2014年02月08日
範疇論 (アリストテレス)
『範疇論』(はんちゅうろん、希: Κατηγορίαι、羅: Categoriae, 英: Categories)とは、アリストテレスの著作であり、『オルガノン』の中の一冊。『カテゴリー論』とも。
文字通り、様々な概念・言葉の「分類」について述べられている。
目次 [非表示]
1 題名
2 構成
3 内容
4 訳書
5 脚注・出典
6 関連項目
題名[編集]
本書の題名は、以下のように、古代の註釈家たちによって様々な名で呼ばれてきた[1]。「十のカテゴリー」といった呼称が散見されるのは、第4章にて10の分類が挙げられていることに因む。
『諸カテゴリーについて』
『十のカテゴリー』
『十のカテゴリーについて』
『十の類について』
『あるものの類について』
『諸カテゴリー、あるいは十の最も類的な類について』
『普遍的な言葉について』
構成[編集]
15の章から成り、それらは内容上、
1章 - 後で用いられる「同名異義的」「同名同義的」「派生名的」が説明される
2-9章 - 本編
10-15章 - 「対立」「反対」「より先」「運動」「同時に」「持つ」といった詞が使われる色々な場合の区別
の3つに分けることができる[2]。
この内、「post-praedicamenta」と総称される3番目の10-15章は、アリストテレスの作でなく、後世の挿入(ただし、紀元前200年以前のわりと早い時期)ということが、定説となっている[3]。
内容[編集]
第1章
同名異義的(ホモーニュモン、希: ὁμώνυμον (homonymon)) - 名称だけが共通で、本質的定義が異なるもの。(例:「動物」という名称で呼ばれる「人間」と「像」[4])
同名同義的(シュノーニュモン、希: συνώνυμον (synonymon)) - 名称も本質的義も同じもの。(例:「動物」という名称で呼ばれる「人間」と「牛」)
派生名的(パローニュモン、希: παρώνυμον (paronymon)) - 語尾変化によって生じたもの。(例:「文法学」(γραμματική)から「文法家」(γραμματικός)、「勇気」(ανδρεία)から「勇者」(ανδρείος))
第2章
表現方法には、
結合無し(単語)による表現 (例:「人間」「牛」「走る」「勝つ」)
結合(文)による表現 (例:「人間は走る」「人間は勝つ」)
の2種類がある。
概念の内、あるものは、
1.ある「基体[5]」(主語)についての述語になるが、いかなる「基体」(主語)の内にも無い。(例:「人間」は、「特定の人間」(基体)の述語となるが、どの「基体」の内にも無い)
2.ある「基体」(主語)についての述語にはならないが、「基体」(主語)の内にある。(例1:「特定の文法知識」は、「霊魂」(基体)の内にあるが、いかなる「基体」(主語)の述語にもならない、例2:「ある特定の白」は、「物体」(基体)の内にあるが、いかなる「基体」(主語)の述語にもならない)
3.ある「基体」(主語)についての述語になると共に、「基体」(主語)の内にある。(例:「知識」は、「霊魂」(基体)の内にあり、「文法的知識」(基体)の述語となる)
4.ある「基体」(主語)についての述語にならず、「基体」の内にも無い。(例:「特定の人間」「特定の馬」)
(なお、上記の話は要するに、
「ある「基体」の述語になるか否か」によって、「種・類」と「個」が、
「なんからの「基体」の内にあるか否か」によって、「実体」と「非実体」(性質・量)が、
それぞれ振り分けられ、その組み合わせで作られた4分類であり、分かりやすくまとめると、
1.「実体」のカテゴリーにおける「種・類」
2.「実体」以外のカテゴリーにおける「個」
3.「実体」以外のカテゴリーにおける「種・類」
4.「実体」のカテゴリーにおける「個」
ということになる[6]。)
第3章
「あるもの(A)が、基体(主語)としてのあるもの(B)についての述語となる関係にある」場合、その述語となるあるもの(A)について言われるものは、全て基体(B)に対してもあてはまる。(例:「特定の人間」(基体・主語、A)と「人間」(述語、B)の場合、「動物」は「人間」(述語、B)の述語となるので、「特定の人間」(基体・主語、A)の述語ともなる。)
「異なった「類」で、互いに他の下に配されない関係にある」場合、その「種差」も異なっている。(例:「動物」と「知識」の場合、「動物」の「種差」は、「陸棲的」「有翼的」「水棲的」「二足的」などによって表されるが、それらは「知識」の「種差」とはならない。)
第4章
単語表現が意味するものは、
1.「実体」(例:人間、馬)
2.「量」(例:2ペーキュス、3ペーキュス)
3.「質」(例:白い、文法的)
4.「関係」(例:二倍、半分、より大きい)
5.「場所」(例:リュケイオン、市場)
6.「時」(例:昨日、昨年)
7.「体位」(例:横たわっている、坐っている)
8.「所持」(例:靴を履いている、武装している)
9.「能動」(例:切る、焼く)
10.「受動」(例:切られる、焼かれる)
のいずれかである。
第5章
「実体」について。
「第一実体」 - (第2章の4) (例:「特定の人間」、「特定の馬」)
「第二実体」 - (第2章の1) (例:「人間」「馬」)
第6章
「量」について。
第7章
「関係」について。
第8章
「質」について。
第9章
「能動」「受動」について。
訳書[編集]
『新版アリストテレス全集 1 』 中畑正志、早瀬篤訳 岩波書店 2013年
