珍しいな。。。ベルモが休みたいって
木蓮和尚は首を傾げました。ベルモの公休日は一応は、木曜日ではあるのですが、なんだかんだと言っても、休みがあってない様なもので、自分から
木曜日もお寺か幼稚園のお手伝いをしていると言うのにね。
デブのくせにジッとしていないんだからなぁ。
たまには休んだらと木蓮和尚や紫子夫人が言うのですが、ベルモは、休日も働きます。
休むのはよほどみんなに合わせての家族旅行か、集まりきょうだいの用事がある時やらで。
木蓮寺幼稚園は赤ちゃんを預ける人もいるので、ベルモが休みも赤ちゃんの世話や、なんだかんだとお寺の仕事をするのに。。。
しかし、本来ならお休みだし。普段から休みまで働いているので。お休みに異存はないし。ハッキリ言って休んでヨシ
じゃ、明日はゆっくりお休みに。と、どこへ何をしにいくのかは木蓮和尚もいちいち聞きませんでした。
あまりにもいちいちどこへ何をどうするなんて聞くのは、幼いながらも立派な社会人のベルモに言う事じゃないし。
木蓮和尚夫人の紫子さんも、「まあっ、も、もしかして、もしかすると。。ベルモ、デートかしら。」紫子さんはウキウキしました。もともとベルモを拾ってお寺で育てる時に、女の子として育てていきたい。と性別不明のベルモを、女の子として育てる事にしたのは紫子さんです。
木蓮和尚夫婦には成人して独立した息子二人がいて、娘さんは近所に嫁いで木蓮幼稚園の先生の中村紅子だけですが、紅子は嫁いでよその人ですし。。
紅子の子どもももう大きいですし。。。別世帯ですし。。。また、可愛い女の子を育ててみたい紫子さんでしたが、ベルモとご縁ができてベルモに、フリルという名前をつけようとしたら赤ちゃんのベルモがギャン泣きして嫌がったので、仕方なく、フランス語の美しいのベル、でベルモにしました。
ベルモは可愛い顔をしながらも見事に、紫子さんの期待を散々裏切りまくり、ピラピラのピンクのフリルやレースの服を嫌がって袈裟ばかり着ているし喋れるようになると、僧侶になるだの、結婚しないだの
まるで、子どもがグレたかのように、紫子さんはウワンウワン泣きじゃくりました。結婚もしない、女らしい職業につかない。フリルという名前にすれば怒って泣くしピンクやフリフリの服は拒否するしそんなベルモが。。。はっ、まさか、とうとう異性に目覚めて私たちに内緒でデートでもするのかしら。マトモに休むなんて
と、いつもと違うベルモの態度に
紫子さんがいうと、木蓮和尚は、「それはないって。。。朝から丼に三倍大盛り飯食って。。。恋煩いはないだろうそれに、まだまだ恋とかどーの、幾ら何でも早いんでないのか。」「いいえ。だって、ベルモの三つ子のきょうだいのヴィーナスちゃんだって。。。チワワの赤ちゃんのチイちゃんって彼女がいるんでしょ。ベルモだって、彼氏ができてもなんらおかしくないわよー」マスコミの噂になってるわよ、とミーハーな紫子さんが言います。
「あ、あれは確か福の神さんちにいる赤ちゃんのチワワが、ヴィーナスを一方的に好いてるってだけなんじゃないの。。彼女とか付き合ってないと思うけど。。まぁ、ベルモがどこへ行こうとたまには一人になりたいとか、買い物ぐらいでもブラっとしたいんじゃないの。。。ホッとこ。。。」
木蓮和尚は、ベルモを
奴も貯金BBAみたいに貯金通帳ばっかり眺めてニヤリとするようになったらおしまいだし。普段からほとんどお金を使わないし、たまにはブラッと買い物でも行こうがそれもいいんじゃないかねぇ?
