげてちょうだい。環は優しい良い子で志乃のお気に入りだから、志乃のBBAから貴方をかばってくれると思うわ。まぁ、BBAには精神的にダメージを与えておいたから昔より多少は大人しくなってるとは思うけど。。。油断はならないわ。」
峰は興信所で喜美を調べたらしく。愛人の喜美に電話でそう伝えてきました。峰は環を育てて貰う御礼か、志乃を高額の生命保険に入れて受け取りを喜美と環にしましたし、志乃の性格だと施設に行きたくないとごねるに決まってるし、ジローは母親の言いなりだし。。興信所で調べた限り、どうも喜美は穏和な性格で、姑の介護を断りきれないだろう。ポックリさっさとあっけなく死んでくれれば良いけど。。憎まれっ子世にはばかりだし。。。
資産家の令嬢なんてもう、峰でとんでもない嫁は性格さえ良ければ、とごりごりな志乃は峰が出て行ってくれるならとジローと喜美の再婚を受け入れましたし。家柄重視の志乃の意向を見事に崩壊させました。
峰が喜美にそこまで手を回したのは、置いていく娘の環への配慮と、喜美は知らないけど、峰も焔との不倫で舞をみごもり、一方的にさも旦那に裏切られた悲劇の被害者であるかのようにして離婚したつぐないなのでしょう。
喜美は娘の緋夏がいたのですが、家出してしまい。実質は環が本当の娘のようでした。喜美が環にたまちゃんがいて良かったわ。と言われるたびに、自分も純がいてよかった
渡海とケイトという息子は居るんだけど、自分が産んだ息子達よりも、まるで喜美が環を可愛がるようにして純を可愛く思いました。
環には珍しく悩んでいましたが、
喜美や今日子や旦那の邦彦の心強い後押しで、峰と舞に再会したのは感謝してます。。。。
峰は、峰らしく超高級リゾートのプルメリア島のアマゾネスサンクチュアリィでなら会ってもいいと条件を出してきましたが。。。
でも、喜美は、「それは突然連絡なかった娘からいきなり連絡あればいきなりオレオレ詐欺かなんかだと警戒したんじゃない。今の乱暴なご時世に慎重だわよ。それに、もう何年も母の日のプレゼントを贈ってないんでしょう。私の母の日や誕生日はもういいから、親孝行しなさい。私たちは峰さんからお婆ちゃんの保険金までじゅうぶんすぎるほどいただいたわよ。」なによりも喜美は、峰に足を向けて寝れないような陶酔ぶりでした。そうね。。?高価な物を奢ってもらいたいのは、遠い記憶の母親の峰そのものだけど。
はっきり言って、峰が家を出ていき継母の喜美が神野家に来たので純とご縁ができ、喜美が子ども達の世話をしてくれてキャリアウーマンで三人の子どもも持てた。峰がそのまま神野家にいたら、せいぜい子供は一人しか産めなかったかもしれないし、
舞の弟の剛のような男の子が生まれて環は神野家を出されて仕事が忙しくて子育てどころじゃないかもしれません。峰から結婚して早く出て行けだのあんたが子どもを産んだんだからあんたがみろぐらい言われてるかもしれない。
峰は、自分にそっくりのちょっと小生意気な感じでいかにも気の強そうな舞の娘のココアは自分に似ているので猫可愛がりらしいけど。
とにかく、試練とかハプニングかに思われたふぞろいなパズルのピースはカチッとうまくはまり、これで良かったというなにものにも変えがたい掛け替えのない今ある幸福を見事に描いていました。
「藪から棒に高校時代の伊集院君の話をするなんて。。。どうしたの、いったい。。」変だわね。という感じで今日子が返すと環が、
「馬鹿馬鹿しいかもしれないけど、聞いてちょうだい。。。今日子、パーフェクトサーズデイは見てる」「パーフェクト。。あ、ああ、あれね、時間があれば。」今日子はバリバリのキャリアウーマンに似合わず、漫画やテレビやメディアのミーハー好きなところが昔っからありました。そこが今日子の大きな魅力の一つなんだけど。。
「先週の見てた霊能者が出ていた。。。」環が聞くと、「ううん、全身は仕事で打ち合わせのあと取引先と食事だったから。。。そのあとうちの銀座のバーで飲んでたし。」
今日子は男性顔負けの酒豪で、翻訳家の仕事をしながらも、銀座のバーの経営もしていました。昔っからお酒に興味があって学生時代バーテンダーのアルバイトをしていて、環も何度か飲みに行きました。
「そう。。。じゃあ、プルメリア島で白骨死体が見つかったニュース、知ってるほら、パーフェクトサーズデイの生放送中に身元不明のハリネズミの若い男性の。。」環が言うと、今日子は、「あ、確か、あったわね。最近。。。だけど、まさかそのハリネズミが伊集院君のわけないでしょ。伊集院君、紳士録みたいなのにちゃんと載ってたんでしょう。それに、亡くなったら同級生に連絡くるとか誰かから耳に入るわよ。東京に残ってるクラスメイトも結構いるし。みんな、なんだかんだで人脈広い人揃ってるでしょう。」なにを突拍子もないことを。ニュースの白骨死体と伊集院君が。。なぜ結び付くのかと。呆れる様に今日子が返すと
「それが、先日のパーフェクトサーズデイの霊能者の霊視の白骨死体の生前のモンタージュが、伊集院君そっくりで。。。」と、環が言うと今日子は、「伊集院君に双子の兄弟がいるっていうの伊集院君、ひとりっ子でしょう。だから長女の環は。。これ以上、将来的に可能性がない男性とお付き合いを深めるのはって。。悩んでいて、私に相談してきたじゃないの。」
