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2022年12月14日

選びたい女

「カレーメシ」なるものが
10個ほどストックされているが
初めて食べたときに
予想以上に美味しかったという話を
母にしたら
買い物のたびに安く出てれば
買ってきて
私が遊びに行った時のお土産に
3個くらい持たされる
美味しかったのは事実だが
もらってきた「カレーメシ」が
10個あるのを見るたびに
それから一度も食べていないことに気づく

美味しかったが
食べたいわけでもなく
好きなわけでもなく
なにか食べるものはないかと
思うときに
しかたなく食べるような位置になる

なにか食べるものはないかなと
探すときに
意図とは違うものを
食べることに
この上ない違和感を覚えてしまい

なんでもいいわけじゃないんだなぁ
自分が選んで買ったものを
食べたいんだなぁ

いただいたものなのに
なんて失礼な女でしょう
ってわかっているけど

これまでずっと
母からの
「代替品」がお土産になり
本当に食べたいものではなくて
「せっかくもらったから」
「あるからこれでいいか」
って当然のように
しかし
「しょうがない」という思いで
それを食べてきた

「しょうがない」ではなくて
「これがいい」と思いながら
食べたいなと思うのである

母といるときには
自分の意思はないものになり
買い物の
母が気に入らないものは
横からずっとケチをつけられて
食べたいものを選ぶと
「家にそういうお菓子はある」と
代替品を勧められる
それでも「これがいい」と言って
選ぶと
「そういう贅沢なものは家にはないけど」と
よくわからないことを言われる

これ で いい 
より
これ が いい

の方が 絶対に嬉しいし
楽しいし

自分で選びたい

代替品を何十年も選んできたのも
自分自身ではあるのだが

なんだか
だんだん
自分で選んだ好きなもので
嬉しい気分に
なりたいと思うようになってしまった

一度きりの人生で
そうじゃないともったいないと
思っちゃったんだから
それこそ
しょうがない

選びたい女の話




posted by 彩沙 at 19:44 | TrackBack(0) | 小説

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