2017年02月03日
2017年2月3日18:30発表ー英国景気指標「サービス業PMI」発表前後のGBPJPY反応分析(結果追記済)
2017年2月3日18:30に英国景気指標「サービス業PMI」の発表が行われます。今回は2017年1月分の発表となります。
過去発表時のポイントは次の通りです。
本指数は、(1) 各国のPMI同士を比較しやすいこと、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) サービス業景況指数は製造業のそれより精度が高く近い将来の状況を表すと考えられること、から重要度・注目度が高い、と言われています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。これは、サービス業の仕入れ・雇用が1か月程度先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられるため、です。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退です。
指数の意義は、景気転換をGDPや他の指標よりも先行示唆することです。
それに、英国重要指標全般に言えることですが、他の主要国と比較して反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。FX会社などの経済指標ランク分では、他国と同程度の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。がしかし、米国指標発表時のUSDJPYの反応と比べると、英国指標発表時のGBPJPYの反応pipsは、1ランク上の大きさになるようです。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。
なお、PMIとはPurchasing Manager's Index(購買担当者景気指数)の省略形です。
調査主体であるMarkit社の日本語案内資料によれば、「各国の製造業とサービス業の PMI 調査は、400 を超える企業の上級担当責任者(もしくは同等職)を対象とするアンケート調査への回答に基づいています」。サービス業の「アンケートは事業活動・新規事業・受注残・サービス単価・購買価格・雇用・事業見通し」について行われ、その「集計結果をMarkit社のエコノミストが調査結果についてまとめています」。もし本説明内容に誤りがある場合には、引用者である当会のミスによるもので、Markit社案内資料の問題ではないことを付記しておきます。
本指標について既に公開されている情報を整理します。以下の調査は2015年1月以降先月発表結果までの24回分のデータに基づいています。
前回結果56.2に対し今回の市場予想は55.8となっています。前回発表時は、直後1分足・直後11分足ともに陽線で反応していました。
指標発表結果に対し最も率直に反応するのは直後1分足跳幅だと言えます。過去24回のデータでは、直後1分足跳幅は平均24pipsの反応でした。がしかし、直後1分足跳幅が平均値24pipsを超えたことは24回中7回(28%)しかありません。つまり、比較的大きく反応することもあるので平均値を釣り上げている訳です。
本指標の過去の動きを下図に示します。
全般的には2016年7月を底とした改善基調が続いています。
さて一般論として、物価は上流から下流に(生産者物価が上がると小売物価も上がる)、景気は下流から上流に(小売景況感が良くなれば生産者景況感も良くなる)伝搬します。がしかし、参考までに製造業PMIを下図に示します。
一般論とは違って、2016年7月の直近の底だけでなく、小さな底・頂の時期がサービス業PMIと製造業PMIでほぼ一致しています。少なくとも過去2年程度の期間で見る限り、どちらがどちらの先行指標とは言えないのではないでしょうか。
もしかすると、報道・統計の同時掌握性が以前に比べて格段に進んだ最近は、景況感や物価といった指標の伝搬速度が極めて早く、以前のように先行性の期間が非常に短くなっているのではないでしょうか。
そしてもしそれが正しいならば、先日(2/1)に発表された製造業PMIは、前回に対し微減、市場予想通りでした。そしてこのとき、反応は直後1分足が同値、直後11分足が陽線となっています。当日GBPJPYは15時から上昇基調でしたので、直後11分足の反応はトレンドに沿ったものと理解できます。
今回、本サービス業PMIの市場予想は、前回発表値に対し微減となっています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足を下図に示します。
直前10-1分足の過去の跳幅平均は13pips、値幅平均は7pipsとなっています。
陽線・陰線への偏りはありません(陽線率50%)。
事前差異(市場予想―前回結果)のプラス・マイナスと直前10-1分足が陽線・陰線であるかの関係は見出せません(方向一致率57%)。
直前1分足の過去の跳幅平均は8pips、値幅平均は4pipsとなっています。
過去24回中17回(81%)が陰線となっています。
