所有していたはずの山を見に奥さんと一緒に行った。
”はず”というのが情けないが所在もはっきり
ここと言える自信がないのでやはり”はず”としか言えない。
小学生の頃には祖父の山仕事(木を切って家まで持って帰る)を
手伝っていた。あまり好きな仕事ではなかったが私を
可愛がってくれていた祖父であったので頼まれればイヤと言えなかった。
山は市内のダム沿いに続く道の途中にあり、上り口から
当時と様相がすっかり変わっており、まず自分の山の入口を見つけるのが
一苦労である。雑木、竹、杉などが生い茂り、昔あった登山道さえわからない。
仕方がないので持ってきたナタを取り出して藪の中を進んでいった。
唯一、覚えているのがトロッコ用の線路があったこと、ほこら状になった
大きな岩があったことであるがなかなかその場所が特定できない。
トロッコ用の線路も見当たらない。目印を付けながら進んでいくうちに
見覚えのある岩に出会った。この辺は誰かの手により雑木林が伐採
されていた。
ここに来た目的が自分の山の所在を確認することと奥さんに
その所在を教えておくことであった。山の中腹に位置するところに
自分の山があるので口で言ってもわからないし説明もできないので
本人を連れて来るしかなかった。
写真を撮り、しばらく休んでいたら奥さんが奇妙なものがあったと
手にその奇妙なものを持ってきた。とうもろこしを小さくしたような
格好で茎の部分が相当深く土に埋まっていたらしい。
奥さんは家に持って帰るつもりらしかったが、どうも色が
警戒色であやしいと思って捨てさせた。奥さんは未練がましい
顔をしていたが何かの毒素を持っている可能性もある。
藪こぎにすっかり疲れてしまった私であったが奥さんは
のんきにこれだから山歩きって楽しいのよねなどと
言っていた。
今、キーボードを打っている腕と腿がすでに痛くなっており
明日はまだ痛むだろう。
ひとつ自分のやっておくべきことが片付いた気がした。
木枯らし紋次郎のテーマ
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