そうなのだ、環は今時かなり珍しいタイプなのかもしれないが、神野家や神野の名字をかなり大切に考えていました。それに高校時代で例え清い交際としても、ゆくゆくその先は、真面目に将来を考えないとと。。。長女で妹は家出してるし。。。私は婿養子を取るしかないじゃない、と。
対して、今日子は真逆の考えで今時なので、男性の長男やひとりっ子ザラで確率が高いし家なんか三代も続かないし、結婚したらしたで、旦那や自分ちの実家ははっきり言ってよその家である、跡取りなんて冗談じゃないし今時古いわという考えでした。それに、今日子は、そもそも誰かと一緒に暮らすなんてまっぴら。結婚は一応しているものの、旦那は海外の別居生活、子どもは独立したり進学して東京を離れたりで、仕事は会社から独立してノマドワーク、銀座のバーラナンキュラスは、妹に店長を任せてオーナーの自分は時々顔を出しすぐらいでまるで独身のように結構自由気ままな生活を送っていました。
「そうよねー。。。馬鹿馬鹿しい話しだけど。。それが、さっき部下達と何気なくパーフェクトサーズデイの話になって。。」環はかいつまんで、なにげなく見た動画の霊能者が白骨死体の生前の姿を霊視したモンタージュが、伊集院君にそっくりだった、と話しました。
ところが。。。そのモンタージュというのが、顔は確かに伊集院君そっくりなんだけど、なんと全身パッキンキンのキンパでドクロの入れ墨が入ってると。。。
すると、電話の向こうで、今日子が大笑いしていました。
「あはははウケるわねーサイコーあの、生真面目な伊集院君のパッキンキン姿にドクロの入れ墨。。それ、たまたまモンタージュで伊集院君そっくりになっただけの空想なんじゃないの。」「だけど、TV局に電話が入って、実際にそんな男性をプルメリア港で見たんだけど、裏社会の人かと思って怖くなって声をかけなかったって漁師さんらしき男性の証言があったから。。。実在していた可能性高いわよ。」
パーフェクトサーズデイに限って捏造ややらせはないと思う。不正に厳しいと言われる気難しい大御所すら喜んで出演してるし。
あれこれと
話し込んでいると、階段下から、チラチラっと部下のミランダが顔を出しました。なにか急ぎの報告や用事があるのでしょう。。もうそろそろお昼寝休憩終わりの時間帯でだいたい余裕を持って席に座っている環には珍しいので、
どうしたんだろうと見に来たのかもしれません。。。
環は慌てて。。。「あっ、もう戻らなくちゃ、そうだわ、夜、ラナンキュラスに行っていい8時半ぐらいにはなるけど。」「私は全然大丈夫だし、飲むのは大歓迎だわ。でも、純ちゃん帰省してるんでしょ。さっきそう言わなかったっけなかなか帰って来れないから貴重な時間でしょうに。。。」「あの子達、今夜は渋谷駅でプチ同窓会らしいわ。遅くなるみたい。旦那や母さんには今日子と会うって言っておくし。」「まぁ、そうなの。。。あたし達は久しぶりだからいいけど、慶子も誘わなくていいかしら。。。」「慶子は今日の今日だと。。難しいんじゃないかなぁ。」
女医の慶子は今日子や環以上に忙しいし。三人は親友と言いつつも。。。良い人だけど少し遊び人で派手好きで未だに結婚歴無しの独身の女医の慶子に今日子も環も
学生時代から
ちょっとだけついていけないなーという面々は多々ありました。
慶子
本人は独身主義らしいんだけど。学生時代からどうも既婚者と付き合ったり、可愛いくてモテる子だけど。。。男にだらしないとこがあって。二股三股はバレなければよし、みたいな。。。さすがに友人関係にヒビが入るようなことは一切なかったし、それ以外はいいコなので、
今日子も環も仲良くしていました。
結婚や婚約するまでは、いろんな男性と付き合って視野をひろめてマトを絞るのが、歴代の恋愛と結婚の福の神達が言ってる事だし、と。
しかしながら、そうかもしれないけど。あちら様は神様だし。福の神達は、そうしないけど一夫多妻や一妻多夫が認められているので
私らとは違う次元じゃないかしらね。と環も今日子も言いました。仲間はずれってわけじゃないんだけど。学生時代も、二人より多忙の医学部の慶子をさしおき環と今日子は大学が違いながらも二人で会ったり飲みに行く事も結構ありました。慶子には悪いと思いながらも。。しかし、環も今日子も二人で会ったりするのは慶子に内緒にしていました。女子グループではよくある事でしょう。
お互いになんか違うので、慶子には恋愛や結婚の相談はしませんでしたが、自分でいう事じゃないのに自称サバサバ系と言うおかしな女がいますが、
全然そうでなくて、
さっぱりしてすがすがしく慶子はサバサバと本当に良い人なのです。ラナンキュラスの良いお客様で客層の良いドクター仲間や製薬会社の人々を紹介して今日子のバーにお金を落としてくれるありがたい面倒見のいいところもあるのですが。。
酔っ払ってしまうと真剣な話しがもつれるので、今夜は慶子には声をかけるのは遠慮しました。罪悪感はあるけれど、この人には内緒でうまくいく。。例え親しい仲にも配慮と帳尻を合わす
人間なんて、女なんて特にそんなものだわ。
女に生まれて来たけれど、女に生まれて良かったのかしらね。。
2020年11月24日
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