監督に聞いてみた其の壱「兜割りの存在」 - ぶつよくさんの『言いたい放題』。
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監督に聞いてみた其の壱「兜割りの存在」

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それは、忘れ難き敗北の思い出。恥を忍んで、その時抱いた疑問をぶつけてみる。

監督に聞いてみた其の壱「兜割りの存在」


“徳島監督にお会いできる”。それが決まった時、この身の脳裏をよぎったのは20世紀最後の夏の出来ごとであった。

当時、ドリームキャスト専用ソフト『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で・・・』が発売され、この身も大いに楽しんでいた。本作は『ロボットゲームはプレイヤー機が単騎で突貫して敵機をバッタバッタと薙ぎ倒すのが当然』という風潮を軽やかに一蹴した恐るべきゲームだ。初プレイ時、前作『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』と同じような感覚で最初のザクUに挑んだら、それはそれはあっけなく返り討ちに遭ったのは良い思い出である(汗)。
そんなこの身ではあったが、そんな仕様に文句は無かった。機体を変更しようが武装を切り替えようが、使用できる機体はどこまでいっても連邦製量産型MSという本作。しかしそれがいい・・・特別仕様のワンオフ機よりも、一層使用機体に愛着が湧いてくる。徐々にその野暮ったい動きに慣れながら、懸命にミッションを遂行していく。市民の事を意識しつつトーチカを破壊したり、グフと市街戦を繰り広げたり繰り広げなかったり、必死にガウを追ったり、ドムやらゴッグやらと死闘を演じたり、ゲルググとライノサラスのビームに悲鳴を上げる。あー懐かしい!単に「ガンダムのゲーム」というだけでなく、戦車系のゲームの要素も感じられる非常に良い雰囲気の作品だった。ストーリーも色々と練られていて、本当に楽しいゲームだったなぁ。

今までに無かった非常にストイックな内容の本作だが、クリア後にひとつのサービスが用意されていた。ゲームをクリアするとパスワードが表示され、それを葉書に書いて送ると「プレミアムディスク」なるクリア特典アイテムを入手できたのだ。これは「V作戦」の3機、すなわちガンダム、ガンキャノン、ガンタンクの3機と、ホワイトディンゴの3機による模擬戦が楽しめるという代物であった。本編では使用可能機体どころかNPCですらガンダムが出てこない本作において、初めて『コロニーの落ちた地で・・・』仕様のガンダムが登場した瞬間である。

前作『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』もクリア後にアムロの駆るガンダム(のデータ)と対戦できる「シミュレーター」モードが解放されたが、こちらは何とかクリアしていた。作品が変わっても、ガンダムと戦えるというのは心躍るというもの。葉書を送り、「プレミアムディスク」到着の時を待った。

数日後、ついに「プレミアムディスク」が届いた。ホワイトベースをバックに、3機のRXナンバーの機体が勢揃いしたパッケージが目を引く。ややエキサイトしつつ、ドリームキャストの電源を入れる。クリアした後もプレイを続けていた為、操作面に問題は無い。さぁガンダム、勝負と行こうぜ!!

しかしこの「プレミアムディスク」の3機、一筋縄ではいかないどころか恐るべき実力を持っていたのである。

初戦は敵機を1機も撃破出来ずに惨敗したのであった。つ、つえぇ・・・ガンダムに翻弄されっぱなしでまともにダメージを与えることすらできなかった。さらに「ジオニックフロント」ほどでは無いにしろ、ガンキャノンとガンタンクの火力が高いので放置していると思わぬタイミングで致命傷を受けかねない。これは・・・想像していたよりも遥かに厳しい・・・!!
初プレイ時から圧倒的な実力差を見せつけられ、呆然としていた。が、そこへ追い打ちが用意されていた。

このシュミレーターを用意したというアムロに、思いっきり罵倒されてしまうのである。

上から、凄まじく上からものを言う15歳。この台詞は実にコチラの心を煽るのには効果的だった。マイナス方向なれど、これによりモチベーションは一気にアップ。こうして、『対V作戦攻略戦』が始まったのだった。

幾度かのプレイの結果、最初からガンダムに挑むのはリスクが高いと判断。まずは足の遅いガンタンクの撃破を目指す。タンク系機体相手に射撃戦なんてナンセンスなようだが、着弾までに時間がかかる為砲撃を避けられない事も無い。とはいえ、最初はガンタンク1機を撃破するのにも苦労した。そんな有り様ではあったが、幾度かの交戦を繰り返し、ようやくガンタンクの撃破に成功。その後当然の如く敗北はしたものの、前進しているという手ごたえがあった。が。

