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2014年02月13日

岩床

岩床(がんしょう、sill、sheet)は、地層にマグマが貫入して固まった板状岩体のうち、地層面にほぼ平行に貫入したものをいう。シルあるいはシートともいう。

マグマが地層面を横切るように貫入したものは岩脈という。

岩脈

岩脈(がんみゃく、ダイク、dike、dyke)は、地層や岩石の割れ目にマグマが貫入して板状に固まったもの。露頭で目にするのはその板状の岩体の断面のことが多いため、筋のようなものと思いがちである。

マグマが地層に平行に貫入したものは岩床という。

ひん岩

ひん岩(玢岩、ひんがん、porphyrite)は、斑状組織をしているが、火山岩に比べて石基部分の結晶が大きい火成岩。普通は安山岩質のものを指すが、現在では使われない岩石名。岩脈として産することが多い。

もともとは、カール・ハインリヒ・ローゼンブッシュが中生代以前の安山岩に対して用いた。

ペグマタイト

ペグマタイト[1][2](英: pegmatite)は、大きな結晶からなる火成岩の一種。花崗岩質のものが多いため巨晶花崗岩(きょしょうかこうがん)あるいは鬼御影(おにみかげ)と呼ばれることもあるが、閃緑岩質や斑れい岩質のものもある。岩脈などの小岩体として産出する。

マグマが固結する際の分化作用において、ゆっくりと冷えたために結晶が大きく成長している。液体・気体の発生によって大規模な晶洞が生じるため、先の特徴による大型結晶と併り、大型かつ美麗な鉱物結晶を産することも珍しくない。



目次 [非表示]
1 日本国内のおもなペグマタイト
2 ペグマタイト鉱物
3 ペグマタイト鉱床
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
7 外部リンク


日本国内のおもなペグマタイト[編集]

著名なもの、特徴的なものを挙げる。小規模なペグマタイト岩体自体は各地の花崗岩体内及びその周辺に普通に分布している。
福島県石川町および水晶山一帯 : 日本三大ペグマタイト。珪石鉱床。戦時中放射性元素の採掘が試験的に行われた。
福島県郡山市 鹿島大神宮 : 神体が岩体そのものであり、国の天然記念物に指定されている(「鹿島神社のペグマタイト岩脈」、1966年指定)。
新潟県金丸鉱山 : 珪石鉱山として稼工中の鉱床。
岐阜県苗木地方及び長野県木曽田立 : 日本三大ペグマタイト。錫および希元素鉱物の漂砂鉱床。
滋賀県田上山 : 日本三大ペグマタイト。明治期にトパーズを大量に欧米へ輸出。
福岡県長垂 : 国の天然記念物に指定されているリチウムペグマタイト(「長垂の含紅雲母ペグマタイト岩脈」、1934年指定)。

ペグマタイト鉱物[編集]

ペグマタイトに含まれる鉱物をペグマタイト鉱物(英: pegmatitic mineral)という。

鉱物種としては主要な造岩鉱物である石英、長石、雲母の類のほか、特徴的なものとして蛍石、トパズ、緑柱石、電気石、柘榴石などがある。また、結晶分化作用において最後まで残された成分および元素が濃集しているため、放射性元素や希土類を含む、燐灰ウラン石、モナズ石、コルンブ石、リチア電気石等の珍しい希元素鉱物を産する。

また、放射性元素の影響により、本来無色透明な石英(水晶)は呈色によって煙水晶や黒水晶、紅石英となり、長石は肉色〜桃色となっていることも珍しくない。

ペグマタイト鉱床[編集]

ペグマタイト鉱床(英: pegmatite deposit)は、ペグマタイトに含まれる諸鉱物を目的として稼工する鉱床を指す。

稼工目的となりうるものとしては、石英、長石、雲母類、希元素鉱物、鉱物結晶自体(宝石としての利用)等がある。

日本国内においては主に陶器材料の長石・ガラス材料の石英を目的に採掘された。これは江戸時代〜戦後まで盛んに開発されたものの、現在では輸入品に押され稼工している鉱床は少ない。希元素鉱物を目的とした鉱床は戦時中〜戦後盛んに探鉱されたものの、その後現在に至る情勢下では規模及び質的な問題で有望な鉱床は発見されていない(国内で稼工されているウラン鉱床には鳥取県人形峠鉱山があるが、これは花崗岩体近くの堆積岩中に産する二次的な鉱床である)。

