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「レトリック感覚」を読んでみた




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レトリック感覚 (講談社学術文庫)
佐藤 信夫
講談社
売り上げランキング: 9526



ここ最近『修辞』という意味合いでの、レトリックについて興味を持ち始めています。修辞というのは、魅力的な文章・構成をできるようになる技術です。


ブログをやっているのですから、もっと人を惹きつけるような文が書きたい!
そこで、「レトリック感覚」という本を手に取って、読んでみました(・ω・

求めていたものとは、違うものだった


レトリックの本を読んだのは、よりよい文章を書きたいからだ。
Aという技術を使えば、Bという効果を出せますよ、そういう本を求めていた。

だが、本書は私が求めているものでは無かった。
これは、文についての技巧を教えるものではない。
どちらかというと、レトリックの意味としての『本質』を書き記したものだった。

「魅力的な文をつくるにはどうすればいいのか?」

というものではなく

「レトリックとはこういうものだよ」

と、レトリックについての歴史、解釈が豊富に記されていた。
更にそこから発展し、直喩とはなにか?
隠喩、換喩・提喩とは、どういものかを説くものだったのだ。


本の内容は、緻密でくどい


歴史上の人物からの引用や、例文が豊富なので、これ一冊でレトリックについてのあらかたの知識は手に入るだろう。

ただ、その引用が多すぎるのだ。
自分が知らない著名人を出されても、度が過ぎれば理解がし難くなる典型のようだった。
また引用文に対する、著者の膨大な考えが読みにくさを加速させている。


もっとシンプルにしてくれれば、取っ付きやすかった。

詳細微細に書かれているということは、それだけに読みにくい。



著者の考えかたは面白い



比喩表現であるところの直喩や隠喩については、広く、浅く、漠然とは理解はしていた。
直喩は「〜は、〜のように」「〜は、〜みたいだ」という類似するもを合わせる表現方法である。

例として本文から抜粋してみました。

私は本屋にはひつて、ある有名なユダヤ人の戯曲集を一冊買ひ、それをふところに入れて、ふと入り口のはうを見ると、若い女のひとが、鳥の飛び立つ一瞬前のやうな感じで立って私をみてゐた。口を小さくあけてゐるが、まだ言葉を発しない。

            via: (太宰治『メリイクリスマス』)



というように「若い女の人」(A)と「鳥の飛び立つ一瞬前」(B)には類似性があることによって驚いてるさまがありありと分かる。

そして著者は、直喩は類似しているもの同士に基づいて成り立っているものではなく、
『直喩によって類似性が設定される』というのだ。

つまり、「若い女の人」「鳥の飛び立つ一瞬前」になんの関係、関連性・類似性なんてものが無くても『直喩によって類似性を設定』してしまえば、それらは表現として成り立つというのだ。

この発想を読んだ時、脳汁が止まらなかった。


著者の考えかたは、ためになるものが多い。
故に、この本の魅力といえるだろう。


まとめ


修辞技法を使えば、よりよい文を書くことができるに違いないと思い立ち、本書を手にとったのだが期待は外れてしまった。
レクチャー式みたいな、AをすることによってBの効果が生まれます。
というピンポイントな本を探すべきだったに違いない。

ただこの本は『レトリック』や『言葉』とはどういうものか?という事を、
知りたいならば良書に違いない。


<参考>
レトリック感覚 (講談社学術文庫)

レトリック感覚 (講談社学術文庫)



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