2008年01月16日
猫姫の舞踏 3
「ね、おねえちゃん
宿のおばさんにお土産買ってってあげようか
今回けっこう長くお世話になってるしさ」
「そうね
食事はたぶん用意してくれてるし・・・
おやつでも買って帰ろうかしらね
といってもブランがほとんど食べちゃうんだろけどね」
「失礼ねぇ、もう・・・
そのぶんたくさん買っていけばいいでしょ
あっ、あのケーキなんておいしそう〜」
「はいはい、好きなもの買っていらっしゃいな
おばさんへのお土産だってこと忘れないようにね!」
ブランが甘い香りのその店へ走って飛び込むのを、ノアールは微笑みながら見送った。
「ほんとにもういつまでも子供なんだから・・・」
そうつぶやきながらもそんな妹がかわいくてしかたがない。
たったふたりでずっと生きてきたのだ。
大切な大切な相棒でもあった。
ブランはあれこれ目移りしてなかなか買い物が終わらない様子であった。
「んもう・・・いつまでかかるつもりかしらね
大量のおみやげになりそうねぇ・・・」
ノアールが独り言をつぶやいたそのとき、
「そうだよねぇ。
おねえちゃんをひとりこんな夜道に待たせたまんまじゃ
危ねぇじゃねーか、なぁ」
背後から男の声が聞こえた。
「だれ!?」
「いやいや
怪しいもんじゃねーよ
キレイなおねえちゃん二人じゃ夜道危ねえからな
送ってあげようかって親切もんさね」
「ご親切にどうも
でもわたしたちは大丈夫よ
放っておいてちょうだい」
「まぁ そんな気の強いこと言うなよ
人の親切は素直に受け取っとくもんだぜ」
「放っておいてって言ってるでしょ
あっちへいって!」
「ふぅん・・・
ほんとに気の強いねーちゃんだな
そんなこと言ってるとほんとに襲われっぞぉ」
男がそう言うと、どこにいたのかノアールの背後に二人の男が現れた。
(キリン)