セリフは変わったものの、やっぱりアムロに馬鹿にされてしまうのである。

・・・・・・この天然パーマ野郎、寝てる間にサラサラストレートヘアにしたろか(怒)。
15歳の少年兵に鼻で笑われながら、それでもプレイを繰り返し、独自の攻略法を構築していく。結果、友軍機2機をガンダムに当てて動きを止めている間に、こちらが単騎でガンタンク、ガンキャノンを順次撃破するという方法に至った。ガンダムとの交戦に集中すべく、残りの2機を先に撃破してしまおうというワケだ。火力を活かし出来るだけ素早く敵機2機を撃破する為、武装はビームライフルを選択。これこそ勝利の方程式だと確信しつつ、プレイを繰り返した。

その日。自分でもいつもより調子がいいのが分かっていた。それを裏付けるかのように、ガンキャノンとガンタンクを初めて無傷で撃破した上、友軍機2機もまだ健在だったのである。絶対的数的有利、しかもこちらは全くの無傷・・・ここまで万全の体制が整ったのは初めてだった。行ける・・・今日こそはあのガンダムを粉砕してくれる!自然とテンションが上がっていくのを自覚しつつ、友軍機と交戦しているガンダムの方へと向かった。

これまでは比較的ガンダムの近くで敵機2機と交戦していたのだが、今回は被ダメージを抑える事を考慮して間合いを広く取っていた為、普段よりも距離があった。すると、ガンダムが友軍機に格闘戦を仕掛けるのが見えた。これは僥倖、如何なガンダムとて、攻撃モーション中であればこちらの攻撃を避ける事はできまい。先制の一撃をぶち込んで、さらに戦況を有利にしてくれるわ!ズギューーン!!

スススン・・・


「何!?」

こちらの放ったビームが命中する直前、ガンダムは歪な軌道を描きつつビームを避け、そのまま友軍機に攻撃したではないか!な、何だ今の不自然な軌道は!?えぇい、まだ距離がある。ヤツがもう一度攻撃を仕掛けた時に合わてもう一発・・・今だぁぁッ!ズギューーン!!

スススゥゥンン・・・


「こ、コイツゥ!?まさか・・・・・・射撃武器は問答無用で無効なのか!?

この時点で、“このガンダムは射撃武器は当たらない仕様になっているのだ”と判断した。すでに交戦中なのだ、無駄に悩んでいる場合では無い。早々にそう判断し、武装をビームサーベルに切り替える。ビームライフルよりも火力の低いビームサーベルで対峙しろとは難儀な話だ・・・しかし舐めてもらっては困るな、こちとらこのゲームでだって格闘戦をこなして来ているんだ。接近戦が好きだからね!そんな訳で、そう簡単に負けたりしねぇぞコンチクショウ!!
先程まで以上に気合の入った状態で交戦開始。勝つ気は満々だ、射撃が当たらない程度で弱気になどなろうはずも無かった。

途中で友軍機2機が力尽きるも、慌てることなく交戦を続けた。それ以上に、確かな確信があった。やれている・・・やれているのだ!初戦ではまともに攻撃を当てることすらできなかった上に、今回までにうまく交戦できた回数は数える程度でしかなく(大体、支援機2機を撃破した時点で残り耐久値が僅かな状態だった)、ガンダムの動きがそれほど分かっていなかった。しかし今回、無傷の状態で交戦で来た事が大きかった。確かにダメージを受けはするが、この戦闘の中で徐々にガンダムの動きを掴んでいったのである。行ける・・・これは行けるッ!!微塵も根拠は無かったが、そこには確かな手応えを感じていた。

1対1で刃を交えるようになって数分。既に機体はボロボロで、エマージェンシーコールが鳴り響いていた。が、それはガンダムとて同じ事。機体の表面に、いくつものスパーク光が見えるようになっていたからだ。もうすぐ、もうすぐヤツを撃破出来る・・・!そう思った矢先、ガンダムが突進してきた。来たァ!ヒラリと躱してチャンス到来、決着を着けるのは、今だ!!

