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2014年02月08日

神智学

神智学(しんちがく、Theosophy)とは、19世紀にブラヴァツキー夫人を中心として設立された神智学協会に端を発する神秘主義、密教、秘教的な思想哲学体系である。全ての宗教、思想、哲学、科学、芸術などの根底にある一つの普遍的な真理を追求することを目指している。



目次 [非表示]
1 概要 1.1 語源
1.2 3つの柱
1.3 基本的な思想

2 代表的な流れ 2.1 第一世代

3 脚注
4 参考文献
5 関連項目
6 外部リンク


概要[編集]

語源[編集]

神智学(Theosophy)という用語は、古代ギリシャ語の θεοσοφία(Theosophia)を語源としており、直訳すると「神聖な叡智」という意味になる。3世紀のギリシャの思想家であるアンモニオス・サッカスとその弟子達(オリゲネス、プロティノスなど)が使い始めたという[1]。また、Theosophia という用語は、近世初期の神秘主義思想にも使用例が見られる。

3つの柱[編集]

一般的な神智学の思想は、次の三つを柱としている[2]。
全宇宙の根底には、一つの絶対的で人智を超えた至高の神霊や無限の霊力が存在しており、見えるものも見えないものも含めた万物の根源になっている、という思想
普遍的な魂からの放射である人間は、その至高の神霊と同一の本質を共有しているがために初めから永遠で不滅である、という思想
「神聖な仕事」を通じて神々の働きを実現すること

基本的な思想[編集]

神智学は、様々な宗教や神秘思想、オカルトを1つの真理の下で統合することを目指しているので、その中では、当然、様々な宗教や神秘主義、オカルトが扱われることになり、例えば、古代エジプトの神秘主義、ヘルメス思想、ギリシャ哲学、キリスト教、新プラトン主義、グノーシス主義、カバラ、ヴェーダ、バラモン教、ヒンドゥー教、ヨーガ、仏教、ゾロアスター教、フリーメーソン、薔薇十字団、魔術、錬金術、占星術、心霊主義、神話、などが様々な文脈の中で引用されたり語られたりしている。

神智学の主張によると、宗教、神秘主義、オカルトの奥義は、それが支配する力の大きさや危険性から、どの時代においても一部の選ばれた少数の人間にのみ伝授され守られてきたという。宗教、神秘主義、オカルトに関する知識は、自分自身の内的な認識、超能力、神秘体験、霊覚、直接的な観察などによって得られるとされるが宗教、神秘主義、オカルトの思想家たちは、古代のエジプトやインドの賢者たちも含めて、外部の様々な現象を分析し客観性や合理性を重視する実証主義的な現代の科学者達よりもある意味では優れた認識や理解を持っているという。

そうした、宗教、神秘主義、オカルトの教義に精通し、神秘の奥義を伝授されている人間は、一般的に「秘教の秘伝への参入者」と呼ばれるが、その中でも特に奥義を体得している者達は、様々な超常的な力(物質化、テレパシーなど)を持っていたり、肉体を通常よりもかなり長い期間に渡って維持していたり、宇宙の諸現象の理解や人類への愛の面で卓越していたりするという。神智学協会の設立者であるブラヴァツキー夫人は、それらの参入者達に師事して教えを授かったとされる。神智学では、それらのオカルトの達人達を「偉大な魂」(マハトマ)や「大師」(マスター)と呼んでいる。また、それらの大師達の組織を「ハイアラーキー」、グレート・ホワイト・ブラザーフッドと呼んでいる。オカルトの達人の名前として、モリヤ、クートフーミ、ヒラリオン、ジュワルクールなどの名前があがっており、ブラヴァツキー夫人とアルフレッド・パーシー・シネットにより19世紀末にマハトマ-書簡で話題となった。

神智学の具体的な思想としては、万物の一元性、宇宙や文明や人種の周期的な発生と衰退、三位一体の顕現、太陽系や人間の七重構造、厳正な因果律、輪廻転生、太古の文明、超能力、高次の意識、原子や鉱物や惑星の進化、生命体の進化に伴う天体間の移動、などが説かれている。

代表的な流れ[編集]

第一世代[編集]

