2017年05月07日
豪州実態指標「小売売上高(前月比)・四半期小売売上高(前期比)」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年5月9日10:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年5月9日10:30に豪州実態指標「小売売上高前月比・四半期小売売上高前期比」が発表されます。今回発表はそれぞれ2017年3月分と1-3月分の集計結果です。
気になる中国経済指標は、少なくとも主要なものについてこの日発表予定がありません。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。
最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、堅調に拡大しています。
注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も値もまるで当たらない指標です。
ご注意ください。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
下図に、小売売上高前月比の過去の市場予想と発表結果を示します。一見してわかるように、アテになるような市場予想ではありません。それにも関わらず、後述する指標一致性検証の結果、反応は直後1分足・直後11分足ともに事後差異との方向一致率が極めて高い(ともに86%)という特徴があります。
今回の市場予想は、前月比が+0.3%(前回結果△0.1%)、前期比が+0.4%(前回結果+0.9%)です。過去の傾向から言えば、前月比>前期比で反応するので、以下は前月比に話題を絞ります。
もともと小売売上高は休日日数や営業日数との関係が深いものです。今年の2月と3月とは土日の回数が同じで、日数が3月が3日多くなっています。通常なら3月は前月比で売上が増えても良いはずです。がしかし、3月分の関連指標を見ておくと、必ずしもそう言えません。3月分Westpac消費者信頼感は+0.1%で、2月分+2.3%よりも2.2%減少しています。プラスにはなっているので、今回は市場発表を下回ると予想します。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
それにしても直前1分足の陰線への偏りは異常ですね。
過去3回の指標発表前後の反応を、4本足ローソク足チャートで下図に示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが46%です。安心して追撃ポジションを取れる数字ではありません。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が92%です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は、直前1分足との方向一致率が30%です。今回の事前差異はプラスなので、直前1分足は陰線率が70%ということです。この結果は、先の反応一致性分析の結果と方向が一致しています。
本指標での事後差異は(発表結果ー市場予想)で求め、前回結果を反映していません。事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率がともに86%で、素直に反応しています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以下は2017年5月9日11:10頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を下回り、反応は陰線でした。
取引結果は次の通りでした。
事前分析は次の通りでした。
反応は、発表後の反応が陰線側に伸びていきました。確率上の問題ゆえ、この点は分析を外しても仕方ありません。
指標は、市場予想を下回りました。問題ありません。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
直後11分足の取引は、朝からのトレンドが上昇で、反応方向が陰線だったため、ポジション取得を諦めました。陽線側への反転しそうなら追撃することも考えていたものの、指標結果がかなり悪い内容だったため、早期反転なしと判断しました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
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本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年5月9日10:30に豪州実態指標「小売売上高前月比・四半期小売売上高前期比」が発表されます。今回発表はそれぞれ2017年3月分と1-3月分の集計結果です。
気になる中国経済指標は、少なくとも主要なものについてこの日発表予定がありません。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%もあるものの、終値が直後1分足終値よりも伸びたことが46%しかありません。とても追いかけてポジションを取れる数字ではありません。この指標は最初に大きく跳ねたら、それで終わりという傾向が強いのです。 - 指標については次の通りです。
まず、過去の傾向から言えば、前月比>前期比で反応するので、以下は前月比に話題を絞ります。
今回の市場予想は、前月比が+0.3%(前回結果△0.1%)です。
3月分Westpac消費者信頼感は+0.1%で、2月分+2.3%よりも2.2%も減少しています。プラスにはなっているので、今回は市場発表を下回り、前回結果を上回る、と予想します。
そして、指標一致性分析の結果、反応方向は事後差異との方向一致率が高いため、陰線と予想しています。 - シナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が92%です。また、指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が30%です。今回の事前差異はプラスなので、直前1分足は陰線率が70%ということです。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が81%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが46%です。安心して追撃ポジションを取れる数字ではありません。よって、この日10:25頃までのトレンド方向と同じ方向に事後差異がなっているなら追撃とし、そうでなければポジション取得を諦めます。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。
最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、堅調に拡大しています。
注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も値もまるで当たらない指標です。
ご注意ください。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に、小売売上高前月比の過去の市場予想と発表結果を示します。一見してわかるように、アテになるような市場予想ではありません。それにも関わらず、後述する指標一致性検証の結果、反応は直後1分足・直後11分足ともに事後差異との方向一致率が極めて高い(ともに86%)という特徴があります。
今回の市場予想は、前月比が+0.3%(前回結果△0.1%)、前期比が+0.4%(前回結果+0.9%)です。過去の傾向から言えば、前月比>前期比で反応するので、以下は前月比に話題を絞ります。
もともと小売売上高は休日日数や営業日数との関係が深いものです。今年の2月と3月とは土日の回数が同じで、日数が3月が3日多くなっています。通常なら3月は前月比で売上が増えても良いはずです。がしかし、3月分の関連指標を見ておくと、必ずしもそう言えません。3月分Westpac消費者信頼感は+0.1%で、2月分+2.3%よりも2.2%減少しています。プラスにはなっているので、今回は市場発表を下回ると予想します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
それにしても直前1分足の陰線への偏りは異常ですね。
過去3回の指標発表前後の反応を、4本足ローソク足チャートで下図に示します。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが46%です。安心して追撃ポジションを取れる数字ではありません。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が92%です。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は、直前1分足との方向一致率が30%です。今回の事前差異はプラスなので、直前1分足は陰線率が70%ということです。この結果は、先の反応一致性分析の結果と方向が一致しています。
本指標での事後差異は(発表結果ー市場予想)で求め、前回結果を反映していません。事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率がともに86%で、素直に反応しています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照ください。
以上
2017年5月9日10:30発表
以下は2017年5月9日11:10頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は市場予想を下回り、反応は陰線でした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前分析は次の通りでした。
- 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%もあるものの、終値が直後1分足終値よりも伸びたことが46%しかありません。とても追いかけてポジションを取れる数字ではありません。この指標は最初に大きく跳ねたら、それで終わりという傾向が強いのです。
- まず、過去の傾向から言えば、前月比>前期比で反応するので、以下は前月比に話題を絞ります。
今回の市場予想は、前月比が+0.3%(前回結果△0.1%)です。
3月分Westpac消費者信頼感は+0.1%で、2月分+2.3%よりも2.2%も減少しています。プラスにはなっているので、今回は市場発表を下回り、前回結果を上回る、と予想します。
そして、指標一致性分析の結果、反応方向は事後差異との方向一致率が高いため、陰線と予想しています。
反応は、発表後の反応が陰線側に伸びていきました。確率上の問題ゆえ、この点は分析を外しても仕方ありません。
指標は、市場予想を下回りました。問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- (1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が92%です。また、指標一致性分析の結果、事前差異との方向一致率が30%です。今回の事前差異はプラスなので、直前1分足は陰線率が70%ということです。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が81%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが46%です。安心して追撃ポジションを取れる数字ではありません。よって、この日10:25頃までのトレンド方向と同じ方向に事後差異がなっているなら追撃とし、そうでなければポジション取得を諦めます。
直後11分足の取引は、朝からのトレンドが上昇で、反応方向が陰線だったため、ポジション取得を諦めました。陽線側への反転しそうなら追撃することも考えていたものの、指標結果がかなり悪い内容だったため、早期反転なしと判断しました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
ーーー以下は広告ですーーー
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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