2014年02月13日
ペグマタイト
ペグマタイト[1][2](英: pegmatite)は、大きな結晶からなる火成岩の一種。花崗岩質のものが多いため巨晶花崗岩(きょしょうかこうがん)あるいは鬼御影(おにみかげ)と呼ばれることもあるが、閃緑岩質や斑れい岩質のものもある。岩脈などの小岩体として産出する。
マグマが固結する際の分化作用において、ゆっくりと冷えたために結晶が大きく成長している。液体・気体の発生によって大規模な晶洞が生じるため、先の特徴による大型結晶と併り、大型かつ美麗な鉱物結晶を産することも珍しくない。
目次 [非表示]
1 日本国内のおもなペグマタイト
2 ペグマタイト鉱物
3 ペグマタイト鉱床
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
7 外部リンク
日本国内のおもなペグマタイト[編集]
著名なもの、特徴的なものを挙げる。小規模なペグマタイト岩体自体は各地の花崗岩体内及びその周辺に普通に分布している。
福島県石川町および水晶山一帯 : 日本三大ペグマタイト。珪石鉱床。戦時中放射性元素の採掘が試験的に行われた。
福島県郡山市 鹿島大神宮 : 神体が岩体そのものであり、国の天然記念物に指定されている(「鹿島神社のペグマタイト岩脈」、1966年指定)。
新潟県金丸鉱山 : 珪石鉱山として稼工中の鉱床。
岐阜県苗木地方及び長野県木曽田立 : 日本三大ペグマタイト。錫および希元素鉱物の漂砂鉱床。
滋賀県田上山 : 日本三大ペグマタイト。明治期にトパーズを大量に欧米へ輸出。
福岡県長垂 : 国の天然記念物に指定されているリチウムペグマタイト(「長垂の含紅雲母ペグマタイト岩脈」、1934年指定)。
ペグマタイト鉱物[編集]
ペグマタイトに含まれる鉱物をペグマタイト鉱物(英: pegmatitic mineral)という。
鉱物種としては主要な造岩鉱物である石英、長石、雲母の類のほか、特徴的なものとして蛍石、トパズ、緑柱石、電気石、柘榴石などがある。また、結晶分化作用において最後まで残された成分および元素が濃集しているため、放射性元素や希土類を含む、燐灰ウラン石、モナズ石、コルンブ石、リチア電気石等の珍しい希元素鉱物を産する。
また、放射性元素の影響により、本来無色透明な石英(水晶)は呈色によって煙水晶や黒水晶、紅石英となり、長石は肉色〜桃色となっていることも珍しくない。
ペグマタイト鉱床[編集]
ペグマタイト鉱床(英: pegmatite deposit)は、ペグマタイトに含まれる諸鉱物を目的として稼工する鉱床を指す。
稼工目的となりうるものとしては、石英、長石、雲母類、希元素鉱物、鉱物結晶自体(宝石としての利用)等がある。
日本国内においては主に陶器材料の長石・ガラス材料の石英を目的に採掘された。これは江戸時代〜戦後まで盛んに開発されたものの、現在では輸入品に押され稼工している鉱床は少ない。希元素鉱物を目的とした鉱床は戦時中〜戦後盛んに探鉱されたものの、その後現在に至る情勢下では規模及び質的な問題で有望な鉱床は発見されていない(国内で稼工されているウラン鉱床には鳥取県人形峠鉱山があるが、これは花崗岩体近くの堆積岩中に産する二次的な鉱床である)。
脚注[編集]
[ヘルプ]
1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、321頁。ISBN 4-8181-8401-2。
2.^ 日本地質学会編 『地質学用語集 - 和英・英和』 共立出版、2004年、365頁。ISBN 4-320-04643-9。
参考文献[編集]
都城秋穂・久城育夫 『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年、85-86頁。ISBN 4-320-00205-9。
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、242-243頁。ISBN 4-320-04578-5。
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、33-36頁。ISBN 4-586-30013-2。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、34-36頁。ISBN 4-586-31040-5。