脚注[編集]

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1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、321頁。ISBN 4-8181-8401-2。
2.^ 日本地質学会編 『地質学用語集 - 和英・英和』 共立出版、2004年、365頁。ISBN 4-320-04643-9。

参考文献[編集]
都城秋穂・久城育夫 『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年、85-86頁。ISBN 4-320-00205-9。
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、242-243頁。ISBN 4-320-04578-5。
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、33-36頁。ISBN 4-586-30013-2。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、34-36頁。ISBN 4-586-31040-5。
長島乙吉・長島弘三 『日本希元素鉱物』 長島乙吉先生祝賀記念事業会、1960年。

アプライト

アプライト[1][2](英: aplite)は、ほとんど有色鉱物を含まない細粒の火成岩。花崗岩と鉱物組成が似ているために、半花崗岩(はんかこうがん)ともいう。小規模な岩脈として産することが多い。



目次 [非表示]
1 脚注
2 参考文献
3 関連項目
4 外部リンク


脚注[編集]

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1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年。ISBN 4-8181-8401-2。
2.^ 日本地質学会編 『地質学用語集 - 和英・英和』 共立出版、2004年。ISBN 4-320-04643-9。

参考文献[編集]
都城秋穂・久城育夫 『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年、85-86頁。ISBN 4-320-00205-9。
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、242-243頁。ISBN 4-320-04578-5。
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、36-37頁。ISBN 4-586-30013-2。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、34-37頁。ISBN 4-586-31040-5。

関連項目[編集]

ウィキメディア・コモンズには、アプライトに関連するカテゴリがあります。
岩石 - 火成岩 - 半深成岩
酸性岩、珪長質岩
岩石の一覧

珪長岩

珪長岩(けいちょうがん、英: felsite、フェルサイト)は、大きな石英の結晶を含む場合もある超微粒子火山岩である。珪長岩は、正確に定義するために岩石記載学による試験、もしくは化学分析を一般的に必要とする淡い色彩の岩石の総称である。

色は通常、淡い灰色〜白色で、日焼けすると赤色になる。濃い灰色、緑色または黒色以外の色のトラップを含む場合もある[1]。岩石は微粒子で構成されており、特に石英、斜長石、カリ長石の微粒子が含まれる。石英斑晶が存在する場合は、石英珪長岩または石英斑岩と呼ばれることもある。

この岩石は一般的な火成岩であり、黒曜岩や流紋岩と共に見つかることもある。形成された環境によっては、とてもきめが細かい岩石となる。

脚注[編集]

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1.^ Klein, Cornelis; Cornelius S. Hurlbut (1986). Manual of Mineralogy. Wiley. pp. p. 484. ISBN 0-471-80580-7.

関連項目[編集]

ウィキメディア・コモンズには、珪長岩に関連するカテゴリがあります。
岩石 - 火成岩 - 半深成岩
岩石の一覧
石英斑岩

斑岩

斑岩(はんがん、英: porphyry、ポーフィリー)は、斑状組織をしているが、火山岩に比べて石基部分の結晶が大きい火成岩。普通は珪長質のものを指す。岩脈として産することが多い。



目次 [非表示]
1 斑岩の種類
2 参考文献
3 関連項目
4 外部リンク


斑岩の種類[編集]
石英斑岩(quartz porphyry)流紋岩と同じような鉱物組成であるが、石英(高温石英)の自形結晶(斑晶)が大きく目立つもの。石英の斑晶がほとんど見られないものは珪長岩(felsite、フェルサイト)という。花崗斑岩(granite porphyry)石英斑岩よりも石基部分の結晶が大きく、花崗岩に組織が近いもの。長石の斑晶も目立つ。閃長斑岩(syenite porphyry)モンゾニ斑岩(monzonite porphyry)文象斑岩(granophyre、グラノファイアー)石英とアルカリ長石が文象構造を示すようになった斑岩。斑状組織を示さないものは文象花崗岩(graphic granite)という。




花崗斑岩






文象斑岩(グラノファイアー)


参考文献[編集]
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年。ISBN 4-320-04578-5。
文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年。ISBN 4-8181-8401-2。
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年。ISBN 4-586-30013-2。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年。ISBN 4-586-31040-5。