『アリストテレス全集 1 』 山本光雄、井上忠、加藤信朗訳 岩波書店 1971年
文字通り、様々な概念・言葉の「分類」について述べられている。
目次 [非表示]
1 題名
2 構成
3 内容
4 訳書
5 脚注・出典
6 関連項目
題名[編集]
本書の題名は、以下のように、古代の註釈家たちによって様々な名で呼ばれてきた[1]。「十のカテゴリー」といった呼称が散見されるのは、第4章にて10の分類が挙げられていることに因む。
『諸カテゴリーについて』
『十のカテゴリー』
『十のカテゴリーについて』
『十の類について』
『あるものの類について』
『諸カテゴリー、あるいは十の最も類的な類について』
『普遍的な言葉について』
構成[編集]
15の章から成り、それらは内容上、
1章 - 後で用いられる「同名異義的」「同名同義的」「派生名的」が説明される
2-9章 - 本編
10-15章 - 「対立」「反対」「より先」「運動」「同時に」「持つ」といった詞が使われる色々な場合の区別
の3つに分けることができる[2]。
この内、「post-praedicamenta」と総称される3番目の10-15章は、アリストテレスの作でなく、後世の挿入(ただし、紀元前200年以前のわりと早い時期)ということが、定説となっている[3]。
内容[編集]
第1章
同名異義的(ホモーニュモン、希: ὁμώνυμον (homonymon)) - 名称だけが共通で、本質的定義が異なるもの。(例:「動物」という名称で呼ばれる「人間」と「像」[4])
同名同義的(シュノーニュモン、希: συνώνυμον (synonymon)) - 名称も本質的義も同じもの。(例:「動物」という名称で呼ばれる「人間」と「牛」)
派生名的(パローニュモン、希: παρώνυμον (paronymon)) - 語尾変化によって生じたもの。(例:「文法学」(γραμματική)から「文法家」(γραμματικός)、「勇気」(ανδρεία)から「勇者」(ανδρείος))
第2章
表現方法には、
結合無し(単語)による表現 (例:「人間」「牛」「走る」「勝つ」)
結合(文)による表現 (例:「人間は走る」「人間は勝つ」)
の2種類がある。
概念の内、あるものは、
1.ある「基体[5]」(主語)についての述語になるが、いかなる「基体」(主語)の内にも無い。(例:「人間」は、「特定の人間」(基体)の述語となるが、どの「基体」の内にも無い)
2.ある「基体」(主語)についての述語にはならないが、「基体」(主語)の内にある。(例1:「特定の文法知識」は、「霊魂」(基体)の内にあるが、いかなる「基体」(主語)の述語にもならない、例2:「ある特定の白」は、「物体」(基体)の内にあるが、いかなる「基体」(主語)の述語にもならない)
3.ある「基体」(主語)についての述語になると共に、「基体」(主語)の内にある。(例:「知識」は、「霊魂」(基体)の内にあり、「文法的知識」(基体)の述語となる)
4.ある「基体」(主語)についての述語にならず、「基体」の内にも無い。(例:「特定の人間」「特定の馬」)
(なお、上記の話は要するに、
「ある「基体」の述語になるか否か」によって、「種・類」と「個」が、
「なんからの「基体」の内にあるか否か」によって、「実体」と「非実体」(性質・量)が、
それぞれ振り分けられ、その組み合わせで作られた4分類であり、分かりやすくまとめると、
1.「実体」のカテゴリーにおける「種・類」
2.「実体」以外のカテゴリーにおける「個」
3.「実体」以外のカテゴリーにおける「種・類」
4.「実体」のカテゴリーにおける「個」
ということになる[6]。)
第3章
「あるもの(A)が、基体(主語)としてのあるもの(B)についての述語となる関係にある」場合、その述語となるあるもの(A)について言われるものは、全て基体(B)に対してもあてはまる。(例:「特定の人間」(基体・主語、A)と「人間」(述語、B)の場合、「動物」は「人間」(述語、B)の述語となるので、「特定の人間」(基体・主語、A)の述語ともなる。)
「異なった「類」で、互いに他の下に配されない関係にある」場合、その「種差」も異なっている。(例:「動物」と「知識」の場合、「動物」の「種差」は、「陸棲的」「有翼的」「水棲的」「二足的」などによって表されるが、それらは「知識」の「種差」とはならない。)
第4章
単語表現が意味するものは、
1.「実体」(例:人間、馬)
2.「量」(例:2ペーキュス、3ペーキュス)
3.「質」(例:白い、文法的)
4.「関係」(例:二倍、半分、より大きい)
5.「場所」(例:リュケイオン、市場)
6.「時」(例:昨日、昨年)
7.「体位」(例:横たわっている、坐っている)
8.「所持」(例:靴を履いている、武装している)
9.「能動」(例:切る、焼く)
10.「受動」(例:切られる、焼かれる)
のいずれかである。
第5章
「実体」について。
「第一実体」 - (第2章の4) (例:「特定の人間」、「特定の馬」)
「第二実体」 - (第2章の1) (例:「人間」「馬」)
第6章
「量」について。
第7章
「関係」について。
第8章
「質」について。
第9章
「能動」「受動」について。
訳書[編集]
『新版アリストテレス全集 1 』 中畑正志、早瀬篤訳 岩波書店 2013年
『アリストテレス全集 1 』 山本光雄、井上忠、加藤信朗訳 岩波書店 1971年
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