2017年04月02日
豪州実態指標「小売売上高(前月比)」発表前後のAUDJPY反応分析(2017年4月3日10:30発表結果検証済)
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。事後投稿の日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
2017年4月3日10:30に豪州実態指標「小売売上高(前月比)」が発表されます。今回発表は2017年2月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
平均値より大きく反応したことは32%しかありません。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。
最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、堅調に拡大しています。
注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も値もまるで当たらない指標です。
ご注意ください。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
市場予想は前月比0.3%増となっています。
ところが、NAB企業景況感指数では、1月16に対し2月は9と大きく減少しています。また、新規雇用者数も2月は5か月ぶりにマイナスとなり、失業率も1月より0.2%悪化しています。
そして、同時発表される2月住宅建設許可件数(前月比)も、市場予想ではマイナスとなっています。
小売売上高前月比が+0.3%増は市場予想が高すぎるのではないでしょうか。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
上から2番目の直前1分足をご覧ください。こりゃひどい。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が80%もあるものの、終値が直後1分足終値よりも伸びたことが44%しかありません。とても追いかけてポジションを取れる数字ではありません。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が91%です。
また、直後11分足は直後1分足と方向一致率が80%と高いものの、反応性分析の項で記したように、本指標では反応が伸びないので、追いかけてポジションを取るべきではありません。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
直後1分足や直後11分足は、事後差異との方向一致率が83%と71%となっています。基本的には、素直に反応する指標です。
本記事巻頭の箇条書きを参照ください。
以下は2017年4月5日21:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します。
結果は、市場予想を下回り、反応は陰線でした。
ほぼ分析通りの展開だったと思います。陰線が平均値に届かなったとことは、同時発表された住宅建設許可件数が市場予想を大きく上回ったため、と思われます。
シナリオは次の通りでした。
直前1分足・直後1分足・直後11分足のいずれも陰線となりました。直後11分足は直後1分足よりも反応が伸びしました。
本ブログを始めてからの本指標での取引結果を下表に示します。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年4月3日10:30に豪州実態指標「小売売上高(前月比)」が発表されます。今回発表は2017年2月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
平均値より大きく反応したことは32%しかありません。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 先にご注意です。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が80%もあるものの、終値が直後1分足終値よりも伸びたことが44%しかありません。とても追いかけてポジションを取れる数字ではありません。この指標は最初に大きく跳ねたら、それで終わりという傾向が強いのです。
但し、今回は本指標発表から15分後に中国製造業PMIが発表されます。10:00中値でUSDJPYが落ち着いたら、AUDJPYの動きを見ておきましょう。10:00からの10:25頃のAUDJPYが下降しているなら、小売売上高の発表がどうあれ3-4分後から下降に転じる(or 加速する)可能性が高いと思われます。上記期間が上昇なら、前述の通り、追いかけてポジションを持つべきではありません。 - 市場予想は前月比0.3%増となっています。
ところが、NAB企業景況感指数では、1月16に対し2月は9と大きく減少しています。また、新規雇用者数も2月は5か月ぶりにマイナスとなり、失業率も1月より0.2%悪化しています。
そして、同時発表される2月住宅建設許可件数(前月比)も、市場予想ではマイナスとなっています。
小売売上高前月比が+0.3%増という今回の市場予想は、少し高すぎるのではないでしょうか。 - シナリオは次の通りです。
直前1分足の陰線率が91%です。直前1分足のローソク足を見ればわかるように、直前1分足にはヒゲがほとんどありません。利確は指標発表直前まで粘った方が良いかも知れません。但し、過去の平均跳幅は5pipsしかありません。 - 指標定性分析の結論から、今回は市場予想を下回ると予想しています。指標一致性分析の結果、事後差異と直後1分足の方向一致率は83%と高いので、指標発表直前に売ポジションを取ってみます。直後1分足跳幅で利確です。過去平均だと17pipsですが、反応性分析で最近は反応が小さくなっているため、10pipsも取れれば利確で良いでしょう。
