2023年04月09日
植田和男日銀総裁が発足、出口戦略が既定路線
日本銀行の第32代総裁に元日銀審議委員で経済学者の植田和男氏が9日就任しました。
政府と日銀が目指す2%の安定的な物価上昇の実現に加え、任期を8日に終えた前任の黒田東彦氏が10年間続けた異次元の金融緩和を終わらせ、金融政策を正常化させる「出口」戦略が課題となります。
植田氏は10日、一足早く3月20日に副総裁に就いた前金融庁長官の氷見野良三氏、元日銀理事の内田真一氏とともに記者会見に臨む。景気を下支えし、円高是正や株価上昇をもたらした異次元緩和について、植田氏は2月の衆参両院での所信聴取で「物価上昇目標の実現に必要かつ適切な手法だ」と述べており、当面は継続する考えを示す見通しです。
日銀は長期金利の上限を「0・5%程度」としているが、10年物国債の利回りが本来の水準より極端に低くなり、社債発行などに支障を及ぼす市場のゆがみが生じ、異次元緩和の副作用として問題になっています。
植田氏も副作用を認めており、今月27、28日に開かれる新体制初の金融政策決定会合で、長期金利の上限引き上げや撤廃といった政策修正が議論される可能性もありそうです。
日本銀行の新体制に課せられた2%の安定的な物価上昇の達成には、賃金の持続的な引き上げが重要となり、賃上げで企業の人件費が増えて家計の所得も上がれば、企業が商品やサービスを値上げしやすくなるため、政府と日銀が目指す賃金と物価が安定的に上昇する好循環を生み出すには、より多くの中小企業への大幅な賃上げの浸透と、来年以降の賃上げの継続が欠かせず、金融政策のかじ取りの上でも焦点となります。
「大企業を中心に力強い動きが出てきている。幅広く賃上げの動きを社会として盛り上げていきたい」
岸田文雄首相は3日の参院決算委員会でこう強調し、令和5年春闘で実現しつつある大幅な賃上げを歓迎しました。
自動車や電機などの大企業を中心に満額回答が相次ぎ、連合傘下の労働組合の賃上げ率は3日夕時点の中間集計で3・7%。4月から本格化している中小企業の労使交渉でも例年にない高水準の賃上げが実現し、最終集計でも3%台を達成できれば平成6年以来の高水準となります。
ただ、物価高が家計を圧迫する状況は依然として続き、厚生労働省が7日発表した2月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)では、基本給や残業代などを合わせた1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は前年同月比1・1%増となった一方で、物価変動を加味した実質賃金は2・6%減と11カ月連続のマイナスとなりました。
そこで政府が新たに目を付けたのが取引価格への労務費の転嫁で、中小企業が取引先の大企業などに値上げを求める際、原材料やエネルギーの価格高騰を理由とする場合は容認されやすくても「従業員の賃金を上げるので認めてほしいというのは実現が難しい」という実情が背景にあります。
政府が8年ぶりに開き、経済界と労働団体の代表と話し合った3月15日の「政労使会議」で、首相は「労務費の適切な転嫁を通じた取引適正化が不可欠だ」と強調、政府が指針をつくり、中小企業が労務費の上昇分を転嫁しやすい環境を整える考えを示しました。
金融引き締めで米欧の景気が悪化し、余波が日本経済にも及ぶリスクは抱えるものの、賃上げの波が途絶えなければ実質賃金がプラスに転じ、日銀が2%の物価安定目標の実現に近づく一歩となります。
大規模な金融緩和策が終焉を迎えています。
植田氏は異次元緩和について、当面は継続する考えを示しているものの、そもそも植田氏はリフレ派ではありません。
そして何より、植田氏は政府の方針に従う立場にあり、岸田内閣が金融政策への過度な負荷を問題視している以上、結論は見えています。
政権交代でも起きない限り、金融緩和策が続くことは有り得ないでしょう。
政府と日銀が目指す2%の安定的な物価上昇の実現に加え、任期を8日に終えた前任の黒田東彦氏が10年間続けた異次元の金融緩和を終わらせ、金融政策を正常化させる「出口」戦略が課題となります。
植田氏は10日、一足早く3月20日に副総裁に就いた前金融庁長官の氷見野良三氏、元日銀理事の内田真一氏とともに記者会見に臨む。景気を下支えし、円高是正や株価上昇をもたらした異次元緩和について、植田氏は2月の衆参両院での所信聴取で「物価上昇目標の実現に必要かつ適切な手法だ」と述べており、当面は継続する考えを示す見通しです。
日銀は長期金利の上限を「0・5%程度」としているが、10年物国債の利回りが本来の水準より極端に低くなり、社債発行などに支障を及ぼす市場のゆがみが生じ、異次元緩和の副作用として問題になっています。
植田氏も副作用を認めており、今月27、28日に開かれる新体制初の金融政策決定会合で、長期金利の上限引き上げや撤廃といった政策修正が議論される可能性もありそうです。
日本銀行の新体制に課せられた2%の安定的な物価上昇の達成には、賃金の持続的な引き上げが重要となり、賃上げで企業の人件費が増えて家計の所得も上がれば、企業が商品やサービスを値上げしやすくなるため、政府と日銀が目指す賃金と物価が安定的に上昇する好循環を生み出すには、より多くの中小企業への大幅な賃上げの浸透と、来年以降の賃上げの継続が欠かせず、金融政策のかじ取りの上でも焦点となります。
「大企業を中心に力強い動きが出てきている。幅広く賃上げの動きを社会として盛り上げていきたい」
岸田文雄首相は3日の参院決算委員会でこう強調し、令和5年春闘で実現しつつある大幅な賃上げを歓迎しました。
自動車や電機などの大企業を中心に満額回答が相次ぎ、連合傘下の労働組合の賃上げ率は3日夕時点の中間集計で3・7%。4月から本格化している中小企業の労使交渉でも例年にない高水準の賃上げが実現し、最終集計でも3%台を達成できれば平成6年以来の高水準となります。
ただ、物価高が家計を圧迫する状況は依然として続き、厚生労働省が7日発表した2月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)では、基本給や残業代などを合わせた1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は前年同月比1・1%増となった一方で、物価変動を加味した実質賃金は2・6%減と11カ月連続のマイナスとなりました。
そこで政府が新たに目を付けたのが取引価格への労務費の転嫁で、中小企業が取引先の大企業などに値上げを求める際、原材料やエネルギーの価格高騰を理由とする場合は容認されやすくても「従業員の賃金を上げるので認めてほしいというのは実現が難しい」という実情が背景にあります。
政府が8年ぶりに開き、経済界と労働団体の代表と話し合った3月15日の「政労使会議」で、首相は「労務費の適切な転嫁を通じた取引適正化が不可欠だ」と強調、政府が指針をつくり、中小企業が労務費の上昇分を転嫁しやすい環境を整える考えを示しました。
金融引き締めで米欧の景気が悪化し、余波が日本経済にも及ぶリスクは抱えるものの、賃上げの波が途絶えなければ実質賃金がプラスに転じ、日銀が2%の物価安定目標の実現に近づく一歩となります。
大規模な金融緩和策が終焉を迎えています。
植田氏は異次元緩和について、当面は継続する考えを示しているものの、そもそも植田氏はリフレ派ではありません。
そして何より、植田氏は政府の方針に従う立場にあり、岸田内閣が金融政策への過度な負荷を問題視している以上、結論は見えています。
政権交代でも起きない限り、金融緩和策が続くことは有り得ないでしょう。
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