2015年07月19日
Platycerus属 国産種
Platycerus属の1回目は国産種、2回目は外国産種を予定しています。
Platycerus Geoffroy, 1762:61 (type: Scarabaeus caraboides Linné, 1758)
=Platycerus Fourcroy, 1785:2 (type: Scarabaeus caraboides Linné, 1758)
=Systenocerus Weise, 1883:93 (type: Scarabaeus caraboides Linné, 1758)
=Systenus Sharp et Muir, 1912:573 (type: Scarabaeus caraboides Linné, 1758)
2000年代後半から、
交尾器の内袋の形状から新しく種類分けされたり、新和名が提唱されたり、
ごちゃごちゃになってかなり分かりにくくなってます。
内袋の形状での分け方にはついては研究者ごとにいろいろな意見があるとは思いますが、
ここでは有効なものとして扱います。
和名については変えるとかえってわかりにくくなると思っているので従来のものを使用します。
コルリの新しい分布図はKubota,Kubota & Otobe,2009(月刊むし462号)、それぞれ特徴や細かいことはFujita,2010(新大図鑑)がわかりやすいのではないかと思います。
Kubota,Kubota & Otobe,2009より |
Platycerus acuticollis Y.Kurosawa,1969:478
本州(群馬,宮城,福島,茨城,栃木) [Hôshi Spa,Gumma Pref.,Japan].
通称「コルリクワガタ」。
P.delicatulusに比べ、顎は短く、前胸上部は幅広で、前胸後角は尖り(P.delicatulusにも尖る個体はいる)、
胴体は幅広でやや寸詰まり。
Platycerus akitaorum Imura,2007:483-487,figs.11-13
紀伊半島(大台ケ原山系) [Ôdaigahara,Kamilitayama-mura of Yoshino-gun in Nara Pref.,Central Japan].
通称「キイルリクワガタ」。P.sugitaiから分かれた。
P.sugitaiとは主に交尾器の違いで記載され、形状では前胸前縁がより尖り、上翅の点刻が大きく横皺はより浅く細かい。
交尾器の内袋がかなり特異な形状をしているみたいですが、P.sugitaiと交尾が成立してF1個体がえられているそうです。(Fujita,2010)
Platycerus albisomni Kubota,Kubota et Otobe,2008:82,83,84-85,86,87,figs.1,4,5,16,18,22,27,36,38,41
本州(山形,秋田,岩手?,宮城?,福島,新潟,長野) [Yumiharidaira, Nishikawa-chô, Nishimurayama-gun, Yamagata Prefecture].
通称「ユキグニコルリクワガタ」。P.alticollisから分けられた。
交尾器の内袋の形状で分けられたようです。
内袋はキチン質で形状の変異があって当てにはならないとの意見も聞いてますが、
当方は研究者ではないので有効か無効か判断ができないためとりあえずは有効なものとして扱っておきました。
図示した画像は記載文からで、タイプ標本との記述はありませんでした。
記載文に載せるなら大概がホロタイプではないかと思います。(パラタイプの場合もありますが)
Platycerus albisomni chichibuensis Kubota,Kubota et Otobe,2008:82,83,85-88,figs.1,6,19,23,28,36,41
本州(埼玉,群馬,長野) [Irikawa, (University est oin Chichibu, The University of Tokyo), Ohtakiirikawa, Chichibu-shi, Saitama Prefencture].
通称「チチブコルリクワガタ」。P.takakuwaiから分けられた。
交尾器の内袋の形状で分けられたようです。
Platycerus delicatulus Lewis,1883:338-339,fig.3
本州,四国,九州 [Oyayama,Odaigahara,Chiuzenji; and on Ontake].
通称「ルリクワガタ」。
大型で、顎は発達し、胴体は長く、前胸前方は切れ込む。
Platycerus delicatulus unzendakensis Fujita et Ichikawa,1982:9
九州(長崎県,佐賀県) [Mt.Unzendake Nagasaki Pref.].