ベルモは、お給料など銀行振り込みですが、ほとんどお寺や幼稚園に出ずっぱりでお金を使う暇がありません。出かけても、だいたい木蓮和尚と一緒で支払いをする必要もないし。
食べるものは出された物を食べ、贈答やお裾分けや寄付もたくさんあるし。。。
あれ買ってこれ買ってとも言わない。修行が大好きで。たまに、福祉に寄付をする時もありますが。。それでもお金を使わないのでありあまるし。
服は袈裟や作務衣があるし。
気持ち悪いぐらいにオモチャにもお洒落にも興味がありません。
なんだかんだで、ベルモも集団生活で一人になる事が滅多にというかほとんどなく育ちましたが。。。
そして。。当のベルモは。。。
そうだ。。。
ハリネズミの
俊さんが、木蓮寺の人生相談にやって来た時に、あの日は確か木曜日で、木曜日がお休みだ、と言ってた。あの日ベルモは公休日だったものの、いつものように休み関係なしにという感じで、
俊さんの人生相談があったので、それの木蓮和尚についてジッと座って傾聴修行していたのです。ベルモは、自分が名ばかりだけど木曜日休みで、俊さんが、ベルモを見て可愛いと言ったので、よく覚えていたのです。
そして、こないだ、木蓮和尚に神楽町まで法事に出かけた帰りに神楽町の喫茶店南風に立ち寄り
あの時、緊急に用事が出来たと変装したような多分俊さんは帰ってしまった。見かけたあの人。
あれは絶対俊さんだわ、間違いない。木蓮和尚と一緒に南風へ行った。
あの日も木曜日だった。
入れ墨のカワウソのオッチャンと緑のオッチャンが、
前にマスターがいない時に、変装した俊さんが南風の珈琲を飲んで感激して泣いていた、と言ってた。
あの日帰りしな俊さんらしき男性を見かける前に、南風のマスターが、常連さんに、
ぜひそんな感激して泣いてくれたぐらいなお客さんに逢いたかったのに。あの日第三木曜日は、珈琲のセミナーがあって、他店のマスター達と切磋琢磨に集まってスペシャルな珈琲の会議をするので、マスターは、不在だったみたいに話してたけど。。。
って事は、やっぱりその時も俊さんは、木曜日に南風に現れて。変装して現れたのは、自分の身を隠したいから。。。俊さんは、もしかして、南風のマスターのグーさんが、息子。。。とか、る近しい関係という事に気付いたのかもしれない。
俊さんは
記憶が戻ったのかしら。。。それとも。。。記憶は戻らないものの、
年代は違うけど、
あまりにそっくりな人がいて、もしかしたら俊さんは、自分の記憶を取り戻すキーマンかと感じてマスターに変装して近づこうとするのか。。
きっとまた、俊さんは、南風にやって来る。。。
それも木曜日の可能性が高い
そうに違いないわと、ベルモは考えました。幼稚園の仕事がひと段落ついて、生徒を送り出すと僧侶の仕事前の
休憩中、ベルモは、こっそりとお焚き上げ用のカツラがある部屋に忍び込みました。
出来れば。。。普段のわたしと全然違うイメージになるのがいい。
カツラのお焚き上げは髪の薄い人や、禿げているのがコンプレックスで前向きに生きられない人が、木蓮和尚に相談に来ますが、
木蓮和尚が、大胆にも相談者の被っているカツラを取り上げて、頭が薄いのは隠そう隠そうとするから違和感をもたれて怪しまれたりコソコソ言われるのです。
頭が薄いのは自然です。生まれつきです。それのなにが悪いんでしょうか
と、最初からもう禿げてますよとそれを魅力にしてしまえばいいのです。
木蓮和尚にそう言ってもらいたくて、何人か、時々カツラを取り上げてお焚き上げしにくる人がいました。
木蓮寺は婚活寺でも有名ですが、髪の毛に無理をしないお寺でも有名です。相談者はスッキリした顔で帰っていき
ありがとうございましたと、嬉し涙を流して感激し
すがすがしくも。パァッと明るい顔で帰っていきます。
最初っから、禿げている前提なら怖いものはなし。
ある程度たまるとお焚き上げだけど。。。
連獅子と、アフロか。。。
ただいま。。。カツラは、いまのところは、赤と白の連獅子と、アフロ。。。どうも派手な頭なんだけど。
赤、白、アフロ。。。三択かぁ。。
いずれにしても。。。派手ねぇ。。これじゃ
ベルモは、お焚き上げに集まったカツラをジッと見つめました。
2020年07月16日
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