2017年09月19日
英国実態指標「小売売上高指数」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年9月20日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年9月20日17:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
同時に、四半期毎のMPC議事録が公表されます。この議事録公表がどう影響するかについてはわかりません。先週MPCの内容をも含むのなら大きく反応する可能性もあるので、今回は慎重に取引に臨みます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は9月18日に作成しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。16-30pips跳ねたことが42%、31-44pips跳ねたことが29%で、この範囲に分布の71%が属します。
反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めたものです。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、全項目の差異を単純に全て加えたものになります。直前10-1分足は、この判別式差異符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、方向一致率が77%になります。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この判別式は、3✕前月比の事後差異+1✕前年比の事後差異+4✕コア前月比の事後差異+2✕コア前年比の事後差異、となります。事後差異判別式符号と直後1分足は、方向一致率が79%になります。
上から7行目は、実態差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。がしかし、この係数での判別式は、直後11分足との方向一致率が57%と、高くありません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が21pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去14回(頻度45%)あります。この14回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この14回の直前10-1分足と直後1分足の方向は8回(57%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度29%)あります。この9回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは過去全平均30pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(44%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率34%)です。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ74%・74%・71%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、ということです。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する指標です。
さて、直後1分足は直前10-1分足と同じ方向になる確率を求めておきます。
まず、指標一致性分析の結果、直前10-1分足は事後差異との方向一致率が74%となっています。そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は80%となっています。よって、直前10-1分足が直後1分足の方向一致率は0.74✕0.80=59%です。
次に、直前10-1分足は事後差異と方向不一致だったことは1ー0.74=26%となります。そして、事後差異と直後1分足の方向不一致だったことは1ー0.80=20%となっています。よって、この分析を外していたのに結果的に直前10-1分足が直後1分足と方向一致する確率は0.26✕0.2=5%です。
従って、分析が当たっているにせよ外しているにせよ、直後1分足は直前10-1分足と同じ方向になる期待的中率は0.59+0.05=64%です。
64%では、発表時刻を跨いでポジションを取れません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が75%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が70%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が70%と、高くなっています。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は70%です。そして、その70%の方向一致時だけに着目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが95%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは47%と、50%を切ってしまっています。
早期追撃で得たポジションは、発表から1分を過ぎたら早期利確すべきです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年9月21日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全項目に亘って前回・予想を大きく上回り、反応も直後1分足は2015年以降で最大、直後11分足も2016年6月以来の大きさとなりました。
前月比は総合・コアともに3か月連続プラス、ただ前年比は2016年12月をピークとする下降基調の上昇転換を示唆するほどではありません。
上記4本足チャートの範囲外ですが、結局、当夜のFOMCを控えて1時間後には指標発表前の水準を一時下回る大きな下降を生じました。
取引結果は次の通りでした。
最下部表に記載の通り、シナリオでの取引は△5.11pips(取引時間5分46秒)でした。指標発表後の追撃シナリオは見送り、シナリオ外の逆張りで反転を待つ方針に切り替えました。FOMCを控えて、単なる一指標で大きく値を動かすことはない(大きく戻す)、と見込んだためです。
結果、17:34頃にピークを付けて、その後は少しずつ値を戻し始めたものの、最初は上下動を伴っていたため、シナリオ外追撃で損切も発生しました。最終的には半値戻しと読んでいたので、最後のシナリオ外追撃は利確しましたが、あと20分ぐらい待てば全戻しとなっていました。これは取りこぼしても仕方ありません。
なお、直前1分足の決済時刻をご覧ください。粘り過ぎて、18時直前(17:59:58ぐらいだったと記憶)に決済したのに、18:00決済となってしまいました。
大失敗です。出先喫茶店のWiFiが遅いせいだったのでしょうか。
事前調査・分析内容には問題ありません。
事前準備していたシナリオは問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年9月20日17:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
同時に、四半期毎のMPC議事録が公表されます。この議事録公表がどう影響するかについてはわかりません。先週MPCの内容をも含むのなら大きく反応する可能性もあるので、今回は慎重に取引に臨みます。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は9月18日に作成しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- まず、指標発表前だからと言って、決して安易にポジションを取るべきではありません。
直前10-1分足が20pips以上のヒゲを形成したことは過去45%もあります。加えて、この45%のヒゲの伸びた方向は、指標発表直後1分足の反応方向と関係ありません(関係が見出せません)。
ヒゲだから戻る、と安易に放置すべきでもありません。そもそも本指標の直前10-1分足は、跳幅平均21pips・値幅13pipsと、平均的な指標の発表直後よりも大きく動くのです。 - 指標発表後の反応はかなり大きくなりがちです。その方向は、発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応します。そして、発表から1分を過ぎてから、指標結果への反応の高値や安値を形成しがちです。がしかし、直後11分足終値は直後1分足終値よりも反応を伸ばしていることより、直後1分足の値幅を削ったり反転していたことの方が多くなっています。発表から1分を過ぎてからの追撃には向いていません。
- 事前差異判別式は、1✕前月比事前差異+1✕前年比事前差異+1✕コア前月比事前差異+1✕コア前年比事前差異、です。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直前10-1分足の方向一致率は過去77%です。
事後差異判別式は、3✕前月比事後差異+1✕前年比事後差異+4✕コア前月比事後差異+2✕コア前年比事後差異、です。この判別式符号と直後1分足は方向一致率が過去79%です。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
