2017年05月31日
豪州実態指標「小売売上高(前月比)」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年6月1日10:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月1日10:30に豪州実態指標「小売売り下高(前月比)」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
同時に、豪州実態指標「1-3月期民間新規設備投資(前期比)」も発表されます。反応は、小売売上高>設備投資、となりがちですが、小売売上高が市場予想通りの場合には注意が必要です。
また、本指標発表から15分後、10:45に中国「5月分Caixin製造業部門購買者担当者指数」 が発表されます。本指標発表から数分後からは、この中国指標を睨んだ動きへと移行する可能性があるので、ご注意ください。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
指標については次の通りです。
シナリオは次の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。
最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、堅調に拡大しています。
注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も値もまるで当たらない指標です。
ご注意ください。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
図から、市場予想は発表結果がどうあれ、ほぼ一定で外れた反省を踏まえて精度向上を図っているように見受けられません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%です。そして、方向一致時に跳値同士を比べて反応が伸びたことは56%、終値同士を比べて反応が伸びたことは48%です。指標発表直後の反応方向を当てない限り、追撃は難しいということがわかります。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が92%となっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
今回の事前差異はプラスとなっています。事前差異と直前1分足の方向一致率は29%(不一致率71%)です。直前1分足は陰線となる可能性が高く、このことは反応一致性分析の結果と一致しています。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各86%・86%です。つまり、発表結果が市場予想を超えれば陽線、越えなければ陰線と、素直な反応をしています。
実態差異は、直前10-1分足との方向一致率が29%(不一致率81%)となっています。直前10-1分足が陽線ならば発表結果は前回結果を下回る可能性が高く、陰線ならば発表結果が前回結果を上回る可能性が高い、ということになります。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月1日11:30頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
小売売上高は前回結果・市場予想を上回り、四半期設備投資は前回結果を上回ったものの市場予想を下回りました。
反応は直後1分足・直後11分足ともに陽線で、両者の跳値同士・終値同士ともに反応を伸ばしました。
直前1分足は、直前10-1分足の反応の小ささを見て、ポジション取得を諦めました。
直後1分足は、後述するように取引条件を満たしておらず、ポジション取得を諦めました。
問題ありません。
事前に準備していたシナリオは次の通りです。
直前1分足は同値、直後11分足は直前10-1分足が陰線だったので取引条件を満たしていませんでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月1日10:30に豪州実態指標「小売売り下高(前月比)」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
同時に、豪州実態指標「1-3月期民間新規設備投資(前期比)」も発表されます。反応は、小売売上高>設備投資、となりがちですが、小売売上高が市場予想通りの場合には注意が必要です。
また、本指標発表から15分後、10:45に中国「5月分Caixin製造業部門購買者担当者指数」 が発表されます。本指標発表から数分後からは、この中国指標を睨んだ動きへと移行する可能性があるので、ご注意ください。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
まず、本指標で取引する上での注意点です。
- 本指標本来の反応程度は、直後1分足跳幅の平均値こそ17pipsですが、その平均値を超えて反応したことは33%しかありません。3回に1回は平均値を超えた反応となるものの、3回に2回は平均値以下の反応しかしません。
反応は指標発表直後で10pips強に留まりがち、と覚えておきましょう。 - 本指標発表と同時に、豪州実態指標「1-3月期民間新規設備投資(前期比)」も発表されます。反応は、小売売上高>設備投資、となりがちですが、小売売上高が市場予想通りの場合には注意が必要です。
- また、本指標発表から15分後、10:45に中国「5月分Caixin製造業部門購買者担当者指数」 が発表されます。本指標発表から数分後からは、この中国指標を睨んだ動きへと移行する可能性があるので、ご注意ください。
指標については次の通りです。
- 事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各86%・86%です。つまり、発表結果が市場予想を超えれば陽線、越えなければ陰線と、素直な反応をしています。
- 実態差異は、直前10-1分足との方向一致率が29%(不一致率81%)となっています。直前10-1分足が陽線ならば発表結果は前回結果を下回る可能性が高く、陰線ならば発表結果が前回結果を上回る可能性が高い、ということになります。
一方、今回の市場予想は前回結果を上回っています。
もし直前10-1分足が陰線ならば、発表結果は前回結果を上回りがちなものの、市場予想よりも大きいか小さいかはわかりません。
もし直前10-1分足が陽線ならば、発表結果が前回結果・市場予想を下回る可能性がある(大きく反応しがちな結果となる可能性がある)、ということです。 - 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%です。がしかし、方向一致時に跳値同士を比べて反応が伸びたことは56%、終値同士を比べて反応が伸びたことは48%です。
指標発表直後の反応方向を予め見込まない限り、追撃してpipsを稼ぐことは難しい指標だということがわかります。
シナリオは次の通りです。
- 直前1分足は事前差異との方向一致率が29%(不一致率71%)です。今回の事前差異はプラスとなっています。このことは反応一致性分析で陰線率が92%と非常に高い、という結果と、方向が一致しています。
陰線です。 - 直後1分足は、直前10-1分足が陽線ならば、指標発表直前に売ポジションを取ります。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。
最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、堅調に拡大しています。
注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も値もまるで当たらない指標です。
ご注意ください。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
図から、市場予想は発表結果がどうあれ、ほぼ一定で外れた反省を踏まえて精度向上を図っているように見受けられません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%です。そして、方向一致時に跳値同士を比べて反応が伸びたことは56%、終値同士を比べて反応が伸びたことは48%です。指標発表直後の反応方向を当てない限り、追撃は難しいということがわかります。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が92%となっています。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
今回の事前差異はプラスとなっています。事前差異と直前1分足の方向一致率は29%(不一致率71%)です。直前1分足は陰線となる可能性が高く、このことは反応一致性分析の結果と一致しています。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各86%・86%です。つまり、発表結果が市場予想を超えれば陽線、越えなければ陰線と、素直な反応をしています。
実態差異は、直前10-1分足との方向一致率が29%(不一致率81%)となっています。直前10-1分足が陽線ならば発表結果は前回結果を下回る可能性が高く、陰線ならば発表結果が前回結果を上回る可能性が高い、ということになります。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月1日10:30発表
以下は2017年6月1日11:30頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
小売売上高は前回結果・市場予想を上回り、四半期設備投資は前回結果を上回ったものの市場予想を下回りました。
反応は直後1分足・直後11分足ともに陽線で、両者の跳値同士・終値同士ともに反応を伸ばしました。
(5-2. 取引結果)
直前1分足は、直前10-1分足の反応の小ささを見て、ポジション取得を諦めました。
直後1分足は、後述するように取引条件を満たしておらず、ポジション取得を諦めました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前に準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は事前差異との方向一致率が29%(不一致率71%)です。今回の事前差異はプラスとなっています。このことは反応一致性分析で陰線率が92%と非常に高い、という結果と、方向が一致しています。
陰線です。 - 直後1分足は、直前10-1分足が陽線ならば、指標発表直前に売ポジションを取ります。
直前1分足は同値、直後11分足は直前10-1分足が陰線だったので取引条件を満たしていませんでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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