Nさんは早世した甥の彼女です。

いや、彼女でした。

広島市内でブティック(今は違う呼び名があるのかも?)の

店長をされています。



本店が札幌にあること、全国の主だった県庁所在地に

店があること、2ヶ月に一度くらいは本店で会議があること、

実家は下関であること、お父様は地銀で支店長をされている・・・等々

彼女と話をした時に聞いた記憶があります。



どうして彼女が甥と知り合ったのか知る由もありませんが

甥の3回忌のとき(4年前)焼香に来てくれました。


まだ彼女、結婚してないのだろうか? などと勝手に

思い、後で妹(甥の母)に確認したところ

甥への想い、未だ断ち切り難く・・・とのこと。


母親が離婚した当時は自分の子供と思って

接してきた叔父の思いからすれば、失礼ながら30才(当時)に

近づく彼女のことを有り難くもあり、一方でその律儀さに

不憫な思いさえしました。




甥は追いかけても戻らぬ人間、ご自分の将来をよく

考えて幸せになって欲しいと心から思いました。



その彼女が今月の七回忌には来ませんでした。

変なもので彼女が居なければ居ないで寂しい。

彼が出来て結婚したのだろうか・・などと

読経中に考えてしまいました。

法要後に聞いたところ、やはり彼女から連絡が

あって「この度、結婚しました。申しわけありません。

焼香はあらためて後日伺わさせていただきます」



なんで「申しわけありません」なのだろうか。

妹が「おめでとう、もう息子のことは忘れて

幸せになってください」と言うと

「あの人のことは一生忘れません。私に生き方を

教えてくれた人です。結婚した彼には正直に話しました。

それでも受け入れてくれたから結婚したのです。

だから、焼香には参らせてください」


話を聞いて少し胸が熱くなりました。

こんな女性も世の中にはいるのだ・・・と。



我が子を早世させてますます老け込んでいく妹の

ためにも彼女の幸せを祈らずにはおられません。




  J(ジェイ)    門倉有希さん





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