事前差異(市場予想―前回結果)のプラス・マイナスと直前1分足が陽線・陰線であるかの関係は見出せません(方向一致率48%)。
直後1分足の過去の跳幅平均は24pips、値幅平均は15pipsとなっています。前述の通り、実際には跳幅が24pipsを超えたことは28%しかありません。2回に1回が超えるpipsは19pipsです。
事後差異(2✕発表結果ー市場予想―前回結果)のプラス・マイナスと、直後1分足が陽線・陰線であるかの関係は、方向一致率が73%となっています。期待的中率75%には僅かに達していませんが、発表結果に対してほぼ素直に反応するということが言えるでしょう。
直後11分足の過去の跳幅平均は34pips、値幅平均は19pipsとなっています。
次に、直後1分足と直後11分足の値幅方向が一致したことは、過去24回中19回(86%)となっています。そして、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びたことは、その19回のうち13回(68%)です。
事後差異(2✕発表結果ー市場予想―前回結果)のプラス・マイナスと、直後1分足が陽線・陰線であるかの関係は、方向一致率が78%となっています。
指標発表後に反応方向を見てからポジションを取っても良さそうです。
製造業PMIについて上記の通り対比検証しました。
解釈・コメントは「T. 調査」の該当箇所に記載済のため、分析結果のみを示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。また逆に、過去の反応の大きさがわかっていれば、ポジションを持ったときに含損がどの程度になれば損切すれば良いか(もう挽回できそうにないか)の参考にできます。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
指標一致性分析では、事前差異と事後差異の方向に偏りがないかを調べています。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
前回結果56.2・市場予想55.8を下回る54.5となり、直後1分足・直後11分足ともに陰線となりました。
当日は日本時間から少しずつ上昇を続けていたものの、17:35に141.98の高値を付けると、発表直前の18:26には141.58付近まで下降しました。
取引結果は次の通りでした。
シナリオ1に基づき直前1分足始値前に売ポジションを取得したものの、直前1分足は予想に反して陽線となりました。取引そのものは、ポジションの取得が早すぎ、解消も遅れて発表直後となってしまいました。利確できたことは幸いでした。
シナリオ2は、シナリオ1のポジション解消が遅れたため、取引中止となりました。
シナリオ3は、発表後の反応を見て売ポジションを取得し、分析通りにそのまま陰線側に伸びたため利確することができました。
前回結果56.2に対し今回の市場予想は55.8となっていました。事前差異はマイナスで、発表直前までの動きは陰線側となっていました。直後1分足もまた陰線に反応しました。
直前1分足が過去24回中17回(81%)が陰線となっていました。がしかし、今回は陽線で反応しました。
事後差異と直後1分足の方向一致率が73%となっていました。結果も事後差異と直後1分足の方向が一致しています。発表結果に対してほぼ素直に反応する、という分析通りの動きと言えます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が86%となっていました。そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は78%となっていました。直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びたことは、そのうち68%となっていました。
実際の結果もその通りの動きとなりました。
シナリオ2を実行できなかったことは残念でした。シナリオには問題ありません。
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残念ながら、最終的なご判断はご自身の責任となり、本ブログ情報に基づいた取引で生じたいかなる損害についても、当会は責任を一切負いかねます。本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
過去発表時のポイントは次の通りです。
- 前回結果56.2に対し今回の市場予想は55.8となっています。前回発表時は、直後1分足・直後11分足ともに陽線で反応していました。
- 関連指標として、先日(2/1)に発表された製造業PMIは、前回に対し微減、市場予想通りでした。そしてこのとき、反応は直後1分足が同値、直後11分足が陽線となっています。当日GBPJPYは15時から上昇基調でしたので、直後11分足の反応はトレンドに沿ったものと理解できます。
- 直前1分足が過去24回中17回(81%)が陰線となっています。直前1分足は過去の跳幅平均が8pips、値幅平均が4pipsとなっています。