プロピライト

プロピライト(propylite、変朽安山岩)とは二酸化炭素を含む溶液の作用で変質した安山岩。角閃石や黒雲母の緑泥石・方解石化、斜長石の曹長石・緑簾石化で淡褐緑色を呈するのが特徴。現在は岩石名としては使用されていない。

関連項目[編集]
岩石 - 火成岩 - 火山岩 - 安山岩
岩石の一覧

参考文献[編集]
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、ISBN 4-586-31040-5。

無人岩

無人岩(むにんがん、ぶにんがん、boninite、ボニナイト)は、小笠原諸島の父島などに産し、SiO2 > 52%, MgO > 8%, TiO2 < 0.5%の化学組成を有する特殊な火山岩。斜長石を全く含まず、石基はガラス質。

2007年、父島の無人岩が日本の地質百選に選定された(「父島無人岩(ボニナイト)」)。



目次 [非表示]
1 歴史
2 関連項目
3 参考文献
4 外部リンク


歴史[編集]

無人岩は1891年Petersenによって命名されたが、実質的な発見者は菊池安といえる。Kikuchi(1889)は無人岩に関して、ほとんど完璧といってよい記載をおこなったが、それが岩石学の常識を超える余りにも異常なものであったため、その後80年間完全に忘れ去られていた。白木・黒田(1975); Kuroda and Shiraki(1975)により小笠原無人岩の再確認がおこなわれ、菊池の先駆的な研究が評価された。

菊池は1887年11月に三宅・八丈・鳥島・小笠原・硫黄島を訪れ、翌1888年“小笠原島及火山群島地質摘要”と題する簡単な報告を『東洋学芸雑誌』に掲載した。その中で“母島ニ露出セル安山岩ハ内地ニ於テ見ルモノト類スル者ナレドモ父島ノ火山岩ハ一種特別ノモノニテ多クハ異色ヲ帯ビ顕微鏡ヲ以テ之ヲ見レバ鳶色ノ玻璃石基中ニ許多ノ一種ノ斜方輝石ノ結晶ヲ含有ス長石結晶少シ”と無人岩の特徴を初めて明確に記述した。1889年さらに詳しい記載を“On Pyroxenic Components in certain Volcanic Rocks from Bonin Island”として『帝国大学紀要』に発表した。

1891年、Petersenは植物学者Warburgの採取品を調べ、父島の火山岩にカンラン石・斜方輝石・単斜輝石とガラスだけからなり長石を欠くものを見つけ、Bronzite-Limburgiteとしたが、多量の斜方輝石を含むので、新しく「Boninit」と名付けた。Petersen(1891a)は菊池の研究を知らなかったので、菊池の論文が出るや直ちにコメントを発表した(Petersen, 1891b)。大筋において菊池の成果を認め、「Boninit」の正当性が裏付けられたとした。

1931-38年、Johannsenは4巻からなる記載岩石学の大著を出版した。Johannsenはこの本にその当時までに知られていた火山岩のあらゆる情報を詰め込んだ。boniniteも“a glass-rich, nearly feldspar-free olivine-bronzite andesite (according to chemical composition), which carries phenocrysts of olivine, bronzite, and augite”と正確に記載された。

日本の地質百選

日本の地質百選(にほんのちしつひゃくせん)は、「特定非営利活動法人地質情報整備・活用機構」と「社団法人全国地質調査業協会連合会」が共同で発案し、諸団体の協力のもと設立された「日本の地質百選選定委員会」による地質学的にみた日本の貴重な自然資源を選定する百選。



目次 [非表示]
1 選定経過
2 一覧
3 参考文献
4 関連項目
5 外部リンク


選定経過[編集]
2007年5月の第一次選定で、83件が選定された。
2009年5月の第二次選定で、37件が選定された。第一次の1件が変更された。この時点で計120件の選定がある。

一覧[編集]


No.

地名

県名

001 知床半島 北海道
002 白滝黒曜石 北海道
003 神居古潭渓谷の変成岩 北海道
004 夕張岳と蛇紋岩メランジュ 北海道
005 夕張の石炭大露頭 北海道
006 幌尻岳の七つ沼カール 北海道
007 有珠山・昭和新山 北海道
008 アポイ岳と高山植物群落 北海道
009 霧多布湿原 北海道
010 オンネトー湯の滝 北海道
011 恐山の金鉱床 青森
012 仏ヶ浦 青森
013 十和田湖・奥入瀬渓谷 青森
014 龍泉洞 岩手
015 久慈層群と琥珀 岩手
016 大船渡の中古生界 岩手
017 唐桑半島 宮城
018 松島 宮城
019 荒砥沢ダムの上流崩壊地 宮城
020 蔵王火山 宮城・山形
021 尾去沢鉱山 秋田
022 男鹿一ノ目潟 秋田
023 鳥海山 秋田・山形
024 豊川油田 秋田
025 千屋断層 秋田
026 磐梯山 福島
027 筑波山 茨城
028 五浦海岸 茨城
029 華厳の滝 栃木
030 足尾銅山 栃木
031 大谷石 栃木
032 塩原湖成層と木の葉石 栃木
033 葛生石灰岩 栃木
034 浅間山 群馬
035 跡倉クリッペ 群馬
036 瀬林の漣痕と恐竜足跡 群馬
037 秩父・長瀞 埼玉
038 秩父・ようばけ 埼玉
039 犬吠埼 千葉
040 養老渓谷・黒滝不整合 千葉
041 伊豆大島 東京
042 三宅島 東京
043 父島無人岩(ボニナイト) 東京
044 城ヶ島 神奈川
045 箱根火山 神奈川
046 丹沢山地の変成岩 神奈川
047 佐渡金山 新潟
048 佐渡小木海岸 新潟
049 新津油田 新潟
050 糸魚川−静岡構造線(糸魚川) 新潟
051 小滝・青海川ヒスイ峡 新潟
052 信濃川河岸段丘と活褶曲 新潟
053 魚津埋没林 富山
054 立山カルデラ 富山
055 白峰百万貫岩 石川
056 能登珪藻土 石川
057 犀川沿い大桑層 石川
058 東尋坊 福井
059 ふくい恐竜渓谷 福井
060 糸魚川−静岡構造線(早川) 山梨
061 昇仙峡 山梨
062 富士山 山梨・静岡
063 八ケ岳 長野・山梨
064 上高地と滝谷花崗岩 長野
065 御嶽山 長野・岐阜
066 中央構造線(大鹿村) 長野
067 湯俣の噴湯丘と白骨温泉の噴湯丘 長野
068 神岡鉱山 岐阜
069 根尾谷断層 岐阜
070 飛水峡・上麻生礫岩 岐阜
071 鵜沼のチャート 岐阜・愛知
072 瑞浪の化石 岐阜
073 丹那断層 静岡
074 大崩海岸 静岡
075 鳳来寺山 愛知
076 中央構造線(月出) 三重
077 石山寺珪灰石 滋賀
078 天橋立 京都
079 玄武洞 兵庫
080 生野鉱山 兵庫
081 六甲−淡路断層系 兵庫
082 南あわじの鞘形褶曲 兵庫
083 山陰海岸 鳥取・兵庫
084 玉置山 奈良
085 古座川弧状岩脈 和歌山
086 鳥取砂丘 鳥取
087 隠岐島前カルデラ 島根
088 石見銀山 島根
089 三瓶埋没林 島根
090 羅生門 岡山
091 久井の岩海 広島
092 須佐ホルンフェルス 山口
093 秋吉台・秋芳洞 山口
094 宍喰浦舌状漣痕 徳島
095 阿波の土柱 徳島
096 サヌカイト 香川
097 砥部衝上断層 愛媛
098 大島シュードタキライトと変成岩類 愛媛
099 龍河洞 高知
100 横倉山・佐川 高知
101 久礼メランジュ 高知
102 室戸岬の斑レイ岩 高知
103 竜串・見残し海岸 高知
104 平尾台カルスト 福岡
105 有明海干潟 佐賀
106 雲仙 長崎
107 小値賀島単成火山群 長崎
108 阿蘇 熊本
109 御所浦 熊本
110 肥後変成帯 熊本
111 玖珠二重メサ 大分
112 竹田の阿蘇火砕流堆積物 大分
113 青島 宮崎
114 市木不整合 宮崎
115 霧島火山群 鹿児島
116 桜島 鹿児島
117 屋久島 鹿児島
118 甑島の白亜紀―古第三紀層 鹿児島
119 奥武島の畳石 沖縄
120 大東隆起環礁 沖縄
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