長島乙吉・長島弘三 『日本希元素鉱物』 長島乙吉先生祝賀記念事業会、1960年。
マグマが固結する際の分化作用において、ゆっくりと冷えたために結晶が大きく成長している。液体・気体の発生によって大規模な晶洞が生じるため、先の特徴による大型結晶と併り、大型かつ美麗な鉱物結晶を産することも珍しくない。
目次 [非表示]
1 日本国内のおもなペグマタイト
2 ペグマタイト鉱物
3 ペグマタイト鉱床
4 脚注
5 参考文献
6 関連項目
7 外部リンク
日本国内のおもなペグマタイト[編集]
著名なもの、特徴的なものを挙げる。小規模なペグマタイト岩体自体は各地の花崗岩体内及びその周辺に普通に分布している。
福島県石川町および水晶山一帯 : 日本三大ペグマタイト。珪石鉱床。戦時中放射性元素の採掘が試験的に行われた。
福島県郡山市 鹿島大神宮 : 神体が岩体そのものであり、国の天然記念物に指定されている(「鹿島神社のペグマタイト岩脈」、1966年指定)。
新潟県金丸鉱山 : 珪石鉱山として稼工中の鉱床。
岐阜県苗木地方及び長野県木曽田立 : 日本三大ペグマタイト。錫および希元素鉱物の漂砂鉱床。
滋賀県田上山 : 日本三大ペグマタイト。明治期にトパーズを大量に欧米へ輸出。
福岡県長垂 : 国の天然記念物に指定されているリチウムペグマタイト(「長垂の含紅雲母ペグマタイト岩脈」、1934年指定)。
ペグマタイト鉱物[編集]
ペグマタイトに含まれる鉱物をペグマタイト鉱物(英: pegmatitic mineral)という。
鉱物種としては主要な造岩鉱物である石英、長石、雲母の類のほか、特徴的なものとして蛍石、トパズ、緑柱石、電気石、柘榴石などがある。また、結晶分化作用において最後まで残された成分および元素が濃集しているため、放射性元素や希土類を含む、燐灰ウラン石、モナズ石、コルンブ石、リチア電気石等の珍しい希元素鉱物を産する。
また、放射性元素の影響により、本来無色透明な石英(水晶)は呈色によって煙水晶や黒水晶、紅石英となり、長石は肉色〜桃色となっていることも珍しくない。
ペグマタイト鉱床[編集]
ペグマタイト鉱床(英: pegmatite deposit)は、ペグマタイトに含まれる諸鉱物を目的として稼工する鉱床を指す。
稼工目的となりうるものとしては、石英、長石、雲母類、希元素鉱物、鉱物結晶自体(宝石としての利用)等がある。
日本国内においては主に陶器材料の長石・ガラス材料の石英を目的に採掘された。これは江戸時代〜戦後まで盛んに開発されたものの、現在では輸入品に押され稼工している鉱床は少ない。希元素鉱物を目的とした鉱床は戦時中〜戦後盛んに探鉱されたものの、その後現在に至る情勢下では規模及び質的な問題で有望な鉱床は発見されていない(国内で稼工されているウラン鉱床には鳥取県人形峠鉱山があるが、これは花崗岩体近くの堆積岩中に産する二次的な鉱床である)。
脚注[編集]
[ヘルプ]
1.^ 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年、321頁。ISBN 4-8181-8401-2。
2.^ 日本地質学会編 『地質学用語集 - 和英・英和』 共立出版、2004年、365頁。ISBN 4-320-04643-9。
参考文献[編集]
都城秋穂・久城育夫 『岩石学II - 岩石の性質と分類』 共立出版〈共立全書〉、1975年、85-86頁。ISBN 4-320-00205-9。
黒田吉益・諏訪兼位 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 共立出版、1983年、242-243頁。ISBN 4-320-04578-5。
益富壽之助 『原色岩石図鑑 全改訂新版』 保育社、1987年、33-36頁。ISBN 4-586-30013-2。
豊遙秋・青木正博 『検索入門 鉱物・岩石』 保育社、1996年、34-36頁。ISBN 4-586-31040-5。
長島乙吉・長島弘三 『日本希元素鉱物』 長島乙吉先生祝賀記念事業会、1960年。
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/2233345
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック