「F君が亡くなった・・・」
その訃報は突然、仕事中に入ってきた。
F君は職場が同じで私より
一回り以上若い、50歳。
脳に腫瘍があることがわかったのが
一年少し前。
術後、できた腫瘍が完全に切除
出来ないまま、
入退院を繰り返し、腫瘍の拡大を防ぐべく、
対応をしていたが、とうとう力尽きた。
仕事熱心で、決して途中で他人に仕事を
投げたりしない。
無責任なことはしなかったと、彼を知る
他の関連職場の先輩からも言われる
ほどであった。
我が家と同じで、子供のことで
悩んだり、いろいろとゴタゴタがあった。
でも、仕事にプライベートを持ち込むことは
金輪際なかった。
「Fは徳を積んできたから早世したのかね?」とある後輩が言った。
そうかもわからんな。
だって、徳を積むようなことを
全然してないから俺たちは今から、
励めと生かされてるのかもな?
と二人で泣き笑い顔。
晩夏と呼ぶには少し早い
日差しに背を向けて東の空を
見上げれば綿を投げたような雲が
速足で飛んでいた。
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