神智学協会が設立されて間もない頃の代表的な論者としては、ブラヴァツキー夫人、ヘンリー・スティール・オルコット、アルフレッド・パーシー・シネットなどがいる。

ブラヴァツキー夫人の著書としては、神智学協会の設立の経緯や神智学の基本的な思想についてQ&A形式で答える『神智学の鍵』、人類や宇宙の創造や進化ついての壮大な思想を展開する『シークレット・ドクトリン(秘密教義)』、霊性進歩の弟子道を説いた『沈黙の声』、夫人の最初の著作である『ヴェールを剥がれたイシス』、19世紀後半のインドを神秘主義的紀行の形で著した『インド幻想紀行』などがある。ウィニーフレッド・パーレィがブラヴァツキー夫人の著作から編さんした『ブラヴァツキーのことば365日』も日本語訳が刊行されている。

脚注[編集]

1.^ H. P. Blavatsky, The Key to Theosophy, The Meaning of the Name
2.^ H. P. Blavatsky, The Key to Theosophy, What was the object of this system?

参考文献[編集]
H.P.ブラヴァツキー 『シークレット・ドクトリン 宇宙発生論 上』 竜王文庫 1988年 ISBN 89741-317-6
H.P.ブラヴァツキー 『神智学の鍵』 竜王文庫
H.P.ブラヴァツキー 『ベールをとったイシス 第1巻』 竜王文庫
H.P.ブラヴァツキー 『沈黙の声』 竜王文庫
H.P.ブラヴァツキー 『実践的オカルティズム』 竜王文庫
H.P.ブラヴァツキー 『夢魔物語』 竜王文庫
H.P.ブラヴァツキー 『インド幻想紀行 ヒンドスタンの石窟とジャングルから』 ちくま学芸文庫
『ブラヴァツキーのことば365日』ウィニーフレッド・パーレィ編さん アルテ 星雲社 ISBN 978-4434135996
ハワード・マーフェット 『H・P・ブラヴァツキー夫人 - 近代オカルティズムの母』 田中恵美子訳 ISBN 4897413087
『神智学大要 第一巻 エーテル体』 アーサー・E・パウエル編著 出帆新社
『神智学大要 第二巻 アストラル体(上)』 アーサー・E・パウエル編著 出帆新社
『神智学大要 第二巻 アストラル体(下)』 アーサー・E・パウエル編著 出帆新社
『神智学大要 第三巻 メンタル体(上)』 アーサー・E・パウエル編著 出帆新社
『神智学大要 第三巻 メンタル体(下)』 アーサー・E・パウエル編著 出帆新社
『神智学大要 第四巻 コーザル体(上)』 アーサー・E・パウエル編著 出帆新社
『神智学大要 第四巻 コーザル体(下)』 アーサー・E・パウエル編著 出帆新社
『神智学大要 第五巻 太陽系(上)』 アーサー・E・パウエル編著 出帆新社
『神智学大要 第五巻 太陽系(下)』 アーサー・E・パウエル編著 出帆新社
リードビーター『チャクラ』平河出版社
リードビーター『神智学入門』たま出版
リードビーター『アストラル界』竜王文庫
リードビーター『透視力』竜王文庫
リードビーター『大師とその道』竜王文庫
リードビーター(リイド・ピーター)『神秘的人間像』文曜書院 1940年
ベサント、リードビーター『想念形体・思いは生きている』竜王文庫
クーパー 『神智学入門―古代の叡智を求めて』
クリシュナムルティ『大師のみ足のもとに』竜王文庫
アランデール『クンダリニ』竜王文庫
ジャッジ『オカルティズム対話集』竜王文庫
ピアースン『神智学の真髄』出帆新社
E・ノーマン・ピアースン 『時空と意識 神智学による錯覚の克服』たま出版 1984年 ISBN 4-88481-120-8
コリンズ『蓮華の書』村松書館
ウッド『瞑想入門』たま出帆
ヘンリー・エス・オルコット『仏教問答』原成美訳
ルネ・ゲノン 『世界の終末 現代世界の危機』 田中義廣訳 平河出版社、1986年
アン・バン・クロフト 『20世紀の神秘思想家たち』 吉福伸逸訳、平河出版社
『プラトンのアトランティス』 小泉源太郎訳 (『シークレット・ドクトリン』 の出典について) ISBN 4894563657 大陸書房刊 『幻想大陸』 の改題再刊


関連項目[編集]
神智学協会
ブラヴァツキー夫人
ヘンリー・スティール・オルコット
アニー・ベサント
神秘学
人智学
アントロポゾフィー
仏教
オカルト
魔術
錬金術
精神世界
内視現象
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