2015年12月21日
19 年下君×私=不倫
「あと少しで、時間だ。」
「そうだよね…親御さんも子供も待っているよね。」
二人、フロントガラスから静かに夜空を眺めていた。
一つだけ。年下君に聞きたい事が、私には有った。
「ねえ、今、良い感じの女の子とか居ないの?」質問をしながら、緊張が走る自分に気付いてしまった。
「正直…一昨日の飲み会で、会社の年下の女の子から連絡先を聞かれた。その子、彼氏が居ないらしくて。話を聞いた先輩達が、酔った勢いで会社の男性の中で誰が好みか質問をしたら、俺の名前が出たみたいで。そのまま俺が先輩達に呼ばれて、連絡先を交換し合う流れになった。…ごめんな?」
(…うっ。ぐ、苦しい。こんなにまでものダメージを喰らうとは。がはあっ)
動悸が止まらなかった。だけど私は、どうにか笑顔で年下君に言葉を返した。
「うわあー…。でも、当たり前だよね。年下君、絶対にモテるもん。モテる人、嫌だわー(笑)…連絡、取り合っているの?」
「やっぱり気にしているんじゃん!(笑)連絡は来るから、少しずつ遣り取りしているけれど…私ちゃんの方が全然多いし。それに、その子とは付き合わないから大丈夫だよ。私ちゃんの方が何百倍も可愛いし、性格も良いし。」
「いやいや!年下君と同じ会社の子なら、しっかりしているだろうし、付き合った方が良いよ!そういう子と結婚すべきだよ!」
「えええっ(笑)まあ、そのまま共働きすればお金は多く入るだろうな…なんて考えたりはするけれど。結婚か…そういうものなのかな…(笑)」
私の言葉は、嘘。いや、本物?自分の気持ちが分からなくなっていた。
何にしても、私に年下君の恋愛を邪魔する権利は無いのだ。
(年下君との未来は無い。当たり前だ。これが現実なんだ。…あーあ、未だ一緒に居たいよ。もう少しだけ、お願い…)
年下君も、それと同じ気持ちだった。
年下君と私、どちらが先に誘ったかは覚えていない。いや、どちらからともなく、後部座席へと移動した。
「帰したくない。」
「私も、もっと一緒に居たいよ。」
気が付けば、年下君の腰辺りを目掛けて抱き付いていた。
(離れたくない、このまま、離れたくない。好き、大好き。神様、ごめんなさい。)
「うわっ。そんな事されたら、俺、止められなくなるよ?」
きっと私は、こうなる事を心の何処かで望んでいた。
気付かない振りをしていただけで、本当は全て、最初から分かっていたのだと思う。
ずるい。あざとい。最低な人間だ。
年下君に抱き起こされ、私達は見つめ合った。
それから直ぐに、ぐっと抱き寄せられ、激しく抱き締められた。
年下君の逞しい腕の感触、厚い胸板…全てが、とても懐かしかった。大好きだった。
お互い、相手の距離を測るかのように、探り探りのキスをし始めていると年下君が、
「もう、駄目だ、止まらない…」そう言って、私のブラウスのボタンを外しに手を伸ばして来た。
私は、結婚をして、子供を産んで…完全なる母親になったと思っていたんだ。
もう二度と、恋なんてしないと本気で信じていた。
それなのに。現実は、意志の弱い女でしか無かった。
だけど。この上なく、幸せだった。泣けてくるくらい、幸せを感じさせてくれた。
頭の中、ふわふわ。心地良くって。
数分後、父からの大きな着信音で現実へと引き戻された。
「時間、過ぎているけれど大丈夫?」
「あっ、ちょっと友達と話し込んじゃって。もう直ぐで帰るから!」思わず大き目な声を出してしまい、慌てて電話を切った。
「ごめんな。急いで送るから。」
「うん、ありがとう。」
「私ちゃん、今日は会ってくれて、嬉しかった。本当に有り難う。私ちゃんと会えて良かった…また、会いに行くからね。」
「…うん。」
私は、どっと疲れ果てていた。
たった一時間半の出来事。でも。経験した事の無いくらい、濃密な時間に思えた。
(今は未だ、何も考えないでいよう。余韻に浸っていよう。問題は、それからだ。)
この先には想像を遥かに超える、地獄のような自分との戦いの日々が待ち受けているだなんて。
私は知る由も無かった。