- 事後差異と直後1分足の方向一致率が73%となっています。期待的中率75%には僅かに達していませんが、発表結果に対してほぼ素直に反応するということが言えるでしょう。
- 直後1分足と直後11分足の方向一致率が86%となっています。そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は78%となっています。直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びたことは、そのうち68%となっています。
T.調査
【1. 指標概要】
本指数は、(1) 各国のPMI同士を比較しやすいこと、(2) 景況感は景気転換の先行指標と考えられること、(3) サービス業景況指数は製造業のそれより精度が高く近い将来の状況を表すと考えられること、から重要度・注目度が高い、と言われています。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気実態を正確に反映した先行指標と言われています。これは、サービス業の仕入れ・雇用が1か月程度先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、それだけの先行性があると考えられるため、です。
指数の解釈は、50%を上回ると景気拡大・50%を下回ると景気後退です。
指数の意義は、景気転換をGDPや他の指標よりも先行示唆することです。
それに、英国重要指標全般に言えることですが、他の主要国と比較して反応(値動き)が素直で大きいという特徴があります。FX会社などの経済指標ランク分では、他国と同程度の重要度・注目度に位置づけられることが多いように見受けられます。がしかし、米国指標発表時のUSDJPYの反応と比べると、英国指標発表時のGBPJPYの反応pipsは、1ランク上の大きさになるようです。そのためポジションを持つ場合には注意が必要です。
なお、PMIとはPurchasing Manager's Index(購買担当者景気指数)の省略形です。
調査主体であるMarkit社の日本語案内資料によれば、「各国の製造業とサービス業の PMI 調査は、400 を超える企業の上級担当責任者(もしくは同等職)を対象とするアンケート調査への回答に基づいています」。サービス業の「アンケートは事業活動・新規事業・受注残・サービス単価・購買価格・雇用・事業見通し」について行われ、その「集計結果をMarkit社のエコノミストが調査結果についてまとめています」。もし本説明内容に誤りがある場合には、引用者である当会のミスによるもので、Markit社案内資料の問題ではないことを付記しておきます。
【2. 既出情報】
本指標について既に公開されている情報を整理します。以下の調査は2015年1月以降先月発表結果までの24回分のデータに基づいています。
前回結果56.2に対し今回の市場予想は55.8となっています。前回発表時は、直後1分足・直後11分足ともに陽線で反応していました。
指標発表結果に対し最も率直に反応するのは直後1分足跳幅だと言えます。過去24回のデータでは、直後1分足跳幅は平均24pipsの反応でした。がしかし、直後1分足跳幅が平均値24pipsを超えたことは24回中7回(28%)しかありません。つまり、比較的大きく反応することもあるので平均値を釣り上げている訳です。
(2-1. 過去情報)
本指標の過去の動きを下図に示します。
全般的には2016年7月を底とした改善基調が続いています。
さて一般論として、物価は上流から下流に(生産者物価が上がると小売物価も上がる)、景気は下流から上流に(小売景況感が良くなれば生産者景況感も良くなる)伝搬します。がしかし、参考までに製造業PMIを下図に示します。
一般論とは違って、2016年7月の直近の底だけでなく、小さな底・頂の時期がサービス業PMIと製造業PMIでほぼ一致しています。少なくとも過去2年程度の期間で見る限り、どちらがどちらの先行指標とは言えないのではないでしょうか。
もしかすると、報道・統計の同時掌握性が以前に比べて格段に進んだ最近は、景況感や物価といった指標の伝搬速度が極めて早く、以前のように先行性の期間が非常に短くなっているのではないでしょうか。
そしてもしそれが正しいならば、先日(2/1)に発表された製造業PMIは、前回に対し微減、市場予想通りでした。そしてこのとき、反応は直後1分足が同値、直後11分足が陽線となっています。当日GBPJPYは15時から上昇基調でしたので、直後11分足の反応はトレンドに沿ったものと理解できます。
今回、本サービス業PMIの市場予想は、前回発表値に対し微減となっています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足を下図に示します。
直前10-1分足の過去の跳幅平均は13pips、値幅平均は7pipsとなっています。
陽線・陰線への偏りはありません(陽線率50%)。
事前差異(市場予想―前回結果)のプラス・マイナスと直前10-1分足が陽線・陰線であるかの関係は見出せません(方向一致率57%)。
直前1分足の過去の跳幅平均は8pips、値幅平均は4pipsとなっています。
