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夏の庭


 湯本香樹実さん作のこの「夏の庭」は舞台にも映画にもなったそうです。
 たくさんの国で翻訳もされているそうです。読むまで知らなかったんですけど。
 読後、まずスタンド・バイ・ミーを思い出された方は多いのではないでしょうか。
 三人の少年と老人が軸に世代間の違う人との交流、死、そして一歩大人に・・・
 10代前半の少年にとっておじいちゃんや、おばあちゃんなんてずっとずっと
 最初から老人であって、若い頃もあってそれぞれにいろんな人生があった、
 なんて信じられないことなのよね。頭ではなんとなくわかってはいても。
 また、死もいつかは誰にでも訪れることは知っているけれど、それは老人達のもの。
 まだ自分達には無縁なもの。 でもなんとなく意識しだした頃。

 少年がもつ無邪気な残酷さと、老人のかたくなさと・・・
 もう中間にいる私には(老人寄りか?)どちらにもなれて、どちらでもなく
 ドキドキ、ヒリヒリしながら見守っていました。

 少年達はこの夏のことをスッカリ忘れてしまう時期があり
 また鮮明に思い出す時がくるのでしょう。それはいつ、どんな風に?
 
 もしかすると歳をとるのは楽しいことなのかもしれない。
 歳をとればとるほど思い出は増えるのだから。そしていつかその持ち主が
 あとかたもなく消えてしまっても思い出は空気の中を漂い、雨に溶け、
 土に染み込んで生き続けるとしたら・・・ いろいろなところを漂いながら
 また別のだれかの心にちょっとしのびこんみるかもしれない。
 時々、初めての場所なのになぜか来たことがあると感じたりするのは
 遠い昔のだれかの思い出のいたずらなのだ。(文中より)

 あなたの思い出、昨夜見た私の夢だったかも・・・

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