「そうだよね…親御さんも子供も待っているよね。」
二人、フロントガラスから静かに夜空を眺めていた。
一つだけ。年下君に聞きたい事が、私には有った。
「ねえ、今、良い感じの女の子とか居ないの?」質問をしながら、緊張が走る自分に気付いてしまった。
「正直…一昨日の飲み会で、会社の年下の女の子から連絡先を聞かれた。その子、彼氏が居ないらしくて。話を聞いた先輩達が、酔った勢いで会社の男性の中で誰が好みか質問をしたら、俺の名前が出たみたいで。そのまま俺が先輩達に呼ばれて、連絡先を交換し合う流れになった。…ごめんな?」
(…うっ。ぐ、苦しい。こんなにまでものダメージを喰らうとは。がはあっ)
動悸が止まらなかった。だけど私は、どうにか笑顔で年下君に言葉を返した。
「うわあー…。でも、当たり前だよね。年下君、絶対にモテるもん。モテる人、嫌だわー(笑)…連絡、取り合っているの?」
「やっぱり気にしているんじゃん!(笑)連絡は来るから、少しずつ遣り取りしているけれど…私ちゃんの方が全然多いし。それに、その子とは付き合わないから大丈夫だよ。私ちゃんの方が何百倍も可愛いし、性格も良いし。」
「いやいや!年下君と同じ会社の子なら、しっかりしているだろうし、付き合った方が良いよ!そういう子と結婚すべきだよ!」
「えええっ(笑)まあ、そのまま共働きすればお金は多く入るだろうな…なんて考えたりはするけれど。結婚か…そういうものなのかな…(笑)」
私の言葉は、嘘。いや、本物?自分の気持ちが分からなくなっていた。
何にしても、私に年下君の恋愛を邪魔する権利は無いのだ。
(年下君との未来は無い。当たり前だ。これが現実なんだ。…あーあ、未だ一緒に居たいよ。もう少しだけ、お願い…)
年下君も、それと同じ気持ちだった。
年下君と私、どちらが先に誘ったかは覚えていない。いや、どちらからともなく、後部座席へと移動した。
「帰したくない。」
「私も、もっと一緒に居たいよ。」
気が付けば、年下君の腰辺りを目掛けて抱き付いていた。
(離れたくない、このまま、離れたくない。好き、大好き。神様、ごめんなさい。)
「うわっ。そんな事されたら、俺、止められなくなるよ?」
きっと私は、こうなる事を心の何処かで望んでいた。
気付かない振りをしていただけで、本当は全て、最初から分かっていたのだと思う。
ずるい。あざとい。最低な人間だ。
年下君に抱き起こされ、私達は見つめ合った。
それから直ぐに、ぐっと抱き寄せられ、激しく抱き締められた。
年下君の逞しい腕の感触、厚い胸板…全てが、とても懐かしかった。大好きだった。
お互い、相手の距離を測るかのように、探り探りのキスをし始めていると年下君が、
「もう、駄目だ、止まらない…」そう言って、私のブラウスのボタンを外しに手を伸ばして来た。
私は、結婚をして、子供を産んで…完全なる母親になったと思っていたんだ。
もう二度と、恋なんてしないと本気で信じていた。
それなのに。現実は、意志の弱い女でしか無かった。
だけど。この上なく、幸せだった。泣けてくるくらい、幸せを感じさせてくれた。
頭の中、ふわふわ。心地良くって。
数分後、父からの大きな着信音で現実へと引き戻された。
「時間、過ぎているけれど大丈夫?」
「あっ、ちょっと友達と話し込んじゃって。もう直ぐで帰るから!」思わず大き目な声を出してしまい、慌てて電話を切った。
「ごめんな。急いで送るから。」
「うん、ありがとう。」
「私ちゃん、今日は会ってくれて、嬉しかった。本当に有り難う。私ちゃんと会えて良かった…また、会いに行くからね。」
「…うん。」
私は、どっと疲れ果てていた。
たった一時間半の出来事。でも。経験した事の無いくらい、濃密な時間に思えた。
(今は未だ、何も考えないでいよう。余韻に浸っていよう。問題は、それからだ。)
この先には想像を遥かに超える、地獄のような自分との戦いの日々が待ち受けているだなんて。
私は知る由も無かった。
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