過去24回中17回(81%)が陰線となっています。
事前差異(市場予想―前回結果)のプラス・マイナスと直前1分足が陽線・陰線であるかの関係は見出せません(方向一致率48%)。
直後1分足の過去の跳幅平均は24pips、値幅平均は15pipsとなっています。前述の通り、実際には跳幅が24pipsを超えたことは28%しかありません。2回に1回が超えるpipsは19pipsです。
事後差異(2✕発表結果ー市場予想―前回結果)のプラス・マイナスと、直後1分足が陽線・陰線であるかの関係は、方向一致率が73%となっています。期待的中率75%には僅かに達していませんが、発表結果に対してほぼ素直に反応するということが言えるでしょう。
直後11分足の過去の跳幅平均は34pips、値幅平均は19pipsとなっています。
次に、直後1分足と直後11分足の値幅方向が一致したことは、過去24回中19回(86%)となっています。そして、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びたことは、その19回のうち13回(68%)です。
事後差異(2✕発表結果ー市場予想―前回結果)のプラス・マイナスと、直後1分足が陽線・陰線であるかの関係は、方向一致率が78%となっています。
指標発表後に反応方向を見てからポジションを取っても良さそうです。
(2-3. 関連指標)
製造業PMIについて上記の通り対比検証しました。
U. 分析
解釈・コメントは「T. 調査」の該当箇所に記載済のため、分析結果のみを示します。
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。また逆に、過去の反応の大きさがわかっていれば、ポジションを持ったときに含損がどの程度になれば損切すれば良いか(もう挽回できそうにないか)の参考にできます。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析では、事前差異と事後差異の方向に偏りがないかを調べています。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
V. 結果
2017.2/3.18:30発表
2017年2月3日21:38事後追記用書式
【7. 発表結果】
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
前回結果56.2・市場予想55.8を下回る54.5となり、直後1分足・直後11分足ともに陰線となりました。
当日は日本時間から少しずつ上昇を続けていたものの、17:35に141.98の高値を付けると、発表直前の18:26には141.58付近まで下降しました。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
W. 検証
シナリオ1に基づき直前1分足始値前に売ポジションを取得したものの、直前1分足は予想に反して陽線となりました。取引そのものは、ポジションの取得が早すぎ、解消も遅れて発表直後となってしまいました。利確できたことは幸いでした。
シナリオ2は、シナリオ1のポジション解消が遅れたため、取引中止となりました。
シナリオ3は、発表後の反応を見て売ポジションを取得し、分析通りにそのまま陰線側に伸びたため利確することができました。
【8. 調査分析検証】
前回結果56.2に対し今回の市場予想は55.8となっていました。事前差異はマイナスで、発表直前までの動きは陰線側となっていました。直後1分足もまた陰線に反応しました。
直前1分足が過去24回中17回(81%)が陰線となっていました。がしかし、今回は陽線で反応しました。
事後差異と直後1分足の方向一致率が73%となっていました。結果も事後差異と直後1分足の方向が一致しています。発表結果に対してほぼ素直に反応する、という分析通りの動きと言えます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が86%となっていました。そして、事後差異と直後1分足の方向一致率は78%となっていました。直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びたことは、そのうち68%となっていました。
実際の結果もその通りの動きとなりました。
【9. シナリオ検証】
シナリオ2を実行できなかったことは残念でした。シナリオには問題ありません。
以上
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楽天はポイントを貰える機会が多いと思います。特に書籍はポイントで一部を支払えば、実質的に割引と同じで重宝しています。
ーーー注記ーーー
残念ながら、最終的なご判断はご自身の責任となり、本ブログ情報に基づいた取引で生じたいかなる損害についても、当会は責任を一切負いかねます。本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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