- 上記注意書きとの通り、10:00〜10:25頃のAUDJPYが下降で、且つ、初期反応が陰線なら追撃です。それ以外は指標発表後の取引を見合わせます。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
T.調査
【1. 指標概要】
豪州小売売上高は、小売・サービス業の月間売上高をサンプル調査に基づき算出しています。発表は豪連邦統計局(ABS:Australian Bureau of Statistics)が行い、翌々月上旬に月次発表されています。
豪州と言えば資源関連企業に注目が集まります。ところが、資源関連企業の収益は、資源価格が頭打ちとなるにつれて伸び悩んでいます。もともと豪州GDPに占める鉱工業生産高は1割程度しかないのです。その一方、非資源関連企業の収益は、小売売上高が長期的に拡大傾向と見なされており堅調と言えます。
その背景として、豪州は毎年約20万人の移民を受け入れており、2050年までに自然増も含めて約40%の人口増加が見込まれています。豪州は先進国で人口増加率の最も高い国のひとつです。
最近の小売売上高は、この人口増加と低金利と豪ドル安が個人消費を押し上げており、堅調に拡大しています。
注意すべき点として、豪州経済指標が発表される時間帯に前後して、中国経済指標の発表が行われることがあります。その場合、中国指標の影響でAUDJPYが1円以上動くことがあります。また、専門家による市場予想が方向も値もまるで当たらない指標です。
ご注意ください。
【2. 既出情報】
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
市場予想は前月比0.3%増となっています。
ところが、NAB企業景況感指数では、1月16に対し2月は9と大きく減少しています。また、新規雇用者数も2月は5か月ぶりにマイナスとなり、失業率も1月より0.2%悪化しています。
そして、同時発表される2月住宅建設許可件数(前月比)も、市場予想ではマイナスとなっています。
小売売上高前月比が+0.3%増は市場予想が高すぎるのではないでしょうか。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
上から2番目の直前1分足をご覧ください。こりゃひどい。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が80%もあるものの、終値が直後1分足終値よりも伸びたことが44%しかありません。とても追いかけてポジションを取れる数字ではありません。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が91%です。
また、直後11分足は直後1分足と方向一致率が80%と高いものの、反応性分析の項で記したように、本指標では反応が伸びないので、追いかけてポジションを取るべきではありません。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
直後1分足や直後11分足は、事後差異との方向一致率が83%と71%となっています。基本的には、素直に反応する指標です。
【6. シナリオ作成】
本記事巻頭の箇条書きを参照ください。
以上
2017年4月3日10:30発表
以下は2017年4月5日21:00頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します。
- 市場予想は前月比0.3%増となっています。
ところが、NAB企業景況感指数では、1月16に対し2月は9と大きく減少しています。また、新規雇用者数も2月は5か月ぶりにマイナスとなり、失業率も1月より0.2%悪化しています。
そして、同時発表される2月住宅建設許可件数(前月比)も、市場予想ではマイナスとなっています。
小売売上高前月比が+0.3%増という今回の市場予想は、少し高すぎるのではないでしょうか。
結果は、市場予想を下回り、反応は陰線でした。
ほぼ分析通りの展開だったと思います。陰線が平均値に届かなったとことは、同時発表された住宅建設許可件数が市場予想を大きく上回ったため、と思われます。
【9. シナリオ検証】
シナリオは次の通りでした。
- 直前1分足の陰線率が91%です。直前1分足のローソク足を見ればわかるように、直前1分足にはヒゲがほとんどありません。利確は指標発表直前まで粘った方が良いかも知れません。但し、過去の平均跳幅は5pipsしかありません。
- 指標定性分析の結論から、今回は市場予想を下回ると予想しています。指標一致性分析の結果、事後差異と直後1分足の方向一致率は83%と高いので、指標発表直前に売ポジションを取ってみます。直後1分足跳幅で利確です。過去平均だと17pipsですが、反応性分析で最近は反応が小さくなっているため、10pipsも取れれば利確で良いでしょう。
- 上記注意書きとの通り、10:00〜10:25頃のAUDJPYが下降で、且つ、初期反応が陰線なら追撃です。それ以外は指標発表後の取引を見合わせます。
直前1分足・直後1分足・直後11分足のいずれも陰線となりました。直後11分足は直後1分足よりも反応が伸びしました。
本ブログを始めてからの本指標での取引結果を下表に示します。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
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ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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