「よっしゃあぁぁもぅらったぁぁぁぁ!!」ブゥンッ

勝利を確信し、必殺の想いを込めた一撃を振るう!墜ちろガンダム、墜ちて我が勝利に華を添・・・・・・

ス カ ッ

・・・・・・い・・・・・・いな、い??


突然画面から、ヤツの姿が消えた。まさか、この一瞬で後ろを取られたのか?いや、レーダーで見る限り、ヤツは正面にいる。正面にいるハズなのに姿が見えない!?ここにきてバグ?いやまさか・・・・・・

ズッバァーーッ!!

「うっわぁぁ馬ぁぁっ鹿なッ!?兜割りだとぉぉぉぉぉ!?!?」

思わず我が目を疑った。なんとガンダムはあの一瞬で跳躍し、そのまま頭上からビームサーベルを叩き込んできたのである!衝撃的だった・・・あまりにも衝撃的な一撃であった。
そしてその一撃で機体は大破。それと同時にこちらのテンションも切れてしまったのだった。無傷の状態な上に3対1で攻撃できるという圧倒的有利な状況・・・ここまでの御膳立てが出来ていてもなお、ガンダムの牙城を打ち崩せなかったのである。何とも手痛い敗北であった。
しかしあと一歩だったのだ、今度戦えば勝てるに違いない。そう思い、その後も挑戦してみたのだが、この時以上の状況を生み出す事は出来なかった。この時以降は惨敗の繰り返しで、結局ガンダムに勝てないままいつの間にかプレイしなくなっていたのだった・・・。

・・・とまぁこんな懐かしくも屈辱的な過去を思い出してしまった訳である。いやーホント懐かしい話やねぇ。当時インターネットで攻略法を探してみる、なんて方法を考えた事も無かったから、結局諦めてしまったんだったなぁ。・・・多分次のゲームを始めたんだと思うけども。

このガンダムとの戦闘で、疑問に思った事があった。
@やはりガンダムは射撃に対しては完全無効な仕様になっていたのだろうか?
A非常に重量感があり、操作性も野暮ったいこのゲームで、兜割りなんて軽快な動きが可能だったのだろうか?


客観的には些細な事かもしれないが、未だにあの衝撃を忘れていないこの身からすれば由々しき事なのである。徳島監督に上記のプレイ内容を説明し、実際はどうだったのかを思い切って聞いてみた。

@対射撃能力
「ガンダムは、完全にチート状態で・・・」
(今“チート”って言うたー(汗))

本作のガンダムは、プレイヤーがトリガーボタンを押したのを感知すると、確実に回避するようプログラミングされていたというのだ。特にビームライフルの場合は、友軍機の攻撃を受けて怯んでいる時等の限定された状況以外だと、十中八九当てられないそうな。怯んでいる状態なら当てられるので完全に無効という訳ではないが、ビームライフルを持って射撃戦を挑んでもほぼ当たらないというワケだ。そういった意味では、ビームライフルを当てる事に固執しなかったのは間違ってはいなかった。間違っては、いなかった・・・。

A兜割りの有無
「で、兜割りはあったんですか?」
「兜割りはありました(即答)」
「あ っ た ん だ ー(謎の感動)」

徳島監督曰く、ヴィッシュ・ドナヒューの駆るグフの「ダッシュヒートロッド」と同じく、「プレイヤー機では再現できないチート行動」として「空中斬り」というのが設定されていたそうな。

あったんだ・・・ラピュタ(兜割り)は本当にあったんだ!!

こちらもできないからあちらもできないハズだと思っていたが、そんな事はなかったぜ!!なるほど、勝手にそう思い込んでいた事がそもそも間違いだったのか。
ちなみにガンダムのみの攻略であれば、マシンガンを装備してトリガーを押しっぱなしにしてたら検知できないので、味方からの攻撃を避けているところに確実に撃ち込んでいくといいらしい。
そうか、射撃武器が完全に無効な訳ではなく、あくまでもトリガーに対応してるんだもんな。当時そんな事考えた事無かったワァ(遠い目)。

あの兜割りの衝撃から約20年。長年疑問に思い続けていた事が、これでようやく解けたというものだ。いや、もっと他の事に頭を使えと言われそうだが、あの時のショックは結構大きくてねぇ。でも長らく疑問だった事を徳島監督ご本人にお伺いできたので、今となってはいいキッカケだったと思えるヨ。

よーし、まだドリームキャストが起動したら、もう一度本編からやり直してみるかな!
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