通称「ウンゼンルリクワガタ」。
原名亜種に比べ、胴体はやや寸詰まり、上翅の光沢は強い。
Platycerus kawadai Fujita et Ichikawa,1982:1-8
本州(山梨,神奈川,群馬,埼玉,東京,静岡,長野) [Kamihikawa-rindo,Daibosatsu,Yamanashi Pref.].
通称「ホソツヤルリクワガタ」。
P.delicatulusに比べ、頭部・前胸は小さく、胴体は細くて先端は丸みを帯び、上翅の光沢が強くて横皺は少ない。
Platycerus sue Imura,2007:492-496,figs.1-3
四国(石鎚山系) [mountainous region of Japan].
通称「タカネコルリクワガタ」。
P.sugitaiに似るが、胴体は幅広でやや短く、前胸前方はやや幅広で、上翅の皺は少なくて大きい。
肉眼でみた印象はぼってりた感じ。
主に交尾器の違いで分けられた印象で、聞いた話だとP.sugitaiと中間的な個体も得られているとか。
実際には確認してないので話半分程度で。
Platycerus sugitai Okuda et Fujita,1987:3-13
紀伊半島,四国,九州 [Mt.Tsurugisan(Minokoshi),Tokushima Pref.].
通称「ニセコルリクワガタ」。
和名のとおりにP.acuticollisに似るが、
体型は細く、前胸前方の幅は狭く、前胸後角はより尖り、前胸の光沢は強い。
Platycerus takakuwai Fujita,1987:3,5,7,figs.7-8,10
静岡,埼玉,東京,神奈川,山梨,長野,岐阜,愛知 [Mt. Manjirôdake,Shizuoka Pref.].
通称「トウカイコルリクワガタ」。P.acuticollisの亜種とされていた。
P.acuticollisに比べ、胴体は細長くてやや小さく、上翅の光沢は弱く、上翅の皺は細くて浅い。
旧分布でのP.a.akitaiの1部は本亜種に含まれる。
Platycerus takakuwai akitai Fujita,1987:3,5,7,figs.11-12
三重,富山,岐阜,石川,福井,滋賀,奈良,和歌山,大阪,京都,兵庫 [Chichigatani,Mie Pref.].
通称「キンキコルリクワガタ」。P.acuticollisの亜種とされていた。
小型で、胴体はやや小さく、上翅の皺は太くて深い。
Platycerus takakuwai namedai Fujita,1987:3,5-7
徳島,香川,愛媛 [Dosu-Tôge,Tokushima Pref.].
通称「ミナミコルリクワガタ」、新和名の「シコクコルリクワガタ」でもわかりやすいかも。P.acuticollisの亜種とされていた。
Ssp.akitaiによく似るが、全体的に幅広。
Platycerus urushiyamai Imura,2007:480-482,figs.8,10
九州 [Pass Makinoto-tôgé,Kokonoé-machi of Kusu-gun in Ôita Pref.,Kyushu,Southwest Japan].
通称「キュウシュウルリクワガタ」。P.sugitaiから分けられた。
P.sugitaiとは交尾器の内袋の形状の違いのみ。
Platycerus viridicuprus Kubota,Kubota et Otobe,2008:81.82,86,87,94-95,figs.1,11,12,32,36,40,41
広島,京都,兵庫,岡山,鳥取,島根,山口,隠岐島 [Mt Hibayama, Shôbara-shi,Hiroshima Prefecture].
通称「ニシコルリクワガタ」。P.a.namedaiから分けられた。
交尾器の内袋の形状で分けられたようです。
Platycerus viridicuprus kanadai Kubota,Kubota et Otobe,2008:81.82,86,87,95-96,figs.1,13,33,36,41
福岡,大分 [Mt Kyôyomidake, Buzen-shi, Fukuoka Prefecture].
P.urushiyamaiと紛らわしいですが、通称「キュウシュウコルリクワガタ」。P.a.namedaiの九州産が本亜種に当たります。
交尾器の内袋の形状で分けられたようです。
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