2017年05月22日
日本国際収支「通関ベース国際収支(季調済)」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年5月22日08:50発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年5月22日08:50に日本国際収支「通関ベース国際収支(季調済)」が発表されます。今回発表は2017年4分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
「貿易収支」と「貿易収支(通関ベース)」は、「輸入建値」と「計上範囲・時点」の違いがあり、もともと数字が一致しないものです。この違いをざっくり説明すると、輸送費や保険料といったサービス収支を含む・含まないという違いと、所有権移転時点と通関時点という違いです。
例えば、日本がアメリカ製の人工衛星を購入し、アメリカで打ち上げるケースについては、人工衛星の所有権がアメリカから日本に移転した時点で「貿易収支」に計上されますが、人工衛星は関税境界を越えないため「貿易統計(通関ベース)」には計上されません。
詳しくはこちらの財務省HPの説明をご覧ください。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
もっとも指標発表結果の影響が現れやすい直後1分足のみ示しておきます。
跳幅平均値は3pips、値幅平均値は2pipsです。2016年6-8月頃のみ反応が大きいのは、対英貿易額が意識されたからでしょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が67%です。方向一致時の直後1分足と直後11分足とを比較した反応伸長率は、跳値同士で92%・終値同士で83%です。但し、追撃で稼げるpipsは5pips程度です。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が71%です。また、直前10-1分足との方向一致率が71%なので、直前1分足の陰線率は直前10-1分足が陰線なら、なお高まります。けれども残念なことに、直前1分足の過去平均跳幅は1pipsしかなく、取引に向きません。
直後11分足は直前1分足との方向一致率が21%(不一致率79%)です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
直前10-1分足は事後差異との方向一致率が73%です。発表結果が市場予想を上回るか否か、市場では直前10-1分足で正しく判断しがちです。
一方、直後1分足は事後差異との方向一致率が22%(不一致率78%)です。発表結果が市場予想を上回っても、逆方向に反応しがちです。これはおそらく、直前10-1分足の段階でほぼ正しく発表結果を予見できているため、事実売り(買い)で逆に動くためと考えられます。
そして、直後11分足は、実態差異との方向一致率が29%です(不一致率71%)。これも事実売り(買い)となりがちな傾向が現れているのだと考えられます。
ポジションは、指標発表直前に直前10-1分足と逆方向に取得します。
無理して取引するほどの指標ではありません。
以下は2017年5月22日10:00頃に追記しています。
差し引き金額は+4817億円で、3か月連続の黒字です。
内訳は、輸出が6.3兆円(前年比+7.5%)で5ヵ月連続の増加、輸入が5.8兆円(前年比+15.1%)で4か月連続の増加です。
関心の高い地域別の米国向けは+5867億円(前年比△4.2%)で2か月連続減少となっていました。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を下回ったものの、4817億円の黒字でした。輸出前年比が+7.5%、輸入前年比が+15.1%で、前年同月よりも貿易量自体が増えて黒字なので、経済好調を現れています。
反応は直後1分足・直後11分足ともに陽線でした。9時の東証寄付では10pips強も値を伸ばしました(USDJPYが買われました)。
取引結果は次の通りでした。
2度の追撃で利確しました。pipsは小さいものの、値動きも遅く取りやすい指標でした。
9時の東証寄付で大きく値を伸ばした(10pips強)ものの、3度目の追撃は行っていません。08:50-08:59と09:00-09:01の方向一致率は、以前調べたときにはそれほど高くなかった記憶があります(55%ぐらいと記憶)。目立つ指標発表があるときと、そうした指標発表がないときを区別して調べ直した方が良いかも知れません。
事前調査・分析の内容は以下の通りです。
だいたい良いでしょう。
1点、訂正があります。
9時からの東証寄付直後の値動きを見ると、指標発表時が事実売り(買い)なのではなくて、指標発表前の08:40−08:49頃に朝からの動きの事実売り(買い)が多いのでしょう。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
直前10-1分足は陰線、直後1分足・直後11分足は陽線です。問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年5月22日08:50に日本国際収支「通関ベース国際収支(季調済)」が発表されます。今回発表は2017年4分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
本指標発表時には、発表結果が市場予想を上回る(下回る)と売られる(買われる)、事実売り(事実買い)の傾向があります。それだけに、直前10-1分足が陽線なら発表結果が市場予想を下回り、陰線なら上回るという予兆的な傾向も見受けられます。そのぞれの確率は本文「指標一致性分析」の項をご参照願います。 - 指標については次の通りです。