過去、事前差異判別式の解の符号との方向一致率が74%となっています。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
過去の陰線率が75%です。 - 追撃は早期開始して短期利確します。
複数回の追撃を行うにせよ、発表から1分を過ぎたら利確です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。16-30pips跳ねたことが42%、31-44pips跳ねたことが29%で、この範囲に分布の71%が属します。
反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めたものです。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、全項目の差異を単純に全て加えたものになります。直前10-1分足は、この判別式差異符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、方向一致率が77%になります。
上から6行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この判別式は、3✕前月比の事後差異+1✕前年比の事後差異+4✕コア前月比の事後差異+2✕コア前年比の事後差異、となります。事後差異判別式符号と直後1分足は、方向一致率が79%になります。
上から7行目は、実態差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。がしかし、この係数での判別式は、直後11分足との方向一致率が57%と、高くありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が21pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去14回(頻度45%)あります。この14回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この14回の直前10-1分足と直後1分足の方向は8回(57%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度29%)あります。この9回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは過去全平均30pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(44%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は12pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率34%)です。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ74%・74%・71%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、ということです。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する指標です。
さて、直後1分足は直前10-1分足と同じ方向になる確率を求めておきます。
まず、指標一致性分析の結果、直前10-1分足は事後差異との方向一致率が74%となっています。そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は80%となっています。よって、直前10-1分足が直後1分足の方向一致率は0.74✕0.80=59%です。
次に、直前10-1分足は事後差異と方向不一致だったことは1ー0.74=26%となります。そして、事後差異と直後1分足の方向不一致だったことは1ー0.80=20%となっています。よって、この分析を外していたのに結果的に直前10-1分足が直後1分足と方向一致する確率は0.26✕0.2=5%です。
従って、分析が当たっているにせよ外しているにせよ、直後1分足は直前10-1分足と同じ方向になる期待的中率は0.59+0.05=64%です。
64%では、発表時刻を跨いでポジションを取れません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が75%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が70%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が70%と、高くなっています。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は70%です。そして、その70%の方向一致時だけに着目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが95%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは47%と、50%を切ってしまっています。
早期追撃で得たポジションは、発表から1分を過ぎたら早期利確すべきです。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前10-1分足は陰線と見込みます。
過去、事前差異判別式の解の符号との方向一致率が74%となっています。 - 直前1分足は陰線と見込みます。
過去の陰線率が75%です。 - 追撃は早期開始して短期利確します。
複数回の追撃を行うにせよ、発表から1分を過ぎたら利確です。
以上
2017年9月20日17:30発表
以下は2017年9月21日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全項目に亘って前回・予想を大きく上回り、反応も直後1分足は2015年以降で最大、直後11分足も2016年6月以来の大きさとなりました。
前月比は総合・コアともに3か月連続プラス、ただ前年比は2016年12月をピークとする下降基調の上昇転換を示唆するほどではありません。
上記4本足チャートの範囲外ですが、結局、当夜のFOMCを控えて1時間後には指標発表前の水準を一時下回る大きな下降を生じました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
最下部表に記載の通り、シナリオでの取引は△5.11pips(取引時間5分46秒)でした。指標発表後の追撃シナリオは見送り、シナリオ外の逆張りで反転を待つ方針に切り替えました。FOMCを控えて、単なる一指標で大きく値を動かすことはない(大きく戻す)、と見込んだためです。
結果、17:34頃にピークを付けて、その後は少しずつ値を戻し始めたものの、最初は上下動を伴っていたため、シナリオ外追撃で損切も発生しました。最終的には半値戻しと読んでいたので、最後のシナリオ外追撃は利確しましたが、あと20分ぐらい待てば全戻しとなっていました。これは取りこぼしても仕方ありません。
なお、直前1分足の決済時刻をご覧ください。粘り過ぎて、18時直前(17:59:58ぐらいだったと記憶)に決済したのに、18:00決済となってしまいました。
大失敗です。出先喫茶店のWiFiが遅いせいだったのでしょうか。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析内容には問題ありません。
- 今回の直前10-1分足の跳幅は13pipsでした。上ヒゲと下ヒゲの先端の全幅は25pipsでした。事前分析に挙げた20pipsのヒゲではありませんが、大きく動いたことに違いありません。
指標発表前だからと言って、決して安易にポジションを取るべきではない、という点は来月もそのままでいいでしょう。 - 発表から4-5分後にピークを付け、このときの跳幅がちょうど100pipsでした。
指標発表後の反応はかなり大きくなりがちで、その方向は発表結果の市場予想に対する良し悪しに素直に反応したことは、事前分析通りでした。発表から1分を過ぎてからピークを付けた点も、過去の傾向通りでした。
ただ、直後11分足終値が直後1分足終値よりも反応を伸ばしていることより、直後1分足の値幅を削ったり反転していたことの方が多くなっている、という過去傾向は当たりませんでした。
尤も、これほど指標結果が良ければ反転するということもないでしょうけど。 - 事前差異判別式は、1✕前月比事前差異+1✕前年比事前差異+1✕コア前月比事前差異+1✕コア前年比事前差異、です。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直前10-1分足の方向一致率は過去77%です。
この式に前回結果と市場予想を代入すると、解は△2.5です。そして、今回の直前10-1分足は陰線でした。
判別式は有効でした。
事後差異判別式は、3✕前月比事後差異+1✕前年比事後差異+4✕コア前月比事後差異+2✕コア前年比事後差異、です。この判別式符号と直後1分足は方向一致率が過去79%です。
この式に今回結果と市場予想を代入すると、解は+10.3です。そして、今回の直後1分足は陽線でした。
判別式は有効でした。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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