ほとんど反応しません。最も素直な影響が現れやすい直後1分足跳幅の過去平均値は僅か3pipsで、平均値の2倍を超えて反応したことも12%(7pips反応したことも10回に1回)しかありません。 - ポジションは、指標発表直前に直前10-1分足と逆方向に取得します。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
「貿易収支」と「貿易収支(通関ベース)」は、「輸入建値」と「計上範囲・時点」の違いがあり、もともと数字が一致しないものです。この違いをざっくり説明すると、輸送費や保険料といったサービス収支を含む・含まないという違いと、所有権移転時点と通関時点という違いです。
例えば、日本がアメリカ製の人工衛星を購入し、アメリカで打ち上げるケースについては、人工衛星の所有権がアメリカから日本に移転した時点で「貿易収支」に計上されますが、人工衛星は関税境界を越えないため「貿易統計(通関ベース)」には計上されません。
詳しくはこちらの財務省HPの説明をご覧ください。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
(2-2. 過去反応)
もっとも指標発表結果の影響が現れやすい直後1分足のみ示しておきます。
跳幅平均値は3pips、値幅平均値は2pipsです。2016年6-8月頃のみ反応が大きいのは、対英貿易額が意識されたからでしょう。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が67%です。方向一致時の直後1分足と直後11分足とを比較した反応伸長率は、跳値同士で92%・終値同士で83%です。但し、追撃で稼げるpipsは5pips程度です。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が71%です。また、直前10-1分足との方向一致率が71%なので、直前1分足の陰線率は直前10-1分足が陰線なら、なお高まります。けれども残念なことに、直前1分足の過去平均跳幅は1pipsしかなく、取引に向きません。
直後11分足は直前1分足との方向一致率が21%(不一致率79%)です。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
直前10-1分足は事後差異との方向一致率が73%です。発表結果が市場予想を上回るか否か、市場では直前10-1分足で正しく判断しがちです。
一方、直後1分足は事後差異との方向一致率が22%(不一致率78%)です。発表結果が市場予想を上回っても、逆方向に反応しがちです。これはおそらく、直前10-1分足の段階でほぼ正しく発表結果を予見できているため、事実売り(買い)で逆に動くためと考えられます。
そして、直後11分足は、実態差異との方向一致率が29%です(不一致率71%)。これも事実売り(買い)となりがちな傾向が現れているのだと考えられます。
【4. シナリオ作成】
ポジションは、指標発表直前に直前10-1分足と逆方向に取得します。
無理して取引するほどの指標ではありません。
以上
2017年5月22日08:50発表
以下は2017年5月22日10:00頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
差し引き金額は+4817億円で、3か月連続の黒字です。
内訳は、輸出が6.3兆円(前年比+7.5%)で5ヵ月連続の増加、輸入が5.8兆円(前年比+15.1%)で4か月連続の増加です。
関心の高い地域別の米国向けは+5867億円(前年比△4.2%)で2か月連続減少となっていました。
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前回結果・市場予想を下回ったものの、4817億円の黒字でした。輸出前年比が+7.5%、輸入前年比が+15.1%で、前年同月よりも貿易量自体が増えて黒字なので、経済好調を現れています。
反応は直後1分足・直後11分足ともに陽線でした。9時の東証寄付では10pips強も値を伸ばしました(USDJPYが買われました)。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
2度の追撃で利確しました。pipsは小さいものの、値動きも遅く取りやすい指標でした。
9時の東証寄付で大きく値を伸ばした(10pips強)ものの、3度目の追撃は行っていません。08:50-08:59と09:00-09:01の方向一致率は、以前調べたときにはそれほど高くなかった記憶があります(55%ぐらいと記憶)。目立つ指標発表があるときと、そうした指標発表がないときを区別して調べ直した方が良いかも知れません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析の内容は以下の通りです。
- 本指標発表時には、発表結果が市場予想を上回る(下回る)と売られる(買われる)、事実売り(事実買い)の傾向があります。それだけに、直前10-1分足が陽線なら発表結果が市場予想を下回り、陰線なら上回るという予兆的な傾向も見受けられます。そのぞれの確率は本文「指標一致性分析」の項をご参照願います。
- 指標についてはほとんど反応しません。最も素直な影響が現れやすい直後1分足跳幅の過去平均値は僅か3pipsで、平均値の2倍を超えて反応したことも12%(7pips反応したことも10回に1回)しかありません。
だいたい良いでしょう。
1点、訂正があります。
9時からの東証寄付直後の値動きを見ると、指標発表時が事実売り(買い)なのではなくて、指標発表前の08:40−08:49頃に朝からの動きの事実売り(買い)が多いのでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- ポジションは、指標発表直前に直前10-1分足と逆方向に取得します。
直前10-1分足は陰線、直後1分足・直後11